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特別、セリフなどの文字が多いという意味ではないのですが、言葉の表現が綺麗に感じ、小説を読んでいるような感覚でした。その綺麗な言葉とコマの光景がマッチしていて、心に染み渡る感じがします。特に一番好きなのは最後のシーンで、何度も見返しました。
心理描写が丁寧で、引っ掛かりもなく物語の中に引き込まれます。終始雰囲気は暗めであり、BLに求められるようなキュンキュンするシーンなどは少ないように思うので、読む人を選ぶ作品だと思います。
や~すごい作品でした。
一言ではもちろん言えないし、全てのエピソードが秀逸でそれがつながっていく構成がすばらしい。
こんな複雑な人間のあれこれを読み応えも余韻も凄まじい1冊にまとめられる手腕が恐ろしいくらいです。
シュールな絵(村瀬なんてちびま〇子ちゃんのキャラみたい)にヘビーな内容だなと読んでいた前半ですが、後半とラストで打ちのめされました。
人(特に子ども)は環境や衝撃によって歪んでしまう。
「どうせ皆どこかしらオカシイよ」まさにそう思う。
おかしいとされる村瀬の日記は読書好きなだけあって感受性、情感、語彙力、表現力などが豊か。
人の内面って外からはわかりにくいものですもんね。
そんな村瀬の文才がクライマックスで活かされる場面が見事です。
淀井のかくれんぼのエピソードは切なく象徴的。
村瀬が駅のホームで哲郎を突き飛ばそうとした時、淀井の姿が浮かんで踏みとどまった。村瀬のトラウマが淀井によって上書きされつつあるということですよね。
そのトラウマのある電車の中での2人の会話がやさしく、村瀬のモノローグが少し軽くなり、2人の心の重みがましになっていればいいなと思いました。
この頃、村瀬の吃音はなくなっていた。
お互い相手の特別になりたい。
その気持ちや形はちぐはぐでヘン…それを自覚し共有する繊細さよ。
この後、告白大会をして村瀬が嬉し泣きしてこわくなって…
下に小さな景色の3コマ…最後のコマがこれまで何度か描かれてきた神社の鳥居のシルエットで、ここで、え!❔(嫌な予感しかない)と声が出ました。
次が「はい 飯田です」のページ。
場面転換が上手すぎる!とビビりました。
ここからがまたすごすぎて…飯田、柿沼と共に
淀井の乳歯を見つけた村瀬のスピーチが圧巻でした。
見開きで、踏切、海、フェンスと空を背景に…ここの言葉にこれまでの淀井との思い出が詰まっている。
「僕の行く景色には淀井くんが溶け込んでいて」←淀井は村瀬にとって神様ですもんね
「強く柔らかな午後の光線は いつも彼だけを差し照らしているようでした」←いつか見た日の村瀬だけの淀井で永遠なんだな(ここでのタイトル回収に震えました)
死は解放で憧れ。
村瀬にとって淀井は憧れで神様でもあった。
淀井は自ら選択したのでしょうか。
村瀬のため、村瀬から離れたくない自分のため、
「村瀬の目を借りて色んな場所を見てみたい」から?
自分が弾ける体を村瀬に見せたいのかもと淀井が言ったのもあって、村瀬は最期の淀井に会いたかったのか。
ラストシーンのタタンタタン…が頭に残ります。
淀井は死への旅に出た。
午後の光線を浴びながら。
外が海(命)なのが象徴的。
銀河鉄道の夜を想起させます。全体的にもほんのり。
表紙の淀井の顔
右側、光が当たっている
左側、影になり頬に怪我がある
が、村瀬乃日記
「春光で淀井くんの半顔が 沫雪みたいに白く輝いていて」
「瞳の、深い深い穴の底の色を際立たせていました。」と被ります。
周りの人物造形もとってもいい。ステレオタイプやき記号ではなく多面的な人間として描かれる。
飯田と柿沼がいい奴で。
彼らの会話がすばらしい。
特に飯田の「こういう時だけ先生ヅラしやがって」が好きです。
淀井の母親は息子に愛情がないわけではない。
哲郎は悪100%でもない(逆に悪いだけの人間なんているのかとも思う)。
こういう人たち結構いますよね。
哲郎の「神も仏もねえな」が印象的。
何度も出てきた鳥居や道祖神に皮肉が込められているんでしょうか。
頭の中をぐるぐるするシーンが多すぎて、まとまりなくなってしまいました(いつものことですが)
当分余韻が抜けないだろうと思います。
すばらしい読書体験をありがとうごさいますという気持ちです。
痛くて悲しい、けれどどこか光のある話でした。
絵柄も好きです。
村瀬くんの日記も誌的で、読みごたえがあります。
特殊な性癖に悩む村瀬と複雑な家庭環境に悩む淀井が徐々に距離を縮めていく描写はとても心に刺さりました。
~~~~以下ネタバレします。注意~~~
私的には、いままでのストーリーと関係ないところで、最後不慮の事故で死にました。おわり。系のオチが嫌いなのでウーン……。です。
(某膵臓を食べたいとかもそうですが)
もちろん、人の死は急にくることもあり、いままでのその人の物語が急に事故で終って、残された側が呆然としてしまうこともあります。
でも創作物で、最後の最後にそれをぶちこんで、人間って儚い!とされてもそれは投げっぱなしエンドなのでは?となってしまうのです…。このオチがすべてを台無しにするとは言いませんが、出会いから心のつながりまでずっと丁寧だっただけになんだかとても残念な気持ちになりました。
私は午後の光線が眩しく思えなかった。読後かなりモヤモヤが残った。
前半から、ダイレクトに今までの経験の中で沢山見てきた男子の嫌な部分がテンコ盛りで胸が痛んだ。いたいた本当にこんなやつらクラスの中に。。。のオンパレード。後半はクラスのまともなやつらの心温まるエピソードも出てきたけれど、主人公があの結末を迎えたし、心が追い付かないし、かき乱された。お話は本当によくできていたけど、読み手の自分が未熟だったのかも。淡い青春に素朴な絵が物語を一層引き立てていたと思う。
以前テレビで紹介されていたので読んでみました。
まず最初にこの作品は一言で切ないとは言い表せないと思いました。
トラウマを持つ村瀬に対し、自分しか分かってやれないというある意味独占欲のようなものを持つ淀井の村瀬への接し方、想い、行動全てに淀井の気持ちが表れているように感じました。また、村瀬の信仰によく似た淀井への想いを詩的に表す日記の表現がとても素晴らしく思わず感動しました。
最後に淀井が電車の中で笑っているということはきっと村瀬は困った顔ではなく笑ってお別れできたのかもしれないと思いました。
作品をまとめて見たら切ないと言えるかもしれないけど、それだけではなく2人の幸せの感じ方にもとても感じる部分があってすごく素敵な作品だと感じました。