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表題作白雨

受様の元恋人で子持ちの会社社長・加賀有隆
ケーキが評判のカフェのオーナー店長・水沢那智

同時収録作品白雨

武川秀一 カフェアルバイト(高2)
和倉佑真 カフェアルバイト

その他の収録作品

  • 霖雨
  • あとがき

あらすじ

水沢那智の焼菓子店を、夜ひとり訪れる男の子。
閉店間際にやってきては必ず「全部」買っていくその子の保護者として現れたのは、水沢のかつての恋人・加賀有隆だった。
激しい雷雨にも似たあの日々、いとしさと不安をぶつけ合い、最後には水沢が裏切った恋人―八年前の面影を残しつつ穏やかに微笑む加賀の真意が見えず、心惑う水沢だったが…。

作品情報

作品名
白雨
著者
真崎ひかる 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
淡雪
発売日
ISBN
9784344812116
3.8

(25)

(9)

萌々

(5)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
93
評価数
25
平均
3.8 / 5
神率
36%

レビュー投稿数6

とても切ない再会もの。

これは真崎さんでもかなり好きな作品なんです。

それぞれリンクした『雨』『雪』シリーズですが、私は『雪』CPの方はそれほどでもないんですね。いえ、決してキライじゃないですが。でもこちらの『雨』CPは大好き。

再会ものです。高校時代に愛し合って、別れて、8年後に再会して・・・
この高校時代のストーリーで、そのままハッピーエンドって作品は結構ありがちなんじゃないかと思うんですが(あるいは、時代によってはバッドエンド一直線もあり得るかと)、実際には『どうにもならない』『先がない』と別れを選択した那智(受)の気持ちがすごくよくわかってしまうんです。反面、有隆(攻)の焦燥もわかるから余計に辛く、切ない。

これは自分が年取ったからかもしれません。たぶん、もっと若いころならまた違った感想だったんじゃないかな。
ひとつだけ言わせてもらうなら、那智の母が酷過ぎる。親の自覚ないんだろうな。

『~雨』のシリーズタイトル通り、とてもしっとりした雰囲気の作品です。高校時代の関係はまさに『激情』としか言いようがないくらいなんですが、それでもなぜか読後は全般に静かなイメージなんですよ。

設定もストーリー展開も、ありがちと言えばその通りです。ドラマティックな別れ~再会愛。ドロドロ度の低い昼メロのような感じでしょうか。
それでも、この淡々とした甘すぎない・暗すぎない感じと那智のキャラクターが好きなんです。いえ、だからと言って有隆がダメってわけじゃないですよ。

真崎さん、それなりにでも好き作家さんではあるんですが、失礼ながら(もちろん個人的に)大当たりがないんです。『結構好き』は多いんですが『言葉にならない!神級!』がない。
実際、これも『神』までは行かないと思うんですが、それでもこれ読むたびに心理描写や全般的な雰囲気は好きだと感じますね。

正直、真崎さんは『ハズレ』も結構あるんですが、やっぱり新作チェックもしてなんだかんだ言いつつほとんど読んでしまうのは、こういうお気に入りに巡り合う可能性もあるからなんでしょうね。

1

テーマがなんとなく昭和の香り。

尾崎豊の「15の夜」を思い出させる作品。
10代、20代ならこういうのに感情移入しやすいのかもしれません。
しかし、40代にとってはちと説得力が足りない(苦笑)。

「大人はずるい、汚い」の考えに凝り固まっている加賀と
浮気性の母を持つ水沢の背景がやけにペラペラしてる。
出てくる大人たちがあまりにも漫画チックで、作品にへんな「青さ」を
感じるんですよ。
狂言廻し的な役割の先生が出てきますが、もうちょっとこの先生を
生かしてもよかったのでは…と思います。
それがマイナス点ではありますが、水沢が店長をしている
パティスリーカフェの雰囲気はなかなかいい。
そして気になるのがカフェのアルバイト2人!

