この男、ヤクザの情夫につき。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ふらちな刑事さん

伊志井卓
チンピラヤクザ,27歳
岳田逸生
正義を愛するインモラル刑事,27歳

同時収録作品ふらちな刑事さん

西田昭
ヤクザの上役,伊志井の同級生,27歳
岳田逸生
刑事 , 伊志井卓,チンピラヤクザ

同時収録作品番外編 西田の恋

西田昭
ヤクザ
ヤクザ,直参,高齢

その他の収録作品

  • inter mission 1
  • inter mission 2
  • 後日談 ふらちな巡査さん(描き下ろし)

あらすじ

刑事の岳田逸生(たけだ いっせい)は、暴力団の組織を壊滅させるために、
ヤクザの伊志井卓(いしい すぐる)から身体と引き換えに内部情報を受け取っている。
「恋人や特別な人を作らない」というポリシーを持つ岳田が、伊志井の情夫になった理由はーー。
著者初のBLコミックス、満を持していよいよ登場! !

作品情報

作品名
ふらちな刑事さん
著者
日野雄飛 
媒体
漫画(コミック)
出版社
茜新社
レーベル
EDGE COMIX
発売日
ISBN
9784863495395
3.9

(89)

(33)

萌々

(30)

(20)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
14
得点
347
評価数
89
平均
3.9 / 5
神率
37.1%

レビュー投稿数14

刑事さんが色っぺーのでふらち過ぎる

初めて読んだ日野先生のコミックスがこちらでした。
繰り返し読んでいるのですが何故か後半は覚えていない。
後半キツい展開、攻め受けそれぞれレイプ、監禁凌辱描写があるから半無意識的に忘れ去っている??

受けの刑事さん岳田がなんとも色っぽいです。
ヤクザの伊志井との情報交換の見返りに自分のカラダをなんとも簡単に差し出します。
伊志井は唇にキズがあるけれどやや童顔で受けより小柄。ヘンな男。
伊志井によって性の快楽なしにはいられないようにされてしまうのですが、でも彼は何を1番先に考えるべきか分かっている。
ラストの方では否定していましたが、彼にとって1番は「正義」なのです。
そのせいなのか西田というヤクザに伊志井がレイプされても冷静、大して動揺もしません。
自分自身が薬物盛られて輪姦されても蜂に刺されたが如くおおごとにはしません。
伊志井も好きな人岳田が輪姦されても西田に対し憎悪復讐の炎を燃やす、わけではなく岳田の強靭な精神に驚愕するのみです。
ダイヤモンドみたいに見えると言って。
ここ、がいいです、好きです。
ふつーのBLマンガじゃ考えられない双方の気持ち!
この後2人は好きあっているんだと自覚し即あっさり別れます。
このあたりも妙に目新しいというかこっちがなにこれ状態になります。
この状態から数年後?再会し同棲まで早い。
抜け出す為に小指が無くなっている伊志井にヤクザ辞めたんですね、とあっさり言っているところが岳田らしい。
お互い、何事にも執着しない性格だと自身をずっと捉えていたのかなと思いました。
だからあんまり考えずに、
もうセックスしない
もう会わない
などとあっさり断言し行動に移していたのかなと。
で後悔先に立たず。
生身の人間ぽくて私は好きです。

濡れ場も色っぽいです、と思います。
いたぶり殴るのが根っから好きな狂気の男も出てきますしスカトロ話(だけ)もレイプ陵辱シーンもあるのでそういうのがイヤなかたにはお勧め出来ませんが、ありきたりの恋愛ものじゃないのが読みたいかたに是非!

0

新境地!

日野先生は「マグネット兄弟」を先読みしていて今作はずっと積んだままでした…(何年積んでたんだ、私……)

この放置した数年を激しく後悔(ノД`)・゜・。
もっと早くに読んでおくべきでしたーーーー!

