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表題作はぐれ銀狼と修道士

グレアム,銀狼の人狼族,25歳
シリル,修道士,25歳

その他の収録作品

  • いつまでもともに
  • あとがき

あらすじ

村人を攫って容赦なく喰らう、凶暴な狼男を退治してくれ――司祭から無理難題を押し付けられ、一人で山に向かった修道士のシリル。死を覚悟した彼の前に現れたのは、美しい銀狼・グレアム。怪我で動けないシリルを、青年の姿に変身して助けてくれたのだ。「薬も食事も心配いらない、怪我が治るまでここにいて」噂と正反対の穏やかな笑顔に内心驚愕しながらも、しばらく世話になることに!?

作品情報

作品名
はぐれ銀狼と修道士
著者
栗城偲 
イラスト
夏河シオリ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010699
3.9

(26)

(6)

萌々

(14)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
100
評価数
26
平均
3.9 / 5
神率
23.1%

レビュー投稿数9

もふもふウブ攻め×ウブ受け。寂しさを抱えた二人の愛

はああ〜…全部が全部、愛しくて可愛い。。

表紙の二人もとっても美しくて、うっおり見惚れちゃいます。

シリルが狼姿のグレアムの鼻先を愛おしそうに撫でていて、グレアムが大きな体全体でシリルを包んでいて…見ているだけできゅんですね。

さて、こちらのお話。

群れから追い出された人狼 × 孤児院育ちの修道士。
攻め受け二人とも、不憫な境遇なんです。

大きく分けて二部に分かれておりまして、第一部が受けのシリル視点。

里で子供が拐われ姿を消す事件が頻発し、それは狼男のせいだと言われています。
そんな中、狼男退治に名乗りを上げざるを得ない状況となり、一人山に繰り出すシリル。

そこで件の狼男に遭遇するのですが、逃げる途中で足を滑らせ気を失ってしまい、目覚めたら小屋の中で介抱されていてー

と続きます。


第二部は攻めのグレアム視点。

里で頻発していた子供の誘拐事件の真相が判明し、里を出る決意をしたシリルと火事で住処をなくしたグレアムは共に旅をし、借家での二人暮らしを始めます。

グレアムの新しい仕事場には、同じ人狼のにおいのする男がいて、グレハムはそれとなく素性を探ろうとするのですがー

というストーリー。


もうですね、 何がいいって、このカプの初々しさ!!

全編通して二人が初々しくて可愛くて、むず痒い!
くすぐったいったらありゃしないです笑

割と序盤に二人は想いを通わせ合うのですが、”好きな子にくっつかれたらじっとしていられないから…”と恥ずかしそうにシリルから離れ、図らずも告白という形になってしまうグレアムがもう可愛くて可愛くて。

百戦錬磨・スパダリ攻め様も大好きですが、超ウブな攻めの可愛いこと可愛いこと!
いや、何回「可愛い」って言うんだって感じですが…
可愛いは正義、って真実ですね。。

天涯孤独の身だったグレアムが、自分の名前を呼んでくれ、怖がらずに(出会った時は怖がられたけれど)自分と向き合って話してくれるシリルという存在にどんどん惹かれて好きになっていく過程にたまらなく胸がきゅーっとします。

お話としても、子供を拐うのは何者の仕業なのか!?とか、犯人の濡れ衣を着せられたシリルはどうなってしまうのか!?とか、ハラハラする展開に目が離せず、一気に読み切ってしまいました。

でもまあ、なんといっても二人のラブがね…本当に堪らないので是非読んでいただきたい…!

グレアムは性のお勉強なんてしたことがなく、山の中で動物たちの交尾を見たことがあるぐらいのため、バックからの体位しか知らないのですよ。

それが、初めてのえっの時にシリルに「顔が見たい」なんて可愛く言われ、そういうやり方があるのだと知るのですね。

え、なにそれなんだか最高に萌えるんですが。。きゅーん。


と、もふもふ以外にも萌え要素たっぷりのお話でした。

2回目のえっの際、最奥まで攻めるグレアムと気を失っちゃうシリルも個人的に最高でした✨

2

寂しい2人

孤独な人狼と孤独な修道士

中編2本
表題作は「狼男による子供誘拐事件」が解決するまで
後編は2人が住み慣れた土地を離れ新天地で暮らし始めて本当の伴侶になるまで

修道士のシリル(受け)は、最近頻発する狼男に子供たちが攫われる事件に嘆き悲しむ親や他の大人たちに押し付けられる形で狼男を退治しに行くことになります。
が、慣れない雪山に疲れ切っていたところに大きな狼を見つけ動揺し、足を踏み外してしまいます。気がついた時には山小屋で当の狼男に手当てされていました。
治るまで置いてくれるというグレアム(攻め)という人狼はとても子供を攫って食べるような男に見えません。
では、何故子供たちはいなくなるのか。


