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表題作凍る月~漆黒の情人~

梁井轟,美術鑑定家(獣人)
鳳光陽,19歳,20歳になったら死ぬと言われている青年(餌)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

二十歳になったら死ぬ子供…。
そう予言された光陽が、間もなく二十歳を迎えようとしていた。
予言を知らず、家の中に閉じ込められるようにして育った光陽は、祖父と約束した「二十歳になったら自由にしていい」という言葉を信じ誕生日を楽しみにしていた。
しかしある日、光陽の前に美術愛好家の梁井と名乗る男が現れる。
梁井は光陽を屋敷に呼び寄せ、「契約」を取り付けようとしてくる。
「契約」の内容はとても屈辱的なもので、光陽には耐えられそうになかったが、「お互いが死なない為に必要なこと」だと言われ…。

作品情報

作品名
凍る月~漆黒の情人~
著者
夜光花 
イラスト
高橋悠 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズ文庫
シリーズ
凍る月~漆黒の情人~
発売日
ISBN
9784812431290
3.7

(64)

(23)

萌々

(11)

(25)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
17
得点
238
評価数
64
平均
3.7 / 5
神率
35.9%

レビュー投稿数17

攻めは良い!

元々、人外物はあまり好みではないので、読む機会も無いのですが、全巻図書館に揃っていたので手を出しました。出来れば全巻揃えてイッキ読みするのがオススメ。
獣人とは言え、ほぼ人間体で話が進むので(エロシーンも)あまり気にせず読めました。

シリーズ化されているので壮大なお話になっています。「凍る月シリーズ」の主人公は餌の光陽(受け)。獣人は餌を食べないとなりません。餌属性だと怪我したり食べられても再生しちゃうので死ぬ訳ではありません。
獣人である梁井(攻め)は光陽を自分のパートナとして専属契約をさせるように迫ります。そして事件が起こりまくるw

サブストーリである「花シリーズ」は餌の巴(受け)と凍る月にも出てきた須王(攻め)のストーリで進みます。凍る月でも光陽は好きじゃなかったんですが、こちらでも巴のことは好きになれませんでした。いや、作品自体は面白いんですが、どうしても受けに情が移らない。なんでだろう。空気?自分の置かれた立場?が読めないとか、弱々しすぎるからかも知れません。悪い言葉にするとアホっぽ過ぎる…凍る月も花も攻め及びその周囲の人(獣人)達が出来過ぎな人達なので、受けの幼さというか、うーん、まぁ子供のまま育っているからって事も割り引いてもなぁ。
で、話の中ではもう、それはそれは須王が甘い(笑)
巴を甘やかしまくるスパダリです。

シリーズ最後は受けの光陽が締めてくれます。キャラクタ的に明るいので、こういう終わり方が良かったのかもなって思いました。でも、出てくる受け(光陽と巴)はやっぱり好みじゃ無いな(繰り返し)

お気に入りは蓮と須王なんですが、須王の方は巴との関係は萌えず仕舞いで…後は銀ももう少しバックストーリがあっても良かったのかななんて思いました。でもそうなると書ききれなくなるんだろうな。

出てくるキャラクタ達はそれぞれに個性や想いがあって、それらを上手くまとめられていて、着地させているのは凄いです。難点はエロがちょっとマンネリというか、パターン化されてしまっているように思えたのが残念。どちらかと言うと、恋愛を進めるっていうよりは、エロはお話の小道具的な位置付けです。まぁ話の進展上、イタすことが欠かせないってことになっているのもありますが。恋愛における心の動きよりも人間対獣人、組織対その他、という争いの観点で物語が進んでいくので、そういう意味で読んでいて面白かったです。

後は、最初からシリーズものだったんじゃなくて、続編が出るかどうかって感じだったようで、ちゃんと単体でのエロ詰め合わせが小出しに盛り上がる感じには出来なかったのかも知れませんね。

身の回りにも実はいるかも知れない獣人達!

あ、アレックス…あなたこそ不死身じゃ無いのか?って思うくらい元気でしたね。普通の人間だとは思えない活躍ぶりでした。
どこかで慰安旅行のSSが読めたらイイのにな。存在するんだろうか〜一気にここまで読みました。
もう、光陽って、なんで善良なんでしょう(笑)
もう素直に梁井と平和に暮らしてほしい!

