特典ペーパー付き
シリーズ最新刊の試し読みを読んだら面白そうだったので、このシリーズ第1作目から購入しました。
内容は、沓名さんとリョウの出逢い編って感じですね。行き倒れていたリョウに沓名さんが一目惚れしてお持ち帰りしてしまいます。そして沓名さんはリョウに自分の帽子屋を手伝わせようとするのですが……。
ストーリーのかなりの割合を沓名さんとリョウのそれぞれの過去が占めています。ごく普通の家庭に育った沓名さんに対して、リョウの過去はなにやらきな臭い感じ。マフィアに通じ、しかも使いっ走りの才能に溢れているらしいリョウの運命やいかに!
絵柄が可愛くて好きです。が、最新刊の絵柄とはだいぶ違っているので、この絵が見られるのは初期だけなんですかね。新装版のために描かれたらしいおまけページは、誰!? っていうほど絵柄が変わっていました。それはそれで好きですけれども。
続編は沓名さんニューヨーク進出、そしてリョウの過去に関わる何かがあるっぽいので、楽しみです。
本作は2014年頃旧版で読んでたけど、久々読み返してみると「こうだったっけ?」
というのは、勿論当時は続きも無い単独作品として読んでいたし、何なら「爽やか」系なイメージ持ってた。
「THE SPEAKER」が完結したという事で新装版を電子で買い替えて再読したんだけど、確かにリョウのバックグラウンドは不穏でしたね。
でも当時私の目線は沓名とリョウがどうなるの?ばっかりだったからね。
しかもこの作品自体では「これからはじまる」的なところで終わってたし。
アメリカの漫画みたいだった絵柄とあいまって、BLじゃないみたいなBLでそこがオシャレに感じてた。
実際今再読しても随分と個性的だなと思う。
逆に今は絵柄が変わって、すごく綺麗だけどこの頃の味とは違う作者さんみたい。
「THE SPEAKER」みたいな物語とつながっていくようには思ってもみなかったです。
独特な味のある作画が大好きで!!
大好き過ぎて!!
紙媒体で古い版をすべて持っているにも関わらず、購入しました。
電子版を買ったのを悔やまれるくらい、常に目につくところに飾りたい素敵さ。
本編自体、読むのは5年ぶり。
アニメーション映画を観ているかのような感覚と感動が蘇ってきて、1ページめくるごとに「やっぱり好きだなあ」と思いました。
才能はあるけれど、経営者としての手腕に問題のある帽子職人の沓名。
やり方についていけず、長続きしない従業員ばかりで店の運営が1番のネック。
人手を探していたとき、雨の中、傘もささずに座り込んでいるリョウに出会って…。
日本なのに外国っぽい。日本人なのに外国人っぽい。
この雰囲気がたまらんのです。
アメリカ人の友人が建てた家を譲ってもらったという沓名の自宅も、ニューヨークかロンドンにありそうな内装のショップも素敵。
沓名の過去とリョウの過去の見せ方が秀逸です。
幼い沓名が捨てられている仔犬に出会ったとき、両親に見捨てられたリョウはマフィアのボス・ハロルドに出会う。
小太郎(わんこ)と沓名の絆がどんどん深まる一方で、リョウは自分の両親の死をニュースで知って、もう本当に自分はどこにも帰れないんだと思い知る。
小太郎を庇って轢かれたせいで右手の感覚を失った沓名と、ハロルドに忠誠を誓うリョウ。
ひとを殴っても痛みを感じない右手を小太郎が舐めてくれることに慰めを感じて、小太郎の頭を撫でる沓名と、任務で失敗したリョウに仲間たちがくれた「一人じゃない」という言葉と、頭を撫でてくれたハロルドの手。
小太郎の死で、自分がなすべきことを決める沓名と、ハロルド命令なしでは生きる価値を見出せないリョウ。
「出会い」には「別れ」を、「結びつき」には「訣別」を、「自己犠牲」には「忠誠」を、交互に描かれた場面の全部が、対照を成している。すごい。
