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表題作暁天の彼方に降る光 上

伏見義康、成田遼一郎、深沢直巳、クラウディオ
清澗寺冬貴、清澗寺国貴、清澗寺和貴、清澗寺道貴

あらすじ

遼一郎とフランスへとたどり着いた国貴だったが、あるきっかけから記憶喪失となってしまい…。大人気・清澗寺家シリーズが遂に完結!

作品情報

作品名
暁天の彼方に降る光 上
著者
和泉桂 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
この罪深き夜に
発売日
ISBN
9784344836198
4.1

(32)

(21)

萌々

(5)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
7
得点
126
評価数
32
平均
4.1 / 5
神率
65.6%

レビュー投稿数7

THE清澗寺家シリーズ

THE 清澗寺家シリーズ

前作から数年経ち、もう新作は出ないと思っていた清澗寺家シリーズですが、新作が出ると聞き喜んで購入しました。
BL大河と謳って遜色ない濃厚でどっしりとしたシリーズはこれまでのお話同様読み始めると止まらない内容となっています。

上巻と銘打ってあるままに、今回はお話が完全に下巻に続いています。
冬貴編の序章、国貴編、和貴編、ショートストーリーの道貴編で構成。

国貴編
アメリカからフランスへと移民した国貴と遼一郎がつましくも幸せに暮らすのかと思いきや、過去陸軍の同僚に見つかってしまい国貴が遼一郎と家族を人質に取られスパイの役割を余儀なくされるという内容ですが、スパイさせられるだけでなく、同僚に体の関係も強いられます。
遼一郎を守るために、卑劣な同僚に体を開かれる国貴が可哀想で……くそ萌えました!
えっちの描写はそれほどありませんが思わず漏れてしまう喘ぎとか、嫌なのに慣れてるからだが受け入れてしまう感じがたまりません。
常時不穏な空気が付きまとって薄氷のうえに成り立つ幸せを享受するカップルですが、今回は最大の試練が……
ロマの少女サラという新キャラも出てきて、とんでもないところで終わっており、後編がどうなるか見当もつきませんが、幸せになってくれると信じたいです。願わくば日本に帰って清澗寺の屋敷で暮らしてほしいけど無理かなぁ……

和貴編
相変わらずぐるぐると深沢との関わりに悩む和貴と、悩んでいる和貴をわかっていてそんな和貴の為に和貴の事を一番に考え、悩みつつ面倒を見る深沢のお話。
これまでの様式美に則ったいつも通りのお話の流れですが、深沢×和貴が大好きなので楽しく読みました。
ますます父親に似て性欲が押さえられなくなってきた淫乱な自分は、深沢に迷惑をかけてしまうと悩む和貴。
日常が性欲に勝てなくなってきている和貴に気づいており、苦しむ和貴を楽にするため篭の鳥にして今度こそ飼い殺しにしようと決意し始める深沢。
衝突しすれ違うする二人の間に和貴のストーカーの画家の男の魔の手が……
といった内容ですが、相変わらず二人のえっちは濃厚で読みごたえがあります。
もうね、深沢の執着がすごくてめっちゃ和貴の事を甘やかしたいのに、和貴の為にそれをせず苛め抜く姿勢がたまりません。
執着攻めが好きなんですが、間違いなくこれまで読んだBL小説ナンバーワンの執着攻めですよ深沢は。
これもとんでもないところで下巻に続いています正座して待ちます。
ラブラブになってほしい……。

道貴編は口直しのあまあまラブラブなお話。
本編で重々しさに息切れした気持ちを軽くしてくれます。

二段組322ページを読むのは大変ですが、時間を忘れて別世界へ浸らせてくれる特別な作品です。
円陣先生のイラストも美麗で素晴らしかったです。
みんな清澗寺ワールドにおいでよ!

