封印された聖獣×虐げられた王子

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表題作不遇の王子と聖獣の寵愛

カイ
白銀の聖獣
フィンリィ・クレイド・フォーン
オルシャエルゴ国第一王子,20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

封印された聖獣×冷遇される第一王子

第一王子でありながら家族からも冷遇にされてきたフィンリィにとって、心を許せるのはカイと名付けた白銀の獣だけであった。だがある時、聖獣が治める平和な土地を先祖が侵略し、力を奪い取ったことを知る。美丈夫へと姿を変えたカイこそ、かつて先祖に封印された聖獣であり、突出した陽の気を持つフィンリィは知らず封印を解いていたのだ。償いのためにも力を取り戻す手伝いをするフィンリィに対し、カイは「――離れたら、俺が生きていけない」とフィンリィを甘やかし…?

作品情報

作品名
不遇の王子と聖獣の寵愛
著者
貫井ひつじ 
イラスト
鈴倉温 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784041140567
4.1

(48)

(19)

萌々

(20)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
193
評価数
48
平均
4.1 / 5
神率
39.6%

レビュー投稿数11

なんかすっきりしないような…

壮大なお話でした。
なんですが、読み心地がなんというかどんより曇り空の下でずっと過ごして終わった感?

王位継承権1位の第一王子のフィンリィがそれはそれは虐げられ続けて。
その理由もそんなことで?なことで。まあ終盤にやっと本当の原因が判明しますが。

白い獣と出会えて家族と呼び孤独を癒やしつつも、そもそも家族ってどんなこと?と知らないフィンリィ。
家族の意味を巡るその後も、本当にわかってる?大丈夫?覚悟あるの?な感がぬぐえず。

これはちょっと違いますが、神様と契ると問題的なことが、いつもは少しの違和感?で読めるんですよ。だけどこのお話はなんか違和感が大きくて。契ると問題じゃなくて獣だとずっと思ってた相手だからかな?

いつの間にかフィンリィはそんなに愛されてたんですね。そこは良かったです。

言語化できないモヤモヤと最後の後味もモヤモヤしました。

愚かな人達があまりにも愚かすぎて。なんだかな。

0

面白くなりそう……と期待したけど

タイトル通り、不遇な王子が聖獣に愛されるファンタジー。
途中、国の成り立ちが明かされたあたりでここから面白くなっていくかも?と期待したが、ただのありがちな溺愛BLで終わってしまった。

主人公のフィンリィは同情を誘う生い立ちだとは思う。第一王子でありながら嫌われ者、それでも性格は歪むことなく成長し、外では強く内では弱音を吐きつつ頑張っている。

聖獣のカイは溺愛の仕方が女性向け感満載で、ドキドキする乙女フィンリィの描写と合わせて小学生向けみたい。夢のような甘々とキラキラ。

ストーリーはフィンリィが主体的に動かしてくれるわけじゃない。世界の創造から今に至るまでの歴史を知っていく過程は面白かった。解決は聖獣たちが動いただけなのがなんとも……。

良い子にしてるだけで愛され幸せになる主人公は追い甲斐がない。ただ耐えていれば誰かが動いてくれて、全て都合よく世界の方が変わっていく。自力でなく他力。
頑張る主人公が報われる話は好きだけど、フィンリィの頑張り方は自己満足の範囲内で結果に見合っていない。邪魔者全員一掃はやりすぎ。

と、ただそこにいるだけの主人公を中心に見ると冷めるが、世界観の構築方法や書き込み度合は好き。内容的には平成の既存作で十分。普遍的な人気を保つパターンかもしれないが、少しは前向きに進化したものが読みたい。

0

勧善懲悪


楽園と称される大陸の英雄の末裔、第8代国王の第一王子フィンリィ(受け)。
何故か生まれた時から王妃に疎まれてたフィンリィは12歳の頃より打ち捨てられた離宮にひとり住んでいます。離宮のそばの廃墟で見つけた銀色の大きな猫のような
獣カイ(攻め)と共に。
次期王の証クレイドのミドルネームを持つフィンリィはそんな環境でも次代の王となるべく勉強その他を頑張ってきましたが、ある日そのクレイドという名も弟王子に譲るようにと言われてしましまいます。
世の中に絶望するフィンリィでしたが、そんな中、カイに導かれ廃墟の中から初代国王の手記を見つけます。それを読んでびっくり。
実は自分達は英雄ではなく侵略者であったのです。そして、元々のこの大陸の王は聖獣であるカイのことだったのです。
驚くやら申し訳ないやらでパニックのフィンリィに対してカイは人に変化してみせるのでした。

