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受け攻めだけではなく、モブの様に顔もはっきり描かれない兄を含める三人の人生の物語です。
と言い切りましたが、読後「向日性のとびら」という題名の意味するところが全く分からない自分ですので、家族の話が主ではないのかもしれません・・・がやっぱり家族愛の物語でしょう。
と同時に子供が大人を好きになる気持ちとその変化。そうした描き方に感動しました。
全く古さを感じません。今年の新作と言われても信じたと思う。何も気にせず多くの人に読んでみて欲しいですね。
なんと表現していいのか・・物悲しい。
スパイや、監視付きの研究者を描いた作品。
実際に世間には監視付きの高IQ者が存在して、自国や好きな所に住むことが出来ないでいるらしいので、痛々しく読みました。才能があると、普通の生活を営めなくなるんですね、気の毒です。
以前、脳を操作して記憶を上書きしたり、消したりする技法について取り上げたBL小説「疵物の戀」を読みました、軍事利用を避けるため研究者の記憶を消す展開でした。
この物語はもっと惨い。
犠牲者が沢山出て、研究者自身も処分されてしまう。
複雑な粗筋なので、作者による解説が一番最後にありましたが、人気の「スパイファミリー」のように、じっくり読める長篇にしてほしい作品です。
この三人は、仮の名前;通名が複数ある。
兄:メルナール・ベゲット
弟:シス・ベゲット
養子:カイ(海)
ある日突然、シスに死んだ兄メルナールの養子が、扶養と保護を求めて訪れる。
弟シスには、兄メルナールの記憶が殆ど無い。
カイから聞く話は、奇妙に辻褄が合わない。
謎の男たちから尾行や拉致や暗殺未遂を受けだす。
不思議な出来事が、カイの登場からドンドン溢れるように出てくる。
最後に、記憶をいじられていないカイが、全ての経緯をシスに語ります。
「月影」と同じ、この物語も「愛を知る」が全体に流れるテーマでした。
読後シンミリしてしまった。
次世代は、誰かの都合で消されてしまう気の毒な人達が減る、出来れば使い捨てにされる人が居なくなる全うな世界になると良いなと、思います。
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向日性
植物の茎などが太陽光線の強い方へ向かって屈曲する性質。
向光性。屈日性。⇔背日性。
前半は、いいわぁ〜、SHOOWA先生ぼいてこういうことなんでしょうね、少しずつ謎がわかってきて、キャラの気持ちも近づいてきて、こっからどうなるの?ドキドキする〜!と思って読んでいたのですが!!
後半、ど肝心の伏線回収の場面が、ぜ〜んぶセリフで説明って!?!?どういうこと〜!?と。
すんごい文字量でwww
驚きとともに、途中で私のおちょこ脳はフリーズしましたw
前半、伏線はりまくって、いい感じにじわじわきて、さあここからどうなるのかしら〜!?とワクワクしていたのにw
せっかく広げた大風呂敷があんな形で包まれるなんてw
設定、エピソード、経緯など盛り盛りで、時系列やら人物の名前の入れ替わりもあり、ただでさえ複雑なのに、それを一気にセリフでまくしたてられて、一度目は途中から理解することをあきらめてしまいました。
二度読んで何とか理解(ツイッターのフォロワーさんが時系列をまとめたすばらしい資料をお貸し下さったおかげ)
あとがきの「途中展開が目まぐるしくなったり分かりづらい所も多々あったと思いますが」に、はい!そうですね!といにしえのアルタのお客さんみたいになりました。
終盤、カイが子どもの頃からずっとシスのことが好きで、今回のこともシスをひと目見たら一緒にいたくなってしまって…勝手なことした…と涙ながらに謝るのがかわいいやらそんなに好きなんやねとぐっときた。
シスもカイのことを好きでたまらないけど、カイのことがよくわからず不安になってたからこれで心置きなく両思いになれてよかったなと。
シスは記憶を失っていても今まで必死に前向きに生きてきて、事情を把握後も記憶は戻らずそれでもカイと一緒に生きていく様がタイトル(植物が太陽光線に向かって屈曲する性質、のとびら)かなと。
あと、兄がかけたパスワードはベタに愛の言葉なのかなと想像。
「ジンと猫は呼ぶと来ない」を読んだら本作をもっと理解できるとのレビューがあり、読みましたが、短編でジンのことは少しわかったものの、あちらはまたテイストの違うお話で、結局カイとシスはいい感じになっていましたとさ。て内容でした。
ヘリオトロピズムの扉
向日葵とか、朝顔がわかりやすくそんな感じですよね。
光ある方の扉を開けてしまったのだ。
◾︎シス(31歳)とカイ(17歳,シスの兄の養子)
唐突な始まり方かと思うのに、すべて計算されているという。先生の色々爆発してる漫画と、緻密な漫画の差がすごい。調和してる作品もあり、そこも魅力的です。高校生と高校生が出会って惹かれ合うというBL漫画のお約束的お話であっても先生にしか描けないと思う作品になるし、こちらなんかは如実に先生だから描けるお話。アイリーンすら伏線。
シスがいい塩梅におっさんで雄でガッシリしてて、ぐいぐい行くので、まーカッコいい。シリアスなストーリーの中に萌がしっかりある…至福
ジンが良い味だしてます。「テメーの身はテメーで守るのが男ってもんよ」とジンは言いましたが、自分の出自を確かめるために、シスはテメーで動くわけです。
やたらめったら信用する創作物もありますが、シスはしっなりカイを疑って、自分の足で情報を稼いで、そしてカイを疑った事を反省するという、この流れが痺れるほど良い。
メルナールの最期についても、これは因果応報という事なのでしょうか。彼がすべて許されて安らかに死ぬわけにはいかない…
「ジンと猫は呼ぶとこない」もご一緒に。
物語全体の雰囲気と、ファンタジーとリアルさのバランスのとれた設定はとても好みでした。冒頭のシーンがラフな修羅場だったので、そのままほのぼのした空気感が続いていくのかなぁと思いきや、銃や人体実験というワードも登場するなど、想像を遥かに超えてシリアスな作品でした。年の離れたシスの元に、突然やって来たカイ。彼を取り巻く謎が物語の肝となってくるわけですが、その答えも非常に練られていて、構想が素晴らしかったです。
ただ、萌評価に留めた理由は、メインキャラであるシスとカイにBLとしての魅力をがっつり感じることができなかったから。答えに近づくにつれてシスの兄の存在感も強くなり、シスが記憶を失くす前の3人の関係から今に至るまでの流れがなんとなく繋がりにくいような印象を受けました。メルナールとカイ、メルナールとシスの関係性の方が、シスとカイの関係性よりも強固なものに感じられるような気がして。もちろん、あれだけ切羽詰まっていたカイが、恋愛的な意味ではシスを愛していたのは疑うべくもないのですが。後半の伏線の回収の仕方が駆け足気味だったのと、もう少し以前の3人の関係を深く知っていればもっとメイン2人の関係にもハマれたのではないかなと思いました。