今回図らず?も、国貴和貴二人ともモブ(?)に襲われてますが、和泉先生のマイブームなのかな?とちょっと思ったりしました。


下のレビューにある伏見の子供たちへの感情ですが、子供たちを愛せるわけがないと思っているのは、時間軸的に子供達が生まれる前の伏見の回想なので、生まれてからは伏見は子供達を彼なりに愛しく思っていると思っています。


22

下巻が待ちきれない

まさに昼ドラ、といったドロドロの『清澗寺家シリーズ』ですが、王道のすばらしさが満ち溢れたシリーズだなあといつも思いつつ拝見しています。その『清澗寺家シリーズ』の完結編ということで楽しみに待っていました。

遼一郎×国貴の国貴編。
個人的に『清澗寺家シリーズ』で一番好きなのは遼一郎×国貴のCPなのでこの二人に会えてテンションMAXになりました。

二人希望を胸にフランス・パリへと行きつくけれど、そこで二人を待ち構えていたのは人種差別、貧困、そして陸軍時代のかつての同僚からの恐喝と過酷な生活。

遼一郎の国貴への深い愛、そして国貴の遼一郎と『清澗寺家』を守るための自己犠牲。
まさに昼ドラ。それがいい!

国貴の美しいビジュアルに、彼の持つ凛としたプライド。
それらをへし折り奪いたいという男たちの欲望が何ともドロドロしていていいですねえ。
どんな困難も二人で乗り越えていってほしいと願った矢先に列車事故に巻き込まれ…。
おお、ここで次巻へ続くとか、なんという焦らしプレイなのですか、和泉先生…!

深沢×和貴の和貴編
このCPも相変わらず並々ならぬ執着心を見せる深沢と、快楽に流されるゆるんゆるんの和貴がいました。

でも和貴も少しずつ成長しているような気も。
深沢の深い愛に、本当の意味で和貴が応えられる日は近い…、と思ったら、このCPにもまたアクシデント発生。

和貴の男を惑わす色香は健在で、ストーカー気質の画家に拉致られちゃうんですねえ。
個人的に受けが酷い目にあうのってあまり好きではないのですが、和貴はすんごい酷い目にあってほしいな、と思う私は外道でしょうか…(爆)。

クラウディオ×道貴の道貴編。
甘かった…☆
ほぼ国貴編と和貴編で占められている1冊ですが、終盤に甘々な道貴編が収録されています。
近所の子どもたちがクラウディオを見て『どこかの王様だ』と二人が住む家を日々覗きに来ます。
そんな子どもたちを家に招待してもてなす二人。『自分が王様だということは内緒にしていてね。スパイに見つかったら困るから』とうまくあしらうクラウディオに惚れ直す道貴で…。

シリアスムードが漂う本編の中で唯一甘く、ほのぼのなお話でした。

初っ端に、冬貴編ともいえる伏見×冬貴のお話が少し収録されています。
『清澗寺家シリーズ』の、源といえる冬貴。
彼がいてこそのこのシリーズであり、その彼を愛する伏見の恐ろしいまでの執着心がこのシリーズの根底なのでしょう。
結婚する冬貴に対して複雑な感情を持つ様と、冬貴への凄まじい執着心を、ほんの数ページしかない序章で見事に描き切っています。

その二人を、あえてこの序章で登場させ、そして次巻(本当の完結編)へと持ち込む和泉先生のテクニックにほれぼれ。

それと円陣さんの挿絵が美しすぎました。表紙も良い!

遼一郎×国貴、深沢×和貴、そして伏見×冬貴。
怒涛の完結編。次巻を楽しみに待っています。

9

全ては『下巻へ続く』

あと2冊かぁ……
最初はあまりにも仰々しく感じてしまった『清澗寺家サーガ』。
第二部が始まってから、ズンズン来る面白さに填まってしまって大変です。
もっと先の巻に書かなければ意味がないかもしれませんが、最初の方に共感出来なかったり「?」と思う所があっても、それにかまわず読み進めるべきです。
後から段々解ってくるんですよ。

