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表題作蟷螂の檻 5

深山典彦,當間家に仕える使用人で秘書
當間育郎,當間家当主

その他の収録作品

  • エピローグ 檻の中

あらすじ

炎の中で共に逝こうとした典彦と育郎。しかし、育郎が義兄・蘭蔵に助け出され、二人の心中は失敗した。
育郎は、大学の同級生・飯田に保護され東京へ。典彦とは炎の中で別れ、それきり離れ離れとなった。
かつて育郎に好意を寄せていた飯田は、傷ついた友をやさしく気遣い、兄弟ごと東京の自宅へ住まわせた。二人は、穏やかで真っ当な生活を送る日々に。
だが、典彦と別れ別れになったその日から育郎の心は空っぽなまま。
心も体も食い荒らすような愛され方に傷ついたはずだったが、典彦の不在に、育郎の心はーーー?

作品情報

作品名
蟷螂の檻 5
著者
彩景でりこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
シリーズ
蟷螂の檻
発売日
電子発売日
ISBN
9784396785413
4.5

(124)

(95)

萌々

(12)

(12)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
24
得点
562
評価数
124
平均
4.5 / 5
神率
76.6%

レビュー投稿数24

読み手を選びそうな作品ではあるが

『蟷螂の檻』の5巻目にして完結編。

ドロッドロのドシリアスなシリーズで、これ、どういう完結を迎えるんだろう…、とヤキモキしながら追いかけてきましたが。いやはや、こうきたか…!甘々でほのぼのなお話を読みたいときには回れ右。最後の最後まで痛さも闇も途切れることなく描かれている。どこまでも人の心の闇を追いかけた、そんな1冊。

屋敷に火をつけた育郎。
会社を辞任し、さち子とも離縁し、典彦と共に火に飲み込まれそのまま…、というところにやってきたのは蘭蔵だった。

蘭蔵は、育郎の手を取り燃えさかる屋敷から逃げ出すが―。

というところで終わっていた4巻。5巻はその続きからスタートします。

国会議員の汚職事件を追うブンヤさんの飯田くん。
国会議員で、tnkに真珠の入った変態オジサンの本多を追いかけ、そしてそのつながりで育郎のもとに何かしらの手掛かりを求めてやってきた。その飯田に救われる形で兄弟そろって飯田くんのもとに身を寄せることになるけれど。

さち子と共に過ごすうちに少しずつ心が成長していった蘭蔵がとにかく可愛いの。
弟が可愛くって仕方がない。
弟を守りたい。
子どもの時から、蘭蔵は育郎のお兄ちゃんだったんだなあ、と。そんな彼の純朴さに心が洗われるのだけれど、それと相反するように彼の出生の秘密も描かれていてなんとも哀しい。

そして育郎。
今までどんなに過酷な目に遭おうとも人前で涙を見せることのなかった育郎が、憚ることなく泣き続ける。それは、典彦を喪ったからなのか。あれだけのことをされてなお典彦を求める育郎の姿は、賛否両論ありそうではあるが心揺さぶられる。

さち子。
飯田くん、そして西浦くん。
彼らは典彦と接点を持たなければこれほど哀しい目に遭うことはなかったのではないかと。典彦恐るべし。

で、今作品のキモと言えるんじゃなかろうか。
典彦の、坊ちゃんへの執着心は一体どこから来ているのか。

典彦はねぇ、なんて言うんですかね。哀れな人物でしたね。
彼は愛することも愛されることも、そして人との温かなやり取りも、何も知らない。だから人を信じることもないし、傷つけることにためらいがない。坊ちゃんもまた、典彦にとっては駒の一つでしかない。いや、なかった、といった方が正解か。

典彦が持ち続けていたナイフ。
あれは、彼にとっては坊ちゃんと自身を繋ぐ、最後で唯一の「もの」だったんじゃないかな。愛することを知らなかった男が、最後まで執着したもの。それは坊ちゃんだった。それを表現するツールとしてあのナイフが描かれていたのではないかと、そう思えて仕方ありませんでした。

