イラストあり・電子限定ショートストーリーつき
タイトルだけは知っていた、安西リカ先生のこちらの作品。
実は攻め重視(スパダリ溺愛攻めが大好きで...)の自分にとっては
なんとなく刺さらないような気がして、手に取ってきませんでした。
今読み終わって、大・後・悔。
読んでいて涙が出ました。。
読み進めるごとに胸に込み上げてくる思いがあり、
終盤、そのタイトルの”月”が出てきて見上げる描写にため息が出ました。
以下、あらすじなしで感想のみを。
まずは、東屋(攻)と出会ったことで
どんどんと主体的に変わっていく怜王(受)の姿の頼もしさが、素晴らしく良い!!
カラコンやめて、ピアスもやめて、
紙も黒く染めて…と見た目の変化もさることながら、
その内面、精神面での変化の描き方が見事で。
もう”自分なんか”と諦めたくない、できるかどうか分からなくても
やってみたい、挑戦してみたいー
自分とは何もかも違う東屋(攻)と出会ったことで
さなぎが蝶に羽化するかのごとく変化していく様に、
読んでいて胸が熱くなりました。
そしてそんな思いと共に、胸を刺す切なさも。。
前職の同僚であり友人・鯨と会ったときに
怜王が感じてしまった、違和感。
もう、”彼ら”の世界には溶け込めない、
きれいに、自然に交わることはできないー
という寂しさ。
そんな一抹の寂しさを感じながらも、
”戻りたいとは思わない”という内なる気持ちを感じ、
次のステップへと踏み出す怜王が、カッコよくて最高に痺れました。
そんなふうに怜王を変えた東屋もまた、
怜王によって内面の”壁”が取れ、大きく変化しているんですよね。
人に弱みを見せたり、頼ったり、
勇気を出して心の思いを言葉にして伝えたり。
まあ、”言葉にして伝える”ということが最後の最後まで
できなかった不器用さのせいで
長い長いすれ違いを経ることになるのですが。。
まさか”あの”怜王の気持ちを受け取るばかりだった東屋が、
季節が変わって半年以上も、消えた怜王を探し続けるなんて!!
ずーーーーっと怜王視点で読んできているから
すっかり怜王に感情移入してしまって、
怜王が別れを決意する直前の東屋の態度が許せず、
フー!!!と怒っていたのですが。
最後の攻め視点の話も、泣けてしまって。。
「好きだ」って口に出して伝えることが、
どれほど勇気のいることだったか。
そう気づいた東屋が愕然とする描写、印象深かった。
そして自分も、伝えるようにしなきゃ!とぐっと拳を握って思った
シーンでした。
攻めも受けも双方が、自分とは全く違うタイプの相手に出会い
変化し成長していくお話。
うまく言語化できずもどかしいですが、
本当に沁みて、今も読後の余韻に浸っています。
自分の新たなヘキ、「健気受け」という
萌えの扉が開かれた一冊でもあるこちら。
何度も繰り返し読み返したい、
自分にとって大切な一冊になりました。
玲王はキャバクラ店員から昼職に仕事を変え、髪色や髪型も清楚な感じになり別人のように見えます。
圭吾に影響され「分からない」とそこで思考が止まるだけから、どうやって答えを出せば良いのか?と一歩進んだ考え方になっていきます。
暮らしや生き方をどうしていけば良いか、全く知らなかった玲王がこうなりたいという夢を持ち、それを目標にして努力していく様子に胸熱くなります。
圭吾はほんとに彼氏として言葉と態度が足りない。玲王に好かれていることに余裕ぶっこきすぎて、ザマァないです。
まぁそこからどう変わっていくか?諦めずに必死に頑張る姿にもっと苦しめーと思いました。
全ては自分が招いたことなので、反省し変化していく圭吾とすでに変化しちゃった玲王のすれ違いっぷりが切なくもあり面白かったです。