謎解きというほどのことはなく、読んでいてなんとなく犯人が想像できます。
シリルは別の村の孤児院で育ち、司祭に誘われてこの村の修道士になりました。
司祭のことは父親のように慕っていましたが、孤児で後ろ盾のないシリルは狼男退治という名目の生贄にされるのです。なんの武術もできないシリルは、本当に狼男と対峙していたとしたら、瞬殺だったことでしょう。
初めから狼男の仕業と断定する村の人にも違和感があります。
シリルが退治に行くといった時の皆の反応も変で、見せかけだけでも引き止めるとかなんとかないのかと寂しくなりました。
ちゃんと心配してくれたのは子供たちだけ。

結局、自分たちの立場を守るための勝手な行動で、森の動物たちを怒らせ、自業自得の結末になりました。
にもかかわらず、村を再建することになった時の子供たちの潔さに比べて大人たちの図々しいことといったら。
シリルは二度殺されている状態です。一度目は生贄の如く討伐に出された時。二度目は、犯人の仲間として陥れられた時。
それなのにどれだけ厚顔無恥なのかと彼らには呆れました。

子供たちが頑張ると宣言してくれたので、未来は明るくなるといいのですが。


後編は新天地で暮らすことになった2人の話。
好きな人と暮らせるようになったのに、お互いが相手を元の住まいから連れ出してしまったと負い目を感じており、確認するのをおそれるあまり話ができず、ギクシャクしてしまいます。そこに、その地に住む人狼が接触してきてさらにややこしくなるのです。

ちゃんとお互い好きなのに、好きすぎてかえって話し合いができずすれ違う話。
ちゃんと話しないとダメですね。

たった1人で山暮らしをしていた人狼と孤児院でたくさんの人に囲まれていながらも孤独な(子供を除く)修道士。家族ができてよかった。

グレアムは子供の頃に親を亡くしているからか、精神的に子供っぽいのが可愛らしくてよかったです。

2

グレアムがと兎に角いじらしい

いじらしいと言えば私は受けを想像するんですが、こちらの作品は攻めの人狼のグレアムがときかくいじらしくて、途中で何度もウルっと来ました。

こんなに純粋で素直で健気な攻めって居ないと思います。それ故に幸せになって欲しいと、読みながら何度も思ってしまいました。

お話自体も面白くて子ども達を拐ってるのは本当は誰なのかとか、何となくあの人とかだろうとか想像付くんです。

なので、いつシリルがその事に気がつくんだろうとか、気付いたらシリルは無事で済むんだろうか?とかハラハラドキドキしながら読み進める事になりました。

因果応報というか事件の黒幕たちは悲惨な最期を遂げていました。
無事解決後のシリルの取った選択にもまた胸熱でした。

そして書き下ろしの「いつまでもともに」に続くんですが、新たな土地で新たな人々と生きる2人の様子を読めて感無量でした。
グレアム幸せになって良かったね!と心から思える内容でした。

4

伝説の存在よりも恐ろしいのは

今回は人狼族の銀狼と教会の修道士のお話です。

受視点で狼男退治を請け負った受様が攻様との出会いで
子供達の失踪の真相を暴き、新たな道を選ぶ本編と
攻視点で2人が新しい土地で居場所をみつける続編を収録。

孤児である受様は孤児院に奉仕活動にきていた聖職者に
声を掛けられて彼が司祭を務める教会の修道士となります。

教会のある里は狼男の棲むと言われる山の麓にありますが
10年前から狼男が犯人と目される子供の失踪事件が
相次ぐようになります。

昨日、里の裕福な夫婦の1人息子が
教会の孤児と共に行方不明になり
夫婦は息子は孤児に唆されたに違いないと
教会に責任を取れと司祭に詰め寄ってきました。

夫婦は里長にも訴えたらしく
里長は司祭に狼男を退治する事を提案するのですが
人選でもめることとなります。

重苦しい空気の中一番若い受様が立候補すると
司祭を始め、誰もが躊躇も惜しむ様子もなく
翌日には出立することになります。

翌日、受様は浅く雪の積もった山道を進む羽目になり
自分が今いる位置すらわからなくなるのですが
ふいに途切れた獣達の先、夕闇に紛れた視界の先に
こじんまりとした小屋が現れるのです。

まさかここが狼男の根城なのか?と
受様が戸惑っているとなんと目の前の森林から
熊ほどの大きさの銀狼が現れるのです!!

