三角関係、ついに完結!

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表題作寄越す犬、めくる夜 (5)

新谷
菊池

あらすじ

「かわいそうな奴」に惹かれる男×健気なチンピラ受×不憫な死にがたり受


「須藤さんが好きだから生きていてほしい」

須藤の故郷へ、ともに逃げてきた新谷。
そこで、新谷は須藤の悲惨な過去を聞き、彼をやさしく抱いた。

翌朝、緊急事態のまま別れた菊池に
新谷は「もう少しで戻る」と電話をかけたが、
追手のヤクザ達は迫っており、
死にたがる須藤と向き合っていたーー。

すべての元凶のこの場所で
新谷はこの悲劇を終わらせることができるのかーー?

作品情報

作品名
寄越す犬、めくる夜 (5)
著者
のばらあいこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
シリーズ
寄越す犬、めくる夜
発売日
電子発売日
ISBN
9784396785345
4.6

(115)

(95)

萌々

(8)

(6)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
529
評価数
115
平均
4.6 / 5
神率
82.6%

レビュー投稿数16

これぞ神作品。

『寄越す犬、めくる夜』の5巻目にして完結編。
いわゆる三角関係ものって誰視点で読むか、誰推しか、で読み手の感情も大きく変わっていくものだと思うのですが。
個人的にワタクシ須藤くん派でありまして。なので、新谷くんには須藤くんを選んでほしかったんですよね。けれど4巻までの流れで、新谷くんは菊池くんを愛しているのだろうと。菊池くんを選ぶのだろうと、そう思っていました。

この三人の関係は、非常に俗物的な言い方をすると恋人(菊池くん)と愛人(須藤くん)に愛された男(新谷くん)、というベクトルなんだと思うんですよね。で、4巻の終わりで、本命の恋人をおいて愛人を追いかけた男という非常にドロドロな展開だったわけですが、もしかしたら新谷くんが須藤くんの手を取る結末もあるのかも?とちょっと期待しつつ5巻を読み始めました。

三人とも裏社会で生きている男たちというダークな世界観のお話で、結末は一体どうなるのかとひやひやしながら読んでいましたが、読後はすっきり。三人とも、自分の罪を認め、罪を償ったからかな。ずっと暗いトンネルの中を歩いてきた彼らが、その先にきちんと光を見つけ、そこに向かって歩いた。だからこそ、その光が、読者に希望を与える。

新谷という一人の男を愛した須藤と菊池。
愛し方も、その表現も異なる。
そして新谷くんも。
彼が手に取ったのは菊池くんだったわけですが、その想いとは違う次元で、彼は須藤くんをきちんと愛していたんだなあ、と。「身体」が自分の傍になくても。物理的に距離があったとしても。新谷くんと須藤くんは、きちんと気持ちが繋がっている。その二人の想いに気づいたからこそ、菊池くんは二人を繋げる手伝いをした。

深いなあ。
深い愛情だなあ、としみじみ感じ入りました。

5巻を読み終わって、表紙を見返して、すごいなと思いました。
この構図って1巻と同じなんですよね。
けれど、ちょっとだけ違う。

衣類の有無はちょびっと置いておいて。

新谷くんの手は菊池くんと繋がれている。
けれど、彼の足はまるで須藤くんを守るように須藤くんを囲んでいる。
そしてこちらを目を開けて見ているのは菊池くんだけ。須藤くんと新谷くんは目を瞑っている。

意識のある所では菊池くん、意識下では須藤くん。
を、新谷くんは愛しているのかなあ…。なんてね、深読みしたりしてしまいました。

新谷くんは菊池くんと共に生きることを選択しました。
この三人が、いや、須藤くんと新谷くんが、再び会うことはないのだと思います。
けれど、新谷くんと須藤くんは、物理的なものではなく、肉体的なものではなく、もっともっと深いところで繋がっている。
須藤くん推しの私は新谷くんと一緒に生きていってほしいと思って読み始めましたが、共にいなくてもいい。それは些末なこと。二人の愛情の深さはそんなことでは測れない。と。そんな感情に、今包まれています。

今シリーズの1巻を読んだときには思いもよらなかった結末に、思わず落涙。
のばらあいこという作家の才能に感服。
文句なしの神作品。
痛い展開も多いので苦手な方もいらっしゃるかも。けれど、それを遥かに超える深い深い愛情が、今シリーズには描かれています。

25

ハッピーエンド?バッドエンド?