自分達の先祖の行った所業を知り、この大陸の統治権を再びカイに戻すために画策するカイはじめ眷属たち。それに協力するフィンリィ。Xデーは弟王子の誕生日。
計画はうまく行くのか。
裏切り者の眷属は誰か。



何故か全ての人から遠巻きにされる不遇な王子フィンリィ。両親から名付けすらしてもらえず、病床にいる王弟クインツィから名前をもらう始末。
1/4ほど話が進むと理由が明かされるのですが、意味のわからない不遇な状況が不快で不快で‥読むのやめようかと思いました。
思いあまって他の方のレビューを見ると、勧善懲悪だとあったので、気を取り直して読むことができました。

両親含め誰もフィンリィの名前を覚えていない中、唯一フィンリィの名前を覚えてくれていた名付け親の叔父(実は伯父)との邂逅は涙なしでは読めません。
クインツィとフィンリィは一族の被害者で、身体の弱いクインツィもまた悲惨な生涯でした。

数代前、王位継承で揉めて無理やり王座を奪わなければきっとこの日は来なかったし、フィンリィにカイを救えなかったと思うと、本当に自業自得でした。

これから2人で長い年月を慈しみあって行って欲しいものです。


1

もふもふは好きなんですが

ハマりきれなかった。。ズドンと刺さらなかったです。

貫井先生の『狼殿下と身代わりの黒猫恋妻』が大好きで、同じ先生の作品ということで読むに至った、こちら。

聖獣 × 不憫第一王子のストーリーです。

あらすじは他の方が書いてくださっているので、感想とハマりきれなかった理由を…

3、40ページぐらい読み進めたところで「あ、これハマれないやつかな」という予感があり、そのまま最後まで印象変わらず…という感じでした。

自分の中で引っかかってしまった点はこんな感じ…↓(ネタバレ含みます)



・受けが気が強いんだか弱いんだかちょっとはっきりしない

・受けが「王位継承権を捨てる」ことと引き換えにするほど、名付け親である叔父に会いたいと強く思う心情に共感できず、腑に落ちなかった

・攻めは受けの一族のせいで力を封じられ200年も塔に閉じ込められていたのに、直接被害を加えた人物ではないとはいえ、受けにそこまで惹かれるだろうか…と疑問。


でも、眷属の黒犬シリウスが、受けに撫でられるとお腹を見せてゴロゴロしちゃうのとか、攻めの溺愛、勧善懲悪な終わり方など、萌えポイントは所々にありました。

細かいところが気になっちゃう自分がなあ〜…

「狼殿下〜」は本当に大好きでドンピシャだっただけに、くう…という感じです。

めげずに先生の他の作品も色々読んでみたいと思います。

2

冷遇と溺愛の温度差、風邪引くレベル

この主人公の不憫さは、なかなか無いぞ、結構読み進めるの、ツラいな、と心が悲鳴を上げるレベルでした。
味方がね、たった一匹なんですよ。
一匹の獣だけ。
主人公フィンリィは、れっきとした王位継承権を持つ、第一王子であるにもかかわらず、周囲の人間はみんな冷たい態度、心無い言葉をぶつけてくるんです。
本当にヒドい。

このヒドい仕打ちは、ずっと続くのですが、味方であり、家族である獣、カイの存在が、フィンリィにも、我々読者にもなんとも心穏やかな時間を与えてくれました。
モフモフは癒やしですね~。

カイは、ずっと溺愛状態なんですよ。
ケモノ姿のときも、人間の姿のときも。
常にフィンリィを甘やかし、過保護なほど守ります。
バックハグが常態。
フィンリィの冷遇っぷりを嘆いているこちらとしては、もっとその愛情を注いでやってくれ、私の分も注いでやってくれーとお願いしたくなりました。



物語は、ファンタジーにこの表現はどうかと思いますが、『水◯黄門』や『大◯越前』のような往年の時代劇を彷彿とさせる勧善懲悪モノでして。
ずっとツラいフィンリィを見てきたので、こうなってほしい、と思っていた通りの展開に大満足。
キレイでスッキリとしたラストシーンでした。




