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猫が棲まう古い屋敷で、1人の孤独な老人が死んだという。
PetLoversシリーズの3作目の動物は猫。
それぞれ独立したお話となっていますので、こちらの作品からでも楽しめます。個人的にはシリーズ未読の方にはこの3作目からをおすすめしたいです。
スレンダーからふっくらとした子まで、愛らしい猫ちゃんが登場しますよ。猫好きの方もぜひ。
どの作品も素敵なのですが、猫→犬orライオン→蛇の順番で読みたかったかもと読み返すたびに思います。
顔も名前も知らない祖父が遺した莫大な額の遺産を相続するチャンスを与えられた3人の孫。
3人の中で猫の「シュレディンガー」を正しく当てられた者には全財産をと、そんな突拍子もない遺言を受けて屋敷内に棲まう猫探しをすることに。
既刊を読んでいる読み手、またはピンと来た読み手にはシュレディンガーがどの猫なのかがすぐに分かってしまうんですよ。
なので、今作の攻めであり故人の孫である舘と、故人の秘書として長年仕えていた受け・雨宮の両視点で、孫たちによる猫探しの行方と、人を信じられず孤独だった故人の痕跡を追っていく…そんな視点違いの面白さが楽しめるかなと。
答えを知らない者と答えを知る者、そして相性最悪な2人の視点違いって読んでいて面白いんですよね。
攻めと受けのお話ももちろん良かったのですが、私が1番好きだったのは舘の祖父で雨宮の主人だった毱崗老のエピソード。
彼が遺した、そっと導くような深い愛情が猫探しの合間合間であちこちに散らばっていてなんだかすごく良かったなあ。じんわりします。
人を信じることが出来ず、不器用で非常に分かりにくい人ではあったのだろうけれど、悪筆で綴られた淡々とした日記の1部や遺言から確かな優しさと愛情を感じるんです。
彼の存在なくしてはこの物語と2人の出逢いもきっとなかったでしょう。
実を言うと、舘と雨宮にはそこまで惹かれるものがなかったのです。
だというのに、猫探しも終盤に向かうに連れてどんどんキャラクターが魅力的になっていって、思わず惹かれてしまうではありませんか。
特に舘は後半がものすごくかわいげのある攻めと化していて、序盤の不遜さは一体どこへやら。いやあかわいい。
これからもきっと雨宮は舘に初めての感情をくれるんでしょうね。
孫3人の関係性と物語の締め方もほど良く丸みのある雰囲気で素敵な1冊でした。
今作はPetLoversシリーズ4作品中、3作目。今作のペットは猫です∩(´∀`)∩ワァイ♪ 猫の生態が詳しく描かれ、そこら辺も楽しく読ませて頂きました。
さて、前作までは4作品とも別個のお話と思い込んでおりました。確かにこの3巻目まではどこから読んでも支障はありません。ただし本作にわき役として登場の仁摩が、実は次作にてスピンオフで登場!4作目を読む前に本作を読んでおくとより楽しめるかと思います。なんたって志水先生描く仁摩のイラストがめちゃくちゃ素敵で…( *´艸`)ムフフ 4作目を読まれる方には外せない1冊だと思います。
「う~ん」と唸ってしまったのは、「人を信じることが出来ない」という受けの性格。「愛とは信じること」と私は思っています。ゆえに相手を信じられないのに、相手を愛することは不可能だろうと心配でした。でも、どうやら「信じて裏切られるのが怖い」というのが受けの正直な気持ちで、もしも受けの心を持ったまま攻めがほかの誰かのところへ行ってしまったらと、それが怖かったのですねぇ。
この気持ちはめちゃくちゃ分かります。本作の受けはゲイですが、攻めはノンケでプレイボーイ。であるならば、受けのこうした不安は男女の恋愛における不安の比ではないのでしょう。そう言えば攻めの祖父も誰も信じないまま他界しましたが、いみじくも日記に綴っております。
「こんな人生はつまらない」
「すべての失敗は、人を信じられなかったことに起因している」
祖父は自分と似たところのある受けを不憫に思い、自分と同じように寂しくつまらない人生を送ってほしくはないと、あのような遺言を残したのですねぇ。さいわい今作の攻めは単純で素直。真っすぐで勇気があって正直。人を好きになったら告白する勇気もある。ちょうどお互い一緒にいれば足りないところを補い合うことのできる、まさにピッタリのCP。
「おまえが俺を信じなくても、俺はおまえを信じている」
「待てるさ、おまえにベタ惚れなんだから」
誰も信じられないのだと言う張る受けでしたが、攻めのこのような熱いセリフを聞けてそれは幸せを感じたことでしょう。いつか攻めに対し「心から信じる」の言葉を伝えてあげて欲しい。その時こそ、祖父の最期の賭け(=遺言)が実を結ぶ瞬間だと思うからです。
最後になりますが、タイトルにもある「シュレディンガー」、興味があったのでググってみました。すると面白いことに1997年にタカラから出されたゲームに「シュレディーガーの猫」というタイトルが!!それは主人公の女の子が行方不明になった愛猫を探すため、時空を超えた6つの世界を旅をするお話。最終目的がこちらの小説と同じ、シュレディンガーを見つけること。もしや榎田先生はこちらのゲームにヒントを得たのかもしれませんね? ということで、長々と有難うございました<(_ _)>
大好きなこの作品をレビューしてないことに気付いて今頃。
榎田先生に志水先生。なんというカップリング。
無敵じゃん。
話よし、絵よしで、このシリーズは全部神評価もんです、私には。
表紙を見るたびに、この攻めさんの苦虫つぶしたみたいな顔が
おかしくておかしくて笑います。
志水先生、よくぞこの表情を描いてくださいました!
