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あらすじを読んで想像していた通りのキモエロじじぃが、『あ~、水原先生のキャラだなぁ~』と納得できて思わずニマってました。
カップルの敵キャラとなる、この日本画大家の柳燕(りゅうえん)先生(62才)が、怯える紗希に「ずっとコレしたかったんだぁ~♪」とエログッズを嬉々と見せつけるシーンでは、グッズを捜している時にこれらを妄想して“うふふ”って笑っている柳燕先生のおちゃめさが想像できて、あ~あるあるって^^
その我欲の為の、虎視眈眈とターゲットオン&紗希を絡め取る手管は、評価できます!(出来ませんか~?)
なのに、こりゃ無理だと思ったら長年の執着を捨てられる、ボンボンのまま年喰ったその通りのキャラ、キモいと見るかフツウと見るかは、読み手の裁量ですが、自分は憎めなかったんですよ!
それよりか紗希の女々しさというか『自分は不器用だから』となかなか飛び立てない方が心地悪かったです。
否そうじゃなく『優柔不断』『意志薄弱』ではないかって。
むつこさんの仰っていた「1回きりの思い出のつながり」は萌える部分ですが、今村の将来だけを考えているのではなく自分の欲も含まれている選択だったのが、同調できなかった訳です。
師匠×盲信弟子の陰鬱エロと、さわやか新参者×殻を破りたい健気ちゃんのウブ愛のコントラストが、この作品の読ませどころかな。
水原先生のこの暗さと背景と時間軸の説明は安心して読めたし。
それと、キャラそれぞれが美しい有馬絵には、早々に他の作品も拝みたくなった位でした。
萌×2でした♪
トチ狂ったエロジジイがキモくて怖かったです。
作品全体から大正とか昭和初期ぐらいのセピアな雰囲気が漂ってきます。もちろん携帯電話とかが出てくるから時代は現代なんだけど、水原とほるさんはわざとそういう空気感を演出してるんだと思う。妙に淫靡な雰囲気です。
杉原とほるさんにしては珍しく痛い度も低い。
主人公は日本画の大家のところで内弟子をしている紗希。還暦をこえた日本画の大家とは、体の関係がある。
このエロジジイ、完全に年寄りの冷や水です。若い紗季にどっぷりハマり、束縛している。きっぱりキモい。
紗季は内気な性格で、息苦しさを感じながらも、流されるようにその関係に甘んじてます。
そんな生活のなかで、紗季は、空間プロデューサーの今村と出会い、そして恋をする。彼に新鮮な風を感じるのだ。
これで主役の二人が駆け落ちのすえに心中でもすれば、江戸時代の世話モノのような悲恋物語が完成するんじゃないかなーと思った。昨今のBLは幅広い。
エロジジイの目を盗んで重ねるキスだけの逢瀬、そしてやっとたどり着いたセックス。ハラハラドキドキしました。私の萌えポイントのひとつに、『最後の思い出でもいいから、一度だけ肌を合わせる』というものがあるもんで、絶望と希望が入り交じるなかで慌ただしくセックスした二人にハァハァ萌えました。
でもメインカップルはオマケとしか感じなかった。エロジジイの存在感が…。
『老いらくの恋、じじいが若い子にハマってさぁたいへん』みたいなシチュエーションに萌えるかたにこそオススメですw
お話の舞台が琵琶湖と京都だし、飼育されている鳥や野鳥が多く出てくるのでとても風流でした。
個人的に、自然と鳥の描写だけでも読む価値があったと思います。
しかし、その風流さが人間になるとレトロに感じることがあって、清廉潔白な攻めと清純派な受けが大昔の純愛映画のようでした。
もしくは、囚われのお姫様を犠牲者精神で助ける王子様。
でも紗希は囚われのお姫様ではなく芸術家です。
芸術家としてプライドと自立心がないのは、才能云々よりも芸術家の根本的な部分でどうなのかと思います。
儚げな美しさというよりも軟弱なもやしっ子として映ってしまいました。
これからは今村(攻め)の庇護のもと創作し続けるのでしょう。
作中で紗希を鳥になぞらえていましたが、束縛と虐待のきつい合田の鳥かごから、扉がオープンな今村の鳥かごへ移っただけです。
大空へ羽ばたいていくようなカタルシスはなく、そこを期待してしまっていました。
作者さん的には、大事に慈しまれる純粋培養な才能が萌えなのかな。
紗希の才能が潰されなくて良かったと思いますが、息を吹きかけたら倒れてしまいそうな頼りなさを感じました。
でも庇護される強かさを無自覚に身につけていったりして…なんてちょっとだけ思いました。w
紗希の師匠の合田は、読み進めていくほどに腹が立ちます。
厚顔無恥にしか思えないのですが、彼自身は正しいことを行っていると信じて疑わないんですよね。
読み終わった後は、彼の歪みのなさと図太さ、人を顧みない潔さはかえって清々しく感じました。
だからこそ芸術家として成功しているのかもしれないし、良くも悪くも自分を貫いている姿勢はある意味で尊敬に値すると思います。
合田との距離が遠ければ遠いほど、さぞ素晴らしい大先生に見えるんだろうなと思いました。
紗希と今村の真っ白さはどこか胡散臭く、合田のようなグレーな人物は心に残りました。
この作品の風流さは好きなのですが、登場人物があまり好きになれなくて萌評価です。
2008年7月に刊行された3冊のうちの一冊。
この物語は水原さんのもう一つの得意分野でもある芸術系の話だ。
花鳥画を描く為に広大な庭で様々な鳥を飼っているって設定もあって鳥類の蘊蓄も満載だ。
が、個人的なアピールポイントはこの話の攻めキャラの年齢が62歳だという点だと思う。
ネタばれを出すとこの話、画家の卵である主人公が庇護者の元で方向性の違いに気付いた末に愛情を受け入れる事も叶わず、外の世界の新たな可能性に惹かれて飛び立つ…といったものだ。
だから攻めキャラが二人いる。
一人は主人公・紗希を自身の元に囲っている日本画家界の重鎮・合田柳燕氏、もう一人は紗希と同じ芸大の出身者で空間プロデューサーとして成功を収めている今村だ。
表紙の攻めは今村だが、紗希の中で大部分を占めるのは内弟子として内外を支えて閨を共にしている柳燕氏との生活だし、話の中身も彼の存在感が大きい。
だから、この話のメインの攻めキャラは柳燕氏じゃね?と思うのだが、どうでしょうかね。
但し、親子以上に歳が離れているし歴代のDV攻めとは違う変態全開でドン引きものだが。
何せ柳燕氏が紗希に向ける愛情ってのは囲い込みと束縛だからなぁ。
おまけに性欲も衰え知らずで縄・張り型・乳首の金輪にこだわるねちっこさに、紗希が悶えている卑猥な姿も絵に描いて残すというムッツリぶり。
(今時のスマホ写真とかじゃないんだ…否、感心するのソコじゃないってば)
そんな折り、二人の前に現れた新鋭の空間デザイナーの今村の気さくさ、感性の鋭さ、物怖じしないおおらかさにたちまちに惹かれる紗希を留める事は出来なかった。
紗希も柳燕氏を尊敬しきっていたのに、関係を昇華出来なかったのが別れの原因…
…歳の離れた伴侶というには抵抗が強いだろうが、愛情が芽生える可能性なきにしもあらずなんて思ってしまったのだけどね。
この話って世界的に名を馳せる画家達の愛人エピソードを彷彿とさせるものがあるね。
きっと彼女達と別れた巨匠の晩年を参考に起こした内容かも知れない気もするんですがどうでしょうかね。