主役のカップル二人よりも、アルバイト高校生たちのほうが
ある意味、大人びていて細かい空気を読んでいるのがなんとも興味深いところです。
高校生の匂うカップルが第一作目だそうで、
そうなると崎谷はるひの「ブルーサウンド」シリーズと比較したくなりますね~。
なるほど、そう考えると純愛モノっぽい雰囲気ながらHシーンが多いのもうなづける。

3

歳月を経て

 水沢那智は焼き菓子店を経営している。
 そんな焼き菓子店にある日、閉店間際になって一万円を握り締め、「全部ください」という男の子が現れる。
 そんな日が2、3日続いた後、水沢は不思議に思って、「保護者を連れておいで」と告げる。
 すると、保護者として現れたのは、水沢のかつての恋人・加賀有隆だった。
 高校時代に、ひょんなことから関係を持った水沢と加賀は抱き合わずにはいられないほどにお互いを想い合う。
 けれど、大企業の社長の息子である加賀と一般人である水沢とでは立場が違いすぎた。
 どこからか加賀と水沢の仲を知った加賀の父親が、水沢の母親を通して水沢に加賀と別れるように圧力をかけてきたのだ。
 最後は二人で共に死ぬ約束までした二人だったが、水沢は加賀を置き去りにして逃げてしまう。
 そんな裏切ったはずの加賀が八年ぶりに現れ、以前の面影を残しつつ、水沢に対して穏やかに微笑んだ。
 そんな加賀の真意が見えず、水沢は心惑う……

 という話でした。
 ぼろぼろになって別れた二人が年月を経て再会し、再び付き合いだすまでのお話。
 どちらかというと、若き日々の恋愛がメインで、大人になってからの二人はちょっとした戸惑いもありつつも、やがて元鞘に……という感じでした。
 子どものどうにもならない悔しい気持ちが、歳月を経てようやく結びつく……って、純愛ですよね。
 こんなことって実際にはないんだと思うんですが、こういう話はいつ読んでも憧れるし、切ない気持ちになります。
 特に子どものどうにもならなさは、すごく身につまされるのでじんわり沁みてきました。

 純愛物が好きな方にはオススメです。

1

子供の恋、大人の恋

再会モノ。
高校時代の時間の密度と焦燥感がいい。
優等生だった水沢と、金持ちの坊ちゃんで不良だった加賀。
正反対な押しつけられたボランティアがきっかけで恋をする二人。
けれど、その濃密な時間は加賀の家や水沢の母親によって壊され、引き離されてしまう。
状況が許さなかったすべてを自分のせいのように感じている水沢が切ないです。
子供のころは守れなかったもの。
そのあたりの展開は昼メロちっくですが、不思議とそれに違和感がない。

大人になって再会した二人の、色々変わっている部分もあるけどお互い大人になりきれてない所はちょっとかわいいです。
息子と張り合うなんて大人げないよお父さん!!
でもうっかりそんな所にときめいたりしてしまうワケです。

3

幼い恋と大人の愛

再会愛。校則違反でボランティアをすることになり、お互いを深く知ることになる優等生と不良。それは周りから見た符号なだけで、二人の間にはそんなレッテルは必要ない。恋から始まったわけではないのに、それでも二人でいたいと想うほどに惹かれあっていく。許されない恋など今の世の中にはないのに、心中するしかないと思い詰めるほど。
結局、受が姿を消し、心中は回避されるのですが。お互いに心を預けていると想っていた片割れが黙って消えるのって、失恋より哀しいこと。どんなに恨まれても、相手には幸せになってもらいたい、自分が幸せにするのでなくてもいいから。その想いが通じたから、再会してもまた愛せるのだと思う。
高校生のころのギラギラした感じと、大人になってからの雨のように優しい関係(でも強引)がどちらも読めて、二度おいしいです。

1

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