私は1巻の頃から菊池が好きで、どうか新谷さんと結ばれて欲しい、と願いながら2巻、3巻と読んでいました。
4巻で、新谷さんから頼られる菊池、という場面があったので、新谷さんは菊池を選んだんだと…
でも4巻後半から最終巻を読んで、新谷さんは菊池を選んだけれど、ずっと須藤さんを想っているんだと、本当に抱きしめたいのは、愛しているのは須藤さんなんじゃないかと思いました。
そして、その気持ちに菊池は気づいていると。
私は菊池がこの先、ずっと、須藤さんのことを思い続けている新谷さんの隣に居続ける覚悟を決めたラストシーンに感じました。
チンピラからすっかり大人になった春馬くん、心から、幸せになってほしいからこそ、そんな新谷さんの隣でいいの?辛くないの?と思ってしまいましたが、菊池はきっとそうゆう新谷さんが好きなのですよね、うん、しょーがない。
新谷さん、頼んだ。

須藤さんは少しは楽になれたのでしょうか、最後の笑顔を信じたいです。

欲を言えば、新谷さんの心情をもっと見たかったですが(私の読み取りが甘いのかも)、ストーリーとしてはこれ以上ない結末だったと思います!

18

健気ワンコ好きの感想

三角関係の話と知り読み始める当初、誰の肩も持ちたくない、フラットでいこう…と自分に言い聞かせた。誰かに感情移入し過ぎることで物語を楽しめなくなったり、下手をすれば二度と読めなくなったり…そんな事態に陥るのが嫌で。
が、感情には抗えず…。1巻最初の春真新谷のキス(須藤さんの心にも火をつけちゃったアレ)にギューンと胸を鷲掴みにされて以来、読めば読むほど春真推しに。

自分が春真の側から見ていると特に強く実感したのが、何度か繰り返された大人2人の性癖全開エロの場面。狂気と生々しさが刺さって毎回すごく苦しくて。
3巻で束の間の幸せ…春真は悲壮感MAX、新谷にはアンタ散々色々しておきながら正面から抱きつくのまだ許可必要だったん?って突っ込みたくもなったりしたけれど…とにかく今までで1番濃厚で気持ちの通ったふたりが見られて良かったと思えてからの、地獄の3P。それぞれの闇を直視するのは勇気がいったし辛かった。実際、春真に対する酷い仕打ちには吐き気がしたし…もう無理かも、と。
新谷にとって美由紀やクスリのことがなければ決して見せたくない姿だった筈でそこは信じるけれど、やっぱり彼は被害者じゃない、共犯者、いや、須藤さんの指摘の通りで、突き詰めれば主犯だったのかも。
〝カワイソウ〟な2人がそれぞれ自分に対してズブズブと傾倒していくのをまさしく「肌で」感じながら、双方を傷つけることになるとわかっていながら、抱き続けたわけだから。
字面にするとまた…これやっぱり最低な気が。新谷の行動はどうしても優しさだけで片付けることはできなくて。特に前半「救う」のみに本当に本気だったのなら別のやり方が絶対にあった。救う側のようでいて彼も負けず劣らずの闇を抱えていたんだよなあ…だからこそ成立した三角関係だったわけだけど。

で、転換点になったかなと思うのがこの直後の春真のピュアすぎる告白。新谷は「こいつとは離れられない」と心底思ったんじゃないのかな。その後の逃避行に至る行動は無鉄砲ではあったけれど、戻る場所がはっきりしたからこそできたことだったと。その後も須藤さんを優しく抱くわ、連れ帰ろうとするわ、ほんとどこまでやっても春真は自分を見限ったりしないって確信があったんだとしたらそれはそれでムカついちゃうけども。いくらなんでも甘えすぎだぞ、お前〜って。
最終巻読んで直後に綴った某所レビューでは幸せ感が勝り新谷に甘口になった自覚あり…、日が経てば経つほど溜め込んでたものを吐き出したくなってきて、ここに至る訳で。
読んで不快に思われた方はどうぞスルーして下さい。

で、迎えた最終巻。

春真の幸せを願いつつも、須藤さんが嫌いなわけでもなく、新谷も結局憎めないけど言いたいことは溢れる程あったしで、のばら先生が用意した結末を兎にも角にもドキドキしながら読んで、結果、綺麗な温かな終結に涙してほっと胸を撫で下ろした。
何より納得できたのが、3人が犯した罪にそれぞれのできる形でとはいえ、責任を取ったこと。そこをうやむやにしたまま誰かと誰かがくっついても、もやる思いは消えなかったと思うから。
春真は新谷や警察に自分があの時犯してしまっただろう罪を告白し、一生それと向き合っていく覚悟を決め更生のため努力を重ね…新谷は春真と須藤さんをそれぞれ命懸けで庇い、逃避行に付き添った末に須藤さんの自死を防ぎ、その後3年間、罪悪感と向き合いながら春真の更生を側で支え続け…須藤さんも自分を生かすため命を懸けた新谷の想いを汲んで、自分が盾になることにより、ふたりから身を引いた。

贖罪と更生の3年間を経て晴れて本当の恋人同士になった新谷と春真の元に舞い込んだ、須藤さんの消息についての知らせ。春真にとっては迷いも躊躇いもあったに違いないけれど、須藤さんの現在と向き合い新谷と再会させると決めたのは英断だったと思う。本当に新谷の弱さ含め丸ごと愛して、この先も愛していくんだなと。