すっごく好きな話だった…キャバクラのボーイをやっててゆるゆる生きてる怜王が東屋に出会って好きになって、自分が変わりたいと思い始めて夜の生活から、昼の生活にシフトしていって夢を見つけて…。思いをぶつけて定期的に抱いてもらうけれど彼の気持ちはわからない…。1度も好きと言ってもらえない、怜王が傷ついてそんな自分に気づくところが切なくて切なくて。そこで彼から離れようと決めて。消えてから気づく東屋は大バカものなんだけど必死になって探して気持ちを伝えたところグッと来た…!ほんと遅いんだよ。でも頑張った。
幸せな一冊だった。
最初の体の関係持ったシーンが最高。酔って意識がほぼゼロな攻めを、起こさないようにこっそり大胆にえっちしちゃう襲い受け。
中盤からは、受けのビジュアルが表紙絵からだいぶ変わります。金髪ハーフアップの玲王が好きだったから、ちょっと残念。(このイラストレーターの短髪の描き方が少し古臭いのもある)
攻め視点になってから、受けと攻めが盛大なすれ違いを起こしていることに気づいて、心臓がギュッってなった。
すごくざっくり雑に簡単に表現すると、攻めは察してちゃん、受けは構ってちゃんかな〜っていう印象。本当に簡単にざっくり言うとです。
「こう言ってくれるって期待してたのに」とか「こう思ってるってこと気づいてると思ってた」みたいな感じ。
攻めが必死に受けを探し続けるシーン、グッときます。
受けは自分のことを何でも知りたがって、どんどん聞いてきてたけど、自分は受けのことを何も知らない、と途方に暮れる攻めを見ていて心がしんどくなった。
読んでいてあまりにも悲しすぎて、探偵雇って見つけてもらえ! って思った。(話が台無し)
攻めざまぁじゃないです。
なんでこれがざまぁなんだろう。
キャバクラのボーイであまり良い生活を送ってこなかった怜王と、ビジネスマンで育ちが良い東屋
東屋に一目惚れした怜王が、彼がバーのオーナーに不動産の仕事で苦戦しているのを見て声をかけたのが始まりです。無意識に水商売を馬鹿にして上から目線だった東屋に怜王が指摘して、東屋が怜王の言ったことを素直に実践し仕事のために泥酔してしまったのを怜王が家まで送り届け、眠ってしまった彼を襲います。そこから交流が増え、東屋が怜王がアパートの取り壊しになる事を知って怒って動いてあげたり、互いに良い影響を与え合う2人。やがて付き合うようになり、突然の別れが…。
まず、怜王がめちゃくちゃ可愛いです!中卒でちょっと悪い事を平気でやってしまう彼が、東屋の影響で変わって自信をつけていきます。愛情表現が素直で、「好き、かっこいい、えっちしよう」と言葉を惜しみません。東屋が昔飼っていた犬にそっくりで一生懸命に訴える姿や、素直さ、頑張って東屋の良いところを吸収する姿が愛おしい。自信をつけた結果、あるきっかけで不安になり、東屋のもとを離れてしまいます。
東屋は育ちが良く、真面目で硬い印象ですが、怜王の忠告を素直に聞いたり、怜王のために動いたり、怜王に頼まれていつもは見ない配信ドラマを一緒に見たり…可愛いところがある人です。ノンケでしたが怜王に絆されて彼と付き合う事になります。仲良く互いに幸せに日々を過ごしていましたが、あるきっかけで怜王がいなくなり、自分の今までの行動を思い返し、必死になって怜王を求める姿がたまりません!
互いに想いを募らせる様子や、怜王の一生懸命さや素直さと彼の不安、東屋の焦りと分かりにくい愛情、全てがツボでした…!
安西リカ先生の本は作家買いして失敗なく、穏やかでほっこり、読み終わると幸せになります。
余裕だった攻めが受を必死に求めるようになる様が好きな人、ゆっくりと愛情を深める話が好きな人、マイフェアレディ的に受が変わる姿が見たい人に。