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表題作砂宮夜話~王子は御曹司に愛される~

加賀谷隆明,30歳,加賀谷財閥の御曹司
シャフィーク・ラシード・アル=フサーミィ,28歳,フサーム王国第3王子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

カガヤ石油の御曹司である加賀谷隆明は、砂漠の小国・フサームの新油田を手に入れるため、単身で交渉に乗り込んでいた。しかしフサームの美しき第三王子・シャフィークにやりこめられてしまう。一筋縄ではいかない交渉に苦戦するが、王に気に入られた隆明は王宮への逗留を許される。その夜、昼間とはうってかわった態度で隆明の部屋を訪れたシャフィークは、「抱いてくれないか」と隆明に誘いをかけてきて――!?

作品情報

作品名
砂宮夜話~王子は御曹司に愛される~
著者
月東湊 
イラスト
水貴はすの 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
ISBN
9784775518052
3.6

(18)

(5)

萌々

(5)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
63
評価数
18
平均
3.6 / 5
神率
27.8%

レビュー投稿数10

アラブの王子様があまりにも愛らしいのです

ブーゲンビリアの花が咲き乱れる砂漠の小国・フサーム。
気高く、凛とした美しさを持ち、人々から「正義の天秤・鷹(サクル)」と呼ばれる褐色の彼は、夜の帳の下ではとても素直であまりにも愛らしい人だった。

いやあ…なんでもっと早くこの作品を読んでいなかったのか。
アラブものなのですが、こちらの作品は日本人×アラブの王子様という組み合わせ。
今となってはアラブ受けは少なくありませんよね。
しかしながら、当時はまだ珍しかったのではないでしょうか?
あのですね、序盤からどんどんと愛らしくなっていくシャフィーク殿下にすっかり魅力されていってしまうんです。
もう、本当に可愛らしい人なんですよ。
加賀谷とシャフィークのやり取りに終始萌えて萌えて仕方がなかった。
また、月東湊先生の文章が優しく流れるような綺麗なもので、登場人物達の心理描写も非常に丁寧なのです。

初めに書いた通り、シャフィークが本当に愛らしい人なのです。
身体の関係から始まるものの、それには理由があって。
国の正義の象徴。清廉で公平であるべき鷹(サクル)として国民に慕われている彼は、公平性を失ってしまう事を恐れ、国の男とも女とも関係を持たず、結婚は一生しないと決めている。
けれど、1度は人の肌や熱に触れてみたい。
そんな僅かな興味から、どこか自分と似たものを感じた加賀谷に関係を請うシャフィーク。
加賀谷も初めは何か裏があるのかと戸惑うものの、肌に触れて素の彼と接していく内に、サクルとして在ろうとする凛とした気高さの中にも孤独や寂しさ、人を罰する事に対する責任や重責を抱えている本来の彼の姿に気が付いてしまうんですね。

加賀谷に優しく抱かれ、情事の後に「ありがとう。幸せだった」なんて、花が綻ぶような美しい笑顔を向けられてしまったら…これはもうだめですよ…
それから加賀谷がシャフィークの事が気になって仕方がなくなるのも分かるというか、素のシャフィークが本当に純粋で素直なものですから、思わず抱きしめてあげたくなるのはとても自然な流れのように思いました。
自身を「秘密を守る殿下だけのランプの精」とおどけたように名乗り、決して焦らず、ゆっくりゆっくりとシャフィークを包み込むように優しく愛していく加賀谷と、加賀谷の腕に包まれて以来、次第に張り詰めていた心が解けていくようなシャフィークの様子が良いのです。
サクルとしての昼間のシャフィークには尊敬の念を抱きながら、夜の帳の下では加賀谷に素直に甘え、年相応の青年のような笑顔を見せる彼が可愛らしくて愛らしくて仕方がなくなっていってしまう。
相手の笑顔が見たいだなんて、あまりにも純粋な好意と愛情じゃないですか?
距離の縮まり方にも、想いが通じ合う過程にも無理がなく、キャラクターの心情が伝わる丁寧な描き方なのが本当に良かったです。
シャフィークが加賀谷にだけは心を許して甘えている姿がですね、頭を抱える可愛らしさなので…本当に読んで欲しい…
ツンデレや計算なんてものは全くなく、ただただ素直な愛らしさを持った可愛い人です。
「セックスが泣くくらい気持ちいいというのは嘘じゃなかった。好きな人とセックスをするから、泣くくらい幸せになれるんだ」と言う彼が愛おしくてたまらない。

この2人、立場は違えどお互いがお互いの事を尊敬し信頼し合っていて、なおかつ、人の気持ちを考える事が出来る優しく誠実な人柄だったところに非常に好感が持てました。
大事な事はきちんと口に出して伝えますし、とにかくどちらも人柄が良く、ひたすらに雰囲気が素敵なお話なのです。
久しぶりにこんなに可愛くて素敵なアラブものを読んだ気がします。
読んでいて「ああ、このお話好きだなあ」と思える作品でした。
2人の可愛らしさのあまり、ラブメインのレビューとなってしまいましたが、国の情景描写やシャフィークのサクルとしての公務の様子も描かれています。
公務時と素の姿のギャップも見どころです。

褐色受けがお好きな方も、アラブ受けに興味がある方にもおすすめです。
色鮮やかな花が咲き乱れる異国で繰り広げられる、大人同士の穏やかでピュアなラブストーリーをぜひ堪能してみませんか?

