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表題作踊る阿呆と腐れ外道 (下)

芳野英一朗,伊月の付き人
千代森伊月,杖つき様と呼ばれる千代森家の養子であり情夫

同時収録作品踊る阿呆と腐れ外道 (下)

結城子爵,環の幼なじみ
千代森環,千代森家当主・伊月の養父

その他の収録作品

  • ラストダンス(やわらかい日差しの中で)【描き下ろし】

あらすじ

千代森家の跡継ぎ・伊月と付き人の芳野は、
身分差とすれ違いを乗り越えやっと心と体を繋ぐ。
しかし、その関係を知った旦那さまの環は激昂し、
2人の仲を引き裂こうと伊月と芳野をひどく痛めつける。
それでも互いを想い合う2人の姿に心が千々に乱れた環は、
家督を譲り田舎生活を始める。
そこへ、因縁の相手・結城が現れる。
幼い頃、真似事のように未来の契りを交わした環と結城は、
身分違いで同性という壁に阻まれた過去があり…


【収録作品】
踊る阿呆と腐れ外道 第伍話~第玖話
ラストダンス(やわらかい日差しの中で)[描き下ろし]

作品情報

作品名
踊る阿呆と腐れ外道 (下)
著者
あかねソラ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人uno!
発売日
電子発売日
ISBN
9784801971981
4.4

(184)

(139)

萌々

(15)

(12)

中立

(4)

趣味じゃない

(14)

レビュー数
31
得点
795
評価数
184
平均
4.4 / 5
神率
75.5%

レビュー投稿数31

泣いた...

兼ねてよりこの作品は泣くよと聞き及んでいたせいか、期待大で読み始めたのですが、
期待が大きすぎたせいか、上巻では、自分のなかでふーーん(大変失礼なヤツ汗)程度で終わってしまいました。



それから下巻読了までは時間が空き(まりあげはの悪いところ。すぐ続きを読まない)、そう言えば下巻読んでなかったなあ、なんて気軽な気持ちで読み始めたら、とんでもない爆泣き作品であったことに気づいてしまいました。

遅いよ!
まりあげは!!


旦那様であった環と結城の話が切なすぎて(涙涙涙)
時代がね、
2人を両想いにさせてくれなくて、、、

でもね、結城はどうしても環を諦められなくて訪ねてきたわけですが、あまりにも2人は離れていた時間のほうが長かったんですよね。

でもね、あそこで環が勇気を出して告白したこと。

そして、結城への想いが苦しみから少しでも幸せに変わったこと。

あのエンドには賛否両論あると思われますが、全く救いがないわけではないだろうぼやかしエンドに、こちらまで救われました。


ちなみに終盤、どんどん減っていくページ数にハラハラさせられましたが、反比例するように次第に落ち着いていく環に、どうしてもエンドのその先が読みたくなっていた人は何人おりますか??

今、手を挙げた方。
ぜひ握手させてください。(おい!)


そしてこの作品、続編とか連載してませんでしたっけ??


令和の時代だったら環と結城は、イケおじ同士でいちゃラブしてるんだろうなあとか妄想してしまいました。(すぐエンドのあとを妄想する女)

ああ、余韻が重すぎて好き...!

0

良さが分からなかった

個人的には、ハッピーエンドにするならもっとすっきり倫理的に纏まってて欲しかった。
環への子供産まれた報告の直後に「子作りしよう」となるのにはは?となってしまったし、長年酷い扱いをされていた割には旦那様をあっさり許して謝っちゃう伊月にも違和感。せめて心情をしっかり書いて欲しかった。
ハピエンもバドエンも好きだけど、これは本人たち以外からはバッドエンドにしか見えない状況を無理やりハッピーエンドにした感があってスッキリしなかった。

1

華族マニアにもグッサリ来ました

ようやく上下読み、泣きました。
BL好きとしても近代史マニアとしても、あまりにも刺さりすぎて勢いだけで書いております。

皆さんの珠玉のレビューを拝見して、色んなご意見があるのを承知で、私なりに書きたいと思います。

ちなみに、下巻の環のお話が好みをぶち抜き衝撃すぎて、それのみ語ります。

大正時代とは言えない結城の奥様の服装は頂けないものの、とにかく環と結城の人間心理が、フィクションとノンフィクションの狭間を行き来して絶妙にリアルなのです。

おそらく大名華族である結城、そして商家の子息である環。惹かれ合っていながらも真実を互いに知らずに、大人として自身の身分の上の人生を守って生きている。

結城は現代でも大正でも、褒められた人物ではありません。
妻子からしてみても、良い家長ではない。
けれど、これは悲しいことに大正時代の普通であるのですよ…。
現代はまだましです…本当に。

私は普段BLと同じくらい華族制度や名家の人々の人生を調べています。
この手の話やそれ以上に「これはフィクションでしょ?!」と思うほど、華冑界の人々の人間模様はひどいものです。
基本は家長である夫が、周りから決められ結婚した正妻とは別に、自分の選んだ妾のもとに通い愛や時間や財を使い、また本邸に帰っていく。
相手は花柳界の玄人であったり、男性の役者だったりもします。
細かい話は割愛しますが、この時代、どの家長も恋愛と結婚ははっきり分けています。自分が誰を好きでも、家を残し生きていくために、心を使い分けることを自然と身につけている。現代に生きる私達からするとサイコパスそのものですが、当時の華族は男女ともこれが当たり前。
だから、結城がとてもリアルに見えたのです。まだこの方は「今まで我慢してきたから…」と、自分の心を偽ってきた事を認める心理があるので、まともに見えてしまうくらいです。
それくらい、名家の人々は家に縛られていたのだと思います。
庶民より贅沢ができるかわりに、人としての何かを捨てて生きていることも、ある意味自覚がなかったのかもしれません。

結局はそれで、様々な人が涙を流すのでしょうね。

庶民とて、結局は様々なドラマがあったのだと思いますが、フィクションとしてもやはりここは華族や名家の話としてエンターテイメントが成り立ちましょう。

結ばれて結城を送り出した環の物分りの良さにも、社会的立場の恵まれた人の人生の哀しさを感じます。
受けてきた恩恵に報いてきた自分の心を何処かで開放するために、結城は環のもとに通い続けるのかもしれません。本当に自分が愛を注ぎ注がれる相手と、ひとときでも共に居て、ありのままの自分でいる時間を得る。

戦後、高貴な人々は端を切ったように離婚が相次ぐのも頷けます。。
史実の様々と照らし合わせても、これほど上手くBL漫画としてフィクションとノンフィクションの狭間を危うく縫うような作品を他に知りません。

