俺の手は魔法だとおまえは言ったけど、おまえの笑顔のほうがずっと魔法

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表題作星屑コンフィズリー

遊佐奏吾,パティスリー・une etoileの店主
仁科深央,25歳,弁護士事務所の事務員

その他の収録作品

  • 薔薇色クロカンブッシュ
  • あとがき

あらすじ

とある地方都市で弁護士事務所の事務員として働く深央の趣味は美味しいお菓子を発掘し、SNSで紹介すること。
<真夜中にだけ開店しているパティスリー>の噂を聞き訪れたのはune etoile(ユヌ・エトワール)という、焼き菓子とコンフィズリーを専門に扱う都内の洋菓子店。
「パート・ド・フリュイ、好きでしょう?」
初対面にもかかわらず深央の好みを言い当ててきた店主――奏吾の作るお菓子と彼自身に魅了され、深央は週末のユヌ・エトワール通いを始めるが…。

作品情報

作品名
星屑コンフィズリー
著者
淡路水 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576191720
3.2

(31)

(5)

萌々

(13)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
8
得点
93
評価数
31
平均
3.2 / 5
神率
16.1%

レビュー投稿数8

シンデレラの魔法のあとの洋菓子店

周囲が暗闇で包まれる真夜中ちょうどにひっそりと開店し、あたたかいあかりが灯る洋菓子店があるという。

果実がぎゅっと濃縮された、宝石のような色とりどりのパート・ド・フリュイ。ふわりと甘い香りが広がる焼き菓子たち。
作中に登場する洋菓子たちが本当に美味しそうで、まだ出会ったことがない名前を見つけては、いったいどんな味なのだろうと想像したくなります。

深央が奏吾が作る洋菓子にときめいて以来、毎週店へと足を運んでは瞳をきらきらと輝かせるような描写に、これは淡い恋の予感がするぞと胸が躍る。
そう。てっきり私は小さな洋菓子店のパティシエと、そこへ通う事務職員の甘くてかわいらしい恋のお話なのかと思っていたのです。
甘くて切ない…いや、甘くて切なすぎるお話でした。
これはレビューが書き辛い作品だなと思います。あれもこれもとは書けません。
ひとつ言えるとすれば、ほんのり甘い雰囲気から、流れるように違和感もなく自然と切なさが伴う空気に変化していくのが上手いんですよ。

深央の両親に闇深さと不気味さを感じてしまい、ちょっともやもやが残るかなあ…とは思いつつ、メイン2人の深い愛情には胸打たれました。特に奏吾。
手のひらで素朴に輝く星が印象的な作品でした。

0

お菓子の知識ヤバい

パート・ド・フリュイ?なんじゃそれ?と読み始めてから調べた。
で、コンフィズリーはまだ調べてない。知らんがな 笑
で、パート・ド・フリュイって美味しいらしいけど私の苦手なタイプのお菓子っぽいな。知らねーよ ですよね。

なんというか、母親があまりにも酷くて、それがもう気分悪くなります。
鬱陶しいから始まって、物語が進むにつれどんどん嫌な母親感が盛り上がってしまい、最後の和解が胡散臭いほど。

この母親への嫌悪感に苦しみながら読み終えました。

ただ2人の関係はとても愛し合ってていい恋人達だと思う。

あ、あとマルメロを調べなきゃです!笑

0

泣いた

こちらのレビューを目にして気になっていたので、電子で購入して読んでみました。おおよその内容を知った上でした。なので内容は割愛させていただいて、感想のみを書きたいと思います。

まず深央が初めて奏吾の店のユヌ・エトワールを訪れた時の期待感や、奏吾を認識した時のなんとも言えない感情描写にとても引き込まれました。

奏吾の不思議な言動や態度が後に繋がって行くのですが、これからどう展開して行くのかと夢中になって読みました。

母親の深央に対する過干渉の閉塞感、奏吾を好きになって浮いたり沈んだりする感情に共感を覚えました。

そして麻央を亡くした奏吾の5年間を想って涙しました。夜中に営業する店を開店しようとした意味、深央が現れた時の気持ち、店の全てが麻央の為に作られていると知った時は号泣でした。

深央が勤めていた事務所の先輩の酒井の思いやりや、告白を受け入れてくれた気持ちの良い同僚達、麻央の両親を諦めずに説得し続けてくれた奏吾の努力に読後感はとても良かったです。

一卵性双生児の片割れが亡くなってしまう悲しいお話しでもありますが、奏吾の気持ちに同感してしまいました。

パート・ド・フリュイをお取寄せしたくなりました。

2

素直に読むと純愛。でも裏読みするとホラーじゃないかと……

今までレビューを書かれていた方が仰るように、このお話は『真夜中だけ開店する洋菓子店』の店主・奏吾と、そこの美味しい菓子と奏吾その人に惹かれて、週末2時間かけて店に通う深央の純愛物語です。
この2人には、お話の初めには明らかにされていない因縁というか、繋がりがあります。この部分がミステリ仕立てと言いますか、べらべらと人に喋っちゃいけない部分だと思うのですよ。実際、私は最初の見立てが外れまして、それも面白かったものですから。
読者がこの『因縁』の中身を知ることで、2人の純愛が際立つ作りになっているんですね。
物語の後半で、ここに来るまでの奏吾の一途な想いや、深央が過ごしてきた哀しみについて明らかになる度に、2人の愛情が胸に染み渡るのですよ。

……えーとですね。
純愛を胸に染み渡らせつつも、どうしても気になって、目が行っちゃう部分が。
というのも、私はある登場人物の心情が怖くて怖くて怖くて。

前述の『因縁』なんですが、これ『深央自身が気づいていない自分の秘密』に関わることなんですね。
深央にとって、その真相を知ることは「人生を左右するほど」と言って差し支えない位大切なことなんですよ。
お話の中で明らかに書いてある訳ではないのですけれど、この『秘密』を深央の母(ひょっとしたら父も)が既に気づいているのに深央に知らせて来なかった、そして深央がこのままその事実に気づかなければそのまま闇に葬ろうとした、ということが匂わされているのです。

何故、母はその様なことをしたのか?
それは『自分の理想の家族をつくる為』なんですよ~。
自分のその願望の為なら、子どもの人生も犠牲にしちゃうつもりだったみたいなんです。『親の愛』という理屈で。
んで、父はそれに対して何も言わないのよね……

これ、怖くね?
あたしは滅茶滅茶怖かったんですよー。
でねー、この怖いのがあったが故に、2人の純愛が余計際立つという効果が!
ああ、究極のネタバレをしない様にこれを書くのは難しい。
読み終わった姐さまと「あれメッチャ怖くなかった?」とか、話したくて仕方がありません。

3

甘いけど甘くないお話

何故、真夜中にお店を開けるのか。今流行りの夜に働く人達の為のお店かな?と、思ったのです。
表紙の通り、スイーツとそのお店のお話です、が。
甘々だと思ったら、いろいろなことが次から次へとわかって、とても切ないお話でした。
出来たら情報と先入観なしに読んで頂きたい。
先行きが読めません。こういう話が読みたかった!
最初は静かですが、心の中が少しずつ風が出てきて、どんどん嵐になる感じでした。
最後には「どうか幸せに」と、祈らずにはいられません。

3

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