冷凍保存から目覚めて、未来。

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表題作500年の営み

ヒカル,アンドロイド
山田寅雄,学生

その他の収録作品

  • BONUS TRACK 250年の営み
  • あとがき

あらすじ

「あんまり似てなくてごめんね
ーーーーー好きだよ」

亡くした恋人を追って自殺したはずが
250年の冷凍保存の末、
未来世界で目覚めた山田寅雄。      
世話係として起動したアンドロイドは
優しく親身になってくれるものの、
亡くした恋人の〝3割減〟の残念ロボットでーーー?
いじっぱりな青年が愛を受け入れ、
希望を求めて歩き出す、痛切な未来ラブストーリー。
描き下ろし「250年の営み」収録。

(出版社より)

作品情報

作品名
500年の営み
著者
山中ヒコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
電子発売日
ISBN
9784396783228
4.1

(372)

(202)

萌々

(77)

(46)

中立

(24)

趣味じゃない

(23)

レビュー数
60
得点
1480
評価数
372
平均
4.1 / 5
神率
54.3%

レビュー投稿数60

絵と言葉の距離が遠いかな…惜しい

周りの評価も良くて、タイミングで読み始めましたが、
タイトル通りでなんだか惜しい。
好みだとは思いますし、イキガミでも感じた
作風なんだとも承知しているんですけど

ストーリーは面白くて、どうしてこんなことを思いつくのだろうと思うのですが、
絵の迫力がそれについてきていないように感じることが度々ありました。

読んでいて、絵というより
言葉に先導されている感じです。
欲を言うなら、絵の方でも心を鷲掴みされるようなものを感じたいなぁ、と
イキガミを全巻読み、次にこの本を読んで
ふと思ってしまいました。

どなたかがレビューされていましたが、
確かにこれが絵本のようなテイストの所以なのかも。
違った絵、例えばものすごくリアルに描いたら
辛い場面もありますよね。。。

でも、読んでいてなんとなく
チグハグな感じが否めなくて
今回、レビューに書かせていただきました。

お話自体は、シンプルな展開で、
死んだ恋人を悲しむ主人公が
科学の発達が絡んだおかげで
何百年もの時間をかけて、それを弔い
前に進もうとする物語。

250年+250年が、こんなにもひとことで表されてしまう、はっきり言ってすごいな。
先生のストーリー展開に舌を巻きつつでしたが
ラストは、余韻を残してENDのはずだったのか
書き下ろしでその後の話がばっちり判明しちゃうという
はっきりして安心したけど、何度も言い直されてる感じがしてしまいました。

改めて、不思議なニュアンスのある
お話だったなぁ。

0

神作,沒看過的都有難了

老師畫得特別好特別生動,分鏡啊劇情節奏都特別好,把我看哭好幾次,兩個人最終在一起了真的好好,太會畫了太會講故事了65555

0

千年の孤独

ある意味罪本

元ネタは読まんでいいよ。
派生作品が一杯あるし、困ることはないかな。

マンガで手軽に雰囲気を味わえるのはありがたい。

キューブは何か都合のよろしいSCPと思えば良いかと。

0

最高。

最高。

0

3割減のアンドロイドが愛おしい

読み返してまた泣きました。
色々想いを馳せると、そもそも寅はあの時死んでしまうのが1番幸せだったのでは?両親の勝手なお節介だったのでは?とかいう救いようの無い思考に至ってしまい、反省。
寅はちゃんと両親に、勝手な事をしてしまったと後悔しているのに…自分のひねくれ具合を恥じました。

光を突然亡くした寅の悲しみを思うと胸が潰れそうになります。
意志とは関係なく250年後の世界に生かされ、おまけに光にあまり似ていないアンドロイドが光の代わりになるという。
そんな状況ならヒカルに対してイライラもするし、返って光を思い出して辛くなる。
ヒカルが全然光に似ていない「3割減」だったからこそ、日々のやり取りの中で寅の心が癒され絆されていったんだと思います。

アンドロイドは守る必要がない存在だと言われても、2度も探しに行った寅。
何故なら人間だから。
「好きな奴のためにはこうしてしまうものなんだ」
それを聞いたヒカルは何を思ったのだろう。ヒカルの表情が印象的でした。

約束の尾瀬で待ってるヒカルが健気で可愛かったですね。
寅の声が聞きたいと思いながら待ってるヒカルにまた涙が…。

色々な感情にさせられて、色々考えさせられた作品でした。
BLを超えた素晴らしい作品だと思います。

2

泣いた

神と萌×2で悩んだけど神。
なぜならBLか?という気持ちが多少あるから。
男女の話でも完全に成り立つのでね。しかもヒカルはアンドロイドだし。
でも、あえてそこにこだわる必要もないのでは?男同士だとか人外だとか、そんなことどうでもいいくらいストーリーが良い!!
途中からずっと泣いてた。
ヒカルが健気で、出てくるだけで泣ける。
間にはさまる光とヒカルの対比。どちらも素敵なんだよなー。
これはですね、良すぎてあんまり感想が言えない。
ただ読んでほしいとしか言えない。
読後の癒しが半端ない。

英訳のタイトルがいいですね。
営み=ロマンス

3

童話のような感動作

これは泣く。
みなさんが泣いたとレビューされていたのがわかった。
ひねくれ者で涙腺かたい私でも、ぽろっときた。

ヒカルが自分を犠牲にして、とらさんを守ったとこ、
とらさんが命がけでヒカルを探しに行ったとこ。
もう…何も言うまい。

強いて言わせて頂くなら、絵が、線が繊細に、特に背景が美しくなったでしょうか。

特に、この作品は、装丁をはじめ、見開きの風景とか、世界観が美しい。
戦争を起こして荒廃した後の世界だけれども、世界は美しい。

巻頭のタイトルバックの見開き
ラスト前の見開き
その後の暗転した見開き 
がつながっているのが、しびれる。

で、ラストと、その名言キタ!

うう。
もっと掘り下げたり、感動した部分に触れたい気もしてきたけど、ただなぞるだけしかできないので(いつもだけど)この作品は特に野暮になりそうなのでやめておきますw

2

大切なことは時を経てもきっと。風化なんてしないと。

新刊の「イキガミとドナー」を読んで。とてもとても感動したので。以前より気になっていて、何だか怖くて、手を出していなかったこちらを購入してみました。だって、表紙の美しさとタイトルだけで。ああもう、これは何かを予感させて、ドギマギするでは無いですか。そういう意味では出オチ感も半端無いです。ここに全てが語られてしまっているのだと。読了した今となっては、この美しい表紙を見ただけで泣けてしまいます。
まだ私は2作品目を読んだところですが。本作は最新作と通ずるところがあって。それは、時が何百年何千年と流れて。夜が来て、朝が来て。また夜が来て、と続く日々が何度も何度も明けたって。大切な事は決して無くなっりはしないし、そこに希望があること。
そういった普遍的なテーマを軸に描いてらっしゃる作家さんなのかな、と思います。

これは、映画等で良くテーマにもされること。愛する者にそっくりの代替品を愛する事が出来るのか。愛する者を亡くして、人は生きて行けるのか。喪失と再生の物語。

寅は 不幸な事故で恋人を亡くし、その哀しみと苦しみから、自らも命を絶ってしまう。
人工治療が発達した250年後という気の遠くなる様な歳月を経て、寅は目覚める。
傍らには恋人そっくりのアンドロイド、ヒカルが居た。250年後。気の遠くなる様な未来の為に。もちろん既に他界した両親は、ただ寅に生きて欲しいと願った。
寅は、光の居ない人生なんて終わらせたかったのに。アンドロイドのヒカルは、所詮代用品だ。しかもポンコツである。とても本物には及ばない。それでも。共に過ごす内に、情が育つという不思議。愛すること、生きること。愛してしまったら、それはもう。かけがえの無いもの。寅は、ヒカルと共に生きる事を自ら選ぶ。それは…もちろん分かっているんだけど。

AIが意志を持つ様になるかもしれない未来。最初、人の心や情緒を持たないかもしれない彼等がいつか。愛を持って臨めば、それは。
生きる意味を持つ。
俯瞰して見れば、過去に家族を亡くして、恋人をも亡くした、孤独な青年が、歪な執着をAIに持ち続けているという風にも読めるかもしれない。けれど、ここに確かに愛は息づいていて。希望の光にも似た、愛の物語なのだ。大切なことはきっと。500年経ってもそこにあると信じたい。

冒頭の、光が亡くなった事故が、実際に起こった事故と酷似していて。その事は胸を締め付ける。私たちは常に死と隣り合わせに生きている。

0

生きる理由はそこにある

初めて読んだ山中ヒコ先生の作品です。

太田 光のアンドロイド ヒカルと冷凍睡眠から目覚めた山田 寅雄のお話。

山の地主 山田家は海の網元 太田家とは仲が悪く、それが双方の子供たちにも影響を及ぼしていました。
頭も良く足も速く、友人も多い光…何をやっても勝てない寅雄でしたが本当は光が好きでした。
高校卒業後はそれぞれ進学し離れてしまいます。
ところが、偶然に光がバイトしているゲイバーを訪れた寅雄。
お互い好きだったことがわかり付き合い始めます。
しかし、幸せは長くは続きませんでした。
不慮の事故で光が搬送先の病院で亡くなってしまいます。
そのニュースをTVで観た寅雄はショックでマンションから飛び降り自殺をして…。

寅雄がベッドで目を覚ますと、そこには「ヒカル」がいます。
しかし、そのヒカルは太田光ではなくアンドロイド「ヒカル=B=JW2260MCHINA」でした。
さらに、寅雄が目を覚ました世界はあの自殺した日から250年後の2260年になっていたのです。
なぜ、寅雄は250年も眠っていたのか?
それは、寅雄の両親が全財産を投げて息子を政府公認第一号の人体冷凍保存にしたからでした。

物語の冒頭で最愛の恋人が不慮の事故で死亡…それだけでも辛すぎるのに、主人公が後追い自殺をしてしまう。
そして、主人公が目覚めると250年後で、さらに傍にいたのは恋人ではなく、恋人に似せたアンドロイド…。
虎雄の全てだった光…しかし、ヒカルBは光にあまり似ていません。
3割減のアンドロイド。
自殺する前とは何もかもが違う状況に虎雄は耐えきれず、ヒカルBに八つ当たりをします。
無理もないですよね…。
まるで嘘みたいな現実を一人で受け入れなければいけないのですから。
250年という年月はあまりにも長すぎる…。