サーガの最後を飾るのは、やはり国貴と和貴の物語です。
国貴編『暁天の彼方に降る光』の方は、2人の関係性故に起きる齟齬はあまりありません。第二次世界大戦前夜に異国の地で生きる大変さに2人が翻弄されるお話です。
ドラマチックです。
「え~っ!?」というところで終わるのも、なかなかイケズな構成。

私が「ひょっとして、こういう事なの?」と解りかけたのは和貴編『晦冥の彼方で待つ光』の方です。
和貴と深沢の関係って苦手なんですよ。
どちらも狭量なんですもの。実生活では決して側にいたくないタイプ。
まず和貴なんですけれど『冬貴の淫蕩な血』に何故そんなに捕らわれ続けるのかが解らない。
だって、嫌悪しているくせに、冬喜の人生をなぞろうとするのですもの。
この巻を読んで解ったんです。和貴は冬貴の『男を誑し込む力』をひとつの才能として認めていることを。
「嫌だ嫌だ」と言うのは冬喜の力を憎んでいるのではなく、彼のように出来ないという屈辱感から来る言葉だったのではないかと思ったんですね。
ひょっとして、これ『才能への嫉妬の話』だったのではないかと。
それなら解る!

もうひとつは『深沢の愛』がよく解らなかったのですよ。
よく「嫉妬深い」と表現されますが、これ嫉妬なの?と思うことが何度もありまして。
生きて行くために外に開いていこうとする和貴の行為を、深沢は何度も叩きつぶそうとします。
和貴の繊細さでは耐えられないから、というのがその理由なんですね。
和貴が傷つかないように「壊す」とまで言うんですけれど、これ、私は何度も「ママなの?」と思っちゃったのですよ。「怪我をするから外にでちゃダメ!」と同じなんじゃないの?って。
これって和貴を愛しているんじゃなくて、自己愛なんだと思ってしまう。
このお話の中で、深沢がそのことに気づくシーンがありまして!
これがね、私としては『神シーン』だったのです。

メインを張るふたつのお話が『下巻へ続く』。
私の感想も『下巻へ続く』です(申し訳ない)。

2

読み進めることしか考えられない…


とうとうここまで辿り着きました。完結編の上巻。

まずは長男の国貴編。

新天地、パリに浮かれる姿が無邪気可愛くてギャップ萌えでした。
しかし仮初の暮らしが続きます。

苦しい生活の中でも、互いが共にいることへの幸せ、信頼を端々から感じられる…。
相手のため、ではなく互いが同じ気持ちであることを大切にしている二人が愛おしいです。

ずっと見守っていたくなるようなあたたかみがあるんですよね、とても心地よい。

それなのにあんなことが…ここで下巻へと繋げるとはなんて残酷なんだ!
睡眠時間削ってでも読むしかないやつです…。


次男の和貴編。
もう全部が好きすぎて頭悪い感想しか呟けないです。

深沢の命で家族のものを穢し謝罪させられる和貴しゃま…好き。
兄さんもゾクゾクきたけど、子ども相手の父親としての謝罪の破壊力…イケナイ心がくすぐられちゃう。

雌だと詰られるのはやっぱり悲しいのか…。
今更そんな心情改めて書かれると…ズキズキ萌えしちゃう…。

独り遊び見られちゃうのももう何度目なの…一緒になって恥ずかしくなるんですよね。
ほんといくつになっても愛い子だ。

ただ変化してることもあって…精液って自主的に言えるようになってるし自慰もそれなりにできるようなって…成長(?)して…

でも深沢に手を繋いでもらっただけで心あたためて…ってなんかもうとにかくぶわっときました(末期)

とんでもねぇどえれぇ画家も登場しましたがこの狂ったような一途さ盲目さ…嫌いになれねぇ。
そしてまさかの排泄管理ネタ…なんてったって挿絵もあるぞ!!!
好きしかないです…好きです。

このシリーズはCDからでしたが、次男のこの監禁ネタが見たくて原作に入ったんです。
順番通り読まないと気がすまない派だったので、数ヶ月かかりました(笑)
めいいっぱい楽しみたい…下巻フルスピードで読む…!!!