2

捻じ曲げられた真実を糺すには

今回は白銀の聖獣と第一王子のお話です。

冷遇される受様が攻様との出会いで始祖の過ちを知り
神に選ばれた統治者を実権をとり戻すまで。

200年前に第7大陸に辿り着いた一族の長は
大陸を支配する魔獣を倒して王となります。

魔獣に従っていた先住民のカリヨン族は
罪の一族として人前に姿をさらす事を禁じられ
人間達労働を一手に担う事となります。

人間達は飢えの心配が無く、労働の必要も無いため
人々の興味はもっぱら娯楽の探求に向けられ
富と繁栄を享受しています。

受様は現王の第一王子として生を受けますが
王族特有の赤褐色の瞳を持たずに生まれたため
王も王妃にも疎まれて育ちます。

2年後に赤褐色の瞳を持った第二王子が生まれると
王妃を筆頭に第二王子を持て囃した為、
受様の待遇はさらに悪化し、12の時には寂れた離宮で
1人で暮らすようになります。

受様は13才の誕生日に探検していて見つけた
崩れかけた石塔にいた白銀の毛並みの獣を連れ帰り
共に暮らし始めます。この獣こそ今回の攻様です♪

この大陸では四つ足の獣は恐怖の対象とされますが
受様にとって攻様だけが唯一無二、大切な家族でした。

初代王の方により第一王子は「クレイド」の名と賜り
王位継承者としての教育を受けると決まっていますが

第二王子が成人の誕生日を控えたある日
受様は王からクレイドの名の返上と
王位継承権の譲渡を命じられ
受様は衝撃のあまりすぐには言葉を発せませんでした。

前王から使える宰相は王の言葉をあくまで提案で
命ではないと続けますが
宰相は王の願いを承諾するなら受様が熱望する
王弟との面会を手配すると言い出すのです。

受様は叔父で名付け親でる王弟の面会を望んでいましたが
病を理由に面会が許された事はありません。
果たして受様が継承権を放棄する事は正しい事なのか!?

大陸の正しく統治者である攻様と
次期王位継承者ながら冷遇される受様の
もふもふファンタジーになります♪

実は王族の歴史は都合よく書き換えられたもので
正しい歴史でありません。

魔獣とは大陸の統治権を与えられた聖獣であり
聖獣が初代王の策略によって囚われた事で、
聖獣の眷属である四つ足の獣姿と人姿のカリヨン族は
人間達への奉仕を余儀なくされたのです。
そして攻様こそがその聖獣なのですよ。

攻様はどうして捕らわれることになったのか
なぜ受様は攻様を塔から出すことができたのか
攻様は本来の力を取り戻す事ができるのか

見えてくる過去の真相によって
攻様と共にある事すら許されないのではと思う受様が
どういう選択をするのかハラハラさせられますが

攻様が寵愛する受様を手放す選択肢を選ぶはずもなく
宰相の狙いを阻んで受様が攻様の最愛の伴侶となるまで
たいへん楽しく読ませて頂きました ヾ(≧▽≦)ノ

7

読後感

先生買い。今回は読後感が良くなかったので、申し訳ありません、中立にしました。本編230p弱+あとがき。もふもふファンタジーがお好きな方でしたら嬉しいかも。

第七大陸のオルシャエルゴで、第一王子でありながら一人離宮で暮らすフィンリィ。女官や侍従もおらず、側にいるのはたった一匹の謎の四つ足の猫みたいな生き物で・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの両親+第二王子、受けの叔父(名づけ親)、攻めの眷属ぐらいかな。

++攻め受けについて

攻めは200年閉じ込められていたのを、最後受けに助け出してもらった聖獣(大きめな猫?、第七大陸を統治するべく遣わされたもの)。13歳ごろに受けと出会い、それ以降ずっと一緒にいて、最初から最後まで受けを家族とし、穏やかに愛しています。命の長さが違うのは当然と考えていたのですが、受けだけは見送りたくないと考えたと、静かにとてもとても愛していると感じました。このセリフは良かったなあ。

受けは実の母から生まれた瞬間から嫌われていて、父からも弟からも城中の全員から嫌われ避けられている方。ある理由によるものなのですが、そのため一人っきりで離宮で暮らしている・・ここがダメでした。どうしても合わないってのは分かるんですけど、受けの周囲の人の、受けに対する姿勢がツラすぎて。食べさせて大きくなるまで育てたってだけでマシって考えるべきなのかもしれないけど、ダメだなあ。ひどすぎて気分悪いです。

攻め受けがお互いに対して抱く気持ちは、うんうん尊いよねと思うんですけど、その周囲の悪意がダメだった一冊でした。

3

溺愛と気持ちの良いストーリー展開に拍手!