0

キャラが弱い・・・

ストーリーは面白いんだけど、キャラが魅力的じゃなくて残念。光陽があっさり異常な現状や梁井を受け入れるのがつまらない。光陽と梁井の関係もなんかなるようになりました感があって薄っぺらい。どのキャラも、ストーリーをスピーディーに展開させるためのとりあえずのコマって感じが否めない。キャラの感情や行動に共感できなくて一巻読んだらもういいかなってかんじ。せっかくおもしろそうなストーリーなので、もっとキャラの性格に深みを入れて欲しかった・・・。残念。

1

ダークファンタジーの幕開け

何年かぶりの再読です。
夜光花先生の獣人シリーズの1作目。
こちらの作品、今(2021年)からもう14年も前に発売された作品になるんですね。ちょっと驚き。
何がって、この時からお話と設定が非常に胸躍る面白さであること。
そして、今現在の夜光花先生の書かれるファンタジー作品が更に面白いものになっていること。
読ませる力と進化が止まらない、稀有な作家様だなと思います。

今ではバラエティに富んだ設定の作品が豊富に読めますが、当時はあまりバトル要素のあるダークファンタジーや獣人など、特殊設定を含んだお話は決して多くはなかった記憶があるのです。
そんな中でのこちらの作品ですよ。
初読時に感じた新しさを思い返しながら読みました。なんて面白さ。

母以外の人は顔も知らぬ謎めいた存在の父と、香を炊いては、何かから必死に遠ざけるようにしていた今は亡き母。
易者(占い師)から、この子は20歳まで生きられないだろうと告げられた子供・光陽。
光陽の前に時折現れる、歪なシルエットをした二足歩行の獣。

導入がとても上手いのですよね。
何が起きてしまうんだ?が続いていくというのか、"気になる"が沢山散りばめられている。
傷を負ってもすぐに治ってしまう不思議な体質の持ち主であることや、易者からの予言めいた言葉と母親の遺言もあって、19歳になる現在まで屋敷の中でひっそりと育てられた光陽。
20歳になったら…というワードが登場する度に、いったい20歳になったらどうなってしまうのだろう?という気持ちでいっぱいになる。

獣人と餌という、人の社会の中に溶け込んだ人であり人ではない何か。
獣人にも餌にもメリットがある"契約"も、餌側に拒否されてしまえば出来ないなんて設定も面白いですし、数少ない餌を奪い合う獣人たちがいたりと、ちょっぴり血生臭い中お話の中で光陽と梁井の契約関係が少しずつ変化していくのも読み応えがあります。

光陽が文字通り、箱入りのままで真っさらに育った青年なので、考え方が甘かったり、世間知らずさが目立つ部分もあるのですけれど、そこが攻めである梁井にとっては良かったのかもしれませんね。
不遜な俺様感が強かった梁井が、どんどんと甘くツンデレ化していくのがなんだか可愛らしい。

物語も2人の関係もまだまだ序章といったところなので、今回はこちらの評価で。
今後波乱に満ちた展開が繰り広げられることを期待してしまいたくなるようなラストは見事。早く次巻が読みたくて仕方がありません。

2

キャラ萌えしました!

面白かったです。さすがです。
でも、これってキャラ萌え作品じゃないかと思います。
梁井という謎の獣人がめっちゃくちゃ魅力的♡
傲慢で強引かとおもいきや優しくて可愛かったりして、
見た目とのギャップがとってもいい!
自身が獣人であることに怯え、光陽に対して恋心を抱いていく……この苦悩や葛藤も見所ですよね。
で、側近のアレックスがとても好きです^^

ただ、獣人と餌という関係に萌えるかというと、ちょっと怖い方が勝ってしまったかな。
漠然とした設定に対して入り込めない部分も感じてしまいました。
でも、後半に向かって面白くなっていくのが夜光作品の醍醐味なので、続きも読んでみたいと思います。

2

意外に少年漫画的展開

実は9割くらいまで読んでからはじめてシリーズものか!続きがあるのか!と気づいたという。(Kindle版で読んでると、却って気づかなかったりするもので)

獣人と獣人の餌たる存在が登場するファンタジー世界のお話。主人公は餌。
少しオメガバースの設定に近い所もありますが、登場する獣人が増えてからのバトルシーンはむしろ「寄生獣」っぽいテイストでした。

