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「全BL作品の装丁の中で、どれが一番好きか」尋ねられたら迷わずこの作品を選びます。2位は同率で何作品かあるけれど1位は断トツで「眠り王子にキスを」
ハマっていきました。この作品からズブズブと、月村先生とBL小説というものに。なので原点です。
何回めかもわからないほどの読み返し後のレビューとなります。
地の文が読み易い(というか私の好み)のと篤史(受け)の人物背景がとても丁寧に描写されている。
二人が出会ってから宮村が篤史の足元へ幸福のタネをポトリポトリと蒔いていくが、当の本人は気づかなかったり 見つけてもそっと脇へ避けてなかったことにしていく。そんなイメージ。
とにかく傷つけられる前に、自らに刃を向けるような または言わなくてもいいことを自分から暴露して傷つきにいく篤史のスタイル、
ここまでくると「卑屈かっ」とはならずに私は好みでした。
攻めの名前がいい「宮村周平」名前から滲みでるイケメン感。
小説なので羊の皮を纏った狼こと宮村さんが、爽やかに執拗に篤史を追い込んでいくさまを ゆっくり、ねっとり楽しめる。
怖がらせないように囲いこんで
逃げられないように追い詰める
彼、むっつりで私の中ではヘンタイのカテゴリーに分類されています。そこがもう最高。
愛してやまない一冊です。
「眠り王子にキスを」
【第5回BLアワード2014】小説ランキング 10位
何度も定期的に読み返したくなるBL作品って誰にでもあると思いますが、私にとってはこちらがその作品です。
受けは、ゲイという性癖ゆえに家族から苛まれて、学校でも辛い思いをして、でも、それは全てゲイである自分が悪い、だから恋は絶対にしないと決意してる方です。
そんな受けの頑なな心を溶かす恋のお相手が、受けの料理の味に惚れたサラリーマン攻めで、ひょんなことから彼に料理教室をすることになり、少しずつ2人の距離が近づいていくのですが、それが月村先生の優しい言葉で綴られており、特別な事件が起きるわけではないのですが、読んでいて本当に癒され、ときめきます。
最後の攻めのお母さんの言葉も、今まで読んできたBLにはない優しさで、何度も読み返してしまいます。
未読の方はぜひ読んでみてください(*^^*)
家族のせいでネガティブになってしまっている篤史。自分のセクシャリティを恥じていて恋をしないと決めているのに宮村に惹かれていく気持ちが止められなくて…。切なかった!自分が好きになったら相手を不幸にしてしまうと宮村を拒絶しようとするんだよね。宮村の距離の詰め方と最後の荒業良かったな。篤史さんが俺のそばで幸せそうに笑っていてくれたらそれだけで幸せですよってセリフはグッときた。
まだ月村先生の作品を読むのは2作目なんですが、どうもすごくツボみたいです。本当に身近にいそうなありそうな世界観でリアルなお話で、でもとても夢とロマンのあるお話がすごく好きです。
今作はゲイであることで理不尽に蔑まれてきた過去から恋愛を封じてしまった料理教室の先生兼デリを営む篤史と常連客で気さくなリーマンの宮村さんのお話です。
もうこの篤史の過去があまりに理不尽で読んでいて悔しくなります。しかも篤史には自分が悪いという考えが根底にあるから辛い過去を自虐的になんて事ない感じで語るのがさらに痛ましい…何度眉を顰めたことか…
そんな傷つけられすぎて固まってしまった心を文字通り暖かく、時に強引に溶きほぐしてくれる宮村の優しさが沁みました…そんな彼だって優しいだけじゃなくて篤史を自分のものにしたくて一生懸命行動してたという事実もまた尊い。
篤史が宮村家に恋人になってから訪ねたシーンは思わず涙が出ました。すごく痛くて辛いけど本当に温かい気持ちになれる1冊でした。
木下けい子先生の作品が大好きで、『いつも王子様が』は既読でした。
最近になって小説にハマり、漁っている中で偶然出会えたこちら。
はああ…良かった。。夜中にずびずび、泣きました。
特に、篤史が宮村の実家でいんげんの白和えを食べ、涙をこぼすシーン。
後に明かされる母親とのエピソードを読んで、再度号泣です。辛い…
篤史の家族と宮村の家族との対比にもまた、胸が締め付けられました。
篤史が欲しくて欲しくてたまらない、けれども絶対に手に入らないと分かっている「理想の家族」、眩しい家族の姿が、宮村家なのですよね。
宮村が篤史を母親に”一生添い遂げたい人”として紹介し、泣いて詫びる篤史の姿にも号泣。そこに、ふんわりと優しい声をかけ、篤史のことを肯定してくれる母親…
血の繋がった家族とは理解し合うことはできなくとも、自分を罪あるものとして常に否定してきた篤史にとって、大きな救いになったのだろうなと思います。
篤史の境遇がもう、本当に痛々しくて痛々しくてたまらなかった。
実の母親・弟からの拒絶。その言動に、人の醜い部分をぎゅっと凝縮したような生々しさがあって。
でも一番腹が立ったのは、中学の教師ですね。。本人はいたって善意のつもりの悪。
こんな環境で、まさにタイトルどおり、恋心を永遠に封じ込めた「眠り王子」になった篤史の頑なな心を、優しく優しく解してくれたのが宮村。
同性が恋愛対象ではないノンケが、その壁を飛び越えて同性を好きになる、って、まあちょっと考えても相当ハードル高いよねって思うんですが。
月村先生の手にかかると、もうこれが本当に、ごく自然な流れに感じる。すごいマジックです…
料理教室でのキリッとして素敵な篤史と、プライベートのおっちょこちょいで何か放っておけない篤史の姿のギャップ、堪らないですよねえ。かっこいい人なのに、守ってあげたくなる可愛さがあるんですよ。
内容について欲を言えば、攻めである宮村視点のSSなども読みたかったなあ、と。
(宮村が篤史に心底惚れているのは、十分伝わってきましたが)
そして付き合い始めた2人のその後、数年後、10年後の様子なんかも見られたら最高…どうしても不安から逃れられない篤史を、宮村はきっとふんわり暖かく優しく包んでいるんでしょうね✨さなぎを守る繭のように。
こちら、ちょうど10年前の12月の作品なのですね。
「良い作品は色褪せない」とは本当だなあと、しみじみ感じました。