属性的にはいわゆる不憫受けのお話のはずなのですが、これが不思議なことに読了後の気分は爽快の一言です。
いやあ、気持ちが良かったです。スッキリしました。
ストーリー展開が非常に面白く、1冊の中で綺麗にまとまっていて読みやすいです。

一族の者とは異なる瞳の色を持って生を受けた王子。
ただそれだけの理由で冷遇されているフィンリィがなんとも不遇なのです。
でもですね、読んでいて私はそこまで不憫受けっぽさと言いますか…ものすごく可哀想だとか気の毒とはあまり感じなかったんですね。
これがフィンリィ1人の身であったのなら、もっと悲壮感にあふれるものになっていたのかもしれません。
ここが貫井ひつじ先生の上手いところだなと思うのですが、孤独なフィンリィの側には常にカイという大切な家族がいるのです。
カイとフィンリィが暮らす離宮でのあたたかくて優しい日々が丁寧に描かれているからなのか、心を許せて背中を預けて泣けるような場所があったからなのか、つらい境遇の中でも安心して読み進めることが出来ます。

人にも獣の姿にもなれるカイという存在がとても愛情深くて、それはもう大きな愛でフィンリィを包み込むんですよ。
とびきり甘くて優しい溺愛攻め。もしくは包容力の大きな攻めかなと思います。
安心感がありますし、しかも褐色ときた。好きです。
なんでしょうね。読中に、カイがどうしてそこまでフィンリィを慈しむのか?なんて疑問がひとつも湧いて来なかったのがすごいなと。
他の誰でもなくお互いでなくてはだめなのだと思わせるエピソードが自然に描かれていて、そのどれもが心地が良いものだったのです。
フィンリィはもちろん、カイの愛情深さが非常に好みで好印象な2人でした。

フィンリィの不遇ながらもあたたかく小さな幸せがある日々に少しずつ影が落ち、自身についてや国を取り巻く事実、自身を愛してくれているカイについての事実を知っていく。
中盤からの流れるようなストーリー展開が面白く、ページをどんどんと捲ってしまいます。
そして、読み終えた後は気分爽快!お見事です!

名前と家族が印象的で素敵な1冊でした。
どこか優しくてあたたかく、すっきりとした読み心地の作品をお求めの方はぜひ。
もし入手が可能であれば、その後の甘い2人が読めるコミコミスタジオさんの小冊子付きがおすすめです。

10

名付けと家族

作家買い。フィンリィもモフモフ達も非常に可愛かったです…!

第一王子にも関わらず、父親である王からは無関心、母親である王妃や弟王子、そして家臣達までから疎まれてきたフィンリィ。離宮でひっそりと暮らしている彼の『家族』と呼べるのは、白銀の獣であるカイだけ。四つ足の獣は国では嫌悪や恐怖の対象だけど、フィンリィは13歳の頃カイと出会い、それから一緒に生きてきた。ある日、フィンリィはカイに誘導されて手に入れた手記を読んで国の本当の過去…祖先は動物達の楽園を侵略し不当に彼らの長である聖獣を人質として捕らえて支配していったという事実と、カイがその聖獣であるという事実を知り…というお話。


最初はフィンリィが不憫で不憫で…ですが、カイが側にいて獣の姿でも元々フィンリィを癒して支えていましたが、人の姿になってますます溺愛してフィンリィを支えるので、最初戸惑った方も安心して読んでいただきたいです!
名付けや、家族がキーワードなのかな…詳しくはぜひ読んでいただきたいと思える世界観でした。綺麗に広げて畳まれる、悪者はきちんと成敗?されるお話なので、スッキリしたい人にぜひ!

3

不憫であればある程、溺愛が沁みる……!

鈴倉先生のイラストに惹かれて購入!
試し読み時点で、主人公が冷遇されていて「どうしようかな…」と少し躊躇しましたが、コミコミスタジオさんのインタビューで

>主人公を「何が何でも幸せにする!」という意気込みで書いています。

と先生が答えてらっしゃったので、「どんなに不遇でもこの子はきっと幸せになる筈…!」と信じて読みました。

もう、家族や周囲から冷遇されるフィンリィが可哀想で可哀想で…
敵意や侮蔑を向けられても冷静に振る舞う一方で、カイの前ではボロボロに泣く姿に何度胸が締め付けられたことか

賢く健気なフィンリィの心が削られる度に「早く、この子を抱きしめてくれ〜〜」と願いながら読んでいたので、人型のカイ登場シーンに大興奮でした。
突如、寝床に現れた褐色美青年に困惑するフィンリィ可愛いねぇ……

