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英田さんの代表作「エス」のファンでしたので、エスとの接点やらチラッと出てくるキャラに前に読んだ「エス」を読み返したくなりました。(エスもこれも発売されてだいぶ後に読んでます)
本作に対する感想ですが・・・
こちらも、続編の「迷鳥」に続く下準備というか伏線をしっかりさりげなく書いるので、「迷鳥」を読み終えると、「囮鳥」を読み返したくなりました。
2組のカップルが同時進行しています。
殺し屋×記憶喪失青年とヤクザ×ヤクザ
前者は一方が記憶喪失なので、2人の過去の関係が少しづつ明らかになる過程、ヤクザ組は2人の関係の変化を追っていくのが楽しく、また2組は各々深い接点というか繋がりがあり、それが解き明かされていくのが「迷鳥」です。
前者の方はある程度先が読めてきてしまうところもありますが、全体にすごく練られていて脇役達もとてもキャラが立っているし、どんどん謎が解き明かされてぞくぞくさせてくれます、やはりさすが英田さん!
とにかくコレを読んだら絶対「迷鳥」も読みたくなりますので同時に揃えることをお勧めします。「エス」をもし読んでいない人はこちらも読むとなんだか得した気分になります。(大洋図書の回し者じゃないですけど笑)
次巻「迷鳥」とで一つのお話なもので、評価をつけるべきか否か迷いましたが、これだけ複雑な人間関係と事件の絡まりあいを、読者の頭の中でこんがらがることなく読ませてしまう力量に「神」をつけました。
英田氏のブログに、後のほうから読んではいけませんって書いてあったので、パラパラしたくなるのを我慢し、順を追って読みました。(確かにその方が面白いと思います。)
いやー複雑ですぞ。安見がただの記憶喪失じゃないとは思っていましたが、なるほどそうきましたか。エスの登場人物と重なるところがあるってことは知っていましたが、そんな関係なんですね。
記憶喪失って、本当に不安でしょうね。そして、不本意に罪を犯した場合、やっぱり隠し通したくなるものなんでしょうか。
というわけで、この巻は人物相関図に終始しているのかな?もちろん主軸となる事件はあるし、安見や那岐や加賀谷が抱える闇にも踏み込んでいますが、とにかく全てが始まったところな感じです。その中で火野だけが、爬虫類的異質な存在として群を抜いている気がしますが、私の好み的には、他の3人の方が受け入れやすいです。
只今、気分は落ち込み加減です。早く「迷鳥」を読ませてー!気持ちをスッキリさせてー!って思います。
オラ、ゾクゾクしてきたぞ〜が第一印象。
エスシリーズ本編最終話「残光」がチト飽きてしまってたんです。
でもスピンオフ「デコイ」で2冊ある。
それだけしっかりとページ数があるのなら読んで損はなさそうと読み始めたら…
最後のワンフレーズが気になって気になって。
もちろん多くの他レビュアーさんのアドバイスにならって下巻にあたる「迷鳥」買ってあります!ウヒヒ、この後すぐ読んじゃうよー。
しかし、ドラマ、テレビ、小説、どこにでもある記憶喪失設定。
韓◯ドラマなんか見てると交通事故があると「あ、また喪失ね、なんかお話が詰まっちゃたのかなー」なんて流してしまうんですが、本作ではなんて素敵なガチのミステリアス記憶喪失設定!
久しぶりに意味ある記憶喪失設定です。
あと、余計な一言を書きます。
「デコイだけでも」読めるよーとか「本編読んだ後「最果ての空」読んだよー」というご意見を、チラチラと見るのですが、
絶対に絶対にエス最終章の「最果ての空」は最後に読んで〜です。
本当に最終章「最果ての空」が全部拾っていくんです。
この順番で読んでいただいたほうがガッツリと満足感もあったし、エスシリーズは安心して買い足せるシリーズなんで損はないと思うんですよねー。
なので本作「デコイ」もこれだけで読めるけど、本編4冊読んでからが超オススメです。
上記からもいつも思うのですが、色んなシリーズものって、紙だと帯に「エスシリーズスピンオフ「デコイ」上巻」とかハッキリ書いてあるんでしょうか?
電子書籍だとシリーズものと書いてある時とない時があり、何名かのレビューを見てやっと「やだこれ、スピンオフらしくて3巻目まであるらしい」とわかるような状態。
「最果ての空」なんてエスのエ文字もありゃしない!もうちょっとで先に読んじゃうところだったよ!(`_´)とプリプリしてしまいました。
私だけかなーと思ったら結構そんなレビューが散見されるからそんなに変な事ではないと思うんだけどなぁ。
でも今はインターネットやSNSがあるから下調べしていけばいいのかな。
でも本作みたいにロングセラーの作品こそ書いておいて欲しいなあ。
ただ、タイトル、サブタイトルにこめる作者さんや編集者さんの意気込みもわかるし。
英田先生の作品だと「DEADROCK」を順番通りにおっていくのが苦労した〜英単語のサブタイトルなので目がすべるすべる。とおもってたら、ちるちるではシリーズ説明がありました。さすがのちるちる!