身勝手な男性と、そんな男を待つ日影の男性。

続編も前編が出ていますが、完結してから手を出したいと思います。気になりすぎて試し読みの1ページだけで悶えたので。
実際に戦後も一緒にいたと言える、皇族と兵士の例も史実にありますから、この二人なりの形に期待してしまいます。

私はもちろんこんな夫や妻の立場はごめんです。
現代人で悠々と生きられる今、非日常を垣間見れるこの漫画を楽しんでいます。

3

続編を読む前に…

続編が出ていたので予習も兼ねて読み返し

久々に読みましたが切ないお話しですよね…
特に下巻、、、

モチロンメインの2人、芳野と伊月サイドから見れば嬉しい涙の流れるお話しだとは思うんです
でもその印象が吹っ飛んでしまう位の結城と環(ノД`)・゜・。・・・
切な過ぎるじゃないですか(;_;) ( ;∀;)( ;∀;)

この2人への賛否両論、そりゃぁ出ますよね
分かります、、、
私はとても自分が狡い大人になってしまったのを自覚しているのでこの2人が辿った、そして選んだ最後のカタチを真っ向から否定は出来ずそっと「分かるよ。」と、言ってあげたくなりました
正論だけが正しいって訳じゃないことをね…だんだんと分かって来てしまうんですよね…
分かるだけに結局やっぱり切ないなぁ

掛け値なしで切なさを求めてる方にはこの下巻の怒涛の後半は読んでみて欲しい!でも夜明け属性で求める切なさではナイので十分心の準備をしてお読み下さいね

続編、読みたいケド更に切ないのかしら、、、
続編読む為に読み返したけど、続編読めるかな?ちょっと怯んで来てしまったw

1

すごい作品

まずは、芳野と伊月が無事に結ばれてよかった!!
受けの義父である環がキレてる場面ももそうですし、受けが銃を取り出したりなどもそうですし、どきどきな場面もありました。環の立場から考えると辛いのですが、芳野と伊月の物語は最後はしっかりハッピーエンドでよかったです…! 

そして、伊月の義父である環の物語は切ないというのか、なんと言えばいいのか…。事情があるとはいえ、結城はなんかずるい。でも、環に結城が子どもをつくろうって言った後からの流れは泣けますし、複雑な気分になりました。

芳野と伊月の物語があるからこそ、結城と環の物語に引き込まれてしまいます。やはり、物語の構成が上手いし、すごすぎる作品です。

1

皆さん外道っぽい

発売当時に購入し読了。
ずっと放置していたけれど最近上下巻読み返しました。
上よりは下巻が好みだけれどなんつーか、読み返しがなかなか出来なかった理由を自分なりに考えています。

絵柄はもう綺麗で描き込みが素晴らしく、大正時代設定もめちゃくちゃ好みです。
カップル2組、4人はそれぞれほっそりした美形。
なんとなく細っそりし過ぎで耽美で古めかしいくらいではあるけど、まあ時代モノだしアリかもしれない、、、
それで下巻の環と結城の年長組は私の好きな、いわゆる不倫組です。
にもかかわらず、読み返しがなんかめんど〜でしばしばページをめくる手が止まってしまったのは思うに
大げさ!
それにつきる。
涙、涙の主人公たちにセリフも地の文も大仰で私は逆に白けてきました。
たぶん私の好みはハードボイルドで、愛する人の死とか別離とかに対しても直接涙、泣き顔、泣き声で表現するより比喩したり抑えた表現が好きなんだと思います。
せっかくの大好きシチュ、萌えポイントが半減されているので読み返したくなかったのかもしれない。

あと、加えて4人とも共鳴出来ない、同調出来ない、同情出来ないんですね。
好きなキャラではなかった。
外道は外道でも共感出来るとこが欲しかった。

2

白痴美人とど腐れ外道共

竹の日ジャケ買い。あかねソラ先生の作品は初です。
とにかく環の周りに腐れ外道しかいないのが凄い。
美しく生まれたことの対価でこれだけの目にあわされねばならんのなら
人間面の皮1枚の美しさなどほどほどで良いなと思いました。
偽装片輪の情夫とならず者がデキあがったあげく
結託して財産を狙ってきているのを全てくれてやって隠居してみたり
だまし討ちのような結婚で自分を捨てた男に都合のいい穴扱いされ
きわめつけは中田氏されて腹下したことを流産て。
お前の頭は帽子掛けかよと環に対しても怒りがわきます。
生まれ持った性別すら否定されて妻子持ちの男を待つって悲しすぎました。

4

いちばん酷い男なんじゃ

上下巻一気によみました。
メインCPの受けの主人、千代森環の話に心をガッと持っていかれました。

メインではなかなかのゲス感がある主人、環ですが、こうなってしまったのにはワケがある、ということでそのワケを知るやとてつもなく愛おしくなる不思議です。

作中、いろんな変態なヤカラが出てきますが、いちばん酷いのは環の相手、結城だと思います。
なんっっって酷い男なんだ…!!!!

環、それでいいのか?!

と、登場人物全員幸せになれ派のわたしにはとてつもなく酷い男にうつりました。

ひとえに時代、と階級社会の功罪と納得すればいいのですが、環の心情の切なさになんとか報われてほしい…すべて環の思うままになればいいのに…!
と最終的に涙する素晴らしい作品でした。

1

個人的には納得いかない

読み終わってすぐ「え、これで終わり?」って思いました。
下巻は傷心の環と結城のお話にシフトしていき、過去の2人にどんな出来事があり、今の関係になったかが描かれています。
そして環が1人になった事でまた結城との関係に変化が起こるんですが…

これじゃあ環が可哀想過ぎる。
"やっぱり環が好きだし、嫁とは別れる"っていうのを期待してたんですよね私。
環は待つ身でも構わない、むしろ会えただけで良かったみたいなエンディングでしたけど、ハピエン厨には辛すぎるラストでした。

すっかり環に感情移入しちゃうと、上巻の芳野×伊月もなんだか祝福できない気持ちになってしまいました。

美しい絵で、時代背景やキャラクターもいい雰囲気なのですが、個人的にはハマらない作品だったかなと思います。

0

幸せとは…

上巻の不穏な続きからです。
初っ端から心が痛くなりました。
環をここまでさせるものは一体なんなのか…。
その正体が下巻ではわかります。

伊月と芳野からすると環が悪い人みたいな感じなのですが
環もまた何かに囚われている可哀想な人で
負の連鎖なんだなぁ…と思いました。


伊月と芳野の二人のことだけを思うとハッピーエンドです。
でも環のことを考えるとこれで良かったのか…と思ってしまいます。

時代が時代だから仕方ないことなんでしょうけど
結城はいいとこ取りみたいな感じだなぁ…と…。
仕方ないの一言で済ませられにぐらい環が健気なんですよね。
伊月と芳野視点だと悪い人だった環がひたすらに健気…。
この作品の中で一番健気で可哀想なのは間違いなく環だなぁと思いました。
結城を好きになってしまったあの日から
ずっと環の心には結城がいて、
愛人という立ち位置でも結ばれたということが環にはきっと幸せで…。
その幸せそうな顔が私は見るのが辛かったです。

描き下ろしまで切なくて、ほんと…ティッシュかハンカチがないと読めない作品です。

3

私にとっては

最高の作品でした!

終わり方、賛否両論絶対あると思います。結城が真の腐れ外道で下衆でクズだと思います!!
けど、けど、ずっと環は結城の事を想っていて傷つけられていて辛い思いたくさんしてきていて…でも子供の写真を見て号泣しちゃうシーンではもう切なくてなんて健気なんだと。結ばれた後も、結城のものを出したくないと耐えようとするところも。

そう!私はこういう受が健気で可哀想なBLが大好き。心臓がキューーンってなるやつ。こういうのを探し求めてる!うわぁせつないなんだこれ(T-T)

この一夜の後は離婚の話が出るか、もう環とは会わない展開になるかと思いきや、思いっきり不倫展開でこの後の事も想像してなおさら切なくなりました。環が幸せなら良いけど、結ばれたばかりで今はそれでいいかもしれないけど後々大変な事になりそう。ああドロドロの切ない続きが読みたい。

上巻の芳野と伊月も良かったけれど、下巻を読むと下巻を楽しむための前菜にしか思えませんでした。あくまで私は!!

現実で考えると妻と子供目線で見てしまって本当に胸糞悪い話だし、結城だけじゃなく環も悪者になってしまうけれど…BLはファンタジーなので(笑)もう最高の最高に好みのお話でした!

6

読まないと損。※ネタバレ含みます


以前から気になって、このサイトで読んだ訳では無く単行本を購入したのですが、レビューが書きたくなって登録しました。

上下どちらも内容が豊富で絵柄も自分好みで最初から最後まで引き込まれる…そんなお話でした。


※以下ネタバレありです。

上巻では芳野×伊月の身分違いの恋が儚く綺麗だと思った反面、環の存在が大きく2人の間に割って入り邪魔をする立場で正直好きになれそうにないキャラでした。

どうして間に割って入って、邪魔をして伊月にそこまでの執着を見せるのか謎が深まるばかりだったのですが、下巻を見て酷く胸を打たれました。

身を呈して伊月を止め、自分の片足が不自由になったのにも関わらず2人が幸せになれる様な言葉を言った環にその時はこれでもう2人の邪魔をする役割の人が居なくなって良かった。芳野×伊月に幸あれなんて思ってたのですが、その先のストーリーに感動してしまいました。

環の過去の話も芳野×伊月の様に身分違いから交わる事の出来ない2人の話で、その時代だったからこその苦しい描写が描かれていて、本当に辛かったです。

結城視点に移り変わると感動系に弱い私は目から涙が溢れて止まりませんでした。本当は結ばれたいはずの人とは一緒になれず、その気持ちを押し殺したまま違う人と歩んで行かなければいけない。

胸の内所を話せる人などおらず沢山秘密を抱えて生きてきた結城にとって、環が涙を流した時にはもっと早くに言っていたらなんて本当に後悔したんだろうなとしっかり読み取れました。

そして、その先のストーリーでは比喩表現を用いた結城から環への想いを言い放ち、1晩だけでも交わる事が出来たのは報われて良かった。

と思いましたが、結局のところ結城には家族がいて子供も生まれ本当に1晩。誰にも言えない秘密になったっていう事が事実というのがこの時代ならではって感じで…でも本人達が幸せと感じるのなら良かったと思います。

この本はメリバと言われたらメリバかもしれませんが私からすればハッピーエンドと称されても良いと感じました。

他の方が言っていた通り、簡単に読み返せないけれどこの類が好きな人は必ず読むべきストーリーだと思います。

お気に入りの本が増えました!

8

既視感と違和感

上巻を読み、お耽美、劇場型、メロドラマ…と思いましたが、懐かしい少女漫画的でもあるなと。

芳野に伊月を奪われた環の怒り狂い方も古いお芝居じみているし。

後半に出てくる結城の妻が子どもができないとヒステリックになるのも、昔のメロドラマみたいだなぁと。

時代背景、世界観に合っているのかも知れませんが、個人的には令和のBL隆盛期にこの作風は既視感しかないなぁと感じてしまいました(偉そうにすみません)。

普遍的な物語としての世界観という意味でなら有りだとは思いますが。私の好みではなかったというだけです。

ストーリーとしては、主人のモノ(伊月)を寝取って芳野はどうする気だろうと思ったら、伊月と一緒に千代森の家を出ようとしていたんですね。それなら筋は通る。

でも結局は環が家を離れて、伊月を勘当するでも芳野をクビにするでもなく、伊月が当初目論んでいた通り家督を継いで結果オーライでした。

環と結城編も、よくある話でしたが、絵がきれいでした。

結城の「子どもをつくろう」に、は〜?となりましたがw
真顔で「きっと君に似て綺麗で聡明な子になる」「この先も残り続ける子だ」
の意味が無粋な私にはよくわからなくて。

何かの比喩なんですかね。
単に子作り(セックス)したいってこと?
自分たち夫婦だけでなく、妄想だけでも2人の間にも…てこと?