いやー、正直、冷遇されたり不遇な主人公って可哀想で苦手だったんですが、不憫であればある程、その後の溺愛がめちゃくちゃ沁みる…!と言う事に気づきました。

序盤のフィンリィは可哀想で胸が張り裂ける思いでしたが、その分カイから注がれる無限の愛情に癒されますね。
孤独だったフィンリィが「愛」と「家族」を知っていく過程が凄く良いです。

一族と違う〝橙色の瞳〟と言う事で冷遇されてしまうフィンリィ。
そんなフィンリィが同じ境遇の叔父に言った「黄昏と同じ綺麗な色ですよ」の一言で、もう涙腺崩壊。
同じく辛い気持ちが分かるからこその救いの言葉。
叔父上はフィンリィに救われたに違いないですね。

勧善懲悪で悪に打ち勝つストーリーは本当にスカッとします!
可愛い動物達も沢山登場して、スッキリ大団円なラストも◎

電子限定描き下ろしSSは、フィンリィに拾われた頃のカイ視点で描かれています。
こちらの作品は「名前」が齎す力を重視しているようで、最初から最後まで「名前」に纏わるエピソードでした!
やっとフィンリィの名前を呼ぶ事が出来たカイの想いに、また泣かされた…笑

本当に素晴らしい作品をありがとうございました!

9

不幸からの大逆転劇にスカッと読後感!

うは〜…この作品のオチは良い。とびっきりスカッとしました
期待を裏切らないストーリー展開と結末。そして悪はコテンパンにとっちめるスカッと読後感……最高です。
貫井先生の、不憫で不幸な主人公が最後には笑顔になるお話が大大大好きで大好物です(≧∀≦)

こちらの作品の主人公もね、ほんっとにムカつくほど周囲に冷遇されていてイライラします。
目の色が王族の血筋じゃないってだけで、家族や王宮の面々に疎まれ避けられ続けている第一王子・フィンリィ。彼は聡明で努力家なんですが、産まれる前から誰にも愛されることを知らない環境で生きていくんです。フィンリィへの態度が酷すぎて、両親や馬鹿な弟、宰相たち……全員私の脳内で葬ってやりましたがね(笑)
ま。でもそこは安心して下さいね、作者さんがちゃーんと筆の力でヤツらに天罰を下すので、最後の最後までお楽しみ下さい^ ^♪


そんな不遇な環境で独りぼっちで生きてきた王子と、彼が拾った謎の獣・カイとの二人三脚なドラマチックストーリーです。
カイはフィンリィにとっての「家族」。唯一心を許せる相手です。悲しみをたくさん抱えるフィンリィにとってカイは無くてはならない存在で、こんな環境でも2人(1人プラス一頭)の生活は温かさに包まれていてます。


この国(大陸)には魔獣がいたとされ、それを討伐し国を興したのがフィンリィの祖先と言われています。この国の成り立ちの理由、祖先たちの所業…史実として伝えられてきた輝かしい内容と真逆な真実をフィンリィは知ってしまいます。そして魔獣として害悪とされていたものは実は聖獣で、カイだったことが明らかになりました。
カイは人の姿をとることが出来ますが、それはフィンリィの陽の気のお陰。2人はお互いに癒し高め合う関係だったようです^ ^


この国(大陸)を元の状態に戻すため、あることを計画することになりますが、この計画の顛末が非常に面白かったです。もうね…クソバカな父母弟にマジで嫌気がしました(最初からしてるけど)。間違った忠誠心でトチ狂った宰相も同様です。

栄華・繁栄から、零落・衰退への足音が聞こえてくる終盤はワクワクしました。このシーンを見るために、それまでのフィンリィの痛くて悲しいシーンが我慢できたようなものです。
ファンタジーらしい大きいスケールでの天罰と、フィンリィの家族の哀れな末路に気持ちはスッキリ。これは天罰でもなく、なるべくしてなった結果です。


完全なる勧善懲悪エンドに読後感は最高!
フィンリィが気の毒すぎてどうなることやらと思っていましたが、キッチリとまとめてくれた作者さんに感謝です。国の行く末と悪者どもの最後は見どころ抜群で、関心高く読んでいました。もちろん2人のイチャも甘くて良かったですよ!

欲を言うと、カイの人の姿でのラブラブをもっと見たかったです。今後はそれも思いっきり出来ると思うので頭の中で期待しときます^ ^
スッキリな読後感を得られたい方におススメです。

13

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