主人公の幼馴染も獣人として覚醒!!という所で終わっています。
優しくて世間知らずな主人公(餌)くんを巡る獣人たちはどうなるんでしょう? 以下続く…
色々ツッコミどころはありますが、活劇的な面白さもある作品です。

1

続きが気になる

ハリウッド映画みたいなお話でした。
獣人ものは初めてだったので、
おぉ〜こういう感じかぁ〜と思い、楽しく読みました。

獣人である梁井と獣人の餌として生まれた光陽のお話。
梁井は餌を食べなければ人間の姿を保てず、
光陽は餌として獣人の誰かと専属契約をしなければ命が保てない。
専属契約を結んだ2人ですが、
家の中に閉じ込められるようにして育ってきた光陽の純粋無垢さに、
餌は餌としか見れてなかった梁井が恋をしてしまう。
一方光陽は人との付き合い方すらよく解らない分、
まだ自分が梁井に対し特別な感情があるのかどうかが判断出来ず、
梁井の気持ちに応える事が出来ない。
体の関係はあるんですけどね、
契約条件は血肉をあげる代わりに光陽のっというものなので。

そんな中、20歳を迎えた光陽は
唯一の友達として仲良くしていた幼馴染み、亨から告白を受けます。
しかし梁井から、
実はまだ覚醒していないから本人も自覚がないが、亨も獣人だという事を教えられます。
そして交通事故で入院中であるにも関わらず、亨が病院から姿を消してしまう。
亨は覚醒してしまったのか…獣人2人に想われる光陽…
果たして…
っという所で次巻に続く。
うーん、やっぱ読むでしょ。気になるでしょ。

獣人同士の戦い、自分の肉体を食べさせる所等、ちょっとグロい感じがしますが、
冷静に考えたらっという程度で、そこまでグロい描写ではありません。
正直最初、契約を交わす所で「じゃ、血肉の代わりに」という所では少々ドン引きでしたが、
その内気にならなくなってきました。
設定が完全ファンタジーだし、光陽は明るいし、
梁井も恋愛百戦錬磨っというタイプではないので、
光陽に告白する所の梁井が可愛い。
傷はつけないという条件で結んだ契約を梁井は頑なにそれを守ろうと光陽を食べないし、
光陽は命を助けたいから食べて欲しいと思う。
なんか、いつもだったら「そんなにええ子はいるんかい」と思っちゃう所なんですが、
なんか読んでて光陽の純粋培養っぷりも気にならず、
光陽にも梁井にもハマってくるんですよね。
そんな2人に待ち受ける、
覚醒したであろう亨や餌を求めにくる獣人達との戦い…
この先どうなるのか気になる所です。
とにかく私は亨も好きなので、
行方不明になってしまった亨が気になってしょうがないです。

この後、結構シリーズが続くみたいですね。
まだまだ序章、この先が楽しみです。

3

バトルエロラブストーリー

光陽は獣人のための美味しい餌。
獣人の梁井と契約することで光陽は寿命を延ばすことができるが、話はそれで終わらない。
獣人達の餌は数少ない。
美味しい光陽をめぐって、他の獣人達とのバトルあり、愛ありなお話。

ストーリーも面白いし、エロエロ描写もすごい!
梁井は光陽のことを好きみたいだけれど、光陽のほうはまだ梁井のことをなんとも思っていないのが焦れったい。
光陽の幼馴染み、亨の存在も気になる。
この先はどうなっていくのか、続きがとても気になる。

0

人外モノ

今更ながらに電子で購入。読んでみて面白かったです。
本当は、人外モノって獣カンを期待して買ったんですが・・エッチは人の形でした(笑)いや、スミマセン;そういう気分で。

ちょっと受けが純粋過ぎるおバカちゃんなんですが、だからこその可愛がられっぷりといたぶられっぷり、って感じです。
攻めは口が悪いけど意外と優しいんで、受けを監禁まではしないんですが、血で繋がり、受けの体に異変が生じると攻めに通じるという、サクリファイスとガーディアンの関係は、エロさが無くても結構萌える要素。

この作家様の作品は以前に『跪いて永遠の愛を〜』を読んで以来だったんですが・・すごい良かったです。
読みやすかったし、ファンタジー的な所の描写もすんなり頭の中に入ってくる。それぞれ色々思惑がある訳ですけど、受けが純粋培養なんで、どうにも想い通りにいかない。そんな受けにどんどん惚れていってしまう攻め。これがいい。
久しぶりに続編も読みたいと思える作品でしたv

2

ココナッツ

ミルクオオメさま

初めましてこんにちは、ココナッツと申します。
わたしもこのシリーズハマりましたがあまりレビューが上がらないもので、嬉しくて思わずコメントさせて頂きました(*^^*)
この本編は主軸の二人側視点ですが、その二人の敵となっている組織側をえがいた『花の残像』『花の慟哭』もお勧めしたいです!
まだまだこれからも読む楽しさがミルクオオメさまにはあって、なんだかとっても羨ましい気持ちです。
久々に読み返したくなりました、ありがとうございます(*^^*)

まだ序章?

