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もう、ボーイズ、の域を突破している作品。
ただ彼らもBoysであった頃を持っているわけで。
今、色んなBL小説やコミックスを読んでいますが、彼らの最後はこういう感じで添い遂げてるといいな、と思わせられるものでした。
(若かりし頃は勢いであんなことや、そんなことが色々有るわけですが。刑事だったり詐欺師だったり料理人だったり売り専だったり…)
ハッピーエンドのその先、な感じでしょうか。
おじさん萌えはしない方です。
でも冷静に考えると、わたしたちが胸をときめかせて読んでいる男子高校生や大学生、30手前の社会人たちも、恋が愛になって、ずっと離れずにいたら、いつかはおじさんになるんですよね。
【願いごとはひだまりで】【願いごとは星の数ほど】 萌2
幼い頃から腐れ縁の作家の汐見と出版営業の中小路。
中小路からの「結婚してくれ!」という唐突な頼みに押されて、実家へ連れて行かれた汐見は、定年まであと数年という息子の先を案じた中小路の母が持ってきた見合い話を断るための口実だと知って…。
長年秘めてきた想いを利用されたと傷つくシーンは、本を持つ手に力が入るほどつらい。
汐見の想いと中小路の認識のズレもむぐぐぐ…ってなるし、中小路の軽さにもむががが…ってなる。
だけど何だかんだ言って、飄々とした汐見に対して中小路の独占欲の方が強くなるのが楽しい。
言えずにいた60年近くが無駄だったとは思わせない雰囲気が良いです。
【野良犬のジンクス】【飼い主のジレンマ】 萌
おじいちゃんっ子だったせいで、おじいちゃんマニアの大学生・さとるに懐かれてしまった片桐。
気難し屋の片桐の日常を乱しまくっておいて、変に引くさとるにもやもや。
しかもその理由が「告白すると3年以内に死ぬ」って…、何かもう「すごい」としか言えません。
そんなさとるに対して、片桐が切る啖呵がカッコいい。
「年食くったって、俺もおめぇと同じ人間なんだよ!」
長く生きてるから何でも上手に受け流せるわけじゃないんですよね。
さとるは…、図々しいし、甘えるだけで、何だか好きになれないキャラクターでした。
【こころ晴れたらもういちど】【夏がくれば思い出す】 神
付き合い始めた大学時代から、半世紀経っても一緒にいる小宮と園田。
教授からの見合いの斡旋、戦争に戦後。
苦しいときも楽しいときも共に過ごしてきた2人の元に、同窓会の知らせが届いて…。
戦争があった時代という設定も加味されて、2人が過ごした半世紀の重みがずっしりと伝わってきます。
恩師に打たれようと、たとえ命を失くしたとしても、手放したくないしあわせがある。
そんな大きな想いを枯れることなくお互いに持ち続けたからこそ、今がある。
一緒に過ごした時間が綺麗事だけじゃなかったからこそ、言葉の重みが違う。
愛する人にこんなふうに年を重ねていけたら素敵だなあと思える2人です。
表題作と最後の作品では、過ごした時間は同じくらい。
親友として過ごすか、恋人として過ごすかの違いは大きいけれど、時間はみんなに平等で、踏み出すか踏み止まるかで全く違うものになる。
だけど、表題作の2人にも同時収録の2人にも、2人だからこそ分かり合える思い出があるわけで。
おじさんと若者はやっぱり苦手だけど、おじさん同士というのはいいなあと思える1冊です。
まるごと一冊シニア・シルバーBL
おじさんものは嫌いじゃないけど、さらにご年配の初老男性・おじいちゃん達の恋には少々ハードルの高さを感じていました。シワシワ&タルタルの裸体での絡みは見たくないなぁとか、おじいちゃんたちの性欲を目の当たりにしたくないなぁとか。
しかし、読んで良かったです!泣いた、思わず泣きましたよ。
作品の登場人物が言うセリフ「年くったって俺もおめぇと同じ人間なんだよ!」そっかぁ、そーよね。
そして初老カプだけの描写だったらちょっと感覚的に遠いといいますか感情移入が難しかったと思うのですが、若い頃の二人の様子も織り交ぜて描かれているので、彼らにも若い頃があって今に至っているんだという非常に当たり前のことを思い出させてくれたのです。
この作品には幼馴染同士・初老男性×フケ専の青年・50年連れ添ったカプ という三組が登場しますが、ダントツで好きなのは【こころ晴れたらもういちど】【夏がくれば思い出す】50年連れ添った同性カプを描いたお話です。
50年連れ添っているにも関わらず、自分と一緒にいる事を選んだためにツレが色々手放したものが多いことに心痛めており、ツレに「後悔していないか?」と聞くのですが、その返しが良くて、涙腺を刺激されてしまいました。
答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
今はキラキラ青春しているあのカプも、あのリーマンカプも、あのワンコ&美人カプも、ハッピーエンドで良かった良かった!二人とも末長くお幸せに!と思ったその先にあるのがこの人たちかと。
【こころ晴れたらもういちど】を読んで、今まで読んできた数多のBLカプたちの将来もこうでありますように…こういう余生を過ごせますように…と思いを馳せました。教えてくださり本当にありがとうございました。
2016年9/18付BLニュース「敬老の日に!白髪キャラのBL漫画5選」の記事より、この作品だけ読んでなかったので……
特にシニアBLマニア、というわけではないんですが。
「願いごとはひだまりで」「願いごとは星の数ほど」
幼い頃から50数年の付き合いの2人。小学生から大学も一緒、仕事も出版社の営業と作家でつながっていて。そんな2人が60位になって両想いに気付く、というお話。
長い長い両片想い。こういうのリアルにあるかもしれませんね…でも結果的に両想いがわかったので良かったのではないでしょうか。
2人はHもしておりますよ。シーンとしてはサラリと流してます。
「野良犬のジンクス」「飼い主のジレンマ」
おじいちゃん偏愛青年に懐かれて、気恥ずかしいやら鬱陶しいやら、でも憎からず、でも自分に素直にもなれない、という偏屈な独居おじさん(年齢ははっきりしない。60代?)。
おじさんの片桐は青年さとるにかなりキツく当たりますが、捨てられた子犬みたいな可哀想ビーム炸裂で、遂に片桐も絆されます。エロなし。
「こころ晴れたらもういちど」「夏がくれば思い出す」
これはなんか身につまされる感がありました。
CPは学生時代に戦争を体験していて、既に80代?。大学時代から付き合っていて、戦後双方の家も家族もみな失って2人で必死に生活してきた。
そして今、自分は彼と共にいられたことだけで良かったが彼の方はどうだったのだろう?僕の所為で色々なものを失ってばかりだったんじゃないか?僕を選んで後悔してないか?
そんな事を考えてしまう。
『いいことも悪いことも おまえといろんなもの分け合って年を食ってきたってことだ』
そうですよね。2人はちゃんと幸せです。
あとがきもカバー下もぎっしりです。
かつらぎさん初読みです。
答姐の「熟年夫婦のようなカップルの話」に上がっていて、
へえ?と興味を持って手に取りました。
全部で3つカップルの話が収録されているが、
表題作は50代なのでそれでもオヤジといえるかも?だけれど
他の二つはシニアというかおじいさんが主役の話。
表題作は50年以上親友だった二人の物語。
互いに片思いだと思っていた恋が実る話で、
子どもの頃や学生時代の姿が挟まるのも微笑ましく
年は喰っても初々しく瑞々しい恋。
一方でお互いを本当に理解している二人の
阿吽の呼吸のやりとりもいい。
こういう関係ってツボ!!
Hシーンの「60近いオヤジの貴重な1回」というセリフに爆笑。
うん、大切に頑張って下さい。
二つ目は、フケ専青年に愛されるじいさんの話。
一途な青年に絆されていていくじいさんが、可愛い。
最後は、半世紀の付き合いになる年金暮らしのカップル。
戦争の時代の青春、そして今。
苦難を乗り越えて、ずっとお互いの手を離さなかった二人の
今や平凡な日々の幸せ。
リアルに70歳のカップル(♂×♂)の図を考えると、
微笑ましいだけの感想ではないのかもしれないが、
絵が適度に可愛いのもあって、人としての可愛さや
愛おしさがにじみ出る、タイトル通りひだまりのような作品だった。
追記:
PC画面の端に、佐条と草壁がいるせいか、
ふと彼らの50年後を思い浮かべて、ジーンとしてしまったのでした。
今日は。佐条と草壁のところまで読み、ほっこり同意しました。(思わずにやけてしまいました。)優しいレビュー、ありがとうございます。シニア物デビューのきっかけとなるかもです。