とモヤっていたら
「流産だ」
て、ブラックジョークですかい?と苦笑してしまいました。理解力なくてすみません。

切ない関係ですが、時代背景もあり、こうなって2人にはよかったんではないかと。
特に環は孤独でいるより、日陰の存在でも結城に愛される方がまだしあわせな気がします。

6

もっとバズっていい

評価は高い割に知名度があまり低いのが本当に謎です。
ストーリーよし、キャラクターよし、絵柄よしなのでもっとバズってもいいと思います。

上巻に続き、芳野×伊月のお話の後に、当主である環のお話があります。私は環の話が好きですね。時代設定とストーリーが宝井理人先生の「花のみやこで」に似ているので、花のみやこで好きな人は好きかも。ただ、本作の方がエロがしっかりあるのと展開が劇的な分切なさがダイレクトにきます。

切ないお話が読みたい方におすすめ。

5

泣ける

とにかく良いので最後まで読んで欲しいです。
あまりネタバレを見ない状態で読んだ方が楽しめると思います。

1

読まないと人生損

環の台詞ひとつひとつに本当に胸を打たれ、涙無しでは読めない作品です。

1

儚くて綺麗

全体の感想として、上巻のレビューでも書きましたが、下巻も"綺麗"という感想です。
ですが上巻とは異なり下巻では儚さを伴った綺麗さがありました。


下巻は千代森視点のお話でした。

自分のものに手を出したとして、千代森に折檻されているという痛々しいシーンから始まります

芳野も伊月もお互いを思い、自分の方を罰してくれと懇願する姿は愛でしかないんだと痛感しました。

千代森は愛してやまなかった相手と生涯を共にすることが叶わず、寂しく、虚しい日々を過ごしている中で、愛しい人に似た伊月と出会いました。

千代森の中で伊月に求めてもらえることは結城に求めてもらえることと同義だったと思います。
だから、自分とは違う相手と幸せになろうとしているのが、再び捨てられたようで、苦しくて、伊月を責めている言葉は、結城に向けて叫びたかった言葉のように感じました。

その後いろいろあり、千代森は田舎に、伊月は家督を継ぎ、芳野はその元で支えるという展開になりました。

(静岡にいこうと芳野に誘われた時の伊月がただただ可愛いかったです、、、
また、主人だったためというのもあると思いますが、両思いになれてからは芳野の後ろに隠れたり、笑顔が無邪気で、年相応の行動がみれて幸せでした、、)

田舎で暮らしていた環の元には忘れたくても忘れられない結城がやってきて、2人の視点からの回想シーンが見れます。

環の視点の回想シーンで、環に感情移入をしすぎて、結城が子供が産まれたと伝えにきたことがとても腹立たしく感じました。なぜ、わざわざ直接?爪剥ぎをした仲で、お互い言わずとも少しはわかっていたのでは?また環を傷つけるのか?と。

でも、結城視点の回想シーンで、先に想いを募らせていたのは結城の方だったと、一目惚れだったとわかりました。

子爵の家ということもあって、同性愛は受け入れられず、子供を成すことが使命という当時の考えがひしひしと伝わってきました。

環を傷つけた 君も幸せになってくれ の言葉は環と幸せになれなかったことを押し殺して伝えたことで、環を忘れたことは一度もなく、これまでずっと好きだったことも知れ、パーティーを開くため開いた名簿にある、環の名前を見て、責務を果たせたことから心が緩み心の中で本音が吐露されていくシーンで、本当にお互いがお互いを思い合っているのに、結ばれることができなかった2人をみて苦しくなりました。

その後、結城の子供の写真を見たあと、やっと伝えることができた環の想いに涙が止まりませんでした。

2人の子供を作ろうという結城の提案に馬鹿げているとは分かっていても、それに縋りたい環。
お腹が痛くても、出したくないと繰り返す環は愛らしかったです。

流産だったという環の言葉に結城は初めて言葉で環に想いを告げて、子供がいなくても2人きりでもきっと楽しいという結城の言葉は夫婦のようで、2人が何もしがらみもなく結ばれていれたらよかったのに、と酷く思わせる言葉でした。

結城は妻子持ちで、仕方のないことといえばそうなのかもしれないけど、結局は不倫になってしまうため、腐れ外道なんだろうと思い、辛い運命だと感じました。

17

歪な二人の関係は?

下巻読んでわかりました!諸悪の根源は結城お前だったのかと…
結城が自分の心に正直に従っていたら、環はあんなヤンデレちゃんにならなかったのかも
不倫はいけません
結城は、環のことをあきらめた時点で伊月に嫉妬する権利も軽々しく会いに来る権利もないと思う
幼いときは無邪気で天使のようだった環が結城が結婚することによって性格変わっちゃってヤンデレ化するほど結城のことが好きだったのに、結城も環が自分のことをすいてるかもとうすうす気づいてたのかな?
自分は孤独のなかで皆に合わせて自分を偽って生きてきた。綺麗な環を幸せにしたかったと、取って付けたように言ってますが、自分はちゃっかり結婚?環はずっと独身だったというのに…
何もかも捨てて逃げる選択は結城にはなかったのでしょうそのくせ思わせ振りな態度をする結城にいらっときました
しかも軽井沢まで子供ができたことを報告?なんか信じられません
このまま不倫関係になっちゃうのでしょうか?
でも環はそれでも嬉しそうだし恋愛は先に惚れたほうが負けとは良くいったもので
ここはもう第3の男の登場を切望します!
独断と偏見な辛口レビューごめんなさい(((^_^;)

4

地雷でした

環サイドのお話しでした。
辛い過去がある分幸せになって欲しかったのですが、結果は…
攻めは巷で良くある家族も大事だけど、浮気相手とも切れないのを都合よく言い訳してる感が満載
私にとって腐れ外道はこいつでした。
不快感と嫌悪感が強く
読みすすめるのがキツかったです。
私にとってBLはファンタジーなので、時代背景を理由には出来ませんでした。

17

最後までずっと切ない…

上下巻読んで、絵がとても綺麗で、話の構成も分かりずらい表現がなく、すんなりと頭に入っていくので読みやすいですかったです。

メインとスピンオフで、
運命に抗った者たちと運命に抗えなかった者として
対照的なストーリー設定になっていて、

個人的にはスピンオフがメインじゃないかと思うくらいスピンオフの話に魅入られました。

最後の特典の5ページは、結城には環が必要なんだなって再確認させられて良かったです。特典は必読です!

健気受けや、切ない話が好きな人にはオススメです。

11

哀しいほどに美しい顔で笑む人

千代森という屋敷の中で複雑に絡み合う愛憎劇。
伊月と芳野の恋の行方はどうなるのか?と思いながら、物語は下巻へと進む。
読み終えた今、正直に言葉を選ばずに感想を述べるのなら、伊月と芳野の恋路はどうでも良くなってしまったのです。
彼ら主従2人の恋の結末は、いわゆる「めでたしめでたし」で終わるものなのだと思う。
ですが、私にとっては「しゅみじゃない」ほどに惹かれるものがなく、伊月と芳野が盛り上がれば盛り上がるほど、どんどんと気持ちが覚めていくばかりで。
この作品の中に2人の物語しか描かれていなかったのであれば、きっと上記の評価のまま終わっていたでしょう。
しかしながら、下巻では拾い子2人の恋路を邪魔する人物のように描かれていた、環についてが掘り下げられていく。

