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そばにいてほしい。だから、弾かなきゃ──
って、結構自分を縛るものだと思うんですよ。苛まれて育った子供がみんなこうなる。とは言えないですが、こんなふうに自尊心が全く育たなかったというのは深く理解できます。
だからこそ、役割を与えられて愛情を注がれてゆえに自分に価値があった。って間違った(とも一概には言えないんですが)認識が育つのも当然だと思う。
そして何より恐ろしいのが『名付け』だと思う。
呼ばれないにしろそれまでに名前は存在して、その名前こそが個人としての受の存在を形づけるものだった。
その形づけていた名前を、「紬季」って名前と共に役目を与えたんですよね。養父母と妹が。
それまでの彼の生きてきた時間を上書きしたと言ってもいいと思うんです。
そして、それによってそれまでの自分には全くの価値が無かったと誤認識したとしても仕方ない。
というか、それをされて今までの自分に価値をつけれる子供がどれほどいるんだろう。
妹が亡くなった瞬間に、紬季は必要されなくなった。紬季の存在は不必要になった。って思ってしまうのは当然だと思う。
その辺の苦しみがすごくよく描写されてました。
紬季が妹の死を認める事が出来たと頃まではすごく良かった。
妹の代替として攻に依存するのも当然だと思う。
生きていくには、この子が与えられた「紬季」って名前はあまりにも過酷すぎる。
そこまでがすごく重たくて苦しくて仕方ないのに、終盤からラストにかけてのご都合展開が白けた…
名前に関しても特に触れる事もなかったんですよね。養父が紬季に対してした事を謝罪するシーンはあったんですが。。
そこまでラノベに求めちゃダメなのかもしれないけど、わかりやすいハッピーエンドはこの話には合わない…というか、前半の重さに対しての後半の軽さがバランスが悪いというか。。
すごくすごく良かった分だけ、落胆が大きかったです
「今日から、僕がきみの恋人になります」
そう言って、生きる希望を失ったピアニスト・紬季の元へと現れた1人の男。
同レーベルから出版された愛傷コレクションにも通ずるものがありますが、葵居先生が書く、自分のことを大切にしない受けをひたすらにねっとりと愛でて、一見うんうんと自暴自棄な受けの言うことを聞いてあげているようで聞かず、甘やかにどろどろと愛で尽くす攻めが好きです。
痛くしてと言われれば、それとは真逆の丁寧すぎる前戯をするタイプ。
丁寧にじっくり、時間と手間を惜しまず、ただただ優しく傷を癒す甘い言葉で相手の心と身体を自分専用の形に作り変えてしまう攻めというのかな。
作中で攻めの真紘が苦手としていた、蜘蛛が獲物を絡めとるような…
気が付けば身も心も囚われてしまっている状態に陥っていた…なんて、そんな素晴らしい手腕をこれでもかと見せつける、紳士的に見えるのだけれど実は利己的な、やや常軌を逸した攻めが好きです。
彼女なしの世界では弾く意味などないのだ。
最愛の家族を失うと共に、生きる意味もピアノを弾く意味も、自分の存在価値すらも失ってしまった紬季。
こちらの作品は、半身とも言える義妹を失い、深い心の傷を負ったピアニストの救済物語なのだと思うのです。
紬季という1人の人間を救う物語と言った方が正しいのかもしれません。それを考えると、この展開は荒療治な部分もありながら、救済物語としてはきっと美しいものなのだろうなと思いつつ…
ただ、個人的な好みを言えば、中盤までの2人だけの世界の方に魅力を感じてしまったんですね。
紬季を世間に出して評価されてほしいと願うのは、亡くなった義妹を含む周囲の人々の勝手であって、紬季自身がそれを心から望んでいたようにはとても見えなかったものですから、やや蛇足なようにも感じてしまって。
