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シリーズ上下巻読んでの感想です。この小説は作りが凝っていて、殺し屋・火野×刑事・安見カップルと加賀谷×那岐のヤクザカップルの話が平行して進み、他にも記憶喪失設定・人身売買問題など色々なものを詰め込んでるのにゴチャゴチャせず2つの話が上手く交わり、きっちりと2冊にまとめきっています。ヤクザや警察物のスリリングBLには英田サキさんあり、と言いたくなる存在感。10年以上前の作品ですが今も全く色褪せない名作です。
英田先生のすごい所は事件のシナリオも興味深く読ませるのにBLの肝であるLOVEの部分も一切手抜き無しで楽しませてくれる所。火野×安見の愛憎渦巻く感じはBLならではのパッションで萌え滾りました。短髪の刑事受けめっちゃ好みだし!ヤクザカップルの方は逆に一途な純愛で「長年の愛、実らせました」って感じが良かったです。
14年前の事件の真相や真犯人との決着もハラハラドキドキ楽しみました。BLの枠を超え第一級のサスペンスとして面白かったです。最後に登場した篠原刑事とデコイをつくる喫茶店マスターのシーンも最高でした。カッコいいオヤジ達に全て持っていかれた感じ。こういうハードボイルドBL小説をもっと読みたいのに、最近の日本の作品ではなかなか出会えないのが寂しいです。
「エス」シリーズのスピンオフ、「デコイ」の完結編「迷鳥」です。
「囮鳥」で提示されてきた過去のテロ事件と今の暴力団会長射殺事件の隠されたつながり、登場人物達の絡み合った因縁と情念が解けていく巻です。
火野と安見、加賀谷と那岐、火野と那岐、篠塚と泰原の関係性が、代わる代わる視点を変えながら解明され、緊張感を高めていく構成。非常にスリリングです。
安見が記憶を取り戻していく過程も、よくあるわざとらしさはなくかなり腑に落ちる。いきなり全部思い出すわけではなく、途中のまだらな不安定さ、そして安見がどんな状態であっても何も変わらない火野の姿に逆に追い詰められて同時にどんどん依存していく安見=泰原の描写に唸ります。
BLとして火野x泰原、加賀谷x那岐は「恋人」くくりなのはお約束だけど、この2組の辿る途は全く異なっていますね…そこも読み応えの一つの理由だと思う。
終盤まで読み進めて、人間らしい感情も無い殺し屋である火野の心の真実…
『愛でも憎しみでもいい。どうせいつか死ぬのなら、まじりけのない純粋な感情の刃で、この胸を深々と貫かれたかった。』
…この言葉を読んだ時、火野がなぜ泰原を離さないのかが分かった気がした。作られた人格である安見ではなく、自分の選択で離れていった那岐でもなく、自分の相手は血の涙を流して苦しむ「泰原」でなければならない…
私には、泰原の選択は少々驚きでした。正義側に戻るのではないかと思いながら読んでいましたが。
泰原の弱さ、愛と憎しみ、火野を憎みながら火野といるしかない矛盾を描き切るこの展開に感服。
加賀谷と那岐は……ちょっと甘すぎかな。特に加賀谷がいい人すぎて、火野x泰原のドラマ性と釣り合わない感があります。(BL補給的には良いです)
ラストシーンも甘々で。
これもいいけど、火野サイドからの荒涼としたラストシーンも読んでみたかったような気もします。
今、ガッチガチのヒマ人上等でシリーズの本編4冊、デコイ2冊、計6冊続けて再読したのですが、いい!私は「デコイ」がシリーズ中1番好きだーと叫びたい\(^o^)/
(あ、でも篠塚お義兄さん主演の「最果ての空」も同じくらい好きだなぁ)
*****ここから薄めのネタバレです*****
私、あんまりサスペンス読まないので(トリックを読解出来なくて落ち込んじゃうんで)感覚違ってたらゴメンナサイですが、「デコイ」こそエスシリーズ中の最大サスペンスですよね?
エスシリーズ本編はエチ描写の過激さと鹿目さんのマオカラーが現時点でも不可能(`∇´)と思うので現実味がほぼないですが、この「デコイ」はR18で上下の映画化、もしくはWO◯OWでドラマ化なんてどうでしょう?
「デコイ 囮鳥」の最後のセリフ
「私の名前は〜」なーんて本当にドラマチック!超とぅびーこんてぃにゅーです。
ただ、BL好きの私もこのままだとチト無理があると思うので、
安見さんはガチガチの女刑事、
火野と那岐の過去シーンだけ男x男
(BLって表するには憚れる過去ですね)
那岐と加賀谷はブロマンス
とすれば成立するのではないかなー。
って妄想もはかどります。
今作で登場人物のそれぞれの思いの伏線の回収が出来ていて読後興奮さめやらず。
私のトンチンカン伏線回収でしょうが語っちゃいます。
本編の椎葉には
ずっと見守ってくれた篠塚
2冊目の永倉の教訓
そして3冊目で描かれてたけど激しいほどに時に暴力的なほど情の深い宗近が側に居た。
だからこそ今でも前に向かって飛び続けていられる。
でも「デコイ」の安見は椎葉とほぼ同じバックグラウンドなはずなのに、
見守ってくれた篠塚は居たけど片羽の蝶つまり椎葉への思いほど強くないからか?
