Renta!限定版
表紙だけ見て、ウリ専の子の話かなと思ってたんですが、
表紙の子は攻めで、裏表紙のおじさんが受けでした。
金のためにやっていた関係にどんどん本気になっていく攻めの感情のうつろいが丁寧に描かれていて良かったです。受けがなぜ羽振りが良いか、受けがなぜいつも困ったような、それでいて悲しいような表情をしているのか、中盤以降でわかります。
話が重くて胸にクるんですが、ハッピーエンドで良かったです!!
結局どちらも自分勝手、だけど惹かれて、相手を考えられるようになっていく。
ゆるやかな不穏、そして希望の未来が見える作品でした。
作者さんらしい、胸にどっしりと来るシリアスなお話でした。
金欠のハルヒコは、こうなったらゲイ向けの風俗店で働くかと(本気ではなさそう)思ってそういった界隈をうろうろしていたところ、いかにも慣れていなさそうな真面目そうなおじさん、アキヤマさんがある店の前で逡巡しているのを見かけ、店員だと偽って相手をする、というところから二人のストーリーが始まります。
ハルヒコは適当そうな若者にみえて、お話が進むにつれだんだんそうでもなさそうだと分かってくる。その辺の描き方が上手だな~と思います。
何かHなことをしたそうなアキヤマさんだけど、無理強いはしてこないし毎回お金もくれる。適当にあしらって儲けようと思っていたハルヒコですが、どこか投げやりなアキヤマさんのことが段々気になってきて。。
劇場なら二人芝居で関係性や背景がだんだん明かされていくというドラマになるだろうなあ、と思わせられます。
読み応えあり。
なんとなくずーっと薄暗いまま進んでいくようなお話で素敵でした。こういう雰囲気的大好きです。
ハルくんと平日の昼から会っていたり、明日も明後日も、と毎日会う約束をしたり。アキヤマさんはどうしてこんなに羽振りがよいのかとなんだか不安に思いながら読み進めていましたが、「今から死ぬから」のところでああ…となりました。
ハルくんに好きだと言われても、自殺を止められても、死ぬことをやめるという選択はしないしハルくんのために生きるという選択もしない。それがまた切ないけどでもそれが本気で死にたいってことなんだろうなと。下手にそこで自殺をやめてっていう展開にならなかったのが現実味があってよかったです。
それからハルくんがアキヤマさんのことをずっと好きでいたのもよかったです。アキヤマさんがきっかけで男に目覚めるわけでも新しい女を作るわけでもなく。ただただ”アキヤマさんが”好きだったんですよね。それ以外の男となんてヤれない。なにより再会した後に「口説こうと思ってた」と言われた後のハルくんの表情がいい…。嬉しそ~とこっちまでニヤついちゃいました。
1巻完結で続き物じゃない朝田作品の中で1番好きです!
BL的な萌えというか、エッチ度合い(?)は他の作品と比べて個人的にいちばん強かったかもしれません。
おじさん萌え属性は持ってないし、芽生えた訳でもないんですが...このカップルは好き。
事前情報なしで手に取って、ハルがカワイイ系の見た目でアキヤマが年上のおじさんだったのもあって、気弱そうな穏やかな人だけどアキヤマが若い子好きの攻めかな?と勝手に思ってたんですが、途中から察し...えっそっち?!と驚きました。笑
私は全然大丈夫だったし読んでみたらこれがこの2人の左右の正解だとも思ってるんですけど、私と同じようにハル受けのアキヤマ攻めだと思って手に取った人の中には地雷を踏む人もいそう。
ゲイパパ活的なお金の関係から始まるんですが、ハルとアキヤマが両思いになってお金の付き合いもこれはからはなしね!ということになって、おめでとう~って頃にアキヤマは自殺未遂します。
あの金払いのよさと散財具合から、この人は死ぬつもりでお金を使い切ろうとしてるんじゃ?ってずっと頭をよぎってました。やっぱり.........。
そして死ぬ直前にハルに電話するというハルにとったらとんだトラウマ行為をやっちゃうんですけど、死ぬのが怖くて電話しちゃうケースは多いと思うんですが、アキヤマの場合死ぬのは確定でハルに電話してる。
本当に当初は電話する予定じゃなくて、ハルの知らないところで勝手に実行してそのまま消える予定だったのにイレギュラーなことをしてしまったんだと思う。
そもそも、アキヤマはハルに本気で恋する予定は多分なくて、ハルがアキヤマを好きになるなんてシナリオはもっとありえなくて、いくつかの予定調和が元々辿るはずだった未来とズレていってて。
結局助かって生きてたけど、色々考えてたらもしかして予定外はここもだったんじゃないかと思えてきました。
ハルに電話してる間に下に車停められてた...ってあったりします?
アキヤマさん抜けてるところがありそうだからただの確認ミスだったのかもしれないけど...でも普通飛ぶ前に1回は下見ないかな。(私なら見る)
電話する前にはちゃんと下見てたけど、電話したあとは特に確認しなかった.....とか...ないかなぁー。
深読みのしすぎかもしれないんですが、本来は助かる未来ではなくてズレが生んだ末の運命の分岐だったとかならものすごいなって。
もしそうだったのなら、ハルは死ぬ前に電話されたこともその電話に出たこともイレギュラーに湧いた選択肢から最善の選択をしたことになって、トラウマ行為から一転、ハッピーエンドへの切符になりますし。
どうなんだろう、ずっとあそこに停ってたのかな?
金欠で家賃も滞りスマホも止められそうな状況下、「楽に稼げるバイト無いかなー」とうろつくニートの青年ハルは、偶然知り合った冴えないサラリーマン・アキヤマさんに嘘を吐いて焼き肉を奢ってもらった上お金をもらう。最初のうちは体の良い金づるとしか思っておらず、何度も会ってはお金をもらい、スマホを買い換えたり服や靴を買ったりしていましたが、だんだん気持ちが変わってくる、というお話。
淡々と続いていくパパ活を通して、ハルの気持ちの変化が描かれます。
最初の頃は、働かなくてもたくさんお金がもらえてラッキーくらいにしか考えていなかったのが、そのうち変化していきます。良心の呵責、というほどでなくても、だんだんアキヤマさんに情が湧いて、このまま騙していいのか、いやただの金づるだろ、という葛藤が芽生えます。
そもそも金づると思っているなら、アキヤマさんの機嫌を損ねてはいけないはずなのに、イライラするのを隠さなかったり、嘘がばれるようなことを言ったりして、それでもアキヤマさんの態度は変わりません。
ここまで来ると、何をされても穏やかでやたらに金払いのいいアキヤマさんのことが心配になるというもの。
アキヤマさんの事情も描かれ、こちらの不穏な想像も的中しますが、この後どうなるのかが気になってページをめくる手が止まりませんでした。
良かったのは、ハルにとってもこのことは人生に影響を及ぼすような大きな出来事だったのだ、ということが描かれていたことです。事故をネットで調べたり、病院を探してお見舞いに行ったり(会えなかったけど)したことが分かり、ほっとしました。
また、ちゃんと定職に就き、しかも技術を身につけようと勉強中で、「あんたの言ってたことが分かる気がする」などと言うのを聞いて、大人になったんだなと実感。
ハルはお金をアキヤマさんに返したけど、本当はもっとずっと前からそうしたかったのだということも分かりました。
淡々と描かれている作品なだけに、流れる時間や空気感が伝わってくるのも良かったです。