なんて綺麗な顔で笑う人なのだろうか。
哀しいくらい、危うく、あまりにも美しい人。

幼なじみの"彼"のことが忘れられず、彼に似た子供を拾い、当時の彼の面影を伊月に見ながら、白いキャンバスに何度も色を重ねては「何かが違う」と言っていた環。
たとえそれが歪んだ形だったとしても、下巻のあちこちから伊月のことを確かに愛していたのだというのが伝わってくる。
けれど、伊月も"彼"と同じように自分の元から去っていく。

上巻で既に何かあることが匂わされていた、幼なじみである結城との幼少期から青年期、現在に至るまでが環視点で語られる度に、なぜ環がここまで不幸でなければならないのかという気持ちでいっぱいになってしまう。
伊月に対しての環の行いも、環自身の人生に関しても、決して褒められたことばかりではないし、他に生き方はなかったのだろうか?なんて言葉がふと頭をよぎる。
でも、この時点でどうしようもなく環に心を持っていかれ、哀れとしか言えない環に肩入れをしてしまう。
大正という、新しい風が入りながらも息苦しさのある時代に、結城を愛してしまったがゆえの報われなさが苦しい。
結城視点を読んでも、結城自身にはそこまで何も感じず…やはり結城から見た環に心惹かれていく。

後味は良くない。報われず、救いもないように思う。
幸せとはいったい何なのか。本当にどうしようもない。
なのに、読み返しては環の幸せを願ってやまない自分がいるのです。

12

踊る阿呆と腐れ外道

上巻の二人から焦点が変わります
なかなか酷い人でしたので気持ちの整理が追いつかないかと思いきや
とても人間味のあふれる人で、最後には幸せになってほしいと願ってました

本当に不思議な魅力にあふれたお話で
特に下巻は複雑すぎて
何が正しいのかわからなくなります
それがこのお話の魅力なのだと思います

複雑に拗らせた想いはやっかいですね
自分の気持ちに素直に生きられない
現実世界では当たり前のことですが
漫画中でそれがこんなにも現実的に描かれると苦しいことを初めて知りました

3

報われないその先は・・・?

上下巻ですが、2カプのそれぞれの話で、下巻は上巻では「悪役」だった環と結城の話です。
正直、こちらのカプの方が断然好みです!
下巻を読むと環に感情移入してしまい、嫌うどころか贔屓目になってしまうほど笑
幼少からの付き合いで、両片思いを拗らせに拗らせたふたり。

道理も分からないほどの歳に互いの爪を誓いの印として交換し合う(痛い)ほど惹かれあっていたのに、結城は婆やの言葉で環とは一緒になれないと悟り、周りの期待に応えようとする性格もあいまって、環を想いながらも普通に女性と結婚します。好きではないけど、それなりに上手くやろうと思う割には子作りもちゃんとするし、15年不妊だったのに、最後はできるほど、励み続け、妻に「君は誇りだ」なんて声を掛ける。一方の環は結城と一緒になれず、屈折した想いを抱えたまま結城に似た伊月を養子に迎え、歪んだ愛情を傾けてしまうわけですが…2人のなれそめを読むと、環が屈折してしまうのも頷けるといいますか、こちらは理解出来るのに対し、結城については一途に環を想っているような描写がある割には、とても残酷な人ですよね。

環を想い妻を愛してない風でいながら、見た目には到底そうは見えない素振りで、夫役をこなすんですよ。内心のセリフがなければ、傍目には分からないほど。ここがかなりモヤモヤしました。結局のところ、結城は環を捨てて、普通に生きていくことも可能な男なんですよね。
環はそうではなくて、だから結婚もしなかったし、ずっと結城の面影を追いかけていて、乗り越えられずにいる。不公平さが際立っていました。
そして、上巻の銃暴発により、足を悪くして田舎に隠居した環のもとを訪ねる結城、子供ができたと報告します。
そこで、恐らく数十年越し?にお互いへの想いを吐露してようやく結ばれ、最後も環の元に来る結城のシーンで締めくくられますが、別に家を捨てて環のもとに来たってわけではなさそうですよね。愛人のところに訪ねにきたという風ですよ。周囲の期待に応え続けた男が、愛する男を得て、遂にはわがままを通すというなら感動もあったとは思いますが、長年の想いを通じ合わせて、家庭も環もってのは、シラケるというか涙も引っ込むというか。
子供を作ろうと言って結ばれた2人ですが、中にに出されて腹を下したため、「流産だ」という環、「2人でも楽しいよ」と結城、まるで夫婦の会話ですが、
この先環は田舎でひたすらに結城を待つ生活ですか?うーん。報われない。続きを書いていただけるなら、この2人、どうにかしてほしいです。

15

愛おしくも悲しいそれぞれの愛のカタチ

『踊る阿呆と腐れ外道 (上)』の続編です。

第伍話と第陸話
千代森家の執事 芳野 英一郎と千代森家の養子 千代森 伊月のお話。

前作では、千代森家の当主 環の養子であり情夫でもある伊月が、ずっと好きだった執事の芳野と心身共に結ばれました。
しかし、翌朝ベッドで眠る2人の前に環が現れ…。
今作は、その続きになります。
自分のモノに手を出した芳野と自分を裏切った伊月に憤慨する環。
怒りのあまり何度も芳野を叩きつけます。
血だらけになりながらも伊月を自由にして欲しいと懇願する芳野に環が吐いたセリフは…
「では 爪を剥ごう」

愛する2人を前にして、それでも引き離そうとする環には辛く悲しい過去がありました。
どれだけ好きになっても絶対に叶わなかった恋。
その相手は、若かりし頃の結城子爵です。
幼い頃に父親の仕事で知り合った環と結城。
身分こそ違うけれど気が合い仲良しになりました。
ずっと一緒にいようと「ゆびきり」の由来から爪を剥ぎ、お互いに贈り合うほどに――。
環の気持ちを知る由もない結城は結婚してしまいます。
絶望の淵に堕とされた環は、結城の代わりに伊月を傍に置き、愛情を注いできたのでした。

前半の伊月と芳野のストーリーは、愛を貫いた伊月の覚悟によって幕が下ります。
愛する人を守りたい
それは、伊月にも芳野にも…そして環にも通じることなのでしょう。
たとえ伊月は結城の身代わりだったとしても、そこには結城とは異なった愛情があったと思いたい。
それぞれが愛する人を守るために身を挺したラストは必見です!

身を削ることでしか己を守ることが出来なかった伊月と傍にいられれば良かったはずの芳野。
お互いの存在があることで補完される深い愛で結ばれた2人に涙がこぼれました。
こらからも繋いだ手を離さないでいられますように。

第漆話から第玖話
結城子爵と千代森 環のお話。

数ヵ月後、環は伊月に千代森家の家督と財を譲り、一人で軽井沢に住んでいました。
静かに穏やかな日々を過ごしていた環ですが、涼風のようにやってきた結城によって運命の歯車が再び動き出します。

後半の環と勇気のストーリーも切なくてやるせない気持ちになりました。
壊滅的に好きだった結城が結婚し、死にたいくらい自虐的になった環が歪んでしまったのも納得です。
だからと言って、伊月や芳野に対しての仕打ちは許される行為ではないのですが…。
一方的な環の恋心かと思うなかれ、実は結城も環を愛していたのです!
家族制度により子爵である家系の跡を継ぎ、同性同士の恋愛が今よりもっと難しかった時代に、自分の想いを告げることは出来なかった結城。

最後に2人が選んだ終着点には賛否両論の意見が出ると思います。
気持ちが通じ合ってしまった2人を引き離すことは出来ない。
しかし、結城は家族を捨てることも出来ない。
いつでも環が一番辛いのですね…。
うぅ、自分の気持ちの落としどころが見つけられない(泣)

描き下ろし『――ラストダンス(やわらかい日差しの中で)』
環と結城のその後のお話。
お腹が痛い環ですが、どうしても出したくなかった。
結城に「子どもをつくろう」と言われたのに…。

あかねソラ先生の綺麗な絵柄が作品の雰囲気にマッチしていて大変良かったです。
大正時代の背景や建造物、服飾等も丁寧に描かれていたので違和感なく読み進められました。
また、キャラのそれぞれのバックボーンを回想シーンによって読み解かれる構成も素晴らしかったです。
エロも儚く扇情的で見応えがあり、愛する人に抱かれている環の表情が印象的でした。

愛情のカタチは人それぞれ。
誰かを裏切っても騙しても貫いた愛には何が待っているのか?
ただただ幸せを願うばかりです…。

少しでも気になっている方は読まれることをおすすめします。
きっと、心に突き刺さって抜けない棘のように、いつまでも胸に残る作品になると思いますよ。

8

やがて哀しき。花の散るらむ。

さて。そこそこ私の予想は的中して。結構悲しい。
やはり千代森の主人、環は叶わぬ想いを結城子爵に抱いていたのだ。
後半は彼等の恋の、想い出と結末が描かれている。環が今、こうなってしまった経緯にも。
因果関係があるとして、語られている。

環は寂しかったのだ。決して手に入らない恋。だから。
伊月を育て、側に居て欲しかったのに。伊月は芳野を愛してしまう。そればかりか。芳野と出て行けないのなら、自ら命を落とすと言うのだ。泣いても喚いても。押さえ付けても。
そんなものでは心は、愛情は、手に入らない。環はそれを痛いほど知っていた。
これを因果応報と言ってしまえばそれまでだけれど。
作者が環に与えた試練が過酷過ぎて。私は本当に悲しかった。伊月の言う、恩を感じているという言葉すら、遠く空々しく聞こえる。
伊月の自殺を留めた環は、片脚を怪我して、不自由な状態になってしまう。これは。伊月が脚の悪いふりをして、環や芳野の気を惹いていたのと、変な呼応をしている。
対称にはなっていないのだ。環が何をしたと言うのだろう。そして伊月が、この美しい男に何の感情も抱くことの無かった事に戦慄する。こんなにも繊細で、壊れ易い心を持った美しい人に、お前は何不自由なく育てられたというのに。
芳野に誘われて、駆け落ちしようとした伊月は、隠遁するという環の跡を継いで、ちゃっかり千代森家の後継ぎに収まる。それは野心家であった伊月の狙い通りになったのだ。
家名など、どうでもいいと環は思っているだろう。それにしたって。伊月たちの仕打ちはあまりにも自分本意じゃないだろうか。環がそれで良いと思っているだろうに。私は怒りを禁じえなかった。
結城子爵にしたってそうだ。彼も子供の頃から、環を愛していた。両想いだったのだ。とはいえ、家の為と何処ぞの御令嬢とシレッと結婚して。嫁にはもちろん罪は無いので、それを愛し、子作りに励む。何の不満も無い。ただ、愛おしかった日々を思い出し。隠遁した環を訪ね、彼を抱く。嫁との間に子供が産まれたと伝え、環との子供も欲しいなどとほざく。
「もう会わない方がいい。」と制する環に、また逢おうと言う。彼は環が死ぬまで、この逢瀬を続けるのだろう。妻を裏切り、環を裏切り。自分の欲と初恋の余韻に酔って、いつまでも環を自分に縛り付けるのだろう。
環は愛情を、自由に動ける脚を、家督を、全てを失った。彼が一体何をしたと言うのだろう。私は悲しくて泣いてしまった。スピンオフとは。当て馬の救済の為にあるのでは無いのかと。

「腐れ外道」は。一体誰か。

0

雰囲気は良かった

大正ロマン、絵も美しい、旦那様の養子の少年が実は愛人で家の使用人と道ならぬ恋に落ちる…設定はとても好みでしたし導入部分は面白かったです。旦那に陵辱されても希望を失わない健気な少年。旦那様と何やら因縁のある結城子爵の家で悪徳医者に愛人の少年が性的暴行をされ助けに駆けつけた(全然間に合わなかったけど)使用人が激怒して銃をぶっ放す…その辺まではすごく良かったです。

下巻での結末が何だか人として筋が通らないというか…いくら愛人にされていたとはいえ、攻めと共に底辺の生活から拾われ充分な衣食住・教育を与えられていた立場でその仕打ち?駆け落ちを試み、結局はお家を乗っとるってハッピーエンドとはいえちょっとモヤります。

で、下巻の主役は旦那様・環。少年を囲うエロジジイかと思いきやアンチエイジングの長髪美青年風の人でした。少年に手を出すのはアウトだけど薄汚れた人間を拾ってきて美しく育てるという性癖の人みたいです。本当は男を抱くより抱かれたかった人。

攻めの結城というのがどうしようもないやつで、奥さんも子供も大事、でも1番好きなのは愛人のお前(環)だよ、みたいな感じの人です。世間体を最優先しこれからも都合良くこっそり愛人関係だけ続けそう。環も美形なんだからもっといい恋人を見つけたら良かったのに。こんなのに固執するから性格歪んじゃったんじゃない?みたいな。何だか皆美形だけど性格を好きになれる人がいなかったという感想です。

