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表題作不道徳な闇

俺様で傲慢 笹川
愛情に飢えた孤独な椎名巡

あらすじ

「俺、いくら寂しくても、あんたにだけは縋らない」ある放課後、高校生の椎名巡は駅のトイレで数学教師の笹川に身体を奪われた。普段は薄汚れた白衣と教師の仮面で世間を欺いている笹川だが、その実、欲しいものを手に入れるためならどんなことでも厭わない男だ。愛情に餓え、プライドの高さゆえに弱みをさらけ出せない椎名を、笹川は甘い言葉と快楽の技を駆使して追いつめていく。情欲に縛られる椎名。激しい独占欲をもつ笹川。深く、背徳的な恋の闇に落ちていく二人だが・・・!?

作品情報

作品名
不道徳な闇
著者
松田美優 
イラスト
実相寺紫子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813011408
3.1

(18)

(2)

萌々

(5)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
53
評価数
18
平均
3.1 / 5
神率
11.1%

レビュー投稿数5

これは不道徳の極み……

電子版挿絵あとがきなし。Kindleunlimited対象作品です(2020年12月現在)。
松田美優先生流の教師✕生徒モノ。松田先生らしく、教師と言えどオラオラ系で、受けの生徒も健気タイプとは真逆の、年上女性と援助交際してるような子です。
そんな受けがある日の放課後、攻めに手ごめにされ…という先生お得意のパターン。文章には力があって引き込まれるものがあるし、レイプシーン自体も、受けが女々しいタイプじゃないので平気なんだけど、いかんせん他に胸糞系の要素が多く、私の許容範囲をオーバーしてしまったので中立にします。

まず受けの家族が胸糞。家族が受けを疎外する理由は後半判明するが、到底納得ができなかった。実は血が繋がっていなかったとかなら、百歩譲ってまだわからなくもないが、実の母親があんな理由で、我が子を兄弟と差別し続けるなんてあり得ないと思う。

そして何より、攻めが胸糞過ぎ。
松田作品の攻めは強引で暴力的なのに、謎の魅力があるのだが、それを持ってしても、女子中学生とヤッたっていうのが本当に…。さんざん近親ものとか年の差ものとか読んでる私が言うのもアレだけど、中学生というだけでもう、私の心の中のBL倫理委員会は、完全にアウトな判定。
しかも浮気とかじゃなくて、「頼まれたから抱いてやった」みたいな開き直りが胸糞。人助けみたいな気でいるのがまたなんとも…。受けに対しても「俺を頼れ」って最初から言ってるし、不安定な子供を放っておけない何かがあるんだとは思う。でも何度も言うけど、中学生は(本当なら高校生も)アウトですから!

せめてラスト、受けを助けようと親身になってくれていた仲原先生(この作品の唯一の良心)は汚さないでほしかった……。これで仲原先生もドン引いたため、邪魔者は消えて無事共依存エンドになるが、そこまで綺麗にこのオチがまとまってるかというのも、うーん…。胸糞系、ダーク系がお好きな方には刺さるかも。

ただ本作からも、作品を通してこういうカップリング、こういう世界観を書きたいという熱意を感じられ、そこはグッとくるものがありました。 

1

困ったなぁ……

とりあえず現時点で読むことの出来る松田さん小説を読み尽くしました。
で、これが一番最後に読んだものなんですね。
「……困ったなぁ、最後がこれかよ」というのが正直な感想。

というのもこの作品、タイトル通り本当に『不道徳』なんですね。
母に疎まれ、家庭では『いないもの』として扱われているため、家庭以外でも自分から他者との関わりを拒絶し続けている美貌の高校生を、教科担任の悪い男が喰って(それも最初が強姦!)しまう話なんですよ。
いやー、私はポリコレ信者ではないですけれども、これはかなり「胸くそ悪い」と思ったの。
でもごめん、萌えがあった。
かなり拗くれ曲がった複雑怪奇な萌えなんですけれども。

このお話、徹底的な『椎名視点』なんですね。
だから、家族に対しても級友に対しても、そして笹川に対しても『椎名はこういう風にその人を見ている』というだけなんですよ。だから「いや、それはひょっとして誤解なんじゃないか?そんなことはないだろう」という様な状況があったとしても、それはあくまでも『椎名がそう思っている』ということだと思って読んだんです、私は。だから「なんで椎名に対する虐待に気づいた教師が児相に報告しない!」とか「教師が自分の生徒と関係したら大問題に発展するだろうが!」なんていう突っ込みはしなかったのね。
むしろこれは「自分のことを誰も理解してくれない」という徹底的な孤独を感じている思春期の子どもの内面を書いた話だろうと。