しかも物音を立てた受様をうかがうように
「・・・誰・・・?」と話しかけてきて受様は
非現実的な光景に無意識に走り出してしまいます。

受様は本能的な恐怖に逆らえず逃げようとしますが
進んだ先は崖で足を踏み外してしまうのです!!
受様の命運はここで果ててしまうのか!?

雑誌掲載のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で
子供を喰らうと噂される狼男である攻様と
村人の要請で狼退治を任された受様の
人外ファンタジーになります♪

受様が目撃した銀狼こそが今回の攻様であり
攻様はある事情で故郷を追われた両親とともに
山に移り住んだ人狼だったのです。

攻様の両親は既に亡くなっていて
攻様はたった独りで森の中で静かに暮らしていて
怪我を負った受様を助けてくれるのです。

受様は攻様と共に小屋で過ごすうちに
攻様は狼男ではあるものの里の子供を攫ったり、
食べたりするようには思えません。

怪我の治った受様は里へと戻る決意をするのですが
死んだと思われていた受様の帰里により
子供達の失踪事件の真実が徐々に暴かれていき

受様が必死に守ろうとしたモノは
子供達の失踪事件の真相が明るみに出る事で
壊れていく事になります。

修道士として村に貢献しても肉親のない事で揶揄され、
狼男退治に追いやられる受様の孤独と
両親の死によって山の中にたった独り残されて
ひっそりと生きることを余儀なくされた攻様の寂しさが
ヒシヒシと感じられて胸が痛みました。

大人達が戸惑う中でも受様の背中を押すのが
子供達というところにまた泣かされました ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐

続編は人狼である攻様視点で進むのですが
両視点でのお話が収録された事で
より深みのある物語になったと思います。

1

とにかく応援したくなる攻(もふもふ)

やっさしーい異種間もっふもふラブでした。作家買いです。
ふたりの境遇まわりのせいか、尊>萌っていう印象を受けてしまって、物語全体に広がる優しさを感じるほうが強くて自分の性癖のアンテナは3本も立たなかったかな、ということで萌少な目評価でスミマセン。
でも!いいお話なのです。

不遇なふたりが出会って慈しみあう物語なのですが、特に攻!はぐれ人狼のグレアムが、なんとも言えず切ないキャラ!もし彼が、根っからのアウトローで、人間に対して敵対心をむき出しにするギラついた人狼だったら、違う性癖に刺さった気がとてもするんですが、めちゃ善良。。今までの不遇を”自分のせい”として十字架背負っちゃって、このまま誰にも知られずここで朽ちるんだ~、、的な諦観に満ちている、むしろこっちが修道士的な雰囲気なので、なんだか読んでてめちゃくちゃ寂しい気分(キュン)になっちゃったんですよね~。
いや~、受に会えて本当によかったね!!

山小屋でのふたりの暮らしは、ある意味お互いにとってユートピアみたいなものだったんじゃないのかなと思いました(穏やかで一番好きなターンかも)。里のコミュニティで起こる事件が解決するところまでが本編で、書き下ろしはふたりが新しいコミュニティに落ち着くところが描かれていて、ここまで読んでホッとしました。

書き下ろし、新たな仲間にいじられ戸惑いながらも楽し気なグレアムの様子から、やっぱり寂しかったんだな~(山では)と、さらにきゅぅん…という気持ちにさせられたのでした。シリルとふたりでの新生活は色々な面倒はあっても、以前の孤独で狭いものではなく、明るく広がりのあるものでよかったな!と心から思えました。(もうこんなに応援したくなった攻はじめてw)

また異種であるというだけで恐れを抱いて排斥しようとする人間の心理の危うさも、ちょいちょい訴えかけられているような気分になる、いろんな読み方のできる奥行のある作品だと思います。

3

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