先にスピンオフ先の『花の〜』を読んでいます。
同じ、獣人と餌というカップルですが、甘さが全然違いました。
わたしは『花の〜』の方が甘々カップルで好きです。


受けは餌の光陽。
自分が何者か知らず、祖父の言いつけ通りほとんど家の中だけで暮らしてきました。

攻めは獣人で美術鑑定家の梁井。
冷酷で、餌である光陽を手に入れようとしています。


「二十歳になったら自由にしていい」という言葉を信じ暮らしてきた光陽。
しかし梁井と出会い、お互いが死なないためにと契約を交わし、生活は一変します。

なぜかお約束ではありますが、BLの受けって忠告無視なんですよね。
そのために捕まって、攻めが危険をおかして助けるという。
そして、受けがモテモテ。
光陽も御多分に洩れず色々な意味でモテモテです(笑

まだこの巻では、ふたりの関係がはっきり恋愛という感じではありませんでした。
梁井の方が強い気持ちを持っています。
初めは自分が死なないためでしたが、光陽と共にいるうちに変わっていくさまが可愛らしい(笑
次巻では通じ合うのかなあ。

2

獣だらけ〜。

ん〜後を引く面白さにドキドキ、きゅーんしました。
今回は獣人と餌。
設定がまるでヴァンパイアと美しき女性のようなきれいではかな気、、、とはなりません。
相手はケダモノゆえ、荒々しいです。ガルルル

幼い頃から外へ出ることを禁じられてきた光陽。
出かける際もたくさんの香をたかれいつももったりとした匂いをまとわなくてはいけない。
自身の出生の秘密を知らぬまま育つ光陽。
20歳までの辛抱、そう信じていたのにある日を境に捕食者に狙われるようになる。


もう、光陽のまわりは獣人だらけです。
家族と幼馴染の享以外に親しい人間がいなかった光陽は赤子同然。
純真無垢なため、人を疑うことを知らないためおかげで捕食者でありながら光陽を大切に思ってる染井は死ぬほど危険な目にあいます。(笑)
餌ゆ捕食者がわらわら現れます。ワラワラ
染井にだまし討ちされかけた光陽だったけど実は優しくて照れ屋なうえどこか子供っぽい染井を嫌いになれない、むしろ一緒にいると安心するようになる。
しかし、大事な唯一の友達、享まで獣人に、、、。
享に告白され、染井にはヤキモチやかれだか二人はケダモノ(笑)
この先がおもいやられる終わり方してます。
あー次早く読まなくてわ(^ω^)

2

うん面白い

夜光花さんは今までに数冊読んでいて結構好きな作家さんなのですが、この作品は特に面白かったです。
元々ファンタジー小説や吸血鬼物等も大好きなので、獣人とその餌、という設定にもすんなり入っていけました。
しっかしりた物語の設定とそれに合った語り口、謎の多い登場人物。
その謎を早く知りたくて一気に読んでしまいました。
もしBL物としての設定がなくてもファンタジーとして結構楽しめると思います。
もちろんBL要素があることで主人公やその脇役たちの気持ちがより一層切ないものになるのですが・・・
獣人とその餌、と聞けば当然獣人の方が立場が強いというイメージなのですが、意外に餌の方がイニシアティブを取っていて、光陽をとても大切に思っている梁井にキュンキュンしました(笑)。
光陽の親友との関係がどういう展開になるのか、続きが楽しみです。

2

餌が完全に優位です

基本的にファンタジーものは苦手な私なんですが、面白かったです。
しっかりした設定とストーリー性のあるお話で、さすがだなと思いました。

獣人と餌のカップルなんだけど、設定が明らかになればなるほど「なんという、餌に都合のいいシステムなんだ!」と思いました。
「捕食者と餌」という言葉に騙されちゃうけど、契約は餌の意思ありきだし、捕食者は餌を殺せないし、どちらかにならなきゃいけない状況なら私は餌になるほうを選ぶ!w