『蟷螂の檻』。
タイトルがまた素晴らしい。
人はだれしも、自分を自分たらしめる何かを持っている。枷、という言い方でもいい。一般的な幸せが、自分にとっての幸せとイコールなのか。典彦にとっては育郎が、そして育郎にとっては典彦が、自分を繋ぎとめる存在だったのかなあ、と。

育郎は、まるでカマキリが餌を狙うように、喰い尽くすように、典彦に喰われた。けれど、それは育郎にとっては幸せだったんですね。幸せのカタチとは、人が図れるものではないんだなあとしみじみ思いました。

さち子さんは最後までカッコよかった。
BL作品で、これほどまでに心惹かれる強く逞しい女性って、そうそういない気がします。

典彦って、かなり外道な人物ではありますが、今作品の一番の悪は、蘭蔵と育郎の父ちゃんだよなあ…。彼があそこまでクソでクソな父親でなかったなら、彼ら兄弟の未来ももっと違ったものになったであろうと思うとなんか哀しい。

痛い描写も、無理やり描写も、流血シーンもてんこ盛りの今作品。
けれど、甘いだけではなく、人を愛するということの奥深さをきっちり描き切った衝撃作。読み手を選びそうではありますが、個人的に文句なしの神作品です。

これだけドシリアスな作品ですが、fromRedで電子限定で『蟷螂の檻の中の人』が始まるとのこと。これだけ温度差のある作品もなさそうですが、そちらも楽しみに待っていようと思います。

18

ありがとうございました…!!!!

最高でした!!!とにかく余韻がすごいです。。。
色々と衝撃のあまりまだ感想を自分の中で纏められず、箇条書きになってしまいますが書き起こしてみます。

・さち子…!
影の主役といっても過言ではない、いやむしろ光の主役(メインカプ二人を闇として)。
気高さに惚れる…!深山典彦を最後まで捨てられなかった坊ちゃんに対して、ちゃんと怒りを抱いているところにも人間力を感じる。素敵。

・ぼっちゃん
4巻までは光の主人公だと思っていたのに…もう手遅れだったのね。4巻ラストで死を受け入れた時からなのか、典彦を失ったと思った時なのか。。。
メリバ?!メリバなのか??!

・蘭蔵
両親…まさかのおおおお
だし、障害は先天性じゃなかったのか…。
お兄ちゃんしたかったんだね、このキャラは最初から最後まで天使だったな…。

・のりぴっぴ
こいつにだけは絶対近寄りたくない
最終的に思惑通りになってきっと幸せだったね
でも健一には謝れえええ
そしてこいつの父親もまさかのあの人!!!!
もしかしたら典彦と蘭蔵は実の兄弟かもしれなくて…さらに腹違いの弟・典彦を愛さずにはいられない遺伝子なのだなあ(愛情の方向はだいぶ違うけど)

・健一
結構好きでした。
蘭蔵とお幸せにね!
続編、首を長くしてお待ちしています!!!

・飯田
君も幸せになってくれ…!!!イケメンだいすき!!!



萌えたかどうかと言われるとうーん…というところですが、
とにかく世界観に圧倒され、すごいものを読んだ…という気持ちです。
キャラクターみんながそれぞれの幸せの形を迎えられたのかな…。すっきり納得のいくエンドでした。
スピンオフの中の人ネタはまた別で楽しめますし、
本当はみんな演技、と思えば闇BLも痛みがやわらぐ気がします。

8年間もの連載、お疲れ様でした。
素晴らしい作品を読ませていただきました。
彩景先生をはじめとする制作チームの皆様に感謝です!!

