SS付き電子限定版
次の展開はこうなると思ったら全然違ってるシーン
が大きく2回ありました。全編通してこの人が裏切り者じゃないか?とあたりをつけたら逆に口が悪いだけで忠義に厚い信頼出来る性格だったり、王の抱える秘密はそっちかぁと驚きました。
細かい設定も含め自分の想像のはるか上の上をいく壮大なファンタジーで面白かったです。
強大な魔力があり食料が豊富で平和な国。花々が咲き、緑の自然が美しいエウェストルム国が目に浮かぶように描写されていて読んでいて明るい気持ちになります。なりますが、姉の代わりに武力国であるイル・ジャーナに嫁入りしなくてはならない王子リディル。それだけじゃなく王族としての強い魔力の供給を期待されているのにリディルは、弱い魔力しか持っていません。
嘘を2つも抱えて婚礼後にグシオン王に自分の命をもって謝罪し、エウェストルムの国民を守るという責務を果たそうとします。
リディルがかわいそう。運命は非情だ。と思ってたらグシオン王にも秘密があり、とお話は続きます。このグシオンがルックスと性格ともに立派な王で、リディル視点で話が進むためミステリアスな魅力がずっと続いて魅力的でした。
リディルを初めから溺愛しているグシオンの登場シーンに胸が熱くなり早く2人で幸せになってと思いますが、なかなか簡単にそうはさせてくれません。
後半は王の秘密や隣国との戦い、リディルの幼少時の怪我などいろんな要素と「魔力」が上手いこと絡まってますます面白くてワクワクします。
2巻も続けてすぐ読みたくなるお話でした。
そのタイトルにもあるとおり、花が印象的な作品です。甘く芳しい花々の香りと色合いとが、その文章の一行一行から鮮やかに溢れ出てくるような感覚を覚えました。
物語を追うごとに謎が解き明かされていく仕掛けも素晴らしく、読み終えた今ただただ余韻に浸っています。
前半のリディルの葛藤の描かれ方にはとても引き込まれました。
王に話しかけられても返事のできない、会話することのできないもどかしさ。相手を知れば知るほど、こんなにも良き人間を騙しているという恐ろしいほどの罪悪感に打ちのめされるさま。
そんなどうにもならない渦巻く感情を、どうせこの身をもって償うのだ、というその一心でやり過ごすリディルの追い詰められていくさまが非常に良かったです。
この前半があったからこそ、後半の彼の活躍がより活きてくるのだと感じました。
後半の戦闘シーン、リディルがグシオンから魔力を吸い上げられるさまがとても官能的でした。脊椎にダイレクトに刺激が来るという。遠隔でも二人は繋がっている。いいですね。
リディルの感情に応じて指先から花々が生み出される設定が大好きです。その色や質感の描写によって、グシオンのみならず我々もリディルの感情を伺い知れるという生まれつきの能力。
まさに花に溢れた都に生を受け、行く先々に花をもたらす王子の物語でした。
また一人、尾上与一先生というとても素敵な作家さんに出会えました。
はぁ…良かった…
300ページ超えの大ボリュームを感じさせない面白さ。壮大なファンタジーを、この時間まで読み耽ってしまいました…
掌から花を生み出す王子、ってだけで激萌えですが、攻めのグシオンもいい男すぎて、2人の運命と背負ったものの切なさに胸を突かれました。
王女と偽って輿入れするリディル。リディルを迎えるグシオンにも実は大きな秘密があって…
リディルが男だと知っていながら、優しく心の込もった声をかけ、リディルの心を解そうとするグシオンの姿に、リディルと一緒にぐずぐずに絆されました。
互いを想う気持ちは大きくなるばかりなのに、救うことができない辛さ、リディルの心の痛みがリアルに伝わってきて切ないこと切ないこと…!
そしてSSでグシオンが照れくさそうに語る言葉が最高に良くて。
実はリディルにほとんど一目惚れだったんだね…!なんてキュンとさせてくれるんだー!
最高に萌え狂う物語でした。
死を覚悟した婚礼から始まるファンタジックストーリー。めちゃくちゃ面白かったです!
魔法国の王子が武強国の王の元に嫁ぐ序盤から悲しさいっぱいで物語が始まっていくのですが、このドン底の悲壮感が最後には幸せに満ち溢れたエンディングに続いていく道のりがなんと素晴らしいことか。魔法が介在する世界観により、壮大なスケール感、独創的なストーリー、そしてドラマチックにドラマチックを重ねた息をつかせぬ展開に胸が熱くなりました!
嫁ぎ先のイル・ジャーナ国を騙すカタチの政略結婚ではありますが、死を覚悟していたものの王妃として迎えられたリディル。王のグシオンは誠実で優しい男で、リディルの気持ちがグシオンに寄っていくのは当然の流れと言えるでしょう(^^)
でもなんの問題もないかというとそうではなきてですね、グシオンにかけられた呪いだったり、イル・ジャーナが度々奇襲をかけられてピンチに陥ったりと問題山積です。実はこれらのことは、リディルが輿入れすることで解決するはずだったのに、リディルが偽りの花嫁だったことで解決せず……役立たずだと責められるし、リディルも自分を責めるしで苦しい状況に陥ります。
リディルのいいところはここでメソメソするわけじゃなく、前向きに自分に出来る最大限のことをしようと頑張ることです。周囲がなんと言おうとイル・ジャーナのため、グシオンのために無理をしちゃう美しき王妃の姿がカッコいいったらありゃしない。口先ではなく行動で示すリディルのグシオンを想う気持ちが、物語のスケール感にも劣らず大きいことを読めば必ず知ることになりますよ。
もうね、最後の怒涛の展開は色んな見どころがありすぎてぜひ実際に読んでその驚きと余韻に浸って欲しいです。リディルに秘められた魔法の秘密も、グシオンにかけられた呪いの顛末も全部まるっと含めて解決しますが、そのスッキリ感と読後感に酔いしれました。
甘くて優しい2人のイチャイチャも楽しい見せ場となっていますので、余すところなく全部が楽しい作品だと思います。イラストも世界観に合っていて、どれもこれもが最高でした。
自分が勝手にBL文体と呼んでるのですが文章が平易で感じが多過ぎる、若しくは少なすぎる割にやたらと比喩に凝っていて甘ったるい。
そういう特徴がこの作品にも見られるのですがまあ気にする程ではないです、ただシリアスな内容とあまりにも嚙み合ってないと感じます。
花婿物がBL小説では流行りらしいですが恥ずかしながら初めて読みました、ファンタジー設定なので男子が嫁にいくという描写も一応受け入れられました。
ただやはりこの内容ならもう少し硬い文章表現があってるかと。