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表題作エブリデイ・マジック -あまいみず-

上狛零士,28歳,アンティーク店併設カフェの店員
赤野井三矢,20歳,演劇サークルに所属する大学二生

その他の収録作品

  • めんどくさがりの恋
  • あとがき

あらすじ

辛い体験から恋に臆病になった三矢は、穏やかな雰囲気を纏うアンティーク店店員・上狛に仮初めに付き合ってもらっているのだが…!?
(出版社より)

作品情報

作品名
エブリデイ・マジック -あまいみず-
著者
崎谷はるひ 
イラスト
鰍ヨウ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
エブリデイ・マジック -あまいみず-
発売日
ISBN
9784344824997
3.4

(61)

(8)

萌々

(22)

(25)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
17
得点
207
評価数
61
平均
3.4 / 5
神率
13.1%

レビュー投稿数17

おぼこい主人公をとりまく魑魅魍魎

大学生になったばかりの三矢は好きだった人に騙されていたことが分かり絶望の淵にいた。
偶然入ったカフェ「エブリデイ・マジック」の美形のスタッフ上狛は三矢の話を聞いてくれて、悩みまくる彼に、「付き合ってみる?」と唐突に提案してくる。
ピュアな19歳の男の子が年上の恋人との関係性にぐるぐるもだもだしながら恋を自覚するお話。


結構分厚い文庫なのですが、大きな事件も起こらず、主人公の三矢が19歳の誕生日から20歳の誕生日を迎えるまでの一年間、どんな風に恋心を育てていったのかが丁寧にじっくり描かれています。
そして終始悩みまくっています。
恋に悩み、所属している演劇サークルの人間関係に悩み、前述の騙された系のこともありますし、大学1年生ということもあってまあピュアっピュアです。
この三矢くんのおぼこい感じ、なんだかんだ周囲の年上族に可愛がられる感じ、悩んでいるといってもそういう青春のきらめきみたいな感じ、これって実は結構読者を選ぶのではなかろうか、などと読みながら思いました。
本人は素直でただただ一生懸命なだけなのですが、度が過ぎるのギリギリの線というか、自分の気持ちがわからない、彼の気持ちも分からない、これは恋なのかなんなのか、っていうのを、ぐるぐるしているので、イライラする読者もいるかもしれないなと。可愛いなあと思えるかが鍵かも。
まあ主人公がそのようなキャラなので、周囲のキャラがいちいち際立って濃くて魑魅魍魎で、バランスが取れてるせいか不思議と読みやすくなってると思います。
三矢の同期・夏木が、サークル長で天才脚本家の一坂に食ってかかるのは裏返しにしか見えないので、こちらメインの話を読んでみたくもありますが、一坂が相手にしなさそうだなとか、絆される位はあるかもしれないな、など妄想したりしました。
巻末の「めんどくさがりの恋」は上狛視点の後日談で、短いけれども魑魅魍魎側の目線が楽しかったです。目顔で一坂を見抜いて脳内ブラックリストから名前を削除したり、反対に夏木に要警戒認定するなど。そんな上狛がどのくらいめんどくさがりなのかは、著者短編集「はるならい」に掲載のSSで知れます。

0

鎌倉にはこんなお店があるのですか

かなり分厚くページ数の多い本でしたが、読みやすくてサラサラ読めました。
おもしろかったです。

受けの三矢が可愛くて、良い子で、一所懸命で。
ついつい応援したくなったのですが、その反動?なのか、攻めの上狛がちょっと…笑。

上狛のビジュは完璧好みなんです。
ハーフの高身長イケメン。
そして、メガネ!!
メガネ攻めですよ、皆さん!!

ビジュだけでなく、料理上手なところも、変人なところも、えっちがねちっこいところも、全てが(私にとって)満点!な攻めです。

なのに、途中ところどころにあった、三矢に対しての意地悪な言動に、その度にイラッとさせられたので減点。
それさえなければなー。

Sっ気が強いゆえ、といえばそれまでなのかもしれませんが、三矢が素直で純粋な子だったから、かわいそうに思えて仕方がなかったです。
もう少しそこに甘さがあれば、三矢だってあんなにもぐるぐるしなかったのじゃないの?と。

でも、その意地悪に感じた部分以外は、三矢が所属する演劇サークルの活動の描写も丁寧に書かれ、登場するサブキャラの魅力も充分で、楽しく読めました。

最後にちょっとだけあった上狛目線のSSが、良かったです。
三矢に対する溺愛&執着に溢れていて、これで上狛の減点がなくなりましたから。



0

この分厚さに戸惑ったのは私だけではなかったのね…

これはメリハリが効いて盛り上がるタイプの小説とは違い、攻めが受けに対して両想いの意味をきちんと理解しているかどうかを問いかけて、答え合わせまでの過程を辿るかのような演出になっている。

悪意ある大学のサークル仲間に手痛いからかいにあった三矢は、話を聞いてもらい慰めてもらったのをきっかけに上狗と新たに付き合う事となる。

そこから上狗が三矢とすれ違う事がないようにと、じっくりと恋愛を温めているかのような時間の掛けようには読んでいて戸惑った。
出会いからエッチに進むまでが早い他のBLとは勝手が違い、「この歯痒さと焦れったさがこの本の分厚さの正体か!?」と最後まで読めるか不安になったが、なんとか完読できたのでほっとしている。

肝心の二人が歯痒い分、主張の強い脇役に目が行きがちになって、個人的にはその中の一人の一坂先輩が好きだ。
中でも三矢の悩みに対して「初恋乙女」の例えは言い得て妙で、こういった軽快で核心に的確なアドバイスがいい。
三矢の悩みって思考回路がどことなく女の子っぽく感じたので。

崎谷さんの小説は今回が初読みで、プロローグから最初の部分にかけては回りくどさを感じて読み辛かったものの、受けの三矢→あだ名サイダーくん→タイトルあまいみずってセンスがキラ光りしているところはいいなと感じた。
この人の話は脇キャラも何気に美形にこだわっているみたいで、エッチシーンは濃厚でって作風なのだろうか?

エッチシーンといえば、終盤になっての上狗の豹変ぶりには「おいっ、ここまでの慎重さをどこに飛ばしたんだ!!」とビビった(笑)。

1

鎌倉スローライフ+演劇サークル青春ドラマ

やっと電子版が出ました!

東京での大学デビューに失敗した堅物大学生が地元鎌倉でハーフの美形お兄さんと出会い、ゆっくりまったり関係を進めるお話。年上包容攻が悩める受ちゃんを手取り足取り導く、崎谷先生の王道です。

他のレビュアー様がおっしゃるとおり、アクの強い脇役に比べ、攻が目立たないです。私は攻の思考が一番共感しやすかったので、攻目線で受を愛でながら読みました。

演劇サークル内の青春ドラマはさすがに面白かったです。崎谷先生が描く学生同士の衝突はいいな〜手加減無しのぶつかり合いはドキドキします。

作品の特徴としてはメインカプが鎌倉・江ノ島・横浜の定番デートコースを散策するので、ちょっとした観光気分を味わえます。鎌倉には男性スタッフのみの隠れ家レストランが実在しますw

2

バランスの問題?

三矢は、大学の演劇サークル仲間(♂)に告白されて付き合うが、
これが実は悪質な賭けのネタだったことを、
19歳の誕生日のその日に知る。
傷ついたまま偶然入った不思議にレトロなカフェ、
泣いている三矢の話を聞いてくれた美貌の店員上狛は、
自分のセクシャリティに悩む三矢に、
「とりあえず付き合ってみる?」と提案する……


8つ年上の上狛とキス止まりだけれど、甘やかされた関係が続く1年。
少しずつ近づいて本気になっていく三矢の気持ちを丁寧に描いているとも言えるけれど、
個人的には、正直途中で怠くて読むのをやめようかと思いました。

これは三矢のキャラに共感できるか?が大きいのかも。
嫌いなキャラではなかったけれど、挿絵の影響もあるのか
なんだか初々しいというよりは幼くて、
焦れったくて切ないというよりは、面倒くさい気分に……

カフェのオーナーの銀上、サークル長の一坂、
何かと三矢につっかかる夏木などの脇キャラはなかなか面白い。
読んでいる最中、彼らは別な作品の人物で
本作はスピンオフだと思い込んでいたのだけれど
後から違う事を知り、それを思うと描き方が中途半端だなぁ!


と、こんなに長いのに、どうもピンぼけ感が否めない作品でした。
気の抜けたサイダーみたいな感じ?
甘くてほんわかエブリディな感じとも言えなくはないのだけれど。

終盤、上狛の実はSっぽくてブラックなキャラが判明し、
シツコイHもあって、ほおーっと思ったのですが、
分量の配分としてもうちょっと全体にコンパクトにして、
上狛のキャラの面白さも、もっと出せばよかったのにと思う。
そんなこんなで、全体としては乗り切れない印象でした。


*このH場面で、三矢の柔軟やっていてよかったというセリフに爆笑した。
 いや、常日頃からBL界の方々、身体柔らかいねぇ……
 日々Hに備えて柔軟でもやっているのか?と思っていたので……w

4

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