あなたが優しくしてくれるのは、俺が「可哀想な子」だから…?

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表題作灰色の雨に恋の降る

加藤以起・カフェの常連客で金融会社社長の息子
蒼井透・親の自殺で天涯孤独になったカフェのガルソン

あらすじ

両親を自殺に追い込んだ、金融会社の社長の息子――。憎むべき相手なのに恋をしてしまったのは、幼かった自分に唯一優しくしてくれたから…。その男・加藤(かとう)は、蒼井透(あおいとおる)が働くカフェの常連客。蒼井のことは覚えていないらしいのに、来店すると真っ先に声をかけ、なぜか構ってくれる。「素性がバレれば、きっと避けられてしまう」この関係を壊したくなくて、真実を隠し続ける蒼井だけれど!?
(出版社より)

作品情報

作品名
灰色の雨に恋の降る
著者
火崎勇 
イラスト
皇ソラ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199005879
2.8

(11)

(0)

萌々

(1)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
28
評価数
11
平均
2.8 / 5
神率
0%

レビュー投稿数6

灰色の日々でも本当はいつも護られていた…

うーん、なんか変わったお話でした。
よく言えばどんでん返し、とも言えるけど、かなり終盤まで暗〜い話で。

主人公の蒼井は、高校生の時に両親が悪徳金融の借金を背負って自殺。
周囲の人間たち皆が蜘蛛の子を散らすように離れ。
ひどいショックを受けたせいか、この頃から記憶も曖昧、生きる意欲のようなものも薄れ、なんとなくのその日暮らし的な影の薄い子になってしまった…
そんな蒼井の唯一の心の支えは、弁護士を紹介して借金から助け、施設に入れるように手続きしてくれた「加藤さん」ただひとり。
…という冒頭です。
現在働いているカフェの常連にヤクザのような一団がいて、ある日その中にその「加藤さん」が。
その日から、ぼんやりとした日常が一気に変わり始める。
そして「加藤さん」への想いがどんどん募り、恋になっていく…
…のはいいんだけど、加藤を取り巻くヤクザたちの行動がどうも思わせぶりだったり、蒼井のネガティブさがもやもやとして、このままただ加藤に想いが通じて終わりかな、なんて思ってたら。

終盤にいっきなり。
え〜〜〜〜っ⁈
なんでそんな話に?
…とびっくり。
蒼井が加藤にすがりつくのは本心を伝えられて良かったねとして、加藤が猛烈にオスの顔になって激しく蒼井を奪うのは…少々唐突?
可哀想で不憫な蒼井が幸せになるストーリーなので…まあいいか。

1

孤独で健気な少年

1冊丸ごと表題作です。
蒼井(受け)の目線で進んでいきます。

蒼井は両親が自殺し、その借金を肩代わりさせられそうになったのを、加藤(攻め)に助けてもらいます。数年後、蒼井がガルソンとして働くカフェ・レストランで加藤と再会しますが、加藤は覚えていないようで…という内容です。

加藤のように、普段はクールなのに、豹変して意地悪なエッチをするタイプって読んでいて楽しいのです。相手である蒼井が素直で健気なのも良いです。

加藤達は何者かというミステリ要素に、蒼井に恋慕する田島が何かしでかしそうなハラハラ感もありました。

ただ、序盤から加藤は蒼井を大切にしている様が分かりましたし、父親の関係で手を出すことができないとか、加藤に他に好きな人がいるような誤解を生じさせる展開もなかったので、恋愛的にはメリハリの少ない印象の作品でした。

父親と袂を別った加藤を、父親が野放しにしているのも不思議なところで、父親が蒼井をさらうとか田島が借金していたとか、もう一波乱あっても面白かったと思います。蒼井が加藤を必死に誘うのも悪くなかったですが、加藤が我慢しているのを無自覚で煽るのもよかったのではと思いました。

自分的にはもうひとつひねり欲しかったですが、軽く読むには良い作品だと思いました。ヤーさんぽい加藤のイラストも素敵でした。

0

もっと………っ

あらすじとタイトルに惹かれてしまい購入したのですが。
読み終わった後、思わず「うー」と唸ってしまいました。
何かが足りない。ストーリー性が生かされていない。と感じました。
この設定は結構おいしいのにそれが生かされていなのでちょっと買って損
したかも…と感じました。
そんなに悪くはなかったのですが、何ですかね…あえていうなら
セックス以前の問題にもっと主人公二人の絡みが欲しかったっ!、という点ですかね。
過去の話でこれで恋したと提示していたようで、現在の心理描写にぬかりが
みえました。そして好きになったきっかけと言うものに少し足りなさを感じて中立とさせていただきました。

そして一気にがっかりさせられた所は終盤、攻め様が化けの皮をはがした瞬間。最後ってBL小説にはほぼセックスは必須と言っていいほどあるパターン。その前に攻めが理性を崩すという関門?がありますが、そこで一気に落とされた気がします。あまりにも凶悪で苦手だな、と感じました。
まとめていうといろいろありますが、
心理描写が欲しかった。もっと絡みが欲しかったです。