篠塚の思いのはじまりが同情だったからか?止めることが出来なかった。
それともそばに居たのが98パーセント人非人の火野の絶妙マインドコントロールのせい?
とうとう安見デコイは迷いに迷って羽が生えて渡り鳥、怖い怖い親鳥にくっついて飛んでいっちゃいましたねー。
そう思うとイラストのヤスミンの髪型ってひな鳥チック。
でもひな鳥ではない、成人男性の安見本人の意見だものと考え直してたら、おっとと!
火野の述懐を今更ですが思い出して薄ら寒いような…。
ヤスミン!フラフラと籠に誘い込まれていない?
火野は大切にはしてくれるだろうけど、その後の就職とかさー。オバチャン心配!って私の妄想もここに極まれり!
これに火野と那岐の過去もいまの思いもグルグルと巻きついてくるからたまらない。
那岐のジェラシーもこれまでのお話が理解出来ているからストンと私の中に落ちました。
通常では考えられい、幼児体験、刷込みですかね。
とにかく登場人物の数だけ層があるのが「デコイ」の魅力です。
最後の篠塚の長セリフも古いけど"'金田一シリーズ"、"古畑任三郎"(最近の相◯とか科学捜査班とか見た事ないんてますよ)っぽくて嫌味ではないです。
下手なのだと、おいおい、最後に1人に伏線回収させんなよ!とツッコミいれたいドラマや小説ありません?
そしてそして!荒涼とした雰囲気で終わるかと思いきやらそこからのー、バチコーんと萌え萌えに雰囲気チェンジして〆てくれたのが
イブの予定と九十九里浜で周りを確認しちゃうカガヤン!
体格とポジショニングが宗近と似てる?
と思ったけどあちらはオヤジ全開100パーセント、時には変態露出狂?くらいだけど、
カガヤンは待てが出来る乙女オヤジ。
私はカガヤンが好き!誰も聞いてないかψ(`∇´)ψ
そして本作「デコイ」に続く「最果ての空」が素晴らしい!
「デコイ」の前にも読む事は出来るけど、やっぱりオススメは「デコイ」の後に読んで頂きたいんだよな〜。
その方が篠塚お義兄ちゃんの強さの構成段階がわかって良いんですよー。
英田先生の「DEADROCK」と双璧をなすエスシリーズ。
満腹です。
デコイ 完結編。
安見の記憶も戻り、14年前の事件の真相が見えてきました。
でも14年前の事件の真相以上に衝撃だったのは火野と那岐の過去でした。
お互いに信頼しあい、互いの存在をよりどころとしていた子供時代。でも強くなりきれなかった那岐が下した決別、それを手荒い扱いで責めることしかできなかった火野。
どちらも辛かったんだろうなと思います。
そんな二人も、互いに大事な存在を見つけることができ新たな一歩を踏み出そうとしています。
那岐と加賀谷が二人が海で寄り添うシーンは感無量でした(^o^)
作品自体は2組のカップルの視点、それぞれの過去と現在が行き来するので慣れるまでは若干読みにくい感じがしました。
囮鳥の続きです。登場人物たちの過去、事件の真相が明らかになります。そして、二組のカップルはそれぞれの生き方を選択する。
データでは、加賀谷×那岐となっていますが、上巻から続けて、火野×安見のカップルのその後も描かれます。記憶喪失になってしまった安見が、自分の過去を思い出し、火野×安見が火野×泰原へと変わっていきます。どんなに変わっても一人の男を大切にする火野、しかしその男を利用する冷徹さも持っている、そんな二面性がお話しを深くしています。
一方の加賀谷×那岐の関係も大きく変わります。自分の中で過去を清算するまでは恋愛に発展させないという那岐のこだわりがやや理解できませんが、加賀谷の抑揚が効いた中にみせる本心が魅力的です。
お話し全体を通してはとても読み応えがありました。ただし、那岐の決着の付け方だけは納得が行きませんでした。確かにお話しの中に殺人はたくさん出てきますし、火野は暗殺者、那岐も加賀谷もヤクザです。しかし、那岐視点で読ませる箇所が多いだけに、どれほど罪深い人間であっても、自分の決着の付け方として殺人に及ぶのはとても嫌な展開でした。
しかし全体としてはよく考えられたストーリーだったのでこの評価にしました。