時代が時代なので皆恋愛至上主義という訳にはいかなかったとは思うのですが。設定や絵は素晴らしかったと思います。

15

もうだめだ…

涙腺、死んだ…。

伊月と芳野が通じたことを環が知ってしまった場面で終わった上巻。
下巻は始まりから壮絶でした。

芳野に対する折檻の合間に差し込まれる環の過去が悲しい。
好きだった男。
一緒にいたいと願った男。
その男が違う女性を娶ってから、孤独の中にいた環が見つけた一縷の望み。
それが伊月だったんですね。
もっと大事にしていれば。もっと愛を注いであげていたら。
もしかして望んだ未来があったかもしれません。
でも結局上巻で見た通り、環が伊月に示したのは過去の男に注いだ愛情のかけらも感じられないほどの無関心だけだったように感じてしまう。
その男と似たような姿に育っても、その男ではないという虚しさから?
そのせいだけとは言いきれないけれど、芳野に気持ちを向けてしまった伊月に、絞り出すように告げる懇願が悲しくて、涙なしには読めませんでした。
お互いを庇い合う2人を前に、怒りをぶつけるしかない環を見ているのがつらかった。

自ら命を絶とうとした伊月の構えた銃で環が怪我をしたのが、出会った日に伊月が轢かれたのと同じ左足というのも興味深いです。
主人公の左足が不自由という文学作品の論文を書いたときに調べたのですが、足は「現実」「立場」「男性」などの象徴で、足が悪いふりをしていた伊月は「立場」を守るために「男性」である自分を押し殺して抱かれていたのかなとか、環は隠居という形で結城のいる「現実」から逃避して…って、さすがに深読みしすぎですね。

環が退いたあと、家督を継いだ伊月が屋敷でパーティをする場面がまた素晴らしい。
何の憂いもなく楽しむ招待客に混ざって、芳野に手を取られて2人で踊るシーン。
上巻でひとり踊っていた伊月のシーンは、このための伏線だったのか、と。
鳥肌が立ちました。

場面は打って変わって、軽井沢の別荘で隠居生活を送る環のもとへ、結城がやってきます。
ここからが本番だったんですよ、みなさま!
もうずっと涙が止まらなくて画面は見えにくいし、だけど先は知りたいし、でも知るのが怖いし、どうしたものか分からない状態で何とか読み進めました。

幼い頃の出会いから、現在まで。
環と結城、両方の視点で知ることができます。
知りたくなかった。つらすぎる。
この時代の家というものがどれだけ重いものかは計り知れないけれど、こんな運命なら出会わなければ…と思ってしまう。
でも出会ったから、今まで生きて来られたんだなとも同時に思う。
自分だけが耐えているようなつもりでいた結城には腹が立つし、この期に及んで会いに来るのにも腹が立つ。
だけど結城にはそういう生き方しか用意されていなかったんだよな…。
時代と言ってしまえば時代のせいだし、家のせいだと言ってしまえば、そんな家に生まれてしまったことを呪うしかないけれど、どうにもやるせなくて。
現代に置き換えてはいけません。
そうすると、結城が社交の場と東京では良い夫と良い父を完璧に演じて、愛人のもとへ足繁く通う下衆野郎に見えてしまう。
時代を変えなくても同じか!
だけど…、環がしあわせそうなんですよ、本当に。
過去を思うと、もっとちゃんと陽の当たるところでしあわせになってほしかった。
でもこれが当時の2人に許された最大のしあわせなんでしょうね。
本編の描き下ろしも環の健気さが際立っていますが、電子限定描き下ろしもこれでもかというくらい切ないです。

つらい。
鼻をかみ過ぎてガサガサです。
鼻セレ◯のような柔らかいティッシュを用意して読んでください。

35

切なくて素晴らしい神作!

うわー
本当の萌えはこっちにあったかあ。
下巻は最高です。
切なく切なくて泣きまくりました。
うー、思い出すだけで苦しい。

環の寂しさや恋心、そんな光と影が浮き彫りになる回想シーンに胸が押し潰されそうになりました。
他に行き場のない伊月を縛り、自分の寂しさを埋める手段にしようとする環。
芳野に暴行し伊月に縋る様は、見苦しさと共に言いようのない悲しさを感じました。

好きで好きで、狂いそうなほど愛した男──
結城にあっさり捨てられた環の悔しさや虚無感を思うと、こん畜生!とは思えなかった。
環の過去を知ると、伊月を自分から離れないように縛っておきたい気持ちも理解できたから。
環が歪んでしまった理由が悲しくて、一生忘れられない初恋に胸が痛みました。

それでも真実の愛には敵わないし、環の初恋が消えるわけではないんですよね。
今度は環の足が不自由になってしまうところも皮肉めいてます。

そして、隠居して穏やかに暮らす環の元に結城が訪れ、再び心を揺さぶり──

結城の想いも切ないよ。
家のこと、跡継ぎのこと……分かるよ。
でもさー、自分は結婚して妻と子どもを持って、そのうえ環も求めて……って、これは狡いよ。
生えてきた爪を剥がす様な行為だと思っちゃったんだけど。

それでも結城に抱かれて幸せを感じる環に、泣けて泣けて仕方がなかったです。
「子どもをつくろう」
「流産だ」
穏やかに微笑む環が切なくて、見ているだけで苦しくなった。

電子限定の描き下ろしかな?
結城に別れを告げる環がまた切なくて、それに対する結城の答えは……うーん、やっぱり狡いよ。

ハッピーエンドではないと思うし、環にとっては地獄の始まりかもしれない。
それでも、美しい絵とレトロな雰囲気にうっとりさせられる秀作。
慣習を破ってまで自分たちの幸せを追求しないところも美点なんでしょうね。

「踊る」にかけたダンスシーンが何度も登場するところも美しく、非常に素晴らしい作品だったと思います。
すでに続きが読みたい……環に幸せあれ。

9

控えめに言って最高。

『踊る阿呆と腐れ外道』の下巻。
同日発売になりましたが、上巻だけ買ってくると後悔すること必至です。上下巻まとめて購入されることをお勧めします。

ということでレビューを。

上巻で決着がつかなかった伊月と芳野の恋ですが、今巻の序盤で彼らの恋の結末が描かれています。

描かれていますが、今巻のキモは、彼らの主人の環のお話がメインといえるでしょう。

環が、伊月に固執し、愛した理由。
それは彼の哀しい恋の経験が理由だった―。

上巻に引き続き、環の恋のお話も既視感ありありの王道のストーリー。
ですが、環のお話もめっちゃ萌えた…。

階級制度が存在していて、身分差がある時代。
男同士であるという禁忌。
子を成し、「家」を存続させていかなければならない、その責務。

環視点で進むからでしょうか。彼を捨てた結城(上巻でも登場しています)が外道に見えて仕方がない。けれど、その結城の行動、そしてセリフの一つ一つが、「大正時代」というバックボーンにきっちり合っているんですよね。

だからこそ、「仕方がない」。
そう、環は思うしかなかった。

時代に、そして家に翻弄される男たちの恋の行方に萌え禿げるかと思いました。
愛しているから別れを告げた環の一途で深い愛情に、思わず落涙。

結城、クソかよ!