続いて!さすがのエスファンだーと思ったのは
「デコイシリーズの表紙に羽でSの字が書いてありませんか?」
というレビューです。鋭い方もいらっしゃるー。
ただ、ウフフと思ったのは紙で買うと書店員さんな周りを気にして家で確認して調べていったけど、慌てて下巻だけ買っちゃったという方。
電子ですけど、気持ちはよ〜くわかります!
肌色率高めを開いて裏を見て「既刊は何冊あって、この本が今出てるうちの1番最後なんだなー」なんてのんびりしてらんないですよねー。
『デコイ』というのは、狩猟に使う木で作った囮の鳥のこと。
-囮鳥-そして続く-迷鳥-で完結するお話です。
奥多摩で殺された男の事件を発端に動き出す
2カップルのお話が綴られています。
記憶喪失の安見と殺し屋の火野。
犯人を追うヤクザ那岐と相棒の加賀谷。
身体は深く繋がるのに心をつかめない
心は惹かれ合うのに身体を繋げられない
どちらも酷くイビツなのに甘く読者の心を蝕むような魅力がある。
記憶喪失の安見の視点から見る火野というミステリアスで
美しい殺し屋・・・
怖いと思っていても、ずぶずぶと火野という男に溺れていくさまは
本当に、ゾクゾクしました。
そして、記憶を自ら隠している那岐
かたわらで辛抱強く支え続ける加賀谷との関係もまだまだ闇の中・・・
なにひとつたしかなものがない中
同時進行する2つの視点。
これが巧みに合わさってくる!
正直BL本のハードボイルドやサスペンスなんて
底が知れてる!なんて思ったら火傷しますからっ!
『エス』シリーズの登場人物も、ちりばめられ
壮大なドラマの序章となってます。
『デコイ』と名づけられた意味がわかるのは
続く-迷鳥-なんですよー。
-囮鳥-読んで-迷鳥-読んで
もっかい-囮鳥-読むと、あー!とか、くぅー!とか
いろいろ声が漏れます。
ほんとに素晴らしい作品です。
ドラマCDも、素晴らしかったです。
那岐と加賀谷のコンビがツボに入りました。
ヤクザの裏部隊である「鳩」にいる二人。
過去にあったナニカのせいで那岐は屈託を抱えていて、加賀谷はそんな那岐を見守りながら、忠犬のごとく側にいる。
一番萌えたのも、この二人のキスシーンでした。
主要登場人物四人のなかで心が健康なのは加賀谷だけです。そのせいか、やたらと加賀谷に感情を寄り添わせながら読んでました。四人のなかで出番いちばん少ないのにさw
対する火野と安見は…、病んでますな。
火野は「病んだ状態がデフォ、それが正常」みたいなキャラで、壊れっぷりがデッドロックシリーズのコルブスっぽい。英田サキさんが得意とするキャラだよね。殺人を犯しても罪悪感は皆無という恐ろしいキャラなのに、なぜか寂しさを感じる男。こういう闇を抱える人物というのは、怖いけど魅力的です。
で、安見。安見が不満だったんだよね、私。BL的にはぜんぜんokなんだけど、「ミステリ」という目で見て不満でした。
安見は記憶喪失なんだけど、過去探しをする過程での鈍さが気になりました。「精神的に不安定だったから」と考えればアリかもだけど、のちに明らかになる前職やそこでの実績を考えると、可能性を考えたり潰したりしていく作業や手順にもたつきがありすぎるなぁ…と。目眩ましのブラフがもうちょい欲しかった。
ダメだな、英田サキさんが大好きで期待が大きすぎて、期待したぶん細かいアラをあげつらうイヤな読者になってるぽい自分がとってもヤダwもともとミステリオタクだったもんで、脳ミソをそっちのスイッチに切り替えると、とたんにイヤな読者に成り下がってしまう。ミスオタはうんちくたれが多いんですよ。
ただ、夢で記憶の一部を見て逃げ出したシーンや、火野に裸足で迷子になってた理由を聞かれてさりげなく巧妙な嘘をつくシーンは、完璧でした。説得力と緊張感に溢れてる。もちろんミステリ的にw
総合的に見ると非常に面白いです。挙げた不満点も、レベルの高い場所での不満なんですよ。
四人の過去が複雑に絡み合っていて、練り込まれていて、骨のあるストーリーになってます。
エスシリーズの登場人物もチラホラと登場してて、シリーズのファンならニヤケること間違いなし。
伏線だらけで何ひとつ解決することのないまま、『迷鳥』へと続きます。
この終わらせ方で次巻へと引っ張るのは、心憎い演出だよねー。