特典付
柴田さんと彼に恋する滝のお話。
とにかく柴田さんが逃げまくる。滝に身体を許してしまうけど、やはり思いきれないというか、春人への思いを断ち切れないというか。滝が寝ているうちに直ぐに逃げちゃうこと何度か。
滝もちゃんと追いかけて見つけるところは流石。
ここは賛否両論ありそうですが、イキガミとドナーの関係性や、春人の最後を考えると、すっぱり思いを断ち切るのが難しいのは仕方ないというか、柴田さんの人間らしさが出ていて私は好きです。
エピローグも結局は春人には滝は敵わないかも……というラストですが、滝はそれも込みで柴田さんを愛していると感じました。
他の3冊は、割とスターのイキガミにスポットがあたっていますが、いわゆるモブのイキガミが事件を起こします。このモブ達が全然オーラがないのですよ。イキガミは選ばれし者、神様的な扱い(人権は無い)ですが、やはり人間なのだと思いました。そのモブイキガミの悲しさも感じることが出来ました。
全シリーズ通しての感想ですが、この話はBLにした事でより素晴らしくなったと思いました。
これは……なんとも言えぬ後味ですね。
やはり、政府主導の人権を無視したイキガミプロジェクトは無理があったということか。
一体、どれだけの人たちの人生を狂わせてきたのでしょう。中枢にいて物見遊山なお偉方にはこの気持ちが分かるまい。
イキガミもドナーも使い捨てのコマのように扱ってきた政府め。
あなた方の身勝手な方針や決定の裏には身体を壊し、心を壊してきた多くの"生贄"たちがいる……その者たちにも家族や大事な存在がいて、やりたかったことやしたかったこと、夢を見ていた未来だってあったはず。
国のため、世界のために戦わせ、あまつさえ国のために命をかけた者たちに敬意を払わず都合の良いように死を愚弄する思考の醜さよ。辟易しました。
イキガミはあなた方のために生きているのではありません。それぞれが戦うことの意味を見出し、大義名分のために命をかけています。
そんな崇高な意識すら利用するとは卑しいにもほどがあるし、こんな不条理なことが合法化されてきたというのだから、この国……いや、この世界全ては闇深い。
イキガミは敵国と戦っているけれど、本当の敵は身内の中にあったのかも知れない……そんな思いでいっぱいでした。
物語の背景があまりにもスリリングな展開で、BLうんぬん置いといてめちゃくちゃ面白かったです。
確かにイキガミたちの不平不満があってもおかしくないと思ってましたので、イキガミたちの反乱はある意味確定事項だったのかも。でも、まさかあんなオジちゃんが……?という驚きはあったけど、彼の家族との問題も絡めた結末はやるせなかったです。
血肉がブシャッとなるシーンもあって、目を覆いたくなる残酷なシーンもありますので、苦手な方はお気をつけて。
……で。
肝心の滝と柴田のラブラブシーンはというと……思ったほど無かった!!
春人も登場して不思議なほのぼのストーリー始まっちゃったりもしたけど、それはそれで面白かったから良しとしました^ ^
青年誌とかでもありそうな面白い設定の作品なので、BL枠に止まらずに色んな人たちに呼んでもらいたいなと思う。すごい構想力です、作者さま。
4巻全て一気読みしたけど、最高の領域でした。
壮大な世界観が素晴らしく、圧巻の読み応えでした。
※前作『イキガミとドナー』のネタバレを含みます
(上巻のレビューからの続き)
失踪を繰り返すわりに、なんか中途半端に滝を受け入れる柴田。本人は無自覚だけど、滝に甘えきってるんだろうな。滝ならきっと追いかけてくるって、知っているから逃げる。
考えたら、二人にはすでに7年もの歴史があるわけで。滝に想われ続けて、絆される下地はとっくにできていたんですね。
この10年、柴田は復讐に取り憑かれていたようで、やっぱりちゃんと人間らしく生きていたんだなって思います。鬼道のことも、復讐に利用する思惑もありつつ、孤独な彼を守りたい気持ちもあったんじゃないかな(もちろん無自覚で)。あの鬼道が感じ取れるぐらいには、そして滝が嫉妬するぐらいには、鬼道を気遣ってきた。