で、そんな子が、自分の今いる現状から引っ張り上げてくれる救世主として選ぶのが『学校ではダサイ仮面を被っているけれど、ひとたび外に出れば危険なオスの香りをプンプンさせている数学教師』なんですよ。おまけに彼は、誘われれば中学生とも躊躇わず寝ちゃう男なのね。
「いたよ、あたしのクラスにも、椎名みたいな子」って感じ。
そう思ってからは椎名が『少女』に見えて仕方なかったんですよ。
いや、性格とかは確実に男の子なんですけれどもね。物語の構成が『非行少女もの』に見えるんです。

で、笹川もね、ヤリチンなのかって言えばそうでもないんですよ。
彼が関係を持つのは機能不全家族の子だけみたいな感じがするのっ!
で、そういう子を狙っているっていうよりも、救ってやっているっていう風に思っているみたいなのっ!
で、笹川が『嫌な奴』として書かれないんですよ。彼の部屋にある友人達との写真の描写とかから。
これ、ヤバイでしょう。
当然、道徳的にもヤバイんですけれど、心理的に考えると更にヤバイ。
共依存の香りがプンプンするんです。

さらっと読めば『不道徳な闇』は椎名を覆っている様に読めますが、実は笹川の闇の方がもっと深そう。
ダークで不毛な関係がお好きな方は垂涎の1冊になるやもしれません。

4

『赤い呪縛』が許せるなら本作も大丈夫

電子書籍版を購入。
挿し絵なし、あとがきなし。

あらすじの笹川の鬼畜っぷりに驚いて、思わず購入してしまいました。
BLにありがちな、鬼畜に見えるけど実は……なんて展開はありません。
救いようのない、天晴れな鬼畜。

正真正銘の鬼畜を求めている人には、自信をもってオススメします。
こんな人が教師なんて恐ろしい……そんな常識的な感覚は横に置いておいてください。
深く考えたらダメ。
そんな設定も、鬼畜度をアップするスパイスとして楽しんでください。

笹川の背景や過去のエピソードが描かれていれば、もっと作品に深みが出たのかな?と思いますが、そうなると鬼畜感が薄れるのでこれで無問題。
プツリと強引に切断されたような唐突な終わり方も、不満がないと言えば嘘になりますが、これはこれで潔いのかもしれません。

読後感は、『赤い呪縛』を読み終えた時のものと全く一緒。
唐突な終わりも一緒。
あの話が許せて、「結構好き♪」って方は、きっと本作も気に入るはずです。

1

うーーん

いろいろと中途半端な印象でした。
まず、受けの家族関係が中途半端。
家族関係は受けの闇を形づくった原因で、物語の核となる部分なんだけど、引っ張ったわりには陳腐な収束のさせ方で、肩透かし感がありました。
長い長い確執がたったあれだけのことで雪解けに突入していいの?みたいな。
理屈だけで組み立てましたって感じ。
これならいっそ、不仲のままにしておいたほうがいい気がしました。

恋についても微妙。
松田さんお得意の野獣系の攻めに、今作ではまったく魅力を感じなかったです。
「教師なのにこれでいいのか」という思いがずっと消えなくて。それを消してくれるほどの「ナニカ」があれば良かったんだけど。
背徳的なストーリーは本来大好きなんだけどな…。

ラストは萎えました。
言う必要性を感じられなかったので。
受けが本気で攻めから離れようとするとか「それを言わなきゃどうにもならない」という切羽詰まった状況でああいうことを言ったならゾクゾクしたと思うんだけど、そこまで切羽詰まった状況ではなかったし。

2

切ないけどかなり良い

ガンガン攻めの教師×孤独な高校生のお話です。
主人公は女子の注目を絶えず集める今ドキの高校生。学校では常に人と一歩距離を置き家庭では自分はいてもいなくても同じ。
椎名の愛情に餓えた孤独な心を見透かし、最初はいきなり、次からは体も心も翻弄していく教師の笹川。
学校では冴えない教師のフリで世間の目を欺き、椎名の前には獣のように迫る笹川の二面性がまず素敵です。
椎名の現状は家庭の事情だけに他人には気づかれずまた本人も気づかれまいとしているので胸にキます。
全体的にシリアスではありますが、笹川以外の人たちとの交流や笹川を受け入れることで少しずつ椎名も成長し変わっていきます。そして得ることによって失うものまた手に入ったものがあることを体験するストーリーは切ないです。
しかし野生の獣みたいな愛情を示す笹川と反発する椎名のやりとりが緊張感があって良いですね。
こんな色気のある攻め気の教師はまずいないのでファンタジーだなーと思いつつ内容は真剣なものなのでそこがよかったです。
椎名の心をえぐるように挑発する笹川の言動も、すべては手に入れんがため。椎名を手に入れた後にした行動には驚きでした。その行動にキレちゃう椎名が不憫~でも超可愛いです!!
S気もM気も理解のある読者サマにすごくお薦めです。

2

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