すごくすごく好みが過ぎる1冊でした!
ただ、この作品には地雷になり得る描写も多いのでその点は要注意ではあります。
ネタバレになるとは思いますがその上でもご興味を持って下さる方には絶対に読んで欲しいな!って心から思える1冊なので一応書いておきますね。
誰かの萌えは誰かの地雷、という事で。(私に地雷が余り無いのでソレ違ウってポイントがあったらすみません!)

その前にキャラを簡単に
攻めは伊志井卓、ヤクザ 受けは岳田逸生、刑事
他キャラで西田は伊志井の学生時の同級生で組では上役
岳田から自身のS(子飼いのスパイ)が欲しくて伊志井に声を掛け関係が始まる
というのが大枠

地雷ポイントになりそうな点
└伊志井はバイ設定なので女性との描写有り
└対格差、受けの方が大きい(攻めが大きくないカナ?位の差)
└リバ有:しかもちょと無理矢理系
└キャラの髪型が思いっ切り前後半で変わる
└おじじ受け有:想像以上のじいさん設定
└複数プレイ:本人同意じゃなくてクスリで…というプレイ
この辺が地雷になりそうなポイントでしょうか?

先生の描き方の手腕あってこそ、なのですが無理矢理系もあるのですが然程の悲壮感が無く感じるのも手伝ってか、上記上げたポイントは全部まるっと私は楽しめてしまいました…♡(元から雑食系なのもありますねw)

そして、私の新境地はだんだんかわいく見えて来る攻めと受け!
片方がだんだん見え方変わってくる、というパターンは今迄も何作かありましたし好きな作品にもあります。
が、今回は2人共がどんどんかわいく見えてくるパターンでした…♡
別に最初がかわいくないって訳ではないのですが「かわいい」より攻めは「若いな」受けは「不思議ちゃん美人系か?」といった印象だったので最終的に「愛おしい~」と思える2人になるとは思わなかったんです。
しかもCPとしてかわいい!というよりそれぞれが個々にかわいく見えて来るんです。
これも自分的には珍しい感覚。
この感覚はすごくすごく嬉しい誤算!
こういう初めて!があるから新しい作品を読むのを止められない、、、!

キャラの色んな表情を引き出すだけの綿密なストーリーがまたおもしろい‼
この作品が日野先生のデビュー作だったという事が信じられない。
スゴイ…語彙力死んでますがやっぱり「スゴイ」!

そして、エロパートはもぉ…
紙版は修正も基本甘めでプレイの邪魔ではない上に「情夫設定」なので話の流れを切らずにふんだんに楽しめる!意味あるエロで大満足♡
※なぜかtnk修正より結合部分修正に発光白抜きがたまーにあってソッチ?ってちょと思った箇所はありました。

素敵な作品を読まずに終わらずに良かった!
地雷少なめだよ、というお姐さまで未読の方がいらっしゃったら是非!

誰にでもおススメ出来る!という作品ではないけど、こんなに素敵な出会いが出来た作品ですので「私の神作品」でございます(´▽`*)

0

ジジイと干し柿と西田の恋

日野先生作品、電子で何冊か読んだことがあるのですが、本作が紙で初めてでして。電子より絵がきれいに見えます。こういうことってありますよね。

内容は、おもしろかったです。
BLというより、マンガとして。
と言うのは、個人的な好みとして攻め受けが逆だった。
刑事さんの敬語に萌えなかった。
伊志井が刑事さんを好きになる描写は萌えました。

マンガとしておもしろいというのは、まず読みやすい(これ結構大事)
それと、先が読めない楽しさがありワクワクしました。
くっつきそうでくっつかない…と思わせてのハピエンよかったです。

正義、善悪、世の中なんかに関するセリフもいい。
通りいっぺんではない、人物が生きてきてしっかり考えてきた言葉だとわかるところがとても好きです。

「西田の恋」が強烈でした。
ジジイが本物のジジイでw(今まで読んだBLで最高齢だわ)
西田がジジイにできるし、はちゃめちゃに抱けるし、かわいいやつだなとか言ってるし、干し柿一緒に食べてるし(ジジイ共食い?w)