悲願を遂げたらもう空っぽなわけじゃなくて、この10年で新しく築いたものもある。それが滝や、鬼道や、吉野との関係。
鬼道といえば、前作では「オレ バナナ スキ」レベルだったのに、「今はこんくらい溜まってる」なんてね……成長したよね。グッときたよ、鬼道。
柴田にお店のものを「全部」あげたいと言う滝に、おばちゃんがくれた「うちで一番」のりんご。全てを捧げるんじゃなくて、自分の一番のもの、ただひとつでいい。柴田は滝からそれをちゃんと受け取ったし、自分から伝えることもできたんですね。春人には渡すことができなかった、「好き」という気持ち。
エピローグは、斜め上の展開に面食らったけど、やっぱり泣きました。
春人と遠慮なしにギャンギャン言い合ったかと思えば、目の前で抱き合われても同情の眼差しで見守っちゃうし、仲良く3人で海に行っちゃう滝が好き。今、柴田の隣にいるのが滝で良かった。
読む人によって解釈が分かれるところだと思うけど、私は、来年はもう春人は来ないんだろう、という気がします。
柴田がまだ春人に想いを残しているのをその目で見て、しかも今回のことを柴田は覚えてはいないのに、それでも「来年もおいでよ」と呟くような滝だから。最後の春人の微笑みは、そういう意味なんだと私は受けとりました。
シリーズ通して辛い話ではあったけど、辛くて可哀想だから泣くだけじゃなくて、人を想う心の深さに泣かされる作品でした。
「来年はもう春人は来ないんだろう」という解釈に、なるほど、とハッと気づかされたというか、すごく納得できました。あなたのおかげです。
私はあのほのぼのとしたエピローグが好きです。
レビューにその解釈を書き込んでくださってありがとうございます。
シリーズ読み切りました…!
「二人のイキガミ」はストレートなBLというより柴田さんの済生物語ですね
上巻で知った柴田さんの「闇」
この闇はきっと復讐だと思っていた行動を遂げた後もスッキリしない想いや、失くした春人の痕跡を抱えていたりって所もあっただろうけど、、、1番の闇の根源って「春人に想いを伝え、応えきれなかった」と思っている後悔なんだろうな。。。
でも、ちゃんと2人はパートナーとして愛を誓い合ったのだから「出来なかった事」ではなく「して来た事」をちゃんと忘れずに思い出して過去に囚われず逃げずに進んで欲しい
そしてどんなに柴田さんが逃げても必ず追いかけてくれる滝くん
ここまで真っすぐに手を差し伸べていくら振り払っても追いかけ続けてくれる。。。
圧倒的な光ですね
優先順位は自分(柴田さん)だと言い切り、俺でいいじゃん、と縋って来る圧倒的な光のワンコ
「たられば」を言い出すと人生はままならない
なので春人が「いたら」、、、は考えない
でも過去の春人を忘れない
春人との時間を過ごした今の柴田さんを全力で求めてくれる滝くんと春人の思い出を抱えたまま幸せになっても悪い事ではない
きっと滝くんはそんな柴田さんの想いごと寄り添ってくれるんだろうから
1番グッと来たのは鬼道の柴田さんへのメッセージでの恩返し
甘過ぎない、前向き過ぎない、でも1番素直で嘘のない言葉
きっと鬼道は恩返しだなんて思っていない
だかこそ届く真意
鬼道と柴田さんの過去に実は1番感動した下巻でした
そしてちょっとした間でも吉野にちゅってしちゃう鬼道…♡
萌えちゃいました(ღ˘͈︶˘͈ღ)
柴田さん、これらを抱えて生きていくってしんどいね
目のことがあって、春人が失ったのは柴田の左腕だって思っちゃうもんね
イキガミとはいえ子供を殺すって、春人ってそんな人柄じゃないのに、本当残酷だよ〜
強いイキガミは本当気の毒
柴田や吉野は救うのが自分の愛するイキガミだったけど、全く巻き込まれただけのドナーの人らはたまったもんじゃないよね
自分のしたことの報いですらなく、自分の生きていく体をパーツ扱いされるの死にたくなるほどストレスでしょう
イキガミはSDGs的にダメだし世界的になくなる方向に、当然に治すようにならなきゃだよね
なくなったから物語にできるってくらいになってくれ