表舞台へは姿を見せずに、2人だけの世界で生み出された音源だけが世間へと広まる…甘い檻の中で共依存関係に陥った2人も見てみたかったです。
衣服の皺まで丁寧に書かれている挿絵。硬い線の絵が、紬希の脆さを表している。
満和紬季:
実母に育児放棄され、7才で満和家に養子になる。
沙凪江が喜ぶのでピアノを演奏、沙凪江の希望で留学。
帰国後、沙凪江が紬季を庇って事故死。紬季は、後追い自殺を図る。
沙凪江を失い、ピアノを弾く意味を失って弾けない。
誰かに必要とされなければ生きていけないトラウマ持ち。
銀城真絋:
ピアノ調律師。川上に依頼されて、紬希の身の回りの世話をしに来る。
自殺未遂をした紬希に「捨てる命なら、自分がもらう。今日から恋人だ」と告げる。
紬希に沙凪江が死を認めさせ、現実に引き戻す。
幼い頃に紬希の演奏を聞いて感動をして以来のファン。
川上と組んで、もう一度紬希にピアノを弾かせようと・・。
満和沙凪江:
紬希が養子に入った家の娘。紬希の名付け主。紬希が弾くピアノの音を愛していた。
進行性の弱視。 紬希を庇い、目の前で死亡。
川上:
紬希の仕事仲間。生存確認の為に真絋を雇い、派遣する。
育児放棄されて、施設に居た紬希は養子。他人=沙凪江の喜びの為にピアノを演奏してきた。
沙凪江を失い、次は恋人の真絋の為に、ピアノを弾こうとする。
紬希が、自分の喜びを見つけるまでの物語。
とても大事な件を扱っているなーと思った。
同人誌に、続編が出ている。 https://bit.ly/3qO6ip7
紬希が恋愛に夢中。 人間らしくなっているんだな、と思った。
攻による執着と言う名のトリートメントが受の傷と喪失を癒すラブストーリーで、”愛傷コレクション”が好みの作品だった読者(私)には当然のようにハマりました!
葵居先生によって、”敬語でえげつなくせめる”という性癖の扉が開いてしまいました。丁寧にとんでもねーことをいたしてしまう攻、そんなとんでもねー要求に従順な受、このパターンに萌えがあることに今まで気づきませんでした。というか、たぶん他の作品でこの属性のCPにハマるのかな?と考えると、そうでもないような気がするので、やはりそこは、作品の世界観をうまく利用した先生の筆力のおかげな気がしてなりません。
主人公がピアニストということで、期待してた以上に行間から音楽が聞こえてくるような芳醇で美しい仕立てでした。また、調律師(兼プロデューサー)が攻でピアニストが受っていうのも、めちゃくちゃいい設定だな~と思ってしまいました。調律師のテクニックにピアニストがいい音色を奏でるっていう、、激しくエロくて納得のカップリング…!
ミドリノエバ先生のスタイリッシュなイラストが、作品のムードにとてもよく似合っていて素敵でした。本当に、こちらのレーベルさま、いい仕事してたな~と改めて惜しまれます。
紬季視点でもどかしく悲しく、そうじゃないんだよと何度も言いたくなるようなお話でした。
荒療治で真紘にされたことは、うーん結果オーライ?なのか?
なんだか読んでるときは真紘が尽くす様子に心が温まりましたが、紬季が復活したとたん勝手にあれこれ決めて動き出して、ええ?となりました。なぜ真紘がそんな権限を?契約してもないのに。
マネージャー兼調律師として態度が豹変して。
今度は紬季は真紘のせいでどんどん追いつめられていき。
いや、紬季の考え方が偏っているのもあるんですが、なぜきちんと説明してあげなかったの?いきなりレコーディングだコンサートだって事務的になって。紬季がおかしくなっていくのが辛くて辛くて。
結局全ては紬季のためだったようですが、何度も言いますがなぜ説明しなかった?そうすれば多少揉めても納得して、ここまで心を痛めなくて済んだのに。
最後のエッチもね…。こんなことしてたら紬季が死んじゃうよ。なにが調律しますだよ。君は繊細なピアノだよ。無茶してるくせに。
エッチに指図ばっかりで。
読んでるとだんだん真紘が嫌いになってきました。
