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短編だけど深くて、どういう人間関係があったのかグルグル考えさせられる作品でした。
鬼堂は、もと情婦だった母親が生きていた頃には何の援助もしてなかったので、双子の父ではなさそうですね。「あの女とは似ても似つかない...」という憎悪の言葉に、一体何があったのかすごく気になります。おそらく、自分を裏切った女が子供ともども堕ちてゆく様を冷たく笑いながら、少し離れたところから見続けていたのでしょう。見ていたから、女が亡くなるとすぐに双子を引き取ることができた。
うーん、妄想すると、たとえば先代の組長の愛人の子供(あるいは敵対する組の幹部の子供とか)に、美しいけれど知的な障害のある青年がいて、鬼堂の憧憬の的だったが、同性である上に何らかの立場上、彼に手を出せないでいた。
鬼堂の情婦だった女は、鬼堂を愛しているのに彼の一番の想い人はその青年であることを知り、青年を誘惑し「あなたが手を出せないでいる〇〇さんは私が汚して、子供まで作ったわよ」と高らかに鬼堂に言い放つ。
その上、その青年はヤクザとして生きていたわけではなかったのだけれど、女のせいで何らかの抗争か事故に巻き込まれて亡くなってしまい、彼女は激怒した鬼堂に追い出された、とか。
二卵性双生児はあってもニ精子性双生児というのはないので、鏡水と天地は同じ父と母から生まれたはず。なのに鏡水はあざとい母に、天地は純粋無垢な父に似たということか。本人たちのせいではなにのに。
そして鬼堂は、母に似た鏡水に復讐し、父に似た天地を自分のものにする。
でも、妄想のように双子が鬼堂の想い人の忘れ形見だったなら、なぜ生まれてすぐにでも母親から引き離して引き取らなかったのか。鬼堂の調査能力なら、女が亡くなるまで居場所がわからなかったなどということもなかろうに。
天地を助け出したあとすぐに鏡水は池のほとりで服を着たまま撲◯されてしまったようだが、鬼堂に組み敷かれて揺さぶられているのは、双子ゆえ、天地に憑依して得た感覚なのか。
天地を池に落としたり、ヤクザに輪姦させたりしたのは非道いけれど、それ以前は、母子三人が生きていくため、鏡水が身体をはって雄作さんやほかの男たちの相手をしてきたのに......。
がんばってきた子が報われないのは悲しい。
天地に悪意がないのはわかるけど、ちゃっかり「鬼堂さん」から「征司さん」呼びになっちゃってるし。
切ない。
この作品を購入するにあたり、めちゃくちゃ迷いました。
大好きな奥田枠先生の作品だけど、かなり胸糞悪くなるストーリーだという評価に尻すぼみしたからです……:(;゙゚'ω゚')
ハピエン至上主義の私には手に負えないシロモノかも知れないけど、読んでみたいと思う気持ちが強くあったのは奥田先生作品というのが一番大きく、胸糞悪いとされているストーリーなのに評価が高いのが多いのも気になるところだったので、思い切って購入しました。
いやーーーーー……!!これはすごい!!この短い作品の中でキッチリと魅せてくるストーリーの完成度が秀逸でした。
BLでありながらホラーにも振り切ってるし、バランスの良さはさすが奥田先生。ハピエン至上主義の私でも、何度も読んでしまいたい妙なクセ感に身震いしました。
これは確かに胸糞悪い…と評されていても納得ですが、でもこれ。見ようによっては、勧善懲悪系のハピエンに見えなくもないです。
主人公の鏡水にとってみると良い結末でないのは間違いないけど、自業自得。正直攻めがここまでしちゃうかと驚きですが、鏡水を通して彼らの母親を見てる節もあり、過去に何かあったのだろうかと勘繰ってしまうストーリーの守備範囲の広さに恐れ入りました。
ナレーションの言葉遣い……例えば、「◯◯でした」の過去形になってるなーとか、なぜゆらゆら揺れてるんだろう…とか。変な違和感が身体に纏うゾクゾク感はハンパなかったです。"私は聡明で、天地は愚鈍"と語るマウントもそうだし、"愚鈍"のワードチョイスからして鏡水の性格がアレなのが垣間見えました。
こんなラストなのかという驚きはあったけど、私としては納得です。
鏡水の過去回想みたいのがちょろっと出てたけど、コイツ色々とやべーなって感じだったので、遅かれ早かれこうなる運命はどこかにあったのかも知れないと思いました。
双子という同一性の象徴の中に見える、白と黒、明と暗の描きにゾクリ……すごい世界を見せてもらって気持ちが高揚しています。
