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攻めの誠一と受けの啓介は高校生の頃に一時だけ、、、お互いを必要で好きだった。
しかし、大人になって誠一は遊び人となり、10年経ったある日に再会することになる。啓介は、ずっと誠一のことを思い続けていたが、誠一の都合のいい相手に見切りをつけて去っていく。
誠一は失って初めて啓介の大事さを知ることになる。
今度は誠一が待つ番、と誠一は考えていたところに啓介が離婚したことを知って迎えにいくが、啓介は失う怖さをいつも抱えていて。。。
啓介は静かに思い、誠一は熱く思う。二人が一緒にいるには色んな試練を越えるんですが、これらがなかったらずっと一緒にいるってことは出来なかったのかもなって思ったりします。貴之の存在も、それがあったから、最後の啓介の思い切りがついたんじゃ無いかなって。
新装版を読んだので、柊と貴之のほんのりハッピーへ向かう兆しも読めたのは良かったです。そして50歳を越えても啓介と誠一が一緒にちゃんと暮らしてるんだなとわかったので、ホッとしました。
高校時代のほんの数週間の逢瀬が彼らの回り道したけど幸せに繋がってるって言うのは奇跡みたいなことなんだろうなぁ。そして木原音瀬さんの本でこんなに幸せ臭がするのは初めて読んだかも(笑)
この本が電子で出ないのは柊が中二の貴之を展開ではってところが無理なのかもなって思いました。でも、これを単純に16歳とかにしてしまうと、お話が変わってしまいそうで、そう言う修正も作者は好まなかったのかなと思ったりしました。
新潮社や講談社から出された木原さんの本の、著作紹介では「コゴロシムラ」「箱の中」は勿論、この作品名を何度か目にしました。
神BL作品数多の中、この作品は2000年旧作の新装版で2008年発行、ちるちるさんの購入ボタンはamaz0n中古のみ。わざわざどうしてと思っていました。
読んだ後「分かるわ……(上から目線みたいな言い方ですみません)頭抱」
最近は糖分補給目的でBL小説を読んでいたので、複雑な甘辛に酔いしれました。
木原さんの作品は思い切りのいい展開がポンポンあるので、吃驚!まだ◯ページしか進んでないのに!とお話と本の厚みに歓喜しながら読むので生きている実感があります。
何気ないようなとっさの言葉や、相手を酷く扱う行為でも、相変わらず納得させスルスル読ませる文章で、腹の底に溜まっていくような充実感がありました。情景描写を読むのが苦手で飛ばす事もあるのですが、この作品では空気まで見落としたくなくて夢中で読みました。古い宿の布団が干してある光景や、人が歩く振動で揺れるガラスや床の軋みまで聴こえてきそうです。
関係が形勢逆転するお話大好きです。
『NOW HERE』でも、遊んでいるつもりがドップリ夢中になってしまったお話でしたが、こちらの方が多幸感増し増しです。
外見ばかりを気にする誠一、ダサくて何をしても怒らない包容力ある啓介。
夢中になる誠一、恋が冷めるのを待つ啓介。
外見の優越感の持ち方や、金銭面のバランスも相まって本当に面白い。
去られてやっと啓介が必要だと思い知った誠一が、じっと見守るだけに徹したり無理してマンション買ったり、仕事からすぐ帰ってきたり指輪買ったりと、年月と熱量をフルスロットルで必死に落としにかかる様は清々しくて甘く、「攻めざまぁ」なんて言う暇を(少ししか)与えません。
