ボタンを押すと即立ち読みできます!
またしても唯一無二のARUKUワールド降臨!
はじめに。私はARUKU信者なのでこの「ARUKUワールド」は素晴らしく感じるけれど、万人におすすめかと言われたらそこは保証できません。あしからず。
舞台は終戦後。
主人公は肺病病み(結核)で戦争に行かず生き残った画学生・桃里。
ここからわかる通り、戦争や死の影が色濃い。
そこに、近年のARUKU先生の作風が継続して、可愛らしくも同時に少しの毒も感じさせるメルヘンの要素。
例えば、家の床下にナニカがいたり、庭のカエルたちが喋り出したり。
突然現れる托鉢僧。
死んだはずの伯母。
梔子の木に実るしゃれこうべ。
夢のようなふわふわ甘い戯れと。
後悔と恐怖と、死へ転げ落ちていくような過去の記憶。
それらは交互にやってきて、でもそれが人の一生なのだと感じる。
はじめ不幸一色その後幸せに、とか。
はじめ裕福のち転落、とか。
そういう一方通行はわかりやすいけれど、人生はそうじゃない。
愛も死も、善も悪も、いつだって同時にある。
恋は桃色。
空は青色。それは烏羽には死地の色。
桃里が会った友人たちのいる海も。
さて、烏羽が生活の何もかも面倒を見てくれるが、桃里には全く心当たりがない…
その理由が明かされる後半を読んで思ったことは。
「生きていていいのだ」
ということ。
いつもの。
カクカクした静止画のようなセックスシーン。硬そうに絡まる体。
でもそれは生の証。今生きているから。
読む人が何を感じるのかは人それぞれだけど。
私は。
涙が出そうな全ての肯定。
流石ARUKUワールドといったところでしょうか、
読後感が小説を読み終えたような
満足感を得られました。
舞台は第二次世界大戦の終戦後。
受けの桃里は戦中は肺結核のため
兵役を逃れ生き残り、
攻めの烏羽は戦地から帰ることの出来た
生き残りとなっております。
“生”とは何かという深いテーマの中
ストーリーが進むので、
だいぶ重い内容ではあるものの、
ARUKU先生らしく少しファンタジーを
交えているので、時に可愛らしく
クスッとなる場面もあります。
物語に当て馬や、モブの絡みも一切なく
本当に純愛作品でした。
ちゃんとハピエンです。
その世界観で読者を魅了すると有名なARUKU先生の作品を1度読んでみたく、購入しました。
私は、はじめてARUKU先生の本を手に取ったのですが、読み終わった刹那、他の作品も読みたくてたまらないといった感情にかられました。
戦後、生き残ってしまった2人。
形は違えど戦争によって、お互いに見える傷、見えない傷をおっている。その傷は消えるどころか、戦いがおわっても増え続ける。
傷を癒しあい、見失った居場所を探す。
その居場所は相手にとって自分なのだろうか。
ストーリー展開、台詞や心情の表現のいいまわし、オノマトペの使い方、散りばめられた伏線の回収、その全てにセンスしかないです。
戦後の時代背景に上手くマッチした表現技法でした。
そして、生きることをテーマとしている分、ストーリーに、生々しく耐えられないほどの辛さがあります。
ファンタジー要素(喋る蛙や、変化する庭など)が強く、その世界観が耐えられない辛さをやわらげているようで、より強調しているように感じました。
直接的でないぶん、見たくない部分が見やすくなっているからでしょうか。
また、その重いテーマの中で、クスッと幸せを感じられる2人の恋愛模様が見事でした。
これが男女の恋だとまったく成立しない話になっています。
また、絵が苦手な方が多いと聞いていましたが、この絵だからこそ深みが増すお話だったと思います。
夢物語のような絵柄に、痛いほど当時(戦後すぐ)の現実をリアルに当てはめている。
そのチグハグな雰囲気が、気味が悪いほど私たち読者を物語の世界に引きずりこんで返してくれません。
この話は、小説でも映像でもダメだったと思います。
この絵で、漫画でだからこその作品だと感じました。
私はジャンルの違う物書きをしているのですが、ここまで表現で心を揺さぶられた漫画に人生で出会ったことがありません。
普段、30分もかけずコミック1巻を読むのですが気がつくと2時間かけてじっくりと世界観に没入していました。
この作品をBLという言葉だけで片付けるのはもったいなさすぎるでしょう。
まるで、小説のような、教科書にのっていてもおかしくないようなお話です。
どの回をとってもポロポロと涙がでてきます。
拗れるように切ないわけではない。でも号泣するほど強烈な感動や悲しみがあるわけでもない。
ただ締め付けられるような痛さに涙がとまらないんです。それは悲しくも、切なくもあり、愛おしくもある痛みです。
そして読み終わった後、本を閉じるとそのタイトルにもう一度涙してしまう作品でした。
まず、わたしは先生のファンです。
ファンなんですがどの作品にも言えるのが、登場人物の口調の妙。
ポツリポツリ違和感のある語尾なんです。
それを覚悟の上で毎回読んでいますが、この作品も期待とおりでした。
戦後、元結核患者の元画学生が身寄りがないはずなのにとある人のお世話になります。
その男は実業家、不動産を生業にしています。
その男が世話してくれた家では不思議なことがおこります。
昨日、君が死んだ の世界観です。ファンタジー。
二人がいつ出会い、どう生きていくのか、
戦争というどうしようもない 人々の死を乗り越えていくシーンは泣いてしまいました。
終盤、少し不穏になるので、こんなキラキラな二人がハピエンじゃないのか‥?!と不安になりながら読みましたが、本当によかった。
安心して読んで大丈夫でした。
互いに求めて愛する、ってとこまで乗り越えるものがなかなかでしたから、幸せになってよかったです。
タイトルの回収が唐突!って思いましたがそれも先生の世界観です。
途中にでてくる詩なのか、なにかの一節なのか、情緒あってよかったです。
動物、植物、人間ではない者などがたくさん描かれた作品でした。どれも美しくて眺めているだけで嬉しくなりました。
終戦後の日本の時代設定なのに、言葉を話せるカエルやこの世の者ではなさそうな托鉢僧が出てきたりします。子供の頃に読んだ海外の童話のように、現実と空想の世界が入り混じっています。主人公達に何か悪い事が起きたり、攻めが受けを虐めるというネガティブなお話では無いので読みやすかったです。
二人に共通するのは戦時下に求められる活躍を出来ず、生き残ってしまったことに申し訳ない気持ちを持ち続けていること。
戦争の悲しい部分を可愛いファンタジーで包み、悲惨さを感じさせないARUKU先生ならではの作品です。