あれは恋なのね。
西田の性癖なのね。
ジジイだけ抱いてたのね。
と驚きましたが、嫌ではないw なんだこの感情…と自分もおもしろくて。
西田に俄然興味をがわいてきて。
ちょっと日野先生他作品も読んでいきたいと思いました。

枯れ木みたいな爺さんの名前が幹なのもおもしろい。

0

淡白な会話の中に宿る熱

 日野先生のストーリー構成力、キャラ設定の技量が光る作品でした。まるで小説を読んだかのような読後感。ヤクザと刑事という関係性はBL界ではありがちなものなのに、今まで読んだどの作品とも違う、新しい可能性を見せてくれたような作品ですらありました。何と言ってもまず特筆すべきは、メイン2人の関係のドライさ。体の相性が良い以上に、互いに惹かれ合うのを感じながらも、甘い空気に浸ることはなく、とにかく利害関係に徹するところがいいなぁと。ここは好き嫌いが分かれそうですが。

 伊志井は岳田に振り回されたい、岳田は伊志井にたくさん触られたい。エスという関係性から始まって、時間をかけて徐々にそういう関係になっていく、情が湧くという展開なのではなく、2人とも初めから自分の欲求に素直で、仕事よりもセックス!になる時すらあるのが、珍しいヤクザ・刑事ものだな、と思うんですよね。さらに、伊志井が掘られて岳田がそれを気遣ったり、岳田が強姦されたのにまったく悲愴感がなかったりなど、BLの王道を踏まない展開は非常に興味深かったです。つかず離れず、だけど相手の存在はずっと頭に残っている。先のことは考えず、流れに任せて進んでいった2人。糖度が高いとも低いともいえない、周りの共感も得にくい、2人だけが共有できる雰囲気。唯一無二のBL漫画だなぁと感じました。

1

受の綿密に、徹底的に作り込まれたキャラ設定がすごい!!

表紙に惹かれて購入。この作者様は存じあげなかったのですが、絵柄が好みで買ってみました。

この作品、この作者様のBL本のデビュー作とのこと。すごいです…。すごい完成度。今までに読んだこともない、出会ったこともない、超綿密に徹底的に作り込まれたキャラクター設定なんです。とくに受の岳田さん!

以下、ネタバレありです。

冒頭にも書きましたが、受の岳田の、とらえどころがなくて、でも人間的な感情も垣間見せる複雑なキャラクターが、まったくブレずに描かれています。

今までにこんなキャラクター見たことないし、あまりにも徹底された作り込みに脱帽。物語の展開そのものもとてもテンポよく、私は惹きつけられてあっという間に読んでしまいました。

岳田のある種狂気的な発想というか、設定された人物像が如実に現れるセリフの数々には圧倒されます。
そもそも、攻の伊志井にスパイになるよう持ちかけ、自分の身体をあっさり差し出す物語冒頭。淡々と正義のためと言いながらヤクザの男に抱かれて、最中もずっと敬語。それに、抱かれることに対し、清々しいほどに、まったく躊躇いがないんです。

何回目かのセックスのあとの帰り道、自分は特別な人を作らないと言って、笑いながら伊志井に、

『アナタなら別に死んでも構わないから』

と言うんです。もう痺れるくらいに淡々とあっけらからんと言うんですよね。でも、その後、伊志井に自分に刺されてもおかしくないぞっていわれたあとに笑顔で振り返って、

『刺さない人、選んだんですよ』

この会話のやりとり、すごい。こんなセリフ、どうして思いつけるのだろう。クリエイターって本当にすごいと思いました。自分なら絶対に創り出すことのできない世界観。岳田の得体のしれない、何を考えているかわからないゾクゾクするようなキャラクターに、もう胸がギュッと掴まれる思いでした。