1

BL的あしながおじさん

主人公が、自分を残し両親が自殺するという衝撃を目の当たりにした時から、ぼんやりとした曇った世界が広がったというだけあって、実に生気の薄い、題名がぴったりな灰色トーンの展開が最後まで続きました。
温度も全体的に低く、淡々と、淡々と、、
火崎さんの作品によくあるネタ明かしが最後の最後までとってある部分、謎解き展開で焦らす展開はいつもの通りだな、とは思いますが何かそれがパターン化しているようで、ちょっと新鮮味には欠けてきたような気がします。

両親が借金苦で亡くなった時、親戚からも誰からも見放された蒼井に唯一優しくしてくれたのが親を死に追い込んだ金融会社社長の息子・加藤。
勤務先のカフェで加藤に再会し、自分を覚えている風でもなかったので声をかけることもなく、彼の来店だけが唯一の蒼井の心のよりどころとなっています。

加藤の来店にとても静かだけど一喜一憂する蒼井の姿が健気でした。
カフェの片隅の”穴倉”と呼ばれる一角に訳ありそうな人々が集まり、そこに加藤も参加して、ワケアリそうな密談をしているシーンは、ここに謎が隠されているんだな、とハラハラ・ドキドキもさせませすが
その目的が明かされる時のその目的を知るにあたっては、何だかそのカフェがその場所に使われることに、激しく違和感を感じるのです。

蒼井の同僚で大学生バイトの田嶋という男が登場して、蒼井に関係する男達に嫉妬して狂ってしまうのは、怖い変貌でしたが
水上という謎の男の突然の登場と存在も面白いのではありますが
何だか不自然さを隠せませんでした。
加藤の気持ちのありようにおいても、余りに隠しすぎ。

ラストに盛り上げをもってくるのはわかるのですが、それがラストで詰め込みすぎているのが今一つ萌えきれない原因かもしれません。
サスペンス・謎解きが優先されすぎて、萌えが薄くなってしまうのです(涙)

火崎さんのあとがきには、いつもその後の妄想が描かれていて本編よりそちらのほうがすごく興味が惹かれてしまうのです。(そっちのほうが面白そう)
なので、あとがきを見るとは本編が残念だったなーと、つい思ってしまう。
いっそ、その妄想したストーリーがメインになるように、もう少しはっちゃけた内容のお話にしてみたら、もっと好きになれるんじゃないかな?といつもいつも思ってしまうのです。
いい時もあるんですけどね。

0

もっと切ない感じかと期待してたんですけど・・・。

あらすじ通り?って感じのお話でした・・・。あまり設定が生かされてない感じがしました。

親が借金を苦に自殺してしまう。会社社長の息子という立場から一転、借金を背をわなければいけない状態になってしまった、蒼井。
高校生の彼に、両親のお葬式で声を掛けて来たのが、借金取りの『三井ミヤコ金融』の社長の加藤。そして、助けてくれたのがその加藤の息子。自分も金融の社員でありながら、蒼井をそこから逃がして弁護士の元へ連れて行って、すべての手続きをしてくれた。

もちろん二人はそれっきりの関係だったんですけど、施設で生活する事になった蒼井は性格的には他人とあまり関らない生活をしてきてます。人間関係に希望を生み出すことが出来なかったんでしょうね・・・。親が借金をして、自殺という事で、当時の友達もそして親戚も誰も彼もが酷い仕打ちをしたのでしょうか?それからの人間関係はかなり酷いというより薄いといった感じです。

そして20歳になって施設も出て就職したのが、カフェレストラン『エルミタージュ』です。ガルソンとして働いています。そこの常連さんたちがちょっと変わっている。
そのうちの一人があの時の加藤だったのです。
そして自分の中で加藤だけは特別だった。好きだった。って事なのですが・・・。

この常連さんたちは実は加藤を筆頭に加藤の父を陥れようと動く被害者を救う会?みたいなもの。
最後に皆の職業も明らかになるのですが、結構クセモノだらけでした。

蒼井はこの人たちに結構可愛がられている感じがしたのですが、蒼井にとっては加藤だけが特別で加藤と自分の気持ちだけで、あまり周りを見ていない感じがしました。だから、最後にあんな事になってしまったのかも・・・。

あらすじのあなたが優しくしてくれるのは、俺が『可哀相な子供』だから・・・。とありますが、私はどちらかというとあの時、優しくしてくれたから加藤が好きになったのか?って感じがしてちょっと引っ掛かりました。蒼井が加藤を好き!って気持ちの温度よりも、加藤が実は蒼井が好きだった!っていう温度の方が高い感じがしました。『そんな優しい大人じゃない!』といいながら結構我慢してる所がそういう感じに読み取れました。

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