2

アラブblに新しい風が吹きました

本作は日本の石油企業の御曹司×アラブの美しき第3王子のカップリングです。

何がいいってこの受け様、美貌と賢さを兼ね備えたスーパー受け様なんです。

このスーパー受け様が禁忌を犯して攻めに抱いて欲しいと頼み込みます。

これだけでももう美味しい...!

石油王(この場合王子ですが)=攻めという方程式を根底からぶち壊す面白い作品です。

そしてエロくてエロくてエロい!その中にも緻密なストーリーが織り込まれていて作品の世界観に自然と入り込んでいけました。

これこそアラブの新境地だと思います。

2

王子様の初めての恋

恋も知らない、自分の感情の出し方も知らない、砂漠の国の王子様が愛されるお話です。1ページ目から、王子様の喘ぎ声で始まって驚きます。

この王子様、凛としてて、日本から交渉にやって来た隆明を言い負かすほどの教養もあって、国民に慕われています。それなのに、突然隆明の部屋を訪ねて、抱いてほしいと頼むのです。
一夜の遊び相手に指名されたと思った隆明は、交渉に使えるのではないかと応じます。
でも、王子の態度で初めてだと気付く隆明。
自分の役割を全うするために、一生誰とも恋をしないという王子に隆明は興味を惹かれていきます。

アラブものといえば、俺様な王子様に監禁されて凌辱されて…がお約束なんだけど、今回は心優しくて恋愛には不器用な王子様で、この王子様がホント可愛くて、こういうのもいいな~と思えます。隆明に見せる夜の顔と、昼の顔の王子様のギャップにも萌えます。
隆明も、最初はワガママな御曹司って感じだったけど、王子様を愛して、傍にいたい守りたいと変わっていく様子にキュンとなります。王子様の傷ついた心を癒すのがカッコ良かったです。
イラストも綺麗で、ちょっと変わったアラブを堪能できる1冊でした。

3

肩すかしのアラブ

アラブのテンプレが足りない。
いわゆるアラブ物のお約束が守られていないので、アラブ物が読みたいときに手に取るものではなかったようです。お約束ハズシがいい、というほど、アラブに飽きていないために、なんだか舞台をアラブにする必要なんかないじゃん、と冷めた気分になってしまいました。

アラブの設定の上で、わりと普通のありきたりなリーマンもの、御曹司ものをやってるだけかもしれない。しんせんみもありませんでしたが。

ただ、受け攻めの心情を丁寧につづっていく作風だったので、もっと別の設定、別のカプだったら読んでみたいかな、と思いましたが、これはダメでした。
残念。

死ぬほどアラブを読んでいて、もう飽きた、キワモノ、トンデモが読みたい時にはいいのかもしれませんね。でも、わたしはテンプレのお約束は守ってほしいほうなので、王子が受けだとわかったときにやめておけばよかった、とおもいました。

2

こんなアラブもいいですねv

これ、なかなか面白かったです。
王道アラブとは違うんですが。
基本は王道アラブ好きなんですが、こういう変化球ならアリだな、と。

まず、アラブ受なんですよ。
それも自分から誘う受。
でも、実は決して慣れてるわけでも遊びでもなくて。
自分の置かれている「フサームの鷹(サクル)」という立場をわきまえた上で、少し人と触れ合うことをしてみたいと思う興味のようなもので。
サクルは常に公平な裁きをしなくてはならなくて。
その為に特別な者を作ると、もしかしたら温情が働いてしまうようなことがあるかもしれないと、結婚も恋愛もしない孤独な人生を送る覚悟を持っていて。
なので、外国人で後腐れなさそうな相手としてシャフィークは加賀谷を選んで。
最初は加賀谷も単なる興味に近いものからシャフィークに触れて。
徐々にそのサクルとしての孤独を知って愛情が芽生えて。
けれど、完全に囲ってしまうわけではなく。
サクルとしてのシャフィークもちゃんとわかっていて。
サクルとしての彼を立てつつ、夜にはベッドの中で甘い恋人になるような加賀谷がなかなかステキでした。
最後は加賀谷の父親が絡んできて。
でも、なんか理解ある父親でした(笑)
どこまで見越してたかは謎ですが。
いや、全てわかった上でならなかなか…。
単なる友好的な感じだから、というならすんなり納得できるんですけどね。
2人の恋愛関係まで見越した上でなら、なんかスゴイな、と。

個人的にはカラー絵の褐色受っていいなと思いました。

4

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