後半は、予想外の展開が待っています。
そこで初めてタイトルの意味がわかりました。
ラストは約束の尾瀬へ。
何もない荒野で行き倒れた寅雄を発見したのは…。
現実なのか?永い眠りの夢なのか?
…D-4PQの祈りが届いたと信じたい。

bonus truck『250年の営み』
砂漠で虎雄を守り抜き、最後は行方知れずになったヒカルB。
約束の尾瀬に1人で暮らしていました。
寅雄を想いながら。

読み手の捉え方によって意見が異なる設定だと思いますが、読んで損はない作品だと思います。
ファンタジーではなくサイエンス・ファンタジーの世界。
すごく遠い未来のように感じますが、じつは案外近いのかも知れません。
山中ヒコ先生の独創的な世界観に惹き込まれ、時代に1人取り残された寅雄と優しいアンドロイドのヒカルBに切なくなりました。
人間は美しい矛盾に満ちている。
でも、矛盾しているからこそ人間なのです。
きっと、ヒカルBにも矛盾が生じているのでしょう。

…個人的には、不慮の事故で亡くなった本当の光に思いを馳せてしまいました(泣)

500年という長い年月で生きる理由を見つけた寅雄。
毎朝、目覚めるとそこにはヒカルBがいることを願っています。

5

「人間は、好きな奴の為にはこうしてしまうものなんだ」

HONTの名作5選にあったので、読みました。ドラマCDの方が人気が高いようです。

二人の恋愛は、障害だらけ、まるでロミオとジュリエット。
恋人・光を亡くして後追い自殺した虎雄。(スゴく堅い名前)自殺後、悲しんだ親が冷凍保存・第1号の検体。
250年後、解凍されて目覚めたら、先に死んだ恋人、光を模したアンドロイドが見つめていた・・虎雄から見ると、全然恋人と似ていない。
「アンドロイドのくせに元より悪いってどういうことだ?」
「あんまり似てなくてごめんね――好きだよ」
アンドロイドは、目覚めた時に備えて両親が用意した世話係だった。
旧タイプ光の「ごめんね――好きだよ」は、虎雄君の心を掴んでしまったようです。

アンドロイドの不完全品が完全品と告知なく交替されたあと、廃棄された旧タイプの光を探しに行く虎雄。
探し出した光を背負って歩く虎雄の言葉。
 「人間は、好きな奴の為にはこうしてしまうものなんだ」
光が力尽きた虎雄を抱いて守り続けて、そのまま砂漠で250年また眠る虎雄。
目覚めを待っていたのは、究極タイプの四角いロボット。
貴重な汚染されていない遺伝子を持つ虎雄は、価値が高い存在になっていた。
リハビリを終え、現存率1%の光Bタイプを探す旅に出る。
尾瀬を見に行く約束を果たしたい虎雄は、砂漠で倒れる。

白昼夢?
この後の描写は、夢なのか、現実なのか、私には解釈できませんでした。曖昧。
希望しない未来で生きる、古風な気質の虎雄君が見つけた、生きる意味は、
旧タイプの光と約束した「尾瀬に一緒に行きたい」を果たす事。

秋にふさわしい、一冊だと思います。名作。

3

読み手の感情移入の程度に評価が割れそう

これは読み手の読解力というか、どれだけキャラ(特にヒカルB)に感情移入にして読めるかによって評価が割れそうだなと思いました。
さらっと描いてある場面場面を、描いてあることよりも深く読める人は、涙が止まらないほど泣いてしまうと思います。(←私はこっちでした)
ただ、250年とか500年とか実感の湧かない数字を使っているので、読めない人には刺さらないかもしれません。
私が前者であるという前提でレビュー書きます。

人間とアンドロイド、こういう設定は良くあるけど、ここまで設定に忠実に、そして無情さをリアルに描いている作品はないんじゃないかなと思います。

どうしたって人間とアンドロイドじゃ流れる時間は違うし、いくら忠実にデータをコピーしたところでアンドロイドは本人の代わりにはなれない。
きっとヒカルBが1番わかってたんでしょう。

とらさんにオリジナルと比較される度、どんな気持ちになっていたのか。
とらさんが眠っていた250年、どんな気持ちで過ごしていたのか。
ヒカルBの気持ちを考えると涙が止まりません。

特に「500年の営み」の方。りんごも全く剥けなかったヒカルBが、義足を作って、立派ではないけど家も作って。
人間じゃないから死ぬこともできずにただ生きてる。

そんな中での「人間だったらきっとソラミミが聞こえるのにな」っていうヒカルBのセリフ。

それまでヒカルBには、人間になりたいというような発言は一言もなかったはずです。
それは自分が人間とは絶対的に違うものだと自覚しているから。

この一言は「大好きな人にもう一度会いたい、声を聞きたい」っていう人間らしい気持ちが250年の中で積りに積もって溢れちゃった一言だと思うんです。

嘘でも良いから大好きな人の声が聞きたい。そんな願いすらも叶わない。
心があるアンドロイドって一体何なんだろう、ヒカルBの気持ちがダイレクトに伝わってきて涙腺崩壊でした。
きっと私みたいに考える人が多いから、箱型のロボットに戻したんだろうね。

最後の1ページ、あれは信じて良いんですよね?
ハッピーエンドだったってことで良いんですよね?
おまけみたいになってますけど、私的には2人が幸せになれたのか、そこがすごく重要なので!!
ちゃんとストーリーとして、もっと詳しく書いて欲しかった!!

どうか2人がずっと幸せに、同じ時間を一緒に過ごせますように。

6

「3割減のアンドロイド」に滲み出るセンスよ

なぜかVOIDと連続して読んだので、設定は似てるなぁと思ったんですが、こんなにも違う話になることに驚きました…。
漫画家さんて本当にすごいなぁ。
表紙の美しさに惹かれて、ずっと読みたいなぁと思ってたので読めて良かったです。

話自体は、250年て途方もなく長すぎて、感情移入しづらかったのが残念でした…。
そうですよね。タイトル、"500年の営み"ですもんね。250年、もしかしてもう一回あるんじゃ…って途中で気づいたときァァァってなりましたよ。
エヴァだって14年だけどあんな絶望的なのに…。50年じゃだめなのか。
かえってリアルでだめですね。すみません。。


うだうだ言ってしまいましたが、この作品、すごい好きです。
一番好きなシーンは、王道ですが、砂漠での寅雄のセリフ。
人間は、ロボットだろうが使用済みの切手だろうが犬だろうが金魚だろうが、好きな奴の為に動くって。すごく美しいことですよね。
人間相手じゃなく、アンドロイドに対峙してこの気持ちが芽生えるのが素晴らしい…
250年後のロボットが、寅雄のことを矛盾だらけ、と言います。
でもそれは、美しい矛盾だと。

ほんっとそれナ…!!!
250年後のロボット、祈ったり、いい仕事しますね。好き。

山中ヒコさんは初読だったのですが、独特な世界観に惹かれると共に、すごく愛情が純粋だったので、めっちゃ癒やされました。よかったー。

6

一途な愛

これほど一途な愛の話は久しぶりでした。
優しい気持ちになれるおすすめの作品です。
わたしの保存版本棚行き決定です!

3

アンドロイドの無償の愛

アンドロイドのお話というと、映画のAIを思い出します。
アンドロイドはあくまで機械である
アンドロイドは人間の代用品
アンドロイドは人間の為だけに存在する


完璧な存在であるアンドロイド
光より不器用なヒカル

恋人よりも能力の劣るアンドロイドのヒカルは人間らしさを感じます。

人間は似て非なるアンドロイドに醜さを感じる、と作中でペシミストのロボットが語りますが、死んだはずの恋人そっくりのアンドロイドに虎は虚しさや醜さを感じたのでしょうか。

これはBLかと言われると難しいです。
愛着ともとれるのですが、計らずも500年の時を生きた虎に必要だったのがヒカルだったのでしょう。


4

本物よりアンドロイド

設定が難しいですね。
人間だった頃の二人の描写が少なくアンドロイドB型の光とのお話が中心ですね。

切ないです。ロミジュリの二人がやっと大人になって付き合えたら光は亡くなってしまって。
寅雄も後を追って自殺しますが両親の願いで生き残り光のアンドロイドと一緒になれるように。

アンドロイドの光は3割減の出来ですが寅雄が大好きで、寅雄の世話をして守って。不器用なのに。

ある朝目覚めたら光A型に入れ替わり引き継ぎしたと言われ、より光にそっくりなアンドロイドがいて。

寅雄はB型を探しだして(B型のその後が可哀想)でもまた二人は亡くなる運命だったのか?でも一緒ならと思ったら助かって。

ここからの二人の絆も泣けます。
光とは思えないけどもうB型を必要としてる寅雄と、アンドロイドだからシステムに記録されてるからなのか?それともそれらを超えたところでB型の光は寅雄を好きなのか。

寅雄は本当に光B型に会えたのでしょうか?あれは現実なのか寅雄の夢なのか。尾瀬で。
最後の1ページがとても現実的なので会えたのだと思いたい。

設定はあまり飲み込めませんでしたが寅雄と光B型の二人に萌えました。
悲しいお話ですが希望もあって。

3

♯夏の思い出

生まれ変わってもまた同じ人を好きになる…というお話もよく目にしますが、全然違う人を好きになることもある。
それでもいいじゃないか…そんな物語…

トラは、生まれ変わったわけではなく、アンドロイドのヒカルBはオリジナルの光とは別物。
それでも好きになる…大好きだった光とは似ていなくても…。

それでもいい。
それでいい。
自分の気持ちを大切にしたい…そんな物語です。

物語のキーワードである尾瀬…
読後は、夏の思い出を口ずさみたくなります。

1

設定は美味しいけど読み応えが薄い

 題材はとても良かったと思うんですが、主人公の感情の表面を撫でただけで終わってしまったような気がします。これだけ壮大な設定なのに、どこにも感情移入を深くする余地がなかったというか。この作品は、現代と250年後の未来、さらにそこから250年後の未来、と3つの時間軸があります。ですが、どの時間軸でも説明と、主人公とその想い人の話を他人事のように聞かされているだけのような気分でした。1巻という短さの中に、これだけのものを詰め込むことに無理があったのかもしれませんね。

 最初の現代は、家が対立している者同士、いわゆるロミジュリ的事情のある太田と山田が恋人になるところから始まります。しかし、太田が事故死し、太田がいないなら生きていても無駄だと感じた山田は自殺。したはずが、目覚めると250年後になっており、両親の必死な願いで自分は冷凍保存されていて、さらに太田に似たヒカルというアンドロイドまで用意されたことを知ります。最初はヒカルと太田の違いを見つけては虚しさを覚えつつも、段々ヒカルに情が湧いてくる山田。本当にヒカルを好きになっていると気付いた時、2人はまた引き裂かれます。そしてさらに250年後。目覚めた山田はまだヒカルを覚えていて、なんとか彼を見つけ出そうと、それだけを目標にして前に進みます。

