おまけ付きRenta!限定版
俺には、厄介な蜘蛛が憑いてる
ハジ先生、絵柄も設定/ストーリーも商業BLでは異色の作家様で、昨今のファンタジーブームに乗っかってもっと売れて欲しいと強く思います。
こちらは和ファンタジーもの。裸ブーツへの並々ならぬパッションがカバー下に記されています。結局のところ宗玄って何者なのって話もカバー下に。こういう細かいところも含めて、長期連載で語られるようなファンタジーものが増えるといいんだけどな…という願望。
ebookカバー下有り 修正白抜き
タイトルから坊主×蜘蛛かと思いましたが、蜘蛛×坊主でした。
とにかく蜘蛛が可愛かったです。キャラデザもかっこよく可愛いのですが、ちょっとしたことでびゃーっと泣いちゃう、でもめちゃめちゃド攻めなところがよかったです。
坊主と蜘蛛がイチャイチャしながらすすむ、ただの1話完結ものロードムービー連作集かな? と思ったら意外な謎展開が。謎の時間経過バグというミステリー要素が加わって、ストーリーも興味深かったです。
表題作のほか、スピンオフの『王子と蛸』『王子と蛸と坊主と蜘蛛と』『おまけまんが壱』『おまけまんが弐』と更に設定とあとがきまでついて大満足の一冊です。
坊主の宗玄と蜘蛛の妖怪のジンの永い旅物語。
宗玄を「旦那」と呼び、人懐こい笑顔を浮かべるジンは一見すると、
お師匠に付き従う舎弟の少年のようにも見えるけれど、
実はその本姓は蜘蛛の妖怪で、宗玄とは情を交わす仲。
ジンを祓うこともできるけれど、そうはしない宗玄。
抱かれるうちにジンに与えられる快楽に浸り、
まっすぐな好意を向けてくるジンに対して情が沸いてしまったから。
ジンのことをいとおしく感じれば感じるほどに、
人間と妖怪の寿命の差から、いつかはジンを
ひとりぼっちにしてしまうと思い悩む宗玄。
そんなとき、宗玄の隠された出生が明かされ、彼もまた
人間と人ならざるものの間に生まれた存在であることが判明します。
宗玄の正体については明確には言及されることはありません。
一体何者なんだろう…?不気味な回想に想像を掻き立てられます。
他人とは違う〝何か〟をもって生まれたために
周囲から疎まれて育った辛い過去をもつ宗玄。
そして、ジンもまた同じように集団から疎外され生きてきました。
そんな2人だからこそ、互いの痛みや寂しさを思い合うことができるのでしょう。
欠けた部分を埋め合うように優しく寄り添って生きていく
2人のこの時間が永遠に続きますように…。
蜘蛛は苦手なのですが、ジンの蜘蛛姿には
そこまでの嫌悪感はありませんでした。
多腕や糸を操る技はむしろ、宗玄を抱くときには大活躍しています。
8本の腕に同時に色んな箇所を責められ、糸で縛り上げられ、
快感のためてろんてろんにふやけた宗玄の表情はもはや
聖職者とは思えないスケベが溢れ出てしまっています。
攻めるジンも普段は無邪気そのものでかわいらしいのに、
宗玄を抱くときはジンの中のオスが出てきちゃっています。
そして、蜘蛛の特徴としての脱皮(ここはちょっと苦手…)を繰り返し、
脱皮する度に男ぶりを上げてゆきどんどんかっこよくなってゆきます。
少しずつ大人の男になってゆくジンにちょっとドキっとしてしまいます。
同時収録は竜宮城の王子様と蛸のカップルのお話です。
このお話の時代設定は現代なのですが、そこに現代風の服装をした
宗玄とジンがちょこっとだけ登場し、昔と変わらない2人が見れて、
あれからもずっと一緒に生きてきたんだな、と嬉しくなります。
人間以外のキャラクターが登場するBLもそこそこ読んできましたが、さすがに蜘蛛は初めてで、しかもその相手がお坊さんということで、一体どんな雰囲気になるんだろうとワクワクしながら読み始めました。やはり蜘蛛なだけあって、8本もの脚で受けを可愛がる濡れ場は斬新でした。同時にこんなにあちこち弄られたら、お坊さんと言えどひとたまりもないですよね。さらに、脚が8本繋がりで、同時収録作の攻めは蛸。特殊な生き物をBLに落とし込む、ハジ先生の着眼点が素晴らしかったです。
ただ、なんとなく萌えが頭打ちになってしまったように感じたのは、2カップルとも出会いやここまで気心知れた仲になるまでの経緯がほとんど描かれていなかったからのように思います。とても魅力的なキャラ達だったからこそ、もう少しお互いが相手に惚れ込むようになったきっかけなどが描かれていても良かったのかなと。既にある程度関係性が出来上がっていたので、本編ではなくて後日談?と思ったりもしました。素敵な世界観なので、軽快なギャグ要素も残しつつ、この世界を活かした雄大さも感じたかったですね。
〖DMM電子書籍〗
修正:白抜き
カバー折り返し:あり
カバー下:
帯:なし
裏表紙:
備考:試し読みで確認できた項目のみ。
〖紙媒体〗
修正:白線、黒線
カバー下:あとがき、2人の裏設定、イラスト