攻の伊志井のほうから岳田に惹かれていくほうが早いんですよね。第3話で自分の気持ちをついに伝えた伊志井。それまでのなかでも、明らかに岳田も伊志井に惹かれていて、岳田も今のところ自分は伊志井以外に抱かれる気はないと伝えるんです。両想いじゃん、と思いきや、第4話冒頭、いちゃいちゃする伊志井をウザがる岳田。自分に何かを求めるなら情報を持ってこいと伊志井を牽制します。

ここの描写も、最初は、え…?両想いになったのでは?と、頭の中が?になったんですが、その後、伊志井が組の上司、西田に手酷くレイプされたことを知り、伊志井の傍についていてあげます。ここのときのレイプ被害者の解説や別場面で出てくる自殺に関する話なんかは、作者様はとてもよく調べられていて、物語の厚みを感じます。

この上司の西田ってのが、ほんとにサイコパス半端ないやつで、この西田のキャラクターもすごいんです!中途半端とかまったくない、徹底的にサイコパス。西田の狂気は読んでいて怖いと思うくらい。

結局、この話の中で1番の常識人って伊志井なんですよね。ヤクザで悪いこともしてるんだけど、岳田と西田がすごすぎて、伊志井が普通にいい人に思えます。

その後、罠にハメられて岳田が西田たちにレイプされるんですが、伊志井に助けられ、ホテルに逃げ込む。レイプをされたはずの岳田は、なんとも思ってないんですよね…。この場面も岳田の人物像が明確に出ていて、すごいです。伊志井に、『気に病むようなら抱いてください アナタで上書きして』と伝える岳田。このセリフめちゃ好きでした。スタイリッシュで、かっこいい。

そこで自分も伊志井が好きだと伝え、両想いを確認しあう二人。でも、岳田は、特別な人は作らないからと、自ら伊志井を切り捨てます。納得できない伊志井に、『生まれ変わったらまた会えるといいですね』と笑顔で伝える岳田。
この展開…。えっ?…えっ!?って、私には思いもつかない展開でした。

最後、ハメられたのは実は身内の警察内部であったことがわかり、刑事の職を解かれ交番勤務になった岳田。この警察内部にハメられた展開も、すごーい!って思いました!話の作り込みが!!すごい深い!!そして、岳田が荷物をまとめながら泣くんです。伊志井を切り捨てたことを。初めて人間らしい一面が垣間見えます。

交番勤務となり、飲食店でのケンカの通報があって駆けつけると、そこには坊主になった伊志井が。組を抜け出し、カタギになっていた伊志井と再会し、再び身体を重ねます。お互いの存在を確かめ合い、セックスする2人。最後は岳田から伊志井に同棲を申し入れ、不器用で不思議な2人は結果的にハッピーエンドに。

後日談とかかなりキャラクター出てて面白いんですよね。実は絶倫ぎみな岳田に伊志井がついていけなくて、抱いてくれないなら、他所で探すって岳田が言うんですけど、それがなんの悪気もなくて、淡々と当たり前みたく言うんです(笑)結局、岳田に絆されて抱く伊志井(笑)これは完全に伊志井が尻に敷かれてるなって思い、クスッと笑えるほのぼの感です。ほのぼの…?(笑)とは少し違うかもしれませんが(笑)

それに淡々と敬語で話す岳田のセックスシーンはとってもエロティックで、見応えバッチリです。

めちゃくちゃ熱く語ってしまいましたが、とにかく、これまでに巡り合ったことのない不思議な作品でしたが、岳田のキャラクターがあまりにも徹底的に作りこまれていて、この作者様、本当に天才だなって思いました。

絵柄は割とあっさりしていて可愛らしい感じなのに、話の深さが半端ない。キャラクターの奥深さがすごすぎる!!凡人の私はただただ、圧倒され、脱帽するほかない作品でした。好みは分かれるかもしれませんが、ストーリー重視の方にはぜひ読んでいただきたい作品です。

pixivなんかを拝見していると、この作者様はリバにとても思い入れがあるようで、私もリバ大好きなので、他の作品も読んでみたいと思いました。

6

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP