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俺様外人と、うじうじ系日本人のカップル。
チェコ人留学生の彫刻家と、留学生対応する大学職員として知り合い、深い仲になった二人。しかし、帰国時にプラハに誘われ、いったん承諾しにも関わらず家の事情で行けなくなり、4年後にプラハで再会。当時の事情も、自分が病気であることも頑なに隠す蒼史(受け)の気持ちが全然理解できませんでした。ハッピーエンドのために作られた谷、という感が否めない。
種明かしのところも、全部自分で日本に電話をかけて一瞬で調べた、という説明が非現実的で。。
全体に文章があんまりこなれていなくて説明調なので、なかなか引き込まれませんでした。
辛口済みません。
あらすじ読んだ時点で覚悟はしていましたが、案の定泣かされてしまいましたよ!
重い病を抱えながらもそのことを告げようともせず、今この瞬間カレルと共に過ごせることに幸せを感じる蒼史。その姿がいじらしくて、胸が締め付けられます。
カレルと共にプラハへ行けなかったのにも理由があります。
あのメールを打った時の蒼史はまともに動ける状態ではなかったんですよね。その事をカレルは知る由もなかったのですから、捨てられたと憤るのも無理はないかと思います。
そのことはカレルの作品に影響をもたらすほどの心の傷にもなっていますしね。
どちらの辛さもわかるからこそ、プラハで再会してからの二人にはやるせなさを感じます。
罪悪感を感じながら一心にカレルを想う蒼史。対するカレルも亡骸の彫刻を創ってもなお、蒼史への想いは捨て切ることが出来なかったんです。
お互いがこんなに想い合っているのに5年前の事で踏み出すことができないのが切ない…
日に日に弱る蒼史に見かね彼の服用する薬を調べたカレルは彼の重い病を知ることに。そして蒼史の親戚の口から5年前の真実を聞かされます。
ここから先は涙線注意報です!
クリスマスのミサでカレルとの最後の幸せな時間を過ごした蒼史。病のことを知っていたカレルに別れの言葉を告げますが、真実を知ったカレルが蒼史を手放すはずはありません。
ここでのカレルの台詞にぶわっと涙が溢れました。
蒼史への深い愛に感動せずにはいられません。この二人は死ぬまで一緒にいるんだな、ということを自然と思い描く事ができました。
また本編がすごい所で終わってしまうんですよ!
短編は手術後の後日談。いや~良かった!正直死ぬことはなくても、昏睡状態で何年も経てしまうんじゃないかと心配していたので。
退院後のラブラブな二人がみられてすごく満足。
本編+短編合わせて本当の完結です。華藤さん、素敵なハッピーエンドをありがとうございました!
とても雰囲気があって読んでいて引き込まれる話でした。彫刻家のチェコ人と陶芸家の家に生まれた日本人の恋。京都もチェコもその地の雰囲気まで感じられるようで、さすが華藤さん。
蒼史が最初うじうじした奴だな、ちょっと苦手かもと思ったのですが、後半の命を削りながらもモデルをする彼はとても素敵でした。カレルも誤解が解けた後は献身的で、思いが通じて安心しました。
すごく雰囲気があって綺麗な作品なだけに、挿絵がちょっと、ちがうかなと感じてしまって、残念でした。
華藤えれなさんの作品では「シナプスの柩」をCDで聴いたくらいしかなくて、今回実際に初めて書籍を購入させていただきました。
京都の芸大に務める蒼史(受)は一族が陶芸家である中、卓逸した才能を持ち合わせているわけでもなく、また、母親の私生児として肩身の狭い生活を送ってきたため目立たぬよう生きてきました。
あるとき蒼史の目の前に現れたのがチェコからの留学生であり若き天才彫刻家・カレルだったのです。カレルとの出会いにより蒼史の世界は一転、今まで気づかなかった人間の中にある悲しみや喜び、また日本の文化に触れることで蒼史自身が豊かになりそのなかで初めて「人を愛すること」を知っていくことになります。一方、異端児だったカレルも蒼史の優しさに触れ、芸術に対しての価値観に共感し惹かれます。
カレルの留学期間中2人は濃密な関係を築いていくことになります。
しかし、あるとき2人の関係を引き裂く事件が起こります。それは2人にとって大きな禍根を残すものになりました。改めて再会した2人。「裏切られた」と思うカレルと「許してほしい」と願う蒼史。2人の擦れ違い模様がとにかく切なかったです。蒼史は裏切る形になってしまった本当の事実を必死で隠してるし、その事実をしらないからカレルは誤解し蒼史を憎んでいる。読み手としてホントじれったくてやりきれない気持ちになりました。
印象的なシーンはほかの方もおっしゃっていますがやはり、蒼史の意識が混沌とし錯乱している状態でカレルに「大理石に封じ込めて本物の亡骸にして!」と激しく乞うシーンです。死に近づいている恐怖とカレルを失ってしまうのではないかという恐怖。すべてが入り混じり生まれた蒼史の言動に胸が締め付けられました。
私は数回にわけて読んでしまったので、ぜひとも一気に読んでもらいたい作品です。
私が一気に読んでたら評価は上がってただろうな…ちょっと後悔の念を抱きながらも「萌」評価にさせていただきます。
初めて華藤えれなさんの作品に手を出したのですが、よかったですよ。
色々と細部まで取材をされているのが読んでいてよくわかりますし、ストーリー作りが素晴らしい。
文章も美しいのですが、そこに描かれる情景がなんとも綺麗で目を瞑ればそこにありありと浮かぶ様でもありました。
なので、挿絵が非常に残念でなりません。
綺麗ですが、この作品には個人的には違うと思いました。
本当に挿絵、綺麗ですよ。
天才や芸術家を作品に登場させる作品は数多くあると思いますが、なかなかに私はそういった人たちが登場する良作にめぐり合えずにいました。
でも、この作品はうまいなと思ってしまいました。
芸術家をよく書ききっただけでなく、その成長までも見せるのですから。
怖いもの知らずの若手新進芸術家が初めて挫折し、苦悩を重ねその先に見えるもの。
本当、うまいなとその一言です。
泣いてしまったのが蒼史がカレルの前で水で溶いた石膏をかぶり、その身を石膏の中に留めたいと狂気に願うシーン。
もう、蒼史の狂気が痛いほどに溢れ出て涙が出ました。
私は昔、石膏を扱う時期が何年かあったのですが当時を思い出しました。
水で溶いた石膏は固まる時に熱を発散させるのですが、蒼史はその熱を愛しいカレルの温もりのようだと思うのですね。
切ないです、本当に切ないですが最期は幸せでなによりで、読後感が幸せでした。