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作家買いです。特典が欲しくてとらのあなさんで1・2巻まとめてポチったのだけれど、アニメイトさんのクリアファイルも欲しくて久々の複数買いをしてしまった…。
とらさんで購入した分はまだ届いていないので、とりあえずアニメイトさんで購入してきた1巻を読んでみました。
ネタバレしてます。苦手な方はご注意を。
やばい。すんごく面白い。
でりこさんはギャグテイストな作品も描かれますが、この作品はでりこさんらしいドシリアスもの。でりこさんの独特な絵柄と相まって、ドロッドロなお話です。
時代は昭和初期(だと思われる)。
地方の名家に生まれた育郎が主人公。
育郎の父親は育郎に構うことなく屋敷のとある部屋に入りびたり。その部屋に近づいてはいけないと言われ続けてきた育郎ですが、まだ子どもだった頃、偶然中を覗いてしまったことが。
そこで、父親がきれいな男の足元にかしずき、彼の足をなめているところを見てしまいます。
父親が、まるでカマキリに食べられてしまうようだ。
そういう感想を持った育郎ですが、彼が誰なのかも知らず育ちます。
育郎を産んだ母親は正妻さんですが、実は外に愛人がいて、その愛人が生んだ子が部屋に閉じ込められていた男・蘭蔵。育郎とは腹違いの兄。
夫を深く愛しすぎていた育郎の母親は、愛人と愛人の産んだ子の存在に耐え切れず精神を病んでしまい、それを理由に離縁され、そして孤独な死を迎えています。
時は過ぎ、当主が亡くなり、跡継ぎとして家を任されたのは育郎。
なのだけれど、父親は財産を蘭蔵に相続させると遺言に残しており育郎はお飾りの当主でしかない。
母親が死んだこと、そして父親の愛情を取られたことを恨み蘭蔵に辛辣な態度をとる育郎ですが、その育郎の孤独を埋めてきたのが古くから使用人として育郎に仕えてきた典彦で。
典彦は育郎に忠誠をちかっているようで、実は…。
というちょっと昔の昼ドラのようなストーリー。
従順な使用人の顔を持ちながらも、育郎を手のひらで転がし続ける典彦。
両親から愛されることなく育ち、心のバランスが危うい育郎。
育郎の腹違いの兄で、知的障害を持ち子どものような蘭蔵。
そして、家族から疎まれる蘭蔵を、自身も混血という境遇を持つために共鳴してしまう郵便局員の西浦くん。
出てくる登場人物たちがみんな個性的で、それでいて話に統一感がありストーリーに無理がない。
育郎の母親と典彦が関係を持ったのだとわかる表現が少しですがあったり(地雷の方はご注意を)、知的障害を持つ蘭蔵や混血の西浦くんを差別するような言葉や体罰があったり。
もしかしたら読み手を選ぶ作品かなと思いますが、個人的にはとてもツボでした。
1巻では典彦と育郎のセックスシーンはありません。
男同士で関係を持つ意味がない、と典彦が育郎に教え込んでいるため。そして、育郎自身が立派な当主にならねばならないという母親の呪縛に縛られているため。
けれど、典彦が育郎の身体を性的に追い詰めるシーンはある。身体は繋げないのに、指でいたぶる。
そのシーンがそれはそれは官能的。
育郎の、典彦への想いが透けて見えるためか。
典彦の、育郎へのいびつな感情がどこから来ているものかわからないためか。
西浦くん×蘭蔵の関係もすんごく気になります。
ああ、しまった。やっぱり2巻もまとめて買ってくるんだった。
と後悔しきり。
早く2巻を読みたいです。
久しぶりにがっつり背徳感のある作品が読めた気がします。
彩景さんのシリアスは本当に好き。エロじゃなくて淫靡をうまく描いてくれる稀有な作家さんだなぁと思いました。
実力のある作家さんなので何を読んでもそれなりに面白いのですが、こういう題材はまず好みなうえに、こんなにがっぷり書いてくれる作家さん&出版社が少なくて(ニーズが少ないのでしょうか?)不満だったところに、キタコレです。昭和レトロダーク系とでもいいますか、匂い立つような空気が感じられます。
「秘め事」という言葉をこれほど如実に表現している作品も珍しいのではないでしょうか。こういう題材を書こうとして構築しきれていない作品が多い中、これは読んで間違いないと思います。
こういうレトロでドロドロなお話が好きな方には必見じゃないかな。
久々神評価できる作品です。