受けの性格は微妙でした。
前向きでぐるぐるうじうじしないところはかなり好きなんだけど、アホの方向性が微妙。
なんでこうBLには、「攻めに忠告される→罠にノコノコ飛び込む→危険な目にあう→攻めに助けられる」というテンプレ展開を辿るアホ受けが多いんだー!と。

攻めは好き。
最初の傲慢さとヘタレたときの落差に萌えました。

幼なじみの亨は可哀想だな。
もっと覚醒が早かったら…と思わずにはいられない。

あと、かなり強烈な痛いシーンがあるんだけど、描写がねちこくないからか、グロいとかエグいとかは思わなかったです。
もうちょいグロくてもいいぐらいw

3

設定勝ちですね。

うぅんなるほど。面白かったです、獣人と餌という設定。否応無しの一蓮托生、まさに喰うか喰われるかの緊張感を盛り込める、上手い設定であると感じました。
バトル要素も楽しく、もう少しグロくても平気だったのですが、そこは商業BL小説ですからね。十分と言うべきかな、と思います。
気になるのは、餌の肉体回復はどこまでのレベルなのか?ということです。例えば三分の一までとか…。また回復にしても、質量保存の法則というものがあるわけで。流れた血液も戻らないわけですから、主人公始め餌の皆さんはもっともっと積極的に鉄分やたんぱく質を摂らねばならないのでは??と(笑)。BLでそこまで気にするのは神経質でしょうか。

ちょっと残念な気がするのは、主人公・光陽の性格付けです。良く言えば純粋、悪くいうと脳天気というか、箱入り育ちで常に危機感が薄いのですよね。育ちというより主に本人の気質のせいと思いますが。彼の存在によって話の重苦しさが薄れると言いますか…序章の、低温でおどろおどろしい語り口が好みだったのでやや残念なのですが、反面そのお陰で肩に力が入らずに読めるわけで…。善し悪しだなと思いました。
ともかく面白いことに違いはないので、萌え評価とさせて頂きます。

3

ファンタジーミステリー

「獣×餌」というとエロい響きしかないような気がしますが、この作品は別。
いや、もちろんエロさはありますが、夜光先生の持ち前の「静かな怖さ」というか、じわじわと日常が別の世界に侵されてゆく感じがよく伝わってきます。
「獣人」とは言っても「餌」をとても大切にしていて、これからの展開にとっても期待大。
ただ、受けの親友の不憫さと、物語の簡潔さでひっかかりが。。

「要するに、獣人の餌になって、周りからも狙われて、受けがモテモテ」

と、いう結論が中盤あたりで出てしまいます。
主人公達意外のキャラクターも魅力的なので、2冊目以降に期待。

2

引き込まれるストーリー

いやーおもしろかったです!

光陽は20歳までしか生きられず、死なないためにはある者と「契約」をかわさなければなりません。
そして光陽の前に現れた梁井という男が光陽に「契約」を取り付けようとします。

なんで光陽は20歳までしか生きられないんだとか、梁井は何者だとか、だんだん謎がわかってくるのがおもしろいですよね~!
内容はファンタジーですが、バトルシーンもあってハラハラしながら読んでました。
でもちゃんとBL要素もあってw

1巻の段階ではまだ光陽の気持ちは恋かわからないといった感じ。
梁井は光陽が欲しくてたまらないみたいですがw
続きものということで最後はすごく気になる終わり方でした。嵐の予感…早く次巻を読まなくては…!

1

お気に入りシリーズがまた1つ増えました

梁井轟(人間と獣の混血である「獣人」 美術鑑定家)×鳳光陽(20歳まで生きられないと言われ過保護に育てられる 獣人の「餌」)

シリーズ3作目(「凍る月~灰色の衝動~」)が出たのをきっかけに「3作もシリーズが続いているなら結構面白いのかも…」とようやくこの1作目を読んだのですが、何でもっと早く読まなかったんだ!とすぐに後悔しました。

