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表題作罪の褥も濡れる夜

政治家を志し前途有望な伏見男爵家三男・義康
純粋にして淫らな美貌の清澗寺伯爵家御曹司・冬貴

その他の収録作品

  • 罪の褥を濡らす愛

あらすじ

男爵家の三男・伏見義康は、政界の重鎮の後継者として将来を嘱望されていた。
友人との賭けから清澗寺伯爵家に忍び込んだ伏見は、かつて言葉を交わした妖艶な美少女が、実は御曹司の冬貴であることを知る。
清澗寺家の財力と名声を利用するため冬貴を手懐けようと画策する伏見は、無垢な冬貴を抱くが…。
純粋であるが故に、淫らに染まる躰に魅せら囚われていく―。
狂おしいほどの情欲と純愛の、至高のラブロマンス登場。

作品情報

作品名
罪の褥も濡れる夜
著者
和泉桂 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
この罪深き夜に
発売日
ISBN
9784344806979
4.2

(51)

(32)

萌々

(10)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
211
評価数
51
平均
4.2 / 5
神率
62.7%

レビュー投稿数8

濃厚満腹ねっとり。

胸やけしそうにねっとりした読後感。。。
伏見の気持ちをなぞるのに、すごい疲労感が伴いました(汗)

清澗寺家シリーズの立役者!!w
妖精お父様冬貴と伏見のお話。
ずっと後ろで気になる存在の冬貴でしたが…。
なぜ、いつもフェロモン垂れ流しなのか、深層がわかりましたw
そして他巻でも、魔性の化け物のように表現されている冬貴ですが、(いや魔性は魔性なんですがw)理解はしづらくも、伏見に対して彼なりの愛の形があるんだということが分かりました。
どこまでも惹かれていく伏見の想いばかりがストーリーの軸として表面化されているので、冬貴視点の心情が描かれることはほとんどなく。
冬貴という人間を、探り足掻き続けている伏見のごとく、読者もどこかに冬貴の人間らしさを探して読み進める感覚になっていく。
少しの希望を持ちながら、それでも何度も失意と諦めに打ちひしがれ続けていく伏見。
離れようにも離れられず。
心を通わせようにも、ままならない。
冬貴だけが特異な存在だと意識しすぎて、実は伏見自身も愛し方を知らない不器用な人間だったことに気がつく時、やっと二人の道が見えた気がしました。

シンプルで複雑な、パラドックスをはらむ愛の形。
安定と不安定が織り交ざる、危ういバランス。

どこまでも睦みあうことこそが、彼らの愛の絡みなんだと思います。
ある意味崇高で、言葉や絆に頼る愛情よりも、息づいている生きる愛。

ずっしりと重い二人の呪縛の物語。
エチも満載。。。♪
とにもかくにも終始冬貴の妖艶さをキープできる和泉先生に一本!
この清澗寺家という、ドロドロしがらみドラマの世界観を創りあげる和泉先生に、もう一本!
執着マシーン伏見と妖艶淫乱マシーン冬貴の、怒涛の呪縛劇に神評価をば!

次巻も出ているので彼らの歩みを見たいと思います。
でもしばらくは、間を置きますwむ、胸やけがwげふっw
お付き合い頂き、ありがとうございました!!

8

パパの秘密

この本、実はいつもの癖で、電車の中で読み始めちゃいまして、

のっけからスゲェ
電車の中で読めるレベルじゃねぇ
あまりの濃さに思わず本閉じちゃったし
ある程度は予想してたけど、、けど、、けど、、、

でした。
でも、また本を開いて、電車の中で続きを読み耽ったのはいうまでもない。
読み始めたら、止まらないおもしろさだった。


お話の主人公は妖精パパだから、濃厚そうなのはわかっていたはずなのに、せっかく買って、早く読みたい気持ちに負けて、つい、持って出て、電車の中で読み始めたわけだけど…