とバッサリ言えない環が、だからこそ伊月を愛し拠り所を求めた環が、不憫で可哀想で、でも萌えた…。

伊月と芳野のように、何を捨てても二人でいることを選択できたなら。
その二人の描写からの、環の過去の恋の回想へ移行する、そのストーリー展開が非常にお上手で、だからこそ読んでいて萌えが持続しどこまでも高まっていく。

最高か。

で、今作品の素晴らしいところは、ワルツ、そして爪を剝ぐ、といった行為が彼らの感情を端的に見せるツールになっているところかと思われる。

環の過去、伊月と芳野の現在、そして環の恋。
それらを、そういったツールで読ませる。

上巻の序盤でも書きましたが、凄い作家さまだな、というのが正直な感想。
他の作品も読んでみたいと思います。

13

恋を葬らねばならなかった過去(;///;)

下巻です。
こちらでは芳野×伊月の恋の行く末、
すべての起因となる環の恋模様が描かれています。

環のお話は…、
現代に当てはめると嫌悪される方もいるかもしれません。
けれどこのお話の舞台は大正。階級制度。身分差別。
結婚はおろか恋愛すら自由にままならない時代です。
そんな時代に生きた彼等が1度は葬った恋心がひどく痛く、悲しい。

物悲しさが刺さり、個人的にはすごく好きでした。

上巻では環の本心の見えなさが怖かったのに、
下巻では環をギュッと抱きしめたくなる…(;///;)


(上下巻構成だと下巻の感想はネタバレ多めになってしまうのでご注意下さい;)


上巻はホラーなラストでしたが…
うん。やっぱり環は怒り狂ってましたね;

伊月を奪われしまう恐怖で芳野を酷く折檻しながら、
心のどこかで自分の行動に嫌気がさしているようにも見えました。
(個人的には冒頭の「嫌いで嫌いで」自分に対して言ってるようにも感じる…;;)

愛し合ってる2人を切り裂いている自覚はある。
けれど環の心に巣食う淋しさがますます伊月への執着になります。

なんていうか……
環は環なりに伊月を大切にしてたんですよね。
愛し方を変えていたらこんなことにはならなかったんだろうなぁ…と。

芳野×伊月はハッピーエンドです。
(この辺りは結局環の裁量次第ですもんね…)
(環が伊月を手放す瞬間が痛々しくて刺さった(;///;))

上巻がシンドいので結ばれて良かった!って思うし、
1話目の終わりと対比したラストが素敵なんですが……。
も~~~それより環ですよ!環!!!!
ここまで来ると環が哀れで見てられなくて、正直、完全に環に心持って行かれました。

後半は環の恋のお話になります。

恋すら知らない子供時代。
特別で唯一と感じていた結城と密かに契りを誓う男女の真似事をするんですね。
それは幼い環にとって恋心を自覚させていくキッカケには充分過ぎました。
ずっとずっと結城が大好きで大好きで。

けれど青年になった結城は花嫁を隣に置きながら
「君も幸せになってくれ」
と絶望的で残酷な言葉を微笑みながら環に伝えます。

その喪失感といったら…ほんともう…(;ω;)泣
瞬間、環の心が死んでしまったのが…もぅ…!!
(夜明け・黄昏好きさんにこの堪らない萌えよ伝われ)

で、結城の子供時代に似た伊月を拾ったんですよね。
喪失感と執着がすべて伊月に向かってしまったという…。
奪われそうになって激高した理由がここに繋がりました。

次は結城視点に切り替わるんですが、
言葉に出来ない感情がこみ上げて悶えました。

ええ。大切なことなので復唱しますね。↓↓↓
>けれどこのお話の舞台は大正。階級制度。身分差別。
>結婚はおろか恋愛すら自由にままならない時代です。
>そんな時代に生きた彼等が1度は葬った恋心がひどく痛く、悲しい。

恋愛が自由に出来ない時代の両片想いつらーーーーーーーーーー!!!!!(激萌)

環のことが好きで好きで。
でも子爵家の結城には果たすべき責任もあって。

結城の切り裂く感情がワッと溢れるのがすごく悲しい。
許してくれ、会いたい、1度だけでいいから。
この慟哭がめちゃくちゃ刺さった。
時代背景もあり儚い美しさを感じました(;///;)

モノローグがすごく良いんですよ。
詩のように叙情溢れる言葉が切々と綴られててですね。
優しいけれど少し悲しい気持ちになるというか…。
描き下ろしに至るまで"幸せと少しの淋しい"を感じながら涙して読み終えました。

下巻の電子特典は5P。
家に帰る結城へ、環の誠実な想いが語られます。
個人的には結城×環の関係に萌えに萌えたので必読だと思いました。是非。

7

難しい!でも好きです!


上下巻一気読みしました。
絵が綺麗でモノローグも美しく、お話としての完成度がめちゃくちゃ高いです。

上下巻通して痛々しい部分はあれど、伊月と芳野はハッピーエンドを迎えられて本当によかった。
濡れ場の描写がとても綺麗で最高でした...!


さて、もう一つのカップル、環と結城のお話ですが、多分ここで評価分かれるんじゃないのかな...?と思います。
政略結婚とはいえ、攻めが子供までできた上の不倫エンドは他作品でもなかなかないんじゃないでしょうか。
言葉にしてみれば結城サイテー!で終わるし正直今レビューを書きながら思っています。
この二人の恋を正当化することはできません。
おそらくそれは環が一番分かっているんですよね。
でもこの時代の政略結婚にどうやって立ち向かえばよかったんでしょうか。
どうやったって正しく幸せになんてなれなかったのではないかと思います。

離婚するor二度と会いに来ない、が物語として綺麗に終わる落とし所なのだと思うのですが、その結末をどうしても選べない、二人の想いの強さがよく伝わってきて、私個人としては好みでした。
でも環はきっとこれからもずっと辛いね...どちらにせよ地獄です。結城は地獄のような男なので.........
これから先この二人がどうなるのかはわかりませんが、神のみぞ知るということで。

芳野と伊月の話のみだったら萌2だったと思います。
後半二人の挑戦的な結末を評価したくて神評価にしました。

好みは分かれると思いますが、私は好きです。

14

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