ありがとうございます~
受けさん攻めさんも好きですが、個人的に一押しは、
亡くなった爺さん。
猫にそそぐ、あふれんばかりの、でも やや変化球?見えない魔球?みたいな愛情。
それだけで、うるうるしちゃう。
ありがとう、受けさんを拾ってくれて。
愛してくれて。と感謝の気持ちでいっぱいです。
受けさん、ツライこともいっぱいあったけど、
爺さんのおかげで、いろんな人に出会えて、救われたよね。
家に、ちゃんと居ついてね。
何でこんなに好きなのか、
何がツボに入ったのか自分でもよく分かっていないため
正しくお伝えできず申し訳ないです。
不幸体質な受けさんか? 不器用そうな攻めさんか?
榎田マジック?かなあ。
読んでからずいぶん経つのに、未だにちょっと思い出すだけで
想いがふつふつ湧いてきます。
当レビュー内でも様々な評価のようですが、私としては
不幸受け好きな方には ぜひぜひご一読いただきたい一冊です。
今回は飼い主とペット、という関係性ではなく、『飼い猫』だったシュレディンガーを探せ、という内容に沿って物語が進んでいきます。
いわずもがな、私たち読者は『シュレディンガー』がなんなのか解っているだけに、ジレジレーモヤモヤーなんですが。
今回もピッタリ、『猫』がハマっているなぁ…と感心しました。
孤独で不器用で臆病な『シュレディンガー』。
早く、早く見つけてあげて。
舘さんにそう思わず願ってしまうぐらい、切ない気持ちにさせられました。
遺産相続のために始められた『遊び』のような猫探し。
その裏にあったおじいちゃんの切なる気持ちに、より一層胸がキュウッとなりました。
猫を探す、のではなく『猫』が選ぶ──臆病な雨宮が、人を信じることができるように…。
猫は難しい。
気が短くては到底付き合いきれない猫を待つために、舘は気が長くなったと独白しています。
健気なぐらいに待ち続けた舘さんの粘り勝ち、なんでしょうか。
一枚一枚丁寧にポスターを貼っていく舘さんと、一枚一枚じっくりと目に焼き付けていく雨宮。
その情景が頭から離れません。
このあとの雨宮からの一歩は、とてつもなく大きなものに感じました。
不器用で臆病なシュレディンガー。
でも、もう決して孤独ではありません。
舘さんはこれからも気難しい猫に振り回されながら、徐々に手懐けていくんでしょう。
どうか、お幸せに───。
猫、好き。そして、今回ヒロインとなる雨宮さんさんは、秘書で淫乱で女王で、気まぐれでゲイ。私の大好きな要素がいっぱい!!
遺産を相続するための条件は、「シュレデンガーを正しく指摘すること」
絶対に分からないように封印していたこの答えに唯一正しくたどり着くことのできた男が、舘義隆。この舘は最初、傲慢で金と女に汚く、快楽に従順。ザ、攻めって感じの人。舘は顔のきれいな雨宮さんを挑発するんだけど、実は雨宮さんのほうがそっちの経験が豊富だったというから素敵。
マウントを取って、舘を組み敷いてしまう。「ざまあみろ。人を見かけで判断するからこういうことになる」と舘のチンコをくわえながらほくそ笑む雨宮さんがかっこよかった。
その後もずっと主導権は雨宮さんが握る。いいですねえ。体を起こそうとする舘を絶対に起こさせないところがすごくよかった。「あなたは下」って言って。
過去が痛いゆえに人を信じられない雨宮さんをずっと待ち続けてくれた舘に私からもありがとうと言いたい。雨宮さんをずっと可愛がって甘やかしてやってほしい。続編も甘々でとっても良かった。