ふたりとひとり、別々に生きていく彼らの人生は二度と交錯することはないと思えばこその、切なく寂しく尊い別れ。
自らの為にもふたりの為にも言葉を絞り出した須藤さん、静かに受け止めた新谷、ひいて見守った春真。
皆、弱さ脆さを抱えながらも、少しずつ強くなった。
新谷が須藤さんの今にある程度安堵できたことで、その幸せを願いつつも引き摺ってきた己の罪悪感に区切りをつけ、春真との未来に進んでいく、そういう前向きなシーンと思えた。

新谷と春真にはこれからも穏やかな愛ある日常が流れて…そう遠くないうちに美由紀ちゃんにバレそう。大人になった美由紀ちゃんは既に勘づいていて見守ってる説も大いにアリだけど。彼女が巻き込まれることだけはお兄ちゃん同様私も絶対に許せなかったから、トラウマが残らず幸せそうな様子が見られて本当に良かった。

そして最後の最後、健やかな笑顔を見せた須藤さんは…(on blueの番外編読了済)

様々な媒体での最終巻に関する感想を読んで、三角関係の物語を皆が満足する結末に帰着させることの難しさをひしひしと感じつつ、そんな中でも新谷・春真・須藤さんの誰に思い入れがある人が読んでも最大限納得のいくものに…とのばら先生がそのバランスにものすごく心を砕きつつ最後まで描かれていたのだろうなというのも、読み返せば読み返すほど伝わってくる。(番外編も含め)
だからこそ切なさと幸せ感が交互に押し寄せてくるような不思議な読後感になったのかもと。

私の場合は最後新谷と春真のその後を一コマでもいいから見たかったなとかあるけれど…でも少しの渇望感が残ったことで、かえって自分にとってより印象的な忘れられない作品になったようにも思う。…後はもう勝手に妄想しとこ。

のばら先生、苦しくも愛しい、禍々しくも温かい、素敵な物語を有難うございました!

14

感動…(ホッとした)

「地獄の三角関係」(公式)の完結巻。
読む前に4巻を再読。須藤の過去が辛かったああ〜(知ってたくせに)。

ドキドキしながら読んだ5巻。
修羅場が少なくてとりあえずホッとしました。

須藤の「亡霊みたいな人生」を新谷の「生きてほしい」で再生してあげられてよかった。

須藤が死のうとしていたのを新谷は気づいていたんですもんね。だから離れられずにいた。

筋金入りのかわいそうな奴好きの新谷が、とことん須藤に向き合って見殺しにしなかったのが、中途半端に須藤に付き合ったわけではない、不憫な奴萌えの性を貫いたのがよかったです。途中ヤキモキはしましたけどもw

でも新谷としては、須藤に助けてもらった、須藤を救えなかった、という気持ちが残る。
それを菊池が気にかけるのも痛いほどわかる。

須藤は自分が生かされ、新谷をあきらめる代わりに、せめてもの恩返しであり復讐のように2人をを守る、というのが須藤らしいなと思いました。

4巻で、新谷は菊池を信頼し甘えた上で須藤と一緒にいたので、私は新谷は菊池を選んた。須藤は敗北宣言をした。と解釈していました(レビューでもそう書いた)。
自信はなかったけど、結果的にその読みで合っていたかな、と思い安心しました。
(他にもいろんな解釈ができるし、それが本作のおもしろさでもあると思います)

私は菊池が好きで新谷とのハピエンを望んでいたので。

でも須藤にも救いがあってほしい。
(ぶっちゃけ私はクズ萌えも闇萌えもないので、新谷菊池美由紀に危害を加えた須藤を好きではないんですけどね)

それが叶えられた結末で、ほっとしたし、新谷的にもケリがついたし、これ以上ない終わり方で感動しました。
さすがのばら先生、痛い辛い展開ではあったけれどもハピエンを描いて下さるだろうと思っていたのでうれしいです。

髪を切り黒く戻した菊池が別人のようで、言うこともしっかりして、ほんとに菊池?となりましたがw
やさしくて新谷に一途なところは変わらず、おお、菊池大人になったな〜と近所のおばちゃんのように喜びました。

3人とももう辛い目にあうことがなくてほんとによかった。

美由紀ちゃんも元気そうでほんとによかった。

辛い目にたくさんあったけど、あたたかくやさしい日々を送る3人が見られてよかったです。
暗闇の後には光が射すんだよ…のばら先生からそんなメッセージを頂いたような気持ちです。
ありがとうございます。

13

号泣

一コマ一コマ噛みしめるように読みました。自分でもこんなに泣くとは思ってなかったです。こういう作品に出会えるからBLはやめられません。文字通りの地獄の三角関係がこんな形に昇華するとは。新谷さんの白黒つかない二人への気持ち、菊池くんと須藤さんのそれぞれの新谷さんへの愛を見事に描ききった傑作。こんな素晴らしいラストを読ませてくれてのばら先生に感謝しかないです。もうこれ以上の作品に出会えないんじゃないかと思えるほど衝撃的に素晴らしかったです。涙が止まらない、感動しました。

12

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