冒頭では光陽が何か特別な宿命を抱えて生まれ、普通の人とは違う能力を身につけているということが分かるのですが、この謎めいた導入部を読んだだけで見事にハマってしまいました。ちなみに冒頭から4分の1くらいまでは主人公(攻)の梁井よりも、むしろ光陽の幼馴染・亨の方が何かと登場しており、こっちが主人公だったっけ!?と思わず誤解しそうになるのですが、本来の主役(梁井)がなかなか登場しなくても全く飽きさせず、ちょっと長めの序章という感じで楽しめました。

満を持してようやく梁井が登場し、そこから「獣人」と「餌」の関係や、生き残るためには「契約」が不可欠だという事実が分かります。(本来の「契約」はそれこそ血肉を“喰らう”んですが、梁井が譲歩して精液を定期的に摂取することで合意)。

その後光陽(餌)を奪おうと獣人が続々と登場し、梁井とバトルを繰り広げたりとまるでライトノベルを読んでいるような感じの展開が続きます(嬉)。バトルがメインのライトノベルとしてはまぁ当たり前(むしろ少し控え目)くらいのシーンですが、BLとしては結構エグイ描写かもしれないので、そういうのを読みなれていない人からすれば痛いシーンと言えるかもしれません。でも全体的にはそんなに殺伐した雰囲気ではないので、あまり構えなくても大丈夫だと思います(たぶん…)。

じゃあ本来のBL部分は!?と言えば、こちらもしっかり楽しませてくれました。エロに関しては申し分なかったですし、ラブに関しても最初は「捕食者」と「餌」としての関係なのですが、すぐにそれだけではない兆しが見え始め(「契約」は精液を摂取する(口でする)だけでいいのに挿入まで行うとか)、梁井の方は光陽に「好きだ」と気持ちを伝えています。それに対して光陽は、最初からあまり嫌がるそぶりもなく梁井を受け入れてはいるのですが、「好き」という気持ちまではまだ自覚しておらず(恋愛経験がないお子ちゃまなので)、とりあえずは身体だけは好きにしていいですよみたいな感じで、完全にカップルになるのは次巻以降に持ち越しになっています。

微妙な二人の関係も気になるところですが、それ以外にも光陽の幼馴染・亨が実は獣人だったり、バトルの決着がつかなかった獣人・黒澤(かなり悪どいことを平気でやるキャラ)の存在だったり、今後につながる伏線がどう展開していくのかとても楽しみです。

2

ファンタジーだけどおとぎ話ではない雰囲気。

一般の人間とは違う特殊な体質を持った鳳 光陽は、深窓の姫のごとく半ば外界から遮断されるような生活をずっと送っていました。、そんな彼のよき理解者は光陽の家の隣に住む幼馴染の亨だけ。

「二十歳になったらお前の自由にしていい」との祖父から言葉を縁に、二十歳の誕生日を向かえたら自分がやりたい事を色々夢に見ながら生活をしていたのですが、ある日光陽の家に祖父の所蔵していた骨董品を買い付けにきた梁井轟と男が姿を現した時から平穏だった光陽の生活は一変します。

梁井は光陽に、自分は獣に姿が変わる人獣で、お前は人獣の「餌」だと、人獣と餌は「契約」を結ばないと長く生きる事はできないのだと。
その言葉をやにわには信じられない光陽ですが、梁井の姿が目の前で獣に変わってしまった事で信じざるを得ない状況に…。

夜光花さんの作品の中では珍しくファンタジー路線のお話です。
しかし、ファンタジーといっても夢見るようなおとぎの世界・・・的な話ではありません、何しろ食うか食われるかの世界なのですから。
中には人間をバリバリ食べちゃうようなまさしく獣というか、怪物というかが出てきたりして、若干グロイシーンも無いわけではないのでそういうのが苦手な方にはお勧めできないかも。

なんて事を書いているとかなり暗くドロドロした話のようですが、主人公の光陽が外界から遮断されるような生活をずっと強いられてきていて本当に世間知らずなのですよね、ポジティブというか、狙われている「餌」の立場でありながら緊張感がちょっと足りないと言うか…
そこが、また彼のいいところでもあり、周りの人間を惹きつける重要ポイントの一つにもなっているし、暗くなりがちな話の緩和させる役目も果たしているんですけれど。

普段からミステリアスな雰囲気のお話を多く書かれている夜光花さんなので、そのミステリアスな雰囲気とこの普通の話ならありえないとも言うべきファンタジーの設定がすごくマッチしていると思いました。

3

この作品が収納されている本棚

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