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表題作ビューティフル・ガーデン

伊東高広、家庭用品総合メーカー企画開発担当者24
中縞倫、友人と事務所を持つプロダクトデザイナー28

その他の収録作品

  • ビューティフル・ライフ
  • あとがき

あらすじ

ゲイで新進プロダクトデザイナーの倫は、ゲイであることを頑なに隠す取引先の担当者・伊東に苛立ち、軽い気持ちで誘惑してみたところ・・・?年下攻ラブ。

作品情報

作品名
ビューティフル・ガーデン
著者
安西リカ 
イラスト
夏乃あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523939
4.1

(168)

(81)

萌々

(57)

(16)

中立

(3)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
26
得点
684
評価数
168
平均
4.1 / 5
神率
48.2%

レビュー投稿数26

がっつく年下×余裕の年上

安西先生の現代もの、やっぱり面白くて一気読み!
前半が受けの倫視点、後半が攻め視点のお話です。攻め視点が読めるの、やっぱりいい…めちゃ、好きです。

…なんですけど、なんですけど、先生があとがきで書かれているように、年下攻めの「あんた」呼び。

これがなあ!これだけが!個人的に苦手だった…頭の硬い大人でごめんなさい。。

しかし、伊東。「あんた」呼びと最初の態度を除けば、いいヤツ、いい攻めでした。

高校時代に恋仲にあった先輩が、関係がバレた際に「迫られてしかたなかった」「舐めさせると結構いい」(←思い出しながら書いていても、ひどくて腹立つ!!!)と言い訳し、地元で噂になったことがトラウマとなっている、倫(受)。

後半の攻め視点のお話の中で、個展に訪れた高校時代のその先輩に一泡吹かせる伊東のセリフ、カッコ良かった。。
「これからはずっと、俺が大事にしますから」で締められた一連のセリフには、もー、痺れました。かっこいいじゃないかーーー!!!

あんなにもゲイバレすることを恐れていた伊東の後半にかけての変貌っぷりも、見事でした。それを違和感なく書き切れてしまう安西先生、やっぱりすごい……とあらためて尊敬の念が。

頑なにゲイバレを