ベッドシーンが綿密に書かれているわけではないけれど、た〜〜いせつにして執着している様は最高でした。色白のホテルマンが体中キスマークだらけって最高だ。
幸せは長く続かないと信じている啓介、この気持ちは作品でも現実世界でもありふれている感情ですが、「いーから飛び込んじまえよー」と横槍を入れたいと思わずにしっかり共感させる文章でした。自分の気持ちを伝えてオーバードライブした啓介はこの世の天国を手にしたでしょう。
その代償は、きっちり描かれます。
一気に「しゅみじゃない」まで急降下した、二人が子供に見せる行為、そこから(その前からだけど)苦しむ息子貴之が愛を求めて彷徨う様は本当に可哀想でした。書き下ろしは、貴之が社会人になったお話。
読み初めた時は「書き下ろしも誠一と啓介の甘いお話が良かった〜〜」と思っていたのに、単独作品一つ分の世界観と、ハッピーエンディングだけで済まさない結末はとても大切に思えました。
息子の自分よりも恋人を大切にする父親、居場所のなさや世間と愛情の無知さ、最後の気づき。
自分の気持ちなのに間違えたり分からなかったり、認めるのが怖いと思っても、認めるからこそどの様にでも踏み出せる。
応援もときめきも要らないBL小説を久しぶりに読みました。
また、私は『期限切れの初恋』に泣くほど共感する拗れ具合なのですが、あとがきの「思うだけの恋とはどういうものだろう」からこのお話が始まったと知ると、また見方が変わるなぁと思いました。その後に「自分に向き合えない分、自己満足で逃げ」とバッサリ書かれても、落ち込まない(メンタル弱いので)のは、啓介の心情が丁寧に描かれてあったからだと思います。
この作品、電子書籍無いから読まない人がいると思うと、宗教の勧誘より必死に説得しそうです。現状中古でも、未読の方がいましたら是非とも読んで欲しいです。こちら神です。
実の息子でさえも…。
今回もとても惹きこまれた作品でした。
再会してからの受けの啓介のキャラが大好物だったんですよね。
自分が抱く好きという気持ちをその相手に都合よく使われているところ。
最初は無償で無限な包容力持ちだと思っていたのですが、違ったんですよね。
ーーー好き。
ただ好きだからという一心で攻めの誠一との関係を続けていたんです。
(本命と言われたこともないけれど)浮気されていようが手酷く抱かれようが、ただ好きというその気持ちだけで。
誠一に使い勝手の良いセフレと思われた状態で。
そんな酷い誠一ですが啓介の存在の大きさに気付き真に惹かれていきます。
完全両想いでいいじゃん!と思っても木原先生です、もちろんそうはいきません(笑)
幸せになっても、その幸せに必ず終わりがくると啓介は怖くて怖くてたまらないんですよね。
そこには学生時代の誠一の約束破りの根も絡んでいて…。
互いに幸せなはずなのに幸せになりきれていない…。
心の乱れの表現のうまいこと!
そして欲しくて欲しくてたまらないからこそ離れてしまう…
なんでそうしちゃうのという気持ちと本気で恋をするとこういう形もあるのかな…と分かりそうな気持ちとでとにかく苦しい。
相手の気持ちを信じて愛をもらい続けることにも勇気がいるんだろうな…と漠然と思いました。
しかし吹っ切れてからの啓介は強かった…!