9

完結おめでとうございます

本当に心を鷲掴みにされました。
よこいぬに続き蟷螂も終わってしまいonBLUEすっかり光属性ですね…!笑

飯田くんはいい奴だから飯田っていうのを先生がどこかで仰っていて本当にその通りだったなぁと。
彼の発言があったからこそ育郎は典彦への想いを更に募らせた。
典彦と再会した時の育郎の笑顔印象的でした。

典彦は思ってもいない結果に驚き、改心しているようにも思えました。
てっきり誰か死ぬだろうと思っていたので、まさかの結末…!
でも典彦の過去編読んだらやっぱり憎めなくて拗れたの納得しかなかったです。

ふたりで一緒に生きていくと決めてそのあとがあまり描かれなかったのもなんだか良いなと思いました。同人誌とか番外編で読みたくなっちゃうやつ。

蘭蔵がお兄ちゃんしたかったんだなっていうのもうるうるしちゃいました。
それぞれが幸せになってほしい。

さち子の強さはあっぱれですね。
飯田が未練タラタラだったのでさち子の潔さが際立ちました。

万人受けするかと聞かれたらそうじゃないんだろうけど絶対一部の人たちには響きまくる作品。こういう作品はなかなか出会えない。。読めて嬉しかったです。

9

傑作

めちゃくちゃ期待していたましたが、期待をはるかに超えてきました。連載を追わず(すみません・・)ずっともやもやしていたのですごくスッキリしたというか大満足です。興奮が覚めやらない。見事な完結の仕方。愛の形を見事に表現した傑作。なんだかすごいもの読んだ、静かにスタンディングオベーションしたい気持ちです。BL作品を読みだして間もない頃に先生の作品を読んであまりのエロスに固まってから、BL作品におけるエロスの原点といえば彩景先生でした。本作最初は市川崑の映画のようだ・・と度肝を抜かれて読み出しましたが、最終巻はシャーロットランプリングの「愛の嵐」を見たときのような衝撃でした。こういう独特な二人だけの愛の世界って難しくて単細胞の私にはよくわからん・・となることが多いのですが難しいようでいて結局わかりやすかった。登場人物が多くてストーリーが骨太で話にのめりこめました。最終巻は愛がプラトーに達した後の残火のような感じがじわじわきた、最高でした。どのキャラクターに関しても納得できた。漫画として面白い、最高に美しい。私のような読者がレビューを書くのも憚られますがすごく面白かったです。先生ありがとうございます。

8

なんで気付かなかったんだ、私

私の好きな長期連載作品が去年から立て続けに
最終回を迎えています。
どの作品もとても良いラストでした。
蟷螂の檻、どんな最後なのか想像もつかないけど、
5巻の刊行を楽しみに発売日に手にしました。


復習も兼ねて4巻から読み返し5巻に突入。
さち子好きなんですよね、私。
でもBLだから育郎とさち子がうまくいく未来なんて来ないのはわかってるんですよ?
育郎の中の典彦の存在感はちょっとやそっとじゃどうにもならん位、幼少期から刷り込まれてるんだもん。

5巻読み終わって1巻から読み返してるんだけど、
1巻で既に典彦は育郎に対して何を求めてるのか書いてあったんですよ。うっかり読み流してた。でりこ先生物語の初めからラスト想定してたのかなー。
5巻読み終わってから読み返すとうわぁーーーー!って思うシーンが沢山です。
あの時のあれは、こうだったのね的な。

蘭蔵さんって元々障がいがある子だと思ってたら違うじゃない!育郎の母、美都枝に首絞められたからやないの。典彦、育郎の性癖って結局幼少期の生育環境がとても影響してる。
色んなことの悲劇の元凶は、育郎の父政蔵だわー。
この人のせいで、どれだけの人が人生狂わされてるか。
なんか、典彦と育郎良かったねとも思えないし、さち子も飯田も育郎に心を囚われたままでなんだか可哀想だし、唯一よかったねと思えたのは健一と蘭蔵かな。

描き下ろし部分、典彦と育郎が淫靡な雰囲気で寄り添っているところを少年達が覗き見してて、性のトラウマ連鎖していく様にゾクッとさせられました。

でりこ先生の描くちびっ子育郎と蘭蔵可愛かったです。あんな、純粋な可愛い子を壊したやつら、けしからんな。何という性癖だよ。


えっろえろな同人誌も、のりぴっぴのアホギャグ同人誌も紙の本で持ってますが、電子配信されているので皆さん読みやすく買いやすくなったので、未読の方は是非読んでみてほしい。

中の人の話も面白いのでまとめて単行本になるといいな。

8

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