 話の流れは美しいんです。2つ目の時間軸で山田がヒカルに惹かれていったのもまあ共感できなくはないんです。でも、やはりページ数の問題ですかね。そもそも自殺を図るほどというのはとんでもなく狂おしいほどに相手を想っていたということですよね。でも山田がそこまで太田を好きだったという描写がとても薄いので、自殺が突拍子もないことのように感じられてしまいます。そして、最初こそヒカルと太田が違うところを見つけてがっかりするシーンもあるものの、自殺すら厭わなかった太田に蹴りをつけてヒカルに情が移るまでがスムーズ過ぎる。のちにヒカルより性能の良い太田そのもののアンドロイドが現れた時、ほとんど葛藤がなかったのはなぜか? ヒカルの方が先に出会っていたから? だとすれば太田の存在とは何だったのでしょうか。

 さらに、3つ目の時間軸が必要だったのかよく分からない。ハピエンにするにも悲恋にするにも、私は2つ目の時間軸までで十分に可能だったのではないかなと考えています。250年、ヒカルが山田を待ち続けたという事実を描きたかったのかもしれませんが、読者からするとまた長過ぎる時間の流れを受け止めなければなりませんし、250年もの間山田がヒカルを覚えていられた理由、ヒカルへのどんな強い想いがあって再び追い求めようとしたのか、またヒカルが再生できて山田を待ち続けられた理由、どれもがあまりにもさらっと描かれている。250年という年月はそんな簡単に流れていい時間ではないと思うんです。壮大な設定の割に、キャラクター達の心情描写が少な過ぎる。アンドロイドと、百年単位の時間の流れという特殊な設定に挑戦されたことは素晴らしいと思いましたが、もう少し時間と時間の繋ぎとキャラの掘り下げが必要だったかなと思います。

6

どんなに美しい矛盾でしょうか…

これも改めてのレビューです。

寅雄と光の長い長いラブストーリーです。
感情移入してしまうと本当に涙が止まりません。

その人は、その物は、たったひとつしか存在しないからこそ愛しくて美しいんです。そして儚く散りゆくものだから…自分がどれだけ破滅の道へ進んでしまうのだとしてもそれは愛しいと思う人こそが抱えることのできるものが矛盾だと思うのです。
最初の悲劇もなにもかもスッと胸のなかに入ってきて心に響きます。
BLという枠を越えて二人の長い長い人生を見ていた気がします。

6

試しに読んでみたけれど(ネタバレあり)

こちらで絶賛されていたので、それなりに期待していたのですが...。
すいません、あまり趣味ではありませんでした。

 主人公が眠りについてからの細かい世界設定から、作者のこだわりが垣間見えたのはよかったです。とはいえ、登場人物達の掘り下げが浅く、どうも設定だけが空回りしている印象を受けました。

 それと全体的に心理描写が少ない。作品として一番大切な筈の導入部分も、生前の攻めと受けのエピソードをさらさら擦っているだけなので感情移入がしづらく、そんなキャラクターにいまいち愛着が湧けないまま物語が進んでいくので、ヒカルBとの別れと再会のシーンでも特に感動もなく読了後も「ふーん」程度の軽い気持ちしか残りませんでした。

せっかく死んだ恋人を倣ったアンドロイドとの恋愛をテーマにしているのなら、生前の光に対する葛藤がもう少しあってもよかったのでは?結構あっさりヒカルBに恋愛感情を抱いているので、少し光が不憫な気がしました。

 それでも、アンドロイドの持つ冷たさと無機質さとヒカルBの主人公に対する想いは、痛い程に感じられたので、深い事は考えずに雰囲気を楽しむのにはいい作品だと思います。
設定萌ができる方は読んでみる価値があると思います。

7

最愛の人が不慮の事故で死んでしまう、という設定がダメでした。

やはり泣ける作品には、よほどの覚悟がない限り近寄らないほうがいいな。。。
自分に半端ないダメージがきます。

最愛の人が不慮の事故で死んでしまう、という設定がダメでした。
そして主人公は後追いするんですけどね。
主人公の恋人が死なないとこのお話が始まらないのですが、
この前提の時点でもう色々想像が膨らんで撃沈。
愛する人が死ぬ、というのは自分にとって地雷なんだとつくづく思い知らされました。
そんなの紹介文&試し読みで分かっていたはずなのに、
全部通して読むと、ダメージが半端ない。

ボーナストラックの【250年の営み】で最後は違う形で救われるし、
ちゃんと救済の設定はあるのですが、本当に愛した生身の恋人は、もうどこにもいないんだよ・・・と思ってしまうのです。


3

こんな素晴らしい作品は他にありません。

もう何十回も読みました。そしてその倍泣きました。
初めはただ主人公が可哀想で仕方なくそれと同時にアンドロイドの少し寂しそうな表情にやるせなさを感じました。
しかし後半からただただ切なく胸が締め付けられて自然と涙が流れてました。
この作品は読めば読むほど感情が作品に入り込みより理解が深まると思います。
特にボーナストラックの【250年の営み】がグッときました。
ここまで泣ける作品に私はまだ出会ったことがありません。
是非皆さん、損はしないので読んでみてください。

10

何気なく読むもんじゃなかった

不慮の事故でなくなってしまった恋人の後を追って飛び降り自殺をした受けが目を覚ますと250年後で、傍らには亡くなった恋人と瓜二つのアンドロイドが・・・って冒頭から始まります。

とても文学的な考えさせられる内容でした。
綺麗で情緒的で、ほんのり寂しいような、ほのぼのするような・・・形容しがたいですが、美しいお話だな~と思いました。

何の前知識もなく読んでしまったので、エンタメ性の軽い内容の映画が観たいとDVD適当に借りてきて視聴してみたところ、新海誠の映画を借りてきてしまった感(笑)・・・だったんで、敢えて普通な評価に。

1回だけさらっと読む内容じゃなくて、何度か読み返してみると神評価かも。

3

何度も読みたくなる!

レビューを読んで、読みたいなぁとは思ってたんですが中々コミックスが見つからず先にドラマCDを購入しました。その後 無事コミックスもゲット。
CDで結末は知ってましたが、やはりコミックスを読んで泣きました。寅とヒカルの直接的な絡みは本当にごく最小なんですがとにかく色々ぶわーと考えられる話でした。むしろもうblの域を超えてるんじゃないかと思うほど!
すごく悲惨な話なわけではないですが、有頂天に明るい話でもないので好みが分かれる作品ではないかと思いますが私は何度も読み返したくなりました。

6

色んな気持ちになれる作品(ネタバレ)

主人公の山田寅雄(受け)はニュースで自分の恋人が亡くなってしまったとこを知って、飛び降り自殺をしてしまうんですが、起きたらそこは250年後の世界で自分は生きていたのです。
彼の隣にはアンドロイドヒカルBがいて、事情を聞くとなんと親が自分を冷凍保存をしたのでした。しかもそのヒカルBは彼の亡くなった恋人に似せて作られたアンドロイドでした。
しかしヒカルBは似せて作られたのにあまり恋人に似ていないんのです。後で分かったんですが、完成品のヒカルAの代用品だったんです。それを知った時は本当にじわじわと来て、涙がこぼれました。

そんな感じで話を進めていくんです。斬新なお話で、感動して、泣いたりもしました。途中である出来事が起き、山田さんはまた250年を眠り、(だから作品のタイトルは500年の営みなんですね)起きた時に、ヒカルBはいませんでした。最後はハッピーエンドで、暖かい気持ちになります。

ですが、やはりこういう系はちょっと苦手です。アンドロイドがどーこーではなく、好きだった恋人がなくなり、その後別の方を好きになることですね。少し身代わりっぽく感じます。

でも全体的に良かったです。

6

500年の恋

泣けると評判でしたので、どんなものなのかと買ってみたら読んだ後、本当に涙が流れて…感動作品です!
500年という長い長い恋愛が本当に切ないのに、所々可愛くてほっこりします。

2

萌えなかったです、すみません

数々な高評価の上に「しゅみじゃない」とはなかなか言いづらいが…
でも本当に萌えなかったので申し訳ございません。

********
個人の好みが偏っているので、
この作品を愛している方には少し失礼な言い方もするかもしれません
********

未来世界を舞台としたアンドロイドと人間の恋。
純愛とか切ないとか色々なレベルが貼られているかもしれませんが、
私的には、その恋人の死であとを追う受けのとこをちょっと受け入れないです。まあそこを突っ込めるのもどうかと思いますけどね。
そうじゃないと話が成立しないですけど、そもそも学生という設定がちょっとずれてると思いますけどね。恋人が死んだら自分も死ぬぐらいな愛なのかな。なんかこう、深みが足りないというか…

多分根本的には、近未来的な設定が苦手かもしれません。

本当に私の独断と偏見なので、この作品を愛している方はどうか気になさらないでください。

2

何度読んでも暖かくなる作品。

読後、じわっと涙が出てくる作品です。
この作家さんは、トラウマや痛い系と言われることが多いのですが、この作品も同様で、胸の奥にじわりと突き刺さってくるものを投げてきます。
絵柄の好みが分かれるかと思います。
どちらかといえば、はじめ私は避けていました。
しかし、たまに表れるギャグっぽいツッコミのコマにはちょうどピッタリで、設定やテーマとのギャップに微笑ましく引き込まれました。
世界観もキチンと説明されていて、SFに馴染みがなくてもわかりやすくなっています。
blに期待される色気のあるシーンはありませんが、登場人物の心が徐々に近づき結ばれる様子にああ良かったと安心できる内容です。

7

空白と余白に色んな想いが溢れます

AI(人工知能)という言葉を知ったのは、学生の頃にリアルタイムで読んでいた三原ミツカズさんの『DOLL』という漫画でした。
人そっくりだけど人にはなり得ない機械の存在が、人しか持ち得ない矛盾とか孤独とか空虚とか絶望といったものは決して要らないものではないんだよ、ってことに気付かせてくれたのですよね。
以来、AIモノには弱いです。