妖精パパは、ァア~~んななのに、なんで4人も子供がいるのかという謎が解けてよかった。
そして、妖精パパは、ァア~~んななのに、お話は超純愛ストーリー

この2段組270Pからの大河ロマン、読み応えたっぷり。

これのCDは、3枚組
がっつり神!谷さんの冬貴を堪能できて、極上

7

耽美なるデカダンス

前作までに登場した清澗寺3兄弟の父親にして、稀代の淫夫・冬貴(ふゆき)編。
明治二十年冬の、(満)8歳の冬貴と12歳の伏見義康との運命的な出会いの日から17年間の2人の愛の軌跡を綴った「罪の褥も濡れる夜」、同じく伏見義康×冬貴編で、大正元年暮れのエピソード「罪の褥を濡らす愛」の2編が収録されています。

冬貴は、愛と肉欲の化身・・・とでも言いましょうか。
彼の肉欲は、恋人である義康だけでは到底満足できないほど、底なし。
ただ、肉欲に奔放でも冬貴の心が肉欲に従属することはなく、どれほど多くの人間と淫らな交わりを繰り返しても、彼の心は穢れを知らず、無垢なままです。
当初義康は、幼い冬貴をセックスで支配しようと試みますが、そんな方法は性の魔物・冬貴には通用しないことを思い知り、逆に深く冬貴への妄執にとらわれて、人生を狂わされていきます。
義康だけが生きるよすが、それでいて決して義康に支配されることのない冬貴と、国政を担うという大きな野望を持つ傍ら、支配の論理で冬貴を愛そうとする義康。
愛し方も生き方もまるで違う2人の、どこまでも埋まらない溝を抱えつつ、どこまでも惹かれ合っていく、矛盾に満ちた愛の物語です。

これまでの清澗寺シリーズの中では、最も観念的な愛を描いた作品と言えるんじゃないでしょうか。(や、勿論即物的エロスもたっぷりなんですけどねw)
義康の視点で描写されていく彼の心理は、いわゆる「男の論理」。彼は冬貴に、自分の貞淑な女であることを求めます。
でも、冬貴は貞淑な女どころか、魔物。
魔に見入られた義康を待ち受けているのは、全てを捨てて冬貴に溺れる宿命です。
冬貴を手に入れたことは、彼にとって果たして幸せなのか・・・その答えは分からないながら、2人の破滅愛の、甘い毒気に酔わされます。

次男和貴が肉欲を嫌悪しながらも結局は深沢に支配される快楽に溺れていったのに対して、肉欲に奔放でありながら心は性愛に支配されない冬貴。
2人の物語は一対をなしている気がしますね。
ただ、どちらも破滅を志向している点は同じ。
個人的には、和貴編と並んで、冬貴編が好きです。

しかし、和泉さんは本当に攻め視点の描写が上手い!
義康の目線で語られる彼の心情には、息遣いさえ感じるような生々しさがあります。 
この作品は、攻め視点マイベストに殿堂入り。
もっとも私は女なので、男の論理で冬貴を従属させようとする義康が、逆に冬貴に溺れて堕ちていくさまは、共感するというより、ちょっと痛快な感覚(笑)
というか、義康にとっては「女」である冬貴のほうが、実は義康よりも「男」なのかもしれません。
攻めが受けに翻弄される話って大好物なんですが、この作品はまさにそれですね。
といって、義康が一方的に冬貴にひれ伏すわけではなく、冬貴も義康に振り回されてる。
2人の対等感がたまらない。
これは、和貴編にはなかった魅力です。

時代物としても読み応え満点。義康が歴史を動かしすぎなのは時代物の常としてwなんちゃって時代物とは一線を画す作品です。
しかも、単に装飾程度に時代背景を絡ませるのではなく、身分制度を否定していく時代のうねりの中に清澗寺家を位置付けることで、滅びの美学をこの耽美な一族を通じて描き出そうとしているかのような・・・?