気になって調べたら『チョコストロベリーバニラ』の作者さんでした。納得です。それぐらい面白かった。引き込まれた。そしてめちゃくちゃエロかった…。2巻までのネタバレ含みます。
結局人って一人では生きていけないんだな〜と思いました。両親の愛を得られなかった育郎は典彦にそれを求め、異国の血が混ざっているために周囲から疎まれてきた健一は同じく嫌われ者の蘭蔵を拠り所にする。育郎も健一も、愛情を欠いた人達でした。育郎は幼い頃に母親が死に、父親は兄にばかり関心を向け、結局後継として認められることもなく。健一はその見た目から結局どこに行っても受け入れられるとこはない(混血キャラはいつでもここが萌える。自分のルーツがわからない、どこに行っても余所者扱い、っていう)。周囲と違うことで弾かれた健一は特にわかり易い。自己愛のような。愛されなかった自分と同じ存在を愛することで自分を愛する。蘭蔵に自分との同一性を求めてる。育郎も同じ。育郎の場合は典彦が度々口にする「同じですよ」に影響するところがあるが…方向性は違えど、どちらかと言うと典彦の方がその傾向があるかも。典彦は育郎を周囲と違う自分の所まで堕として同じになる、って感じ。蟷螂の共生の話もあるし…。典彦は共に生きて、共に死ぬ、っていうずるずると依存しあった関係になりたいのかなあ。この人も大概暗いですね。
蘭蔵は魔性です。本人の自覚がないままに。体は大人だけど、中身が子供で、どこまでも無垢な所が人を惹きつけるのかもしれない。父しかり健一しかり、育郎もまた。
演出が細部にあるので繰り返して読んでほしいです。育郎の握った左の人差し指だとか、他にもたくさんあるので。
伏線というか、まだ触れられていないものもあるので、そこも楽しみです。お父さんの義足とか、「あの男」とか。2巻最終話の男は誰なのか。
3巻まで一年待たなければならないのがつらい……
昭和の耽美、アングラ、浪漫等お好きなかたにはおすすめです。
ただ、知的障碍者が昭和初期頃にどのような扱いであったか、むかしの田舎の名家の跡継ぎがどんな立場であったか、などの知識の有無。
父から愛を受けられずに歪んでしまった主人公を悪ととるか哀れととるかで、
この作品の印象も随分変わって来ると思います。
育郎の”畏れ”は漠然とした記憶の靄の中に、檻の中に居た蘭造が己の父を誑かし愛までも奪った。
非力な兄のどこにそのような力があるかわからない。
知らず知らずのうちに自分も取り込まれ、餌食になるのではないかという不安。
だから振り払うように暴力をふるったり、詰ったりしてしまうのではないでしょうか。
誰もしあわせになれる要素がなく、とことん闇堕ちしてゆくばかりですが、
和装やら主従やら背徳やらが好きなかた、どっぷり嵌まって滾れるのではないでしょうか。
因みに私は昭●元●落●心●中が好きで、その登場人物の菊●古さんに主人公の育郎がソックリだったので
そこに萌えてジャケ買いしてしまいましたが個人的に大当たりでした。
古典文学やら団鬼六の美少年がお好きなかたにもおすすめします。
色っぽい表紙と昭和アングラ感が漂う怪しい雰囲気に釣られて軽い気持ちで読み始めましたが、予想以上に引き込まれるストーリーだったので一気に2巻まで読み終えてしまいました。読み終えた後も作品の毒に当てられたようなクラクラとした余韻が残っています。本当におもしろい作品に出会えたと感動しました!
あらすじは今更なので省きますが、これはただの主従・下克上モノではないです。育郎の抱えるトラウマや孤独に寄り添うようにして、その実それを利用する形で育郎の体を調教し自分のものになるよう仕向けてきた典彦。2巻になって2人は一線を越えますが1巻では幼い育郎が徐々に典彦の毒牙にかかっていく様子が描写されています。無垢な少年だった育郎が秘密の快楽を知って淫靡さを帯びていく過程にゾクゾクしました。
堕ちていく育郎とは対照的に蘭蔵はいつまでも純真なままです。ですが、その頽廃的な魔性によって健一も育郎の父と同様絡みとられて行ってしまう。典彦×育郎に並行して語られていますがこの2人の行く末も非常に気になるところです!
長々とまとまりの無い文章になってしまいましたが、如何せんまだ謎が多い段階なのでこの時点では「エロい!」「すごい!」としか言いようがないです。2巻も読了したので後日レビューを書きたいと思います。
この先の展開にも大いに期待しています!勿論「神」評価で。