と前置きはさておき、
こちらの作品、そんな私のAIモノに対する過剰な期待を裏切ることなく、とても良かったです!
他のレビュアー様方が立て続けに書かれているように、ガツンとくるというよりかは、じんわりと沁み渡ってポロポロと溢れてくるような、スローにカタルシスを得られるそんな一冊だと思います。
onBLUEのコミックを読むたび言ってる気がするけど、さすがはonBLUEという感じで自分が漫画に求めているど真ん中でした。
祥伝社ってなんでこんなアタリが多いんだろう。
因みに前述の『DOLL』も祥伝社なんですよね。BL以外でも昔から良作の宝庫です(^^)


光を失った世界は、生きていても仕方のない世界。
〔寅雄〕にとっての“全て”だった恋人〔光〕を事故で亡くした絶望は何のためらいもなく彼をビルの屋上から飛び降りさせる、という衝撃的なシーンからお話は幕を開けます。
(恋人の名前が〔光〕なのはきっと敢えてですよね)
そして、250年後。
冷凍保存から目覚めた寅雄は先ずそこで、ずっと疎ましく思っていた両親の自分に対する無償の愛を知り、自分の身勝手さを悔いて泣きながらもう既にこの世にはいない両親への謝罪を口にするのですが、そんな寅に、
「泣いてるの?寅 うれしいの? かなしいの?」
人間ならば先ずかけない言葉をアンドロイドの〔ヒカルB〕は投げかけます。

恋人に似せて造られたはずなのに、本物には似ても似つかない出来損ないのアンドロイド。
だけど似てなかったからこそ寅はヒカルBを光と同一視せずに済み、ヒカルBに少しずつ救われていきます。
第5話で本物の光にそっくりのヒカルA(ヒカルBはヒカルAのプロトタイプとして造られた代用品でした)が現れた時、そのヒカルAには目もくれずヒカルBの心配をする寅の姿には思わずぐわっと込み上げるものがありました。

「泣いてるの?とらさん うれしいの? かなしいの?」
ヒカルBが最初と同じ問い掛けをもう一度寅雄にした時、最初とは違う展開が始まります。
ヒカルBは“自分で気付く”のですよね、寅の涙の意味に。
その後の寅がヒカルBに対してはずっと言えなかった「好き」という言葉をすごく自然に口にしたシーン、めちゃくちゃ良かった…(TT)

作中に出てくる登場人物達のセリフやモノローグがいちいち胸に刺さります。
この辺はSHOOWAさんの『ニィーニの森』(これもonBLUEですね)を読んだ時の感覚に近いかな。
言葉の意味を幾重にもして届けられる感じ。
最後の博士とD-4QP(ロボットの名前)の会話には全てを持っていかれました。
この最後の1ページを伝えるためのストーリーでもあるんだろうな。
矛盾を抱えてしまうことこそが人が人として生きている証だと思いますしね。

そして描き下ろしの『250年の営み』がまた色々考えさせられます。
寅がヒカルBと離れ離れになって二度目の仮死状態になっていた後半250年間のヒカルBの日々が描かれているのですが、人間の一生を85年くらいと考えるとざっと3回分に相当する年数です。
そんな気の遠くなるような年月をたった独りで過ごすってどんなに果てしないことだろうかと。
人間ならば孤独感と生きる意味のなさに先ず耐えられないでしょう。
だけどアンドロイドであるヒカルBは事も無げにその途方もない年月をなんにもない場所で独りで過ごしていて、でもまぁ奴はアンドロイドだからね~と思った矢先の、ヒカルBの「オレも人間だったらいいのになー!人間だったらきっと…」の先に続く言葉が…(TT)
そのたったの一言がもたらすパンチ力たるや……
寅だけでなく、ヒカルBにとっても、寅と交わした“約束”が(ロボットならば本来必要ないはずの)“生きる糧”になってたのかなと考えたら堪らなくなりました。
250年という途方もない時間の意味が一気に重みを増します。

500年というスパンで描かれているストーリーには多すぎるほどの空白が存在し、それに加えて余白も多い作品です。
こういうのは好き嫌いの分かれ目になってしまうのでしょうが、その空白と余白に色んな想いを馳せることが出来るのが私的には良かったです。
次に寅が目覚めた時に次こそ間違いなく手にするであろう幸せを想像すると、それだけでまた堪らない気持ちになりました。
この先の二人は同人誌で少し描かれているみたいですごく読みたいです…

山中ヒコさん、他の作品もぜひ読んでみたくなりました。
SHOOWAさん同様、どハマりしそうな気がします。

18

アンドロイドと人間。

ドラマCDを視聴したことがあったので
手にとってみたこの本。

ネタバレレビューは控えたいので
さらっとまとめると、、、
未来に生きる人間とアンドロイドのお話で
今までblでは読んだことのない部類の
ストーリーでした!
読んでて胸の奥がきゅってしまるような
切ないお話で エロはまったくないんですが
すごく引き込まれる素敵な作品でした!!

特に最後の ヒカル のあのシーンが、、、
涙目がこみ上げてくる、、、、

寅とヒカルのお互いの思いに
胸が苦しくて切なくなるけど
どこかが暖かくなるようなそんなお話です。


ワンシーンごとに引き込まれて
心にじーんと残る素敵なお話でした!


まだ読んでない方は是非手にとってほしいです(>_<)

5

うれしいの?かなしいの?あなたの涙は美しい

『うれしいの?かなしいの?』
寅雄が泣く度に、ヒカルは問いかける。
目からこぼれるしょっぱいもの、
知識としてヒカルは涙について知っている。
でも、人間じゃないアンドロイドは、涙の本当の意味を知る由もない。

愛しい恋人・光の死により、
この世に何の未練もなくなり自殺を図った寅雄。
それから250年、目覚めた傍らに愛しい人がいた。
いや、愛しい人によく似たアンドロイドがそこにいた。
不器用で何をやらしても駄目な、3割減のアンドロイド・ヒカル。
愛しい人と重ねて、比較して、八つ当たりをしても
『好き』と伝えてくるヒカルに、意地っ張りな寅雄は心開いていくのだが―

完成形のアンドロイド・ヒカルAの代用品としての役目を終え
自分の前から姿を消したヒカルを探し出し、涙を流す寅雄にとって
ヒカルはもはや愛しい人の代用以上の存在になっているのだ思うと
胸がぎゅっと締め付けられました。
そして、涙を流す寅雄を見て、知識としてではなく
涙の本当の意味を知ったヒカルと寅雄の抱擁は、切なさで満ちており、
ヒコさんのこういう想いのこもった描写には
本当に毎回痺れさせられます。

そしてまた250年。
眠りから覚めた寅雄は、再びヒカルを探す無謀な旅に出る。
いつか交わしたヒカルとの約束、
『あの約束の為に生きたい』というクライマックスは
読み手の心を強く打つ非常に秀逸なシーンで、
当初、光の死に絶望し自死を選んだ寅雄が
最後にヒカルのために生きることを望むというコントラストこそ、
”500年の営み”の中で見出されたものなのだと実感し
涙が溢れて止みませんでした。

エンディングで用意された希望もヒコさんらしくて良い。
博士とD-4QPの穏やかな会話と、
これから果たされるであろう約束に込められた希望。
その希望は、これから素直に愛を注ぐ青年と
人間のように感情を知っていくアンドロイドを優しく包み込むはず。

次に寅雄が目覚めて涙を流せば、やっぱり問いかけるんだろうか。
『うれしいの?かなしいの?』
でもアンドロイドは知っている。涙の意味も、その美しさも。

ヒコさん流、切なく美しい、時をかける物語。
わたしにとって、これからも大切に読みたい一冊となりました。

14

未来を信じてもいいのかな。

たとえ話にしたら、思いのほか意図することが伝わったりすることってありませんか。『500年の営み』もそんなたとえ話の一つなのかもしれません。

同性の恋人が死んで、絶望して彼の後を追って命を絶ったら、親の願いによって250年後に生き返されて、目覚めたらかつての恋人に微妙に似せられて造られたアンドロイドが生涯のパートナーとなるべく待機していた。こんなことが自分の身に起きたら、一体どーしたらいいんだろう。

今から何百年も先は、人工知能との共存が当たり前の世界になっているかもしれない。そもそも人間という存在自体が想像もつかない変貌を遂げているかもしれない。でも、かつても今も人間が「好きになる」能力を備えていることは伝え続けたい。それが異性はもちろん、同性であれ、動物であれ、自ら生み出したモノであれ、さ。

アンドロイドものは一時期よく読んでいた清水玲子さんの作品で嫌っちゅうほど洗脳されてきたので、ある種のイメージを持っていました。人間が自分たちのために造りだしたアンドロイドに一方的に想いを投影して、勝手に反応を解釈して振り回される滑稽さ。たとえどんなに絆が深まったように見えても、アンドロイドが不滅で人間が必死なのは両者にとって悲劇なのだということ。でも山中ヒコさんのこの物語では従順なアンドロイドがコピー元の人間に似ておらず、不滅であることによって主人公が救われる結末を迎えているわけです。これほど逆説的な希望に溢れているSFはあるでしょうか。

一つのイメージ、一つのフレーズから読者が感性を刺激され、想像力を駆使してそれらを繋ぎ合わせ、その人たちだけに意味を持つ大事な物語になっていく。この作品の賛否がわかれるのは、作家さんから読者に向けて、言い尽くせない思いがむっちゃ託され過ぎているからのような気がします。ひとえに作者がわれわれ読者を信頼している証拠だと思いたい、のですが。

個人的にはこの物語を読むと、キセルの「ベガ」という曲を思い出すんだなぁ。ホント、素敵なお話だと思いました。

7

童話みたい。

以前から気になってた500年の営み。やっと手に入れて読む事ができました。
他の方も書いているように、号泣するんじゃなくてポロポロ泣けるお話です。

人によって泣くポイントは違うと思いますが、私は寅の
「人間は……好きな奴の為にはこうしてしまうものなんだ」
という台詞に涙がボロボロ出始めました。情事をしたときには「好き」だと言えなかった寅。再会した時ヒカルに「好き」と伝えたときは何とも思わなかったのですが、この台詞にはもう。涙腺もっていかれました。
そうだよね、人間って、動物だろうが物だろうが、好きなもののために嬉しいと思うし、悲しいと思うし、笑うし、泣けるんだよね。それが「好き」なんだよね。寅はもう、太田光のこと関係無しにヒカルの事を大好きになったんだな…と私は解釈しました。