これで第一部のカプは出揃いましたが、この先一家にどんな運命が?
最終話「終わりなき夜の果て」の前に、国貴編で登場した憲兵・浅野のその後が番外編的に入ります。

6

思いがけず、純愛でした

先日ちるちるさんのBL Newsの「淫乱受けBLCD 5選」でこちらの作品のCDが紹介されているのを拝見して、面白そうだな、と。個人的にBLCDってあまり聞かないので、原作のこちらを手に取ってみました。

「清澗寺家シリーズ」の4作目のようですが、前作は未読です。ですが、この作品単品でも普通に読めました。

親の使いで清澗寺家を訪れた伏見。そこで出会った見目麗しい少女。
ずっと彼女のことを忘れられなかった伏見ですが、6年後、彼女が少女ではなく清澗寺家の御曹司・冬貴であることを知る。
出世欲の強い伏見は冬貴を取り込み、清澗寺家の財力を利用することを思いつくのですが…。

冬貴はまさに魔性。
男女問わず、誰とでも寝てしまう。

初めは冬貴を利用することしか考えていなかった伏見ですが、次第に彼に傾倒しのめり込んでいきます。冬貴のために尽くし、愛情を注ぐ伏見ですが、彼の愛情が冬貴に届くことはない。少し目を離したすきに誰とでも関係を持つ冬貴に、伏見が可哀想で途中で読むのを放棄しそうになったほど。

けれど、終盤で冬貴の気持ちが徐々にわかってきます。
彼にとって、セックスは自分の欲求を満たすための行為でしかなく、ある意味呼吸するようなものなんですね。
彼の『心』だけは伏見にあって。

内容はかなりエロエロしく冬貴のビッチさには辟易しましたが、その根底にあるのはお互いを狂おしいほど求めてやまない、純愛のお話でした。

冬貴と伏見。
お互い、どうしてそこまで固執するのかよくわからない。
「これ」というきっかけがあったわけでもない。
けれど、それがむしろ、魂が惹きつけられる運命の相手、っていうことなのかな、と思うのです。

あと、周りを固めるキャラもとてもいい味を出してます。
冬貴の父親と、伏見の師である嵯峨野との関係。
冬貴の妻であり、彼の子を産む綾子。
伏見の兄の広康と、作家の柴崎。
複雑に絡む人間関係でありながら、すっきりとまとまったストーリーで、とても良かった。

この作品のCDって、どんだけエロエロなんでしょうねえ。
冬貴を神谷さんが演じてるとのことで、すんごく興味が惹かれました。
聴いてみたいな、と思います。

3

パパキターーーーーー!

ついに、待望の『パパ編』です。電子には挿絵なし。あとがきあり。
長男次男が大変恐れている『清澗寺家の血』。
淫乱であることは確かに、表向きにはいけないこととされておりますが、太古の昔から『性の魅力』自体は一つの力として、大っぴらに語られてきたことでもあるわけです。
だったら何故、彼らがこれだけ父を忌み嫌うだけではなく恐れているのか、それがよく解らなかったので、今まで私はいまいちこのシリーズに乗り切れなかったんでしょうね。

この巻を読んで「あ、なるほど。性の力を駆使する魔王ではなく、人知を超えた仙人だから怖いのか」ということが良く解りました。パパは人の理とは別な次元の生き物だったのね。それは怖いわー。天変地異と同じタイプの怖さだわー。

そんな仙人(この言い方がピッタリ来ない方は『鶴』でも『羽衣仙女』でも良いのですが)に、人間が恋をしたらどうなるか、というのがこの巻で描かれているお話です。
これは面白い!
全くもって噛み合っていないのですよ、二人が。
そして、今後も噛み合わないであろうと思わせるのですよ。

ただ、一瞬だけ、それも伏見(人間の方ですね)が一方的に「交わったのではないか」と思う(体は交わりっぱなしなんですけれども)。
冬貴は言葉が不自由(比喩です)なので、それっぽいことは言っていますが、本当のところはどう思っているか判らない、と私は思うんですね。伏見の誤解ということもあり得る、って。……っていうか、そう思った方が面白い。
表題作の最後に現れる、この『一瞬』のインパクトがすんばらしい!

「解らないぞ」「共感できないぞ」と思いつつ読み進めてきたのが『報われた感』で、感動もひとしおです。
多分、この巻だけつまみ食いをしたのであれば、ここまで「面白い」と思わなかったんじゃないかなぁ。『清澗寺家サーガ』ですからね。神話というのは得てして長いもの。でもその長さには意味があります。
ゴールに向かってさらに歩き続ける元気を与えてくれる、スマッシュヒットの巻でした。

3

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