ハロルドの犬として生きることだけが自分の生きる術だったリョウが、ハロルドの最期の計画を知らされず、後始末だけを託されたことで感じる疎外感と喪失感は、自分を愛してくれなかった両親を亡くしたときの比ではなかったと思うのです。
命令されることは、自分がそこにいていいという証。
だけどリョウが出会った沓名は、「好きにしていい」と言う。
それまで自分に情けをかけてくれたひとは「言葉」や「愛情」を欲しがったけれど、沓名は何も欲しがらない。
自分が知っているどんな人間とも違う沓名との生活は居心地が良くて、温かい。
だから喜ばせたい。何か命令してほしい。
犬は命令を受けて動くものという意識が染み付いたリョウが、小太郎を大切な家族として愛してきた沓名と出会ったことでどう変わっていくのだろう、というところで終わる本作。
絶対に続きが読みたくなるので、全部揃えてから読み始めることを強くお勧めします。
さて、お目当てだった4ページの描き下ろしですが。
まず感じたのは、「あれ?何か…、作画が…」。
本編のしっかりした線と違ってちょっと細めのタッチでトーン多め。
2人とも本編とは別人に見える仕上がりに、既に古い方を持っている方に、この4ページのために購入を勧めるか?と聞かれたら、「ぐ…、う…、微妙」と答えざるを得ません。
ついでに言うなら、古い方にあった「あとがき」と「special thanks」のイラストはありませんでした。
巻末のHatterの予告編は古い方と同じ。
これが映画の予告編みたいでカッコいい。
「coming soon」という文字が最後に出てきても違和感ゼロです。
十分長いけれど、全然語り尽くせていません。
言いたいことを全部言ったら、全てのコマを解説しそう。
それくらい深いです。
表現もいいし、演出も最高だし、作画は文句なしに好きだし、素晴らしすぎる作品です。
未読の方はぜひ。ぜひとも。
グイグイ引き込まれました!!
めちゃくちゃ可愛い!リョウも聡もカッコよくて可愛いこと!
この手できることが何かって仕事や生きる意味に向き合う部分に痺れ、ラブがじりじり高まってくのに悶える!!
オシャレな帽子屋さんと元マフィアが絡むことある?ひょんなことから聡さんがリョウを拾うわけだけど、付きつ付かれず、ここぞという時に強くなれる言葉をくれる。聡さんが優しくて、でも抱えるものもあって、いとしいと苦しいの攻めぎあい~お尻の準備のために「2時間待って」腹を括ってからの行動!周りのキャラも個性的でコミカルな雰囲気もあって楽しく温かい気持ちになる。
なぜか、表紙(旧版)でリョウが持ってるシルバーのモチーフがマイクに見えるもんだから、ずっとバンドものと勘違いして、後和ましにしてたんですけど、想像の斜め上いく、展開でBL要素も人間模様も仕事パートも読みごたえありました。
お洒落な表紙に惹かれて購入したのですが、新装版だったのですね!
絵の雰囲気から、海外が舞台のお話だと勝手に思っていたのですが、日本でのお話でびっくり。
読んでいて、脳内がときどき混乱してしまいました。
扱われている題材からか、しっとりと静かに物語が進んでいきます。
この先どうなるんだろう、という展開ばかりでわくわくが止まりませんでした。
とくにリョウの妙に大人っぽく達観しているような雰囲気と、サトルと一緒にいるときの寂しがりやで年相応の子どもな雰囲気のギャップが堪りません。
どことなくワンコ味を感じます。
2人が出会ってから、一緒にいるようになるまでが描かれていて、これで終わりでもまあいいのですが...
個人的にこれ一冊だと消化不良だなあ、と思っていたので、続きがあるとしって嬉しくなりました。
回収されていない伏線や、気になる要素が続きで明かされるのかなと。
今後がどんな展開になるのか楽しみです。