実の息子ではなく同性の恋人、誠一を不動の一番に掲げた。
そこまでの苦悩や変化をしっかり書き込んでくれたからこそその凄まじさにとても驚きました。
息子視点はしんどかったですね。
血の繋がった子どもの自分が二番手であることを身をもって知ってしまってるんですよね。
この父親のせいでこう育ってしまった…と思うと居た堪れなさもありましたが、一番は常に誠一だという深い愛に惚れ惚れしてしまうのも事実でして…(笑)
彼が少しでも寂しさを消し幸せになってくれたらと願いたくなりました。
決して真っ暗ではない終わり方がスーッと心に入り込みました。
従兄弟・誠一との恋愛で変わっていく啓介に強烈な印象を覚えました。
高校生のある夏休み、従兄弟の誠一から仕掛けられ、体を重ねた啓介。誠一の「迎えに来る」という約束を信じて待ちますが、忘れ去られ、恋愛の儚さを知ります。
そして10年後、啓介は上京し、誠一と再会。約束を反故にされた過去をおくびにも出さず、誠一に求められるままに体も金も優しく与え続け、ある日突然田舎に戻ってしまいます。追いかけてきた誠一に、結婚して旅館を継ぐ前に誠一に会いたくてたまらなくなったのだと、上京の本当の理由を明かします。そして、自分も幸せになるし、誠一にも幸せになってほしいと。「さようなら」と手を振る啓介は清々しいほどきっぱりしていて、自分の気持ちに気づくのが遅すぎて悔やむ誠一とは対照的です。
ここで話が終わっていたなら、啓介の見返りを求めない愛情に驚嘆し、こんな愛の形もありかも…、と思ったかもしれません。
しかしその後の話で、啓介が変貌していくのが、この作品の面白いところだと思います。
啓介の妻は好きな人が出来たと子どもを連れて出て行き、啓介は穏やかに守ってきた家族の終わりに虚しさと孤独を深めます。そして迎えにきた誠一と暮らし始めますが、与える人から受け身なだけの人に変わってしまっていました。気持ちを返してこない啓介に苛立った誠一がぶつかってきて、啓介はやっと気持ちを解放します。「ずっと、傍にいさせてほしい」と。愛されることを素直に喜び、自分から誠一を求めるようになります。
さらに啓介が変わるきっかけとなる事件が起きます。
別れた妻が交通事故で死に、残された自分の息子・貴之を引き取ることになったとき、啓介は父親であることを選び、黙って誠一の元を去ります。本心では子どもより恋愛を優先したい自分が許せなくてとった行動でしたが、その決心は、追いかけてきた誠一に抱かれて砕け散ります。「飽きたら、殺して」
人の道を放棄し恋愛の深みに身を投げた者がいきつく果てを見たような気がしました。見返りを求めない優しい啓介は、もはや影も形もなく。啓介の変貌ぶりに、ただ圧倒されました。啓介にとって誠一がそれほどまでも好きな男だったということなのでしょうね。そうとしか考えられない…。
啓介が大人になった自分の息子・貴之に言う言葉に、自分と誠一の恋愛関係についての複雑な思いを見た気がしました。「相手の気持ちも自分の気持ちもわからない子供に、そういうことは早すぎたよ。」貴之が柊と体の関係を始めたのは中学生で、啓介と誠一は高校生でしたが、相手の気持ちを分かっていなかったのは同じこと。体をつなげることで残る想いはとても大きいから、と啓介が言っているように感じました。
貴之と柊の行く末は少しだけ気になりますが、誠一と啓介の恋愛は行き着くところまで行っているので、彼らのその後は知らなくても十分という気がします。
恋の重さが胸に残る作品でした。それしか言いようがありません。
啓介はいったい誠一のどこがいいだろう…と思いました(汗)。見栄っ張りで、わがままで、優しくもないし、機嫌が悪かったら暴力も振るったりするし…とにかくこの攻めは最悪で最低な人間でした。正直読みながら「タイトル通りの終わりが欲しかった」と思いました。だから前半読み終えてめちゃくちゃすっきりした!(笑)
でも後半読んでるとやっぱりちょっとモヤモヤするというか…。妻が急に離婚すると切り出すのが少し不自然なのでは…?と思いました。誠一は「10年も離婚しなかったらお前を奪う」って言ったけど、正直奪略バージョンが読みたかったです(笑)。
最後の誠一の「怒っていい」という言葉でなんとなく「愛すること」を思い出した…。未来は不確定であっても、今の2人はこの関係を取り繕うために自分を変える努力をしていますから、これもこれで良い結末ではないかと思いました。この先2人はやはり別れてしまうかもしれないのですが、だからって簡単に「お別れ=バドエン」っていうのは違うような気がします。
まぁ本当はBLは皆ファンタジーだから、厳密にいうと現実味のある木原先生の作品はBLじゃないかもしれません。でもこういう現実味こそ木原先生作品の醍醐味だと思います。本当に…癖になります(笑)。
色々話が逸れてしまって…とにかく良い作品なので、未読の方はぜひ〜。
評価にはすごく悩みましたが、やっぱり神にします。