D-4QPが「祈り」を覚えたページでは、前が見えなくなりました。

夜寝る前に読みたいBL、自分の中で堂々の1位の作品です。

5

出逢えて良かった

頻繁に読み返すようなストーリーではないのですが、忘れかけた頃に読み直したいというか、自分のなかで何度も反芻してしまうお話です。

グッと引き込まれてどきどきしてしまうというよりも、胸にじんわりと温かいものが広がってきて、他の方も言っていたように、私も毎回ぽろぽろと涙が溢れちゃいます。
お話はどこか淡々と進んでいくのですが、とにかく人の優しさが暖かくて。
とても魅力的な人物だったオリジナルの光。その死を受け入れたくなくて、ヒカルBをはじめ拒絶する寅雄。そんな寅雄に必死に尽くそうとするダメダメアンドロイドのヒカルB。
このヒカルBがとてもいとおしくなってしまうようなキャラクターで。アンドロイドの癖にオリジナルより3割減なダメダメ具合で、そのダメさが人間くさくて。完璧なコピーのはずのヒカルAをより無機質っぽく見せていたな~と思いました。
途中で出てくる老夫婦や、寅雄を想う両親の姿。QPや博士など、登場人物が皆いい人ばかりでそれにも泣かされました。

漫画なのですが、読了後の心境としては漫画を読んだというよりも絵本を読んだあとの気持ちに似てる気がします。うまく伝えられませんが。言葉で言い表しにくい新しい感情が自分のなかに反芻するお話です。私は読み返すたびに新しい感情が芽吹くので、時間をあけて何度も読み返してほしい一作。
私は出逢えて良かったと深く思います。

11

500年の孤独。

「250年の眠りから覚めた時、そこには死んだはずの人がいた。」

恋人の光が人助けをして死んだ。
寅雄はその後を追った。
寅雄が目覚めた時、250年の月日が流れていた。
そして傍にいたのは、死んだ光と同じに造られたという
アンドロイドのヒカルだった。

もし完璧とはいかなくても、ある程度人格をアンドロイドに移植できる
技術が出来た時、きっとこんなつらい思いをすることになるのでしょうね。
データベースにアクセスして思い出を引き出そうとする点とか、
未来感がありますが、同時になんだか寂しい気持ちにもなります。

寅雄のように実質500年眠りにつく技術ができたら
眠っている間に知っている人は死に、自分だけ独りになって
しまう気がします。
ですが、この物語は目覚めた時、逢いたい人がいて
行きたい場所へ行こうという気力があって…
幸せな2人だったと思います。

機械と人間・生と死・過去と未来
複雑に正反対のものが混ざり合ってストーリーが生まれる。
この物語を読むことで、読む前と後では生きることへの
感じ方が違うのではないでしょうか。

5

泣いた

なんという物語を書いてくれたのか。

泣きました。読み終わってもあとからあとから涙が止まりません。
号泣というのではなく、いつまでもぽろぽろと止まってくれないのです。

タイトルに小さく添えられた英題「HIS ROMANCE OF 500YEARS」。確かにそのままの意味であろうと思います。その先の意味は、言葉にできない。言葉にしようとしても、涙になっていくばかりです。

「火の鳥」と「A.I」「アンドリュー」を思い出しました。
それらに揺さぶられたことがあるなら、きっとこれにも心を動かされるのではなかろうかと思います。

私はこの状態でベストだと思いました。余白が残されているからこそ、カタチにならないものが含まれていると思います。言葉に収めるにはあまりに複雑なものを描いているからで、そうして作者の意図した方向へ読者の意識を向けさせるに十分なものはしっかりと描かれていると思います。

祈りを覚えた4QPが出てきます。祈るのは誰の為なんでしょう。なぜ祈りたいと思うのか。自分でない誰かの幸せを願う、それが愛なんじゃないかと。だからこそ、彼は人間らしいと評したのではないでしょうか。
人間らしさというのは、報われなくとも不器用でも独りよがりでも、誰かを愛し愛されたいと願いもがく様であり、それを原動力に生きる生き物が人間なのではないかと。人が一番の幸せを感じるのは、愛し愛されるときだから。
知っていること、覚えていてくれること、返事をしてくれること、笑いかけてくれること、自分のために何かしてくれること。

BLですからヒカルや光との感情に注目してしまいますが、これは寅雄が愛を知る物語なんじゃないかと思うのです。親の愛情を知る場面は非常に短いですが、「勝手なことしてごめん」というセリフに集約されていると思います。幼い愛から恋愛、親の愛、アンドロイドの言う「好きだよ」にすがる自分も、意味を分かっているのかも知れないヒカルBも含めた世界への肯定に至る大きな愛に到達するまでの本当に広大な愛の物語だと思うのです。
だからこそ、500年という時間が必要だったのだと。

この辺の構造が「火の鳥」を思い出させました。確かに凍結されている間は眠っているので、500年という時間を生活したわけではありませんが、目覚めた時にその時間は十分に体感したでしょう。250年ごとに繰り返された絶望によって、寅雄はそこに到達したんだろうと思います。

たった1冊で、これだけの時間と熱量を余さず描いているなんて。むしろ非常に丁寧に作られていると感じました。
なぜもっと早く読まなかったんだろう!
きっとずっと大切にしてしまう1冊です。いつかBLを読まなくなる日が来ても、これは手放せないかもしれません。

32

人間の矛盾の哀しさと愛おしさ

◆あらすじ◆

恋人の光が事故死し、生きる意味を失って自殺を図った寅雄。
一命をとりとめ、冷凍保存されて250年後に目覚めた寅雄を待っていたのは、光に似たアンドロイド・ヒカル=B。
光に似ていない上、機能面でも不出来なヒカル=Bにイラつきながらも、寅雄は次第に彼を愛するようになります。しかし、ある朝急にヒカル=Bは寅雄の前から姿を消し、代わりに正規品で高性能のヒカル=Aが現れ…
ヒカル=Bを探す寅雄。やがてゴミ処理場で働かされるヒカル=Bを見つけ、助け出したものの、重傷を負った寅雄は昏睡状態に。
そして、再び目覚めたのは、さらに250年後の世界。そこにヒカル=Bの姿はなく、価値観も変わってしまった世界で、寅雄は再びヒカル=Bを探す旅に――

◆レビュー◆

最初に書いておきたいのは、タイトルと表紙絵は、中身の雰囲気とはかなり違うということです。
山中ヒコさん初読みで、表紙絵のようなシャープな雰囲気の絵を想像していたんですが、本篇の絵はもっと甘めに崩した感じ。
見慣れるとこういうもんだと思えるのかも…あとは、好みの問題ですね。

それと、タイトルの「500年の営み」。
このタイトル自体はとても魅力的ですが、この作品のベクトルとは致命的にズレてる気が。
たしかに描かれている時間は500年。でも、その間寅雄が冷凍保存から目覚めていたのは半年だけです。
長い時間育まれた愛情の重さを想像させる「500年の営み」というタイトル通りの内容を期待すると、確実にガッカリします。

ただ、この物語に500年なんて年月の経過は不要だったか?というと、そうとも言えない気がします。
育んだ愛の重さではなく、寅雄の孤独の深さを表現するために、やはり途方もない年月が、この物語には必要だったんじゃないか…と思うのです。

砂漠の有毒砂塵からヒカル=Bに護られて生き延び、再び250年後に目覚めた寅雄。
彼がそこで出会った4QPと呼ばれるロボットの存在が、この作品の後半のカギになっていそうです。
寅雄も言ってますが、4QPはとても「人間らしい」。
4QPは無駄な外観の人間らしさを削ぎ落とし機能に徹した箱型ロボットですが、そこが逆に、人がロボットに求めるものから透けて見える煩悩や矛盾を全て克服した、悟れる人間の姿を映し出しているようで。
寅雄(と彼が探し求めるヒカル=B)と4QPの対比が効いています。

また、4QPは後半の250年の狂言回し役でもあって、4QPの目線を通して眺めると、この作品のメッセージがクリアに伝わってくる気がします。
「もう彼(寅雄)を知っている人間は誰もいません 人はそんな状況で生きていけるものでしょうか?」
と懸念する4QPですが、彼の予想に反して、寅雄は生きようとします。
ヒカル=Bにもう一度会えるかもしれないというほんのわずかな可能性、ただそれだけのために。
誰かを愛さなければ生きていけない人間の性。たとえそれがロボットであっても、愛してしまえば何にも代えがたい存在になってしまう・・・これは、そんな人間の矛盾や哀しさ、それゆえの人の愛おしさを描こうとした作品のように思えます。

ヒカル=Bを探す寅雄の旅立ちを見送った4QPが、
「博士 私 今「祈り」を学習しました」
と博士に報告する場面は、ほんとにイイ。見せ場をさらってますね、この箱は。

どちらかというとBLと言うよりはとても哲学的な作品です。
正直萌える作品ではなかったのですが、「萌え!(≧▽≦)」とかいう煩悩どっぷりの領域とは別の次元で、じんわり心に響くものがありました。
萌えはおなか一杯、という時に良い作品だと思います。

4

思わずポロポロ泣きました

未来的すぎて最初頭がついていきませんでしたが、だんだん引き込まれていっきに読み終えました!
絵とかごちゃごちゃしてないし、主人公の表情も乏しいけどそこがまた心に来るというか、、、。
BLの良さが出てるなと思いました!
切ない!ずーっと切ないけど最後は!
買って本当によかったと思います。人外とかそんなの気にならない。
何年も置いておきたい素敵な本です。

エロを期待している方には受けないかと思いますが、切ないけど悲しすぎないもので泣きたい方にはオススメです

4

とにかく泣けます。

このBLがやばい!では「ラストシーンでは涙がとまらない」
とありましたが、
わたしは3P目あたりから既に号泣でした。
あくまでわたしは、ですが
20ヶ所は泣ける所がありました。

普段漫画は40分くらいで読んでしまうのですが、
この作品は一時間以上かけてゆっくり読みました。

500年の営みは、
感情が津波のように真正面からドーン!とくるのではなく、
足元からじわじわ染みてきていつの間にか胸まできている……そんな表現が合っていると
感じました。

一冊かけてゆっくり愛を語っています。
未読の方は是非読んでいただきたいです。

5

珠玉の一冊

食わず嫌いはいけません。
SFもの、ファンタジーも苦手な私です。ましてや「アンドロイド」なんて単語が飛び交っていては、手にすらとりまでんせしたよ。皆さんの高評価も知っていながら避けてました。が読後、「もっと早く読んどけば良かった~ッ」と後悔しています。
ヒカルBに心打たれます。寅さんに孤独を感じます。
この2人の間に250年もの時間が流れているのかと思うと、いたたまれない。

ぜひ読んでもらいたい一冊です。

4

祈り

よーく考えちゃダメな作品なんだと思う。
SFとしてどうだとか、何故太田光なんだとか。

2010年、小さい頃から意識してきていつしか愛していた光を失った主人公は
「生きていてもしょうがない」と、ある種の潔さをもってビルから飛び降りる。
そして、どうも一命を取り留めたらしい彼が目覚めて目にしたものは
光にそっくりなアンドロイドと、250年後の世界だった……。

何をやってもぶきっちょな光の3割減のアンドロイド。
そうインプットされているのかいないのか、健気でひたむき。
でも、光じゃない。こんなの光じゃない、とごねる寅。
(そう、一方が太田光ならば、もう片方は山田寅雄って言うんです。)

             ☆

美しい表紙や、雰囲気とか、テーマとか、とても好みだけれど
ある種の薄さに大きくは心揺さぶられずに読んでいたのだけれど、
不覚にも涙してしまったのは、アンドロイドならぬロボットの4QPが
「祈りを覚えました」という下り。
その前の4QPと寅雄とお会話や、その後のパダム博士との会話もすごくいい。

ああ、これは美しい話だ。
BLという感動ではないし、SFとしてはあちこちスカスカ。
でも逆にこの安易とも言える力の抜けた感じが
独特のおとぎ話のような世界を作り出しているのだろう。

本編の映画のラストのような終わりも好きだけれど、
ボーナストラックの最後は、……再び泣かされます。

8

美和子

I see

500年の長さ

アンドロイドという題材の時点で切ないです。
なにせアンドロイドにエネルギーが供給され続けるなら、修理不能なほど破壊されない限り半永久的に動いていられるからです。でも、人間ならそうはいかない。細胞分裂にも限りが合って、経年による老いもあって、抗おうとしても衰えはやってくる。そしてアンドロイドがぴんぴんしていても、命が終わるときは終わってしまいます。

面白い設定です。
恋人が死んでしまったがため、生きる意味を感じなくなった主人公が十分な高さから飛び降り自殺を図ったのに、なぜか目覚めてしまう。なんと250年も冷凍保存されていた。
ここで出会うヒカルBの存在がなんともいえません。恋人に似せて作ってあるはずのアンドロイドなのに、なんにも出来ない。主人公の寅雄と光が交わした言葉や思い出の記憶はメモリーとして入っているのに、ちっとも似ていない。りんごの皮を剥くことも、未来の車を運転することも、なにもかもへたくそ。
へたくそなところがまた良いんです。完璧じゃないから愛らしく思える。
寅雄が喪失感に苛まれてヒカルBに八つ当たりしたときも、人間なら怒って当たり前なのにBはそれでも寅雄を責めたりしない。献身的ですし、裏切らない。寅雄を大切にする。
アンドロイドだから、そういうプログラムなのだと分かってはいるけれども、いたいけなほどの従順さに苦しくなりました。あのベッドシーンも、ただのプログラムとは思いたくないです。

250年前の時点で、目覚める寅雄の傍らにいるモノは光に似ていることを求められていたし、寅雄自身も光の代わりをそこに見ていました(似てないとはいえ、光であるべき姿を見ていた)。けどもいつの間にか似ていなくてもなんにも問題が無い、ヒカルBを求めて、本物の光に似せたアンドロイドなんかじゃダメだとなる辺りがとても好きです。
とらさん、と笑うBのくったくのない笑顔は胸をかきむしります。アンドロイドで、人間ではないと分かりながらも。
そしてまた250年の月日が経つというのも、SF的でいいなと思いました。合わせて500年の営み。長いです。すごく長い。

あの日話した、尾瀬に行ったという嘘の思い出。覚えていられるのはアンドロイドだからだけれども、それを信じてそこまで行ったのはヒカルBの寅雄に対する愛だと信じてやみません。
どれほどの時間をふたりで居られるんでしょう。500年経ってもまだ、ヒカルBの体を見てくれる技術者は居るんでしょうか。まだ寅雄は若くて、500年生きていても生きていないようなもので。だからこそヒカルBとはもう、離れることもなく健やかに尾瀬で暮らしていてほしいです。幸せな終わりであるのに、未来を想うと苦しくなりました。

3

切なくて苦しくなりました。

このBLがすごい!!で見て以来気になってはいたものの手を出せていなかった作
品。
やっぱりアンドロイド物はあかんて。。。!!泣かずに読み終えられた作品がない気がするってほど切ない泣ける作品が多い。。。!!
そういうこともあったり、泣ける泣けると聞いていたせいでちょっと冷めた目で読んでしまい、本編を読み終えたあと
「あ~泣きはしなかったけどええ話やわ。切ない。うおーーー」
とか思いつつおまけを読んだらもうそこで一気に泣いてしまいました。。。!!
もう号泣。
最後の最後で本当に大号泣。
こんなに泣けたBLはすごく久しぶりでした。
読んでない人は騙されたと思ってでも読んでみてほしい作品です。
凄くよかった。

2

何度も読めない作品

BLの枠を越えたと言えるのか、
あえてBLでなくても良かったと言うべきか。

大好きな作品なのですが、
読むたびに胸が痛くて
何度も読むことは出来ない1冊です。

光のいない世界は生きる意味がないと
自ら命を絶つ寅雄。
そしてそのダイブのポーズは衝撃的でした。

目覚めて再会出来た光は光ではなく、
アンドロイドのヒカル。
山中ヒコさんの絵柄と
出来の悪いアンドロイドのキャラが
絶妙にマッチしていて
「バカな子ほど可愛い」心境に
どっぷりはまりました。

アンドロイドが感情を持ち
次第に人間らしくなっていく過程は
SF界の王道かも知れませんが、
個人的にはツボど真ん中でした。

そして、一人になったヒカルがつぶやく、
「もし人間だったら…」に続く台詞。
このシーンは涙腺が壊れる程に
涙が出ました。止まりませんでした。

終始淡々とお話が進むので
泣きどころ、萌えどころは
自分で探さなくてはならない印象です。
仕掛けはたくさん用意されていて
私はいちいちはまって号泣しましたが、
響かない人もいるのでは、と思いました。

そして、500年の営みというタイトルですが、
本人は凍結保存され意識がないため
時間の概念はあまり意味がないかも。

そして、最後に再会出来た部分で
もうひと盛り上がり欲しかったのですが
頁上の都合なのかな?ちょっとコミカルに
パパっと終わってしまった印象があり
もったいないと思いました。

でも、コミカルな絵柄はさらに可愛いし、
寅がヒカルの顔を拭いてあげる内容など
これはこれで可愛かったかな…。

余談ですが、
ヒカルの本名が
某お笑い芸人と同じでビックリしました。
序盤は某さんの顔がチラついて
どうにも集中出来ず困りました(笑)

主人公二人の名前が
もう少しマトモだったら「神」だったかな。

4

話は面白い

友達からは、あまり面白いと言われなかったので、
あまり期待をせずに読んだのですが予想以上に面白かったです。

山中さんの作品は何作か読んだことがありますが、
その中では面白い方だと思いました。

一話一話ずつに落ちがあったので読みやすかったし、
展開を予想しずらかったです。

ただ、寅が光のことを好きだった期間と、
ヒカルを好きになる期間がちょっと自分的には納得できませんでした。
250年、250年で500年....。
さすがに長すぎるのでは....と思いました。

でも、描写とかはミステリアスな感じが面白かったです。

2

再会を信じる

カバーが素敵です。
恋人の光が死んでしまったことに絶望して投身自殺した寅雄。
目覚めたときは250年経っていて光にそっくりなアンドロイド光=Bがいた。
光=Bは光に似せて作られていたけれど3割減(笑)似ているけど違う。
寅雄は光=Bを受け入れることができなかったのですが光=Bの業務を引き継いだ光=Aが現れたときにそれを起動することができませんでした。
寅雄は光=Bを探し出しますが事故でまた別れ250年の時が過ぎます。
回復した寅雄が目覚めたときそばにはD-4QPという機械がいました。
身体が回復した寅雄は光=Bをさがす旅に出ます。
寅雄が持つ人の心、人間くさいアンドロイドの光=B・・・オゼでふたりが出会うことができたら遠います。
そして祈ることを覚えたという、D-4QPの祈りが届きますように・・・。

1

人間だなあ。

表紙がとても魅力的な作品で、興味を持たせるようなタイトルのセンスが素敵です。

いわゆる漫画っぽい絵ではなく、少し独特でどちらかというとイラストっぽいですね。
全体的に白っぽい印象でした。それが作品を際立たせているわけではないので、すこし物足りないと感じてしまいました。

内容は、なんだか外枠だけ大きくてスカスカした印象。
まず、前提となる亡くした恋人の描写が少なすぎる。ので、すでに主人公の心情に感情移入がしにくくなっています。正直恋人が死んだから自殺したといわれても納得できるほどの描写はありません。
その恋人の代替品が会って、最初に会った3割減ロボットを求めて時を超えて旅するという、設定はとても美しいものです。ただ、500年のうちほとんどが冷凍期間なので時を超えて、と言う感じはあまりしません。

250年で変化した社会の情勢とかはちゃんと考えていらっしゃるのに、さらさらと流れ過ぎてメッセージ性に欠けます。すこし無理のある展開もあります。
そしてなにより展開に対して、あるべき主人公の葛藤や変化が表面的です。

また、アンドロイド側の描写が少々少ないので、アンドロイドが人の心をだんだんと持って……という感じもあまりしません。

切ない、という感想を抱きやすいタイプのお話ですが、心情や展開に奥行きを求める場合はあまりおすすめできません。もう少し描写が緻密だともっといいと思います。

6

敵前逃亡

縞々さんの「なにかが惜しい」という意見に賛成です。
山中先生はモチーフはすばらしいけど、いろいろ残念なラストを迎えると思います。
私はBL的な良し悪しとは関係なく、山中先生から感じられる脱BL志向を目指したBLという観点からレビューしたいです。
「カレー味のウンコ」か「ウンコ味のカレー」どっちを選ぶ?という議題がありますが
「500年の営み」は、すくなからずそうした疑問に挑戦しようとしていると思います。
「思い出の中の恋人」か「現実のちょっと足りないそっくりアンドロイド」どっちを選ぶ?
さらには
「現実のちょっと足りないそっくりアンドロイド」と「完璧コピーのアンドロイド」どっちを選ぶ?という問題に繋げた発想がすばらしいのです。
突き詰めると、では「現実の恋人」と「ちょっと足りないアンドロイド」だったら、「ちょっと足りないアンドロイド」を選んじゃうんだよね! それって以前の二人の関係はなんだったの?
という葛藤がしかるべきなのに逃げてしまった。
討ち死にしても、もっとその問題にぶつかっていけなかったかのだろうか。
最後は、山中先生のオサレ志向がなせる技なのか、有耶無耶なキレイ事で終わってしまいました。
賛否が別れる作品はそれなりの力を持っているのです。
が、私はこの作品を読んで山中先生のどうにも変えられない根本的な、設定提示だけして敵前逃亡する姿勢が本当に残念でなりません。縞々さんとちがって、山中先生はもう化けないだろうと思ってしまった1作です。

8

美和子

I see

良かった

曖昧な部分もあるけど、なんだかすごく感動した。
最後のD-4QPの言葉に泣いた。よくわかんないけど。

1

SF設定は得意

って言うか、好物です。

時を超えて巡り会う恋物語。
冷凍睡眠にアンドロイド。
SF的には王道です。

お話の展開も、泣かせ所のつぼを押さえていて、うるうるです。

でも、
たとえ、
やっぱり
SF設定だとしても、
SF設定だからこそ、

500年は風呂敷広げすぎで、、、、、。

さすがに、500年となると、
それも250年を一人で生き抜くアンドロイドとなると、
どん引き、かな。

前半の250年眠って、光Bと出会って、って所までなら、手放しで神にしちゃってもよかったんですが、
「500年」って言うタイトルのインパクトに支払った代償は、萌ー1ってことで。

1

目覚めた時に傍にいてほしい

長らく読まず嫌いだったことを深く後悔&反省の山中ヒコさんの初読みです。

読後の気持ちが言葉に表せなくて苦しいです。

切なさやその他の溢れる自分の感情を共通語として変換できない。

手にすることを躊躇っていた山中ヒコさんの淡々とした線の絵が、この作品のSF(すこしだけファンタジー)的な未来の空気感や冷凍保存から目覚めて少しだけ空虚な山田寅雄の感情を伝えてきました。

寅は苦しみます。
光ではないアンドロイドのヒカルが【光との思い出】を共有していること。
(三割減とはいえ)光のデータを持っているものが存在する。

でもそれは光ではない。

最初の数十ページで寅が光をどれだけ大切に想っていたかがわかるので、躊躇いなく空に身を踊らせたあのコマ(けして見せゴマではない普通の)はやりきれなさに胸がつぶれそうになりました。

寅はヒカルに当たります。
似てない、と。
ヒカルは寅に謝ります。
『あんまり似てなくてごめんね。』

でも寅の役に立ちたいと林檎をむく練習をしたり、謝る気持ちはヒカルのオリジナルの気持ちですよね。

寅のベッドの周りにたくさんの贈り物が用意されています。
どんなものが好きか、というデータはインプットされていても、それを用意して寅が喜ぶ姿を待つのはヒカル自身の気持ち。

そんなヒカルに対する寅の気持ちが変化してきた矢先に、またひとつの出来事が寅を打ちのめします。

光を喪った時、寅は気持ちを持ち続けることを飛んで放棄しましたが、ヒカルを失った時は歩き出します。

光も
ヒカルも
たった1人しかいない。

たったひとつの【その人】への気持ちはその人だけへのものです。

今日、この日だって同じ日なんてない。

号泣ではなく、ゆっくりゆっくり涙が出ました。


眠るときは独りぼっちなんですよね。

目がさめた時、隣に愛しい人がいてくれるというのは幸せなことなんだろうなぁ…と今更ながらに考えました。

山中ヒコさん、他のも読もうっと!

8

難しい事はわからないけれど

泣かされちゃいましたよ…。
そして一読目より二読目が、更に切ない…!!

世界情勢、時代背景なんかが
頭の弱い私にはピンとこないんですけど、
(ここがわかったら、もっと素晴らしい作品だと思えたのかも…)
アンドロイドなのに不器用で何をやらせても3割減。
林檎の皮ですら上手に剥けないし、
あんなに好きだった光にちょっとしか似ていないヒカル=B。
それでも、光にそっくりで器用すぎるヒカル=Aには少しも心を動かされない。
不器用でも、アンドロイドでも、寅雄を一生懸命愛してくれたヒカル=Bを
わざわざ人間立ち入り禁止区域にまで迎えに行くなんて。

また250年が経って、ヒカル=Bはスクラップになったかもしれないのに、
「いつか連れてってくれる?」と言われた事だけを胸に、寅雄は探す旅に出ます。
現存1%の可能性。
0%じゃないなら、なんて、苦しい。
本物の光じゃなくても、完璧なアンドロイドじゃなくても
愛し続ける寅雄に涙がこぼれました。

ファンタジーものって、あまり好ましくないんですが
やられました…。

そして、ヒコさん独特の絵が、私は好きなんです。

6

この作品を楽しむ最低条件は『アンドロイド』に萌ることかと…

作家買い。
大好きな作家さんと、ぜったい切ないだろこれ!!っていうタイトルに惹かれて購入しました~!

が、結果として「う~ん…」なことに。。

この作品を楽しむ最低条件は『SF』『アンドロイド』に萌ることです。

私はこの条件をクリアしてなかったので、全然響かなかった。
『SF』も『アンドロイド』もちょー苦手。この題材の映画は絶対みないし、感動できた試しがない。
そんなアンチ『アンドロイド』派ともいえる私なので、
冷凍保存された250年後に、恋人に似せて作られたアンドロイド(不良品)に世話を焼かれて恋に落ち、実はこっちが正規品ですと後から現れたアンドロイド(正規品)を振りきって、不良品のアンドロイドを選ぶ…という今作は、まったく刺さりませんでした。

そもそも、恋を成就させたアンドロイド(不良品)は、250年前の恋人(男)に似せてるということで、はじめに主人公の最愛の人だったのはその人間であるわけですが、彼への愛を感じる描写が少なすぎて、「優しくしてもらえれば誰でもいいのか?」という疑いを抱くほど全体的に軽い印象を持ってしまいました。
しかも、250年とか500年とか…歳月だけは重ねていますが、その9割9分を冷凍保存で過ごしているため、精神的な時間経過はちょっとしか経ってないということですよね…
250年や500年……ずっと孤独に耐え続けたという精神的苦痛があるわけでもなく、気持ちに歳月分の重みが感じられません。。。

不良品ゆえにいろいろ覚束ない手つきで、一生懸命尽くしてくれるアンドロイドに愛情を抱き、そのアンドロイドへの惜しみない愛や、対象が物であってもこういう愛の貫き方があるんだ、ということを描きたかったのかな…ということはわかります。
物にも心が宿る、または、物にも人間に対するのと同等以上の愛情を抱ける、ということを描くのがアンドロイド物の本質だと思うので。
たしかに、生きていればそういう解釈ができる瞬間はあるし、掛け替えのない宝物はだれにでもあって、そこに特別の思いを寄せる人もいます。
そういう人を否定しているわけではなく、個人的な好みとして、その手の題材の物語があまりスキではないということです。

アンドロイドが一生懸命尽くしているのはプログラムのせいだし、それにメンタル的なものを見出すのは主人公が心ある人間だからであって、……勝手に冷凍保存されて、いきなり250年後に放り出された不安いっぱいの状況で、たまたま優しくしてくれたアンドロイドがその不良品だったから好きになっちゃった…みたいな一種の刷り込みだよな~…と、冷めた分析をしてしまうのはそういう性分のせいです。。
これさえなければもっと広くいろんなジャンルの作品を楽しめると思うんですがね…しかたない。

もし、題材がアンドロイドじゃなく生まれ変わりとか、生き物相手だったらもう少し違った見方ができたのかな…と思います。
いろいろ辛口評価になりましたが、個人的な相性の問題ですので、アンドロイドが苦手じゃなければ楽しめるかもしれません。

あ、でも、この1冊分に収まるページ数で、現代からその先500年後の未来まで、を描こうと試みた作家様の心意気には大変しびれました!!すごいと思います。
細かい時代の設定や、辻褄を合わせるのが大変そうな諸々の設定など、とても苦労されたことと思います。
今後の活躍にもぜひ期待したいです☆

《個人的 好感度》
★・・・・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★・・・・ :キャラ
・・・・・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成

6

わからんよ

すみません。
私 意味がぜんぜんわからん。
何回も繰り返し読みました。
が この老化した脳みそがこの本を受付ません。
山中ヒコ先生は 意味不明のモノを結構描かれておいでです。
(褒めてます)
SFの醍醐味ですものね。
ファンタジーって ムズカシイものですね。
250年の時を越えて。
浦島太郎も ビックリ!!
(亀は万年なので 生きてるわ!)
竜宮城みたいな話だと 勝手に解釈をしています。
だって すごく不思議なんです。
今もホンマにこの話の意味わかってないです。

2

切なくも愛しい


こんな作家さんを好きな方にオススメ
小説 木原音瀬さん 榎田尤利さん
漫画 中村明日美子さん 秀良子さん ハヤカワノジコさん

H度 ほぼ無しに近いです
内容 好みが分かれる作品だと思います。
   BLにの枠に納まらない作品というか、世界に引き込まれます。
   山中ヒコさんワールドですね。
   終わり方が、独特なのでそれを覚悟でお読みいただきたい作家さんです。

BLの王道を制覇して、新たなジャンルにチャレンジしたい方は
1度読んでみていただきたい作家さんの一人です。
キュンとしたくなる場面もあるのですが、それだけに留まれない。
世界が広いです。笑
わたしは古本屋で立ち読みだったのですが、少し泣けますので注意を。
けれど、切ないだけで終わらない。読み終えた後、きっと
愛しく思える作品になると思います。

3

愛は何処からやってくる

SFファンタジーの感動作でした。愛するものを追い求める姿に強い意志を感じる。
不思議なタイトルだと思ったらそれもそのはず、人間の冷凍保存技術も完璧で
アンドロイドが当たり前のように人間の傍らにいる時代。
現代の恋人同士が、突然相手に先立たれ、生きる希望を失い先立った相手を
追うような形で飛び降り自殺をしてしまうことから始める物語。

山田虎雄が目覚めた時、既に時代は250年も過ぎ去っていた、そして目の前には
亡くなったと思っていた愛する相手・・・しかしそれは愛する光本人に良く似せた
アンドロイドのヒカルだったのです。
虎雄の為に作られたアンドロイド、でも本物の光とは似ているようで似ていない。
3割減のアンドロイドなんです。
完ぺきのはずのアンドロイドなのに、不器用で、人間の光とは比べようもないくらい
何処か抜けているような不完全なんです。

亡くなった恋人と似ているけれど、違うヒカルに次第に別の相手だと認識しながら
惹かれていく様子は、過去の恋を忘れ新しい恋になっていく感じなのです。
アンドロイドなんだけど、人間ぽくて、そして別物だと認識して受け入れた時に
突然の別れになり、虎雄は、消えたヒカルを探す。
見つけたのもつかの間で、また、トラブルで虎雄は250年も眠った後で目覚める。
そしてヒカルは完全に消えている。
そこから虎雄は1%の可能性を信じてヒカルを探す旅に出る。

人間と粗悪なアンドロイドとの恋物語、切ないけれど、どこか微笑ましくて
胸にじんわりくるストーリーで、とても素敵でした。
でも、何故か思うのは完ぺきなハッピーエンドでは無いと感じる。
それは人間とアンドロイドだからなのかも知れませんね。
それでもまた読み返してみたくなるストーリーでもありました。

3

人の生きる道

寅雄の自殺の描写は、よく言えば潔い、悪く言えば後先も考えずなんて浅はかな、若い衝動だろうと思わせる唐突さですが、1話目が終わる頃にはその衝動も理解できている自分がいました。

250年間の冷凍保存から覚醒した寅雄に与えられたのは、恋人だった光に似せて作られたアンドロイドだけれど、なんだかちょっと違う「ヒカルB」。
もし、寅雄にはじめから「光」と全く同じアンドロイドが与えられたとしても、寅雄はその”矛盾”とともに生きてゆくことができるのか、できたところで、いつかはこの先生きてゆく”疑問”を持たないのだろうか、そう思っていたところで、リンゴの”サイコロステーキ”が出てきて、ヒカルBが、逆にちょっと抜けていたからこそ、寅雄は反発心というか怒りという生きるベクトルを持てたのでは、とも思いました。

雑誌掲載時は、最後が不安なのか、ハッピーなのか、はっきりとは分からず、この読了感をどうしたらよいのか頭の中でこねくりまわしては、何日ももてあそんでいました。
寅雄は今度こそ、絶命してしまったのか、また何百年も眠って、目が覚めたらヒカルBが側にいてハッピーなのか。
単行本になって、最後の最後の1Pで連載終了時から空を切っていた、見えない先が、全てではないけれども、回収できて、自分の中でやっとで消化できたと思います。
人間の寿命には終わりがあるけれど、これからの二人を想うと、永遠を見たような気がしました。

「はげの予防薬」にはウケたけれど(この時代になっても悩みどころはソコか、と)、D-4QPが語る”美しい矛盾”には人間が人間である感情を抱きながら生きることの「希望」を肯定してくれる、素敵な言葉だと感じました。

毎回、「onBLUE」を購読していて連載を追っていたのですが、これがまた発行の間が長くて、”早く続きが読みたいのにこの待ち期間!う〜わ〜!”とか思いながら毎号待っていて、毎回”ちょっと待て、あっちは250年も冷凍保存されてたんだぜ、そんなのに比べたら数ヶ月なんてあっという間だって!”とか一人自分に言い聞かせて待っていたのを思い出します(笑)

13

冷凍保存のし過ぎで体が心配です。

あらすじを読んで面白そうだったので、特典ペーパー付きの新刊で購入しました。

読む前は、250年後に冷凍保存から生き返った後、
それから残りの250年は輪廻転生を繰り返して、
合計で500年なのかな?と想像していました。

実際は、冷凍保存から生き返った後、砂漠で生き倒れてしまい、
再び冷凍保存され、それから250年 経ったという設定でした。

長い間、冷凍保存され、それが2回も繰り返されたので、
いくら未来の技術が進歩しているとはいえ、
寅雄くんの体は大丈夫なのか心配になりました。

アンドロイドのヒカルBを探し続けていた寅雄くんですが、
もうすぐ読み終えてしまう所まで来て寅雄くんが力尽きて倒れたので、
もう、このままヒカルBを見つけられないまま死んでしまうかと思っていましたが、
最後の最後で無事に再会することが出来て、本当に良かったです。
今度こそ末永く幸せになってほしいと思いました。

未来の設定について、読んでいる時は あまり気になりませんでしたが、
読み終わってみると、250年後や500年後の世界が
あまりにも現実離れしすぎているように思いました。
別に変えなくても良いですが、もう少し現代の世界観を
残していても良いのではないかと思いました。
寅雄くんやヒカルBの心理描写よりも、
未来の世界の描写に力を入れすぎた印象が強かったです。

今回は、あまり迷うことなく「萌×2」評価です。
とても心に響いてきました。

2

山中先生は毎回何かが惜しい

タイトル通りです。
山中先生の漫画は、シナリオは凄く良いものが多いのですが、それを味付けするスパイス(キャラ、背景、コマ割り、モノローグなど)が自己完結的と言いましょうか。
言わんとすることは通じるけどイマイチ心に響かないもどかしさを感じます。

本作で感じたもどかしさ。それは世界観の描き込み不足。
はじめに大風呂敷を広げたのにも関わらず、中身が小さいわ、どっかで借りてきたような近未来描写だわで、それが作品を詰まらないものにしていると思います。
今から500年も経った未来なのに世界があまりにも狭く、普遍的すぎる。
加えて、500年前と後とで世界情勢や制度、国境、政治など環境そのものが180度変わったと説明しているのに、主人公二人に殆ど影響してこない。

例えば、主人公が250年前を懐かしみ、あそこへ行きたいと嘆くシーン。未来の世界が殆ど描かれておらず対比が不可能なため、主人公と同じように「250年前のあそこに行ってみたいなあ、昔は良かったなあ」などと思えなかったりとか。
主人公の自己完結で話が進んで行ってしまうため。消化不良のままラストへ持ってかれてしまいます。

機械と人間の関係が社会の発展とともに進んでいく話なのですから、主人公2人だけにしか焦点をあてないのはあまりにも惜しい。
説明で済ませるのではなく、絵で描ききって欲しかったと個人的に思います。
山中ヒコ流近未来を、主人公の目を通して感じたかった。
......ただやはり、それを描く為には1巻だけでは到底無理なんでしょうね。

急ぎ足でコンパクトにまとめざるを得なかったのか、それとも先生ご本人の説明不足なのか判断し辛いところが山中先生の作品評価の難しいところです...。
恐らく両方なんだろうなあと読んでて感じるのですが。

なんだか不評な部分ばかり書いてしまったのですが、相変わらず設定、そして1枚絵の完成度が非常に高い漫画家さんだと思います。
口絵や表紙、大ゴマで見せる部分の余白の使い方は流石です。
ただ、これだけ緊張感のある余白が1枚絵ではあるのに、漫画になると途端に締まりが無くなり、全体的にへらへら笑っているような画面になってしまうのは何故なんでしょうか...。
まあ、それが先生の持ち味といえばそうなんでしょうが。

上から目線で恐縮ですが、数年後に絶対化ける作家さんだと思って買い続けています。
これからを期待して辛口評価です。

15

3割減のアンドロイド

雑誌掲載のときは、発刊に間が空いたりするために、またこの作品が500年とか途方もない時間を超えた作品だったためか、少しかったるく感じていたのですが、こうして一冊で全て読破するとどうでしょう!
それはキラキラとした心に染みるお話に自分の中で変化していました。
とても切ない展開です。
SF設定になっているので、そこに色々と実はツッコミどころは満載であるのですが、こうしたファンタジーはそれが主軸でないので、突っ込まないことにしました。
純粋に、寅の気持ち、ヒカルBの愛情、それだけを見つめて、感じて、それだけを愛でたいと思います。
自分が感じたのは、執着愛と、無償の愛です。

家が敵対している同士の息子たちが再会して実は二人共ゲイであることがわかり恋人になる。
そうした矢先、恋人はホームに落ちた人を救うために電車に轢かれて亡くなってしまう。
絶望した片方はマンションから飛び降り自殺を図るのだが、目が覚めると250年後。
目の前には、恋人に似た男がいた。

これが植物状態になりながら親の後悔と願いにより冷凍睡眠により未来の科学で目覚めた山田寅雄。
目の前にいた男は、電車に轢かれて亡くなった恋人・大田光(爆)に似せて作られた(これもまた寅の親の願いで)アンドロイド・ヒカルB

微妙に外見も違えば、性質も不器用ででも健気な、ちょっとダメっこなアンドロイド・ヒカルBに、光と違うと比較しながらも、彼の良さを見て、彼を好きになってきた矢先、突然ヒカルBはいなくなる。
変わってきたのは、光に生き写しのヒカルA。
ヒカルBが3割減だったのは、納期が間に合わないためのプロトタイプだったからです。
ヒカルBがいいのだと、彼を必死で探し当てたとき、事故により再び離れ離れになり250年の時が流れ、そして再び寅はヒカルBを探す旅に出る。

ただそれだけの、時間だけが途方もなく流れるお話なのに、
寅のヒカルBへの気持ちと、ヒカルBの健気さがどうしてここまで執着するのか、と思わなくもないのだが、目覚めて一緒に暮らした期間が全てを決定づけたような気がします。
そこに、ただ寅はひとりになりたくないからでは、とか
ヒカルBは、アンドロイドだから刷り込みなのでは、とか
そう思うより先に、彼等には愛が芽生えたのだと信じたいな、と思えたのでした。

突飛でもいい、自分を待ってくれている人がいる。
だから迎えに行くんだ。
それが500年だったのだと思ったのでした。

9

微妙

表紙がきれいだったので、このマンガ家さんのコミックスを初めて購入。

お話としては、悪くなかったと思います。
切ない話でした。

ただ、別にBLでやらなくてもいいと思うけど。

設定もSFというより、ものすごく突飛で、キワモノのような?
現代から一気に未来に変わっても、画面や雰囲気が変わるわけではないので、ちょっとついていけないというか・・・

あれこれ、読み手がおいていかれる感じで、次々とトンデモ展開、無茶な設定が繰り返されるので、このへんをスルーできないと、かなりつらいと思います。

それでも悪くないと思えるのは、お話のテーマが切なくて、とてもストレートに伝わってくるからです。好きな人は、すごく好きになる感じ。わたしは、そこまで純粋でもなく、トンデモ設定につまづいてしまうので、なんだか、いろいろもったいないな、と思ってしまいましたが。

絵柄は、ちょっと癖があります。
デッサン狂いというより、こういう絵なんでしょう。
独特の歪みが、マヌケ面に見えて残念です。
でも、個性なのかもしれませんね。
わたしは、もうちょっと描き込んでもいいんじゃないかと思うくらい、真っ白な画面がさみしかったけど。

次はないかな?
他の作品を読んでみたいとは思えませんでした。残念。

4

この作品が収納されている本棚

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