三男、道貴編。
もう上二人の幸せを全て吸い取っているのではないかと疑いたくなるほどの平和担当。
甘さ全開です。ずーっと変わらずこのままでいてほしい、いてくれると思います。


このシリーズは結ばれてめでたしめでたし、とそれで終わりではなく…
こんなにも強い愛で結びついていても、ふとしたことで不安になったり心痛めたり…そんな人間らしい薄暗くも確かな愛を見せてくれますね。

2

すべては下巻に続く……

上下巻での刊行が予定されている、シリーズ完結編。
近頃は文庫化もされている、
円陣さんの挿絵も麗しい壮大な一族絵巻だが、
その最後にふさわしい二段組みで分厚い上巻です。


最初は、冬貴の結婚式の前夜、成人の儀を描いた短編『雪月夜』。※
(ちなみに、冬貴の誕生日は本書の発売日2/29です。)
その後、国貴編と和貴編両方がそれぞれ下巻に続くとなり、
最後に明るく糖分補充担当の道貴の短編『薔薇色の生活』。

時代的には国貴編(in France)と道貴達(in Swiss)は
ほぼ同時期、『終わりなき夜の果て』の続きに当たる1933年。
和貴編の方は、『暁に堕ちる星』の続きにあたる1948年。

国貴はフランスで苦労しながらも遼と二人で慎ましく暮らしているが、
彼の過去を知っている人物と出会ってしまったことから
またしても苦難が訪れ、更には、列車事故に巻き込まれ……!

新キャラはドイツ人とロマのハーフの少女・サラ。
強く賢そうな彼女がどのような役割を果たすのか?
世界情勢がどんどん緊迫化する中、愛の為だけに
ワールドワイドの逃避行を続ける国貴の
平和と幸せは訪れるのか?!

和貴の方は、互いに思いが強過ぎる故食い違って揉め
素直になれずに事態を面倒くさくする、お馴染みのパターン。
そして相変わらずな和貴はまたしても誘拐されてしまい……
というところで次巻に続く。
孫(実際には甥だが)が出来てもなお、相変わらずだなー、
こっちはまぁ、いつもの如くどうにかなるでしょ的な感想だが
さて、どうなるのか?


このシリーズ、最初に出会った時に(5巻までの時点)嵌まりに嵌まり
なんと年表まで作ってしまったのだが
(屋敷の間取り図にもトライしたが、こちらは情報不足で断念)
これにてついに完結、それこそ年表も間取り図もありそうな
ファンブックまで出るというのは、なんとも感無量。
とにかく、感動のエンディングを期待しながら(特に国貴編)、
楽しみに下巻を待ちます。



※冬貴編に関して補足します。

時は遡り、冬貴14歳の誕生日の前夜の成人の儀。
冬貴の巫女としての最後の見事な神楽に続いて、伏見がその髪を切る……
今すぐにでも抱きしめたいのに、明日は冬貴の婚礼、
彼が子をなし、清澗寺家を終わらせようとした貴久の野望を挫くのが
自らの望み。

しかし、自分は冬貴の血を引く子供を愛せるだろうか?
否、愛せるはずがない。
冬貴と彼が寝た女の生み出す結晶に嫉妬し、羨望し、
憎悪すら抱くかもしれない。
自分には彼を孕ませることも、彼の子を孕むこともできないから。

あまりにも冬貴を欲するがあまりに、齢十八にして
自ら望んで嫉妬と憎悪の煉獄に落ちようとする伏見。

怖い程に混じりけのない冬貴に比べ、
なんとも俗物な伏見の抱える苦悩と葛藤は
このシリーズの中で私が愛する部分の一つなのだが、
白い雪の日の情景の中のまだ年若き伏見のこの痛みは、
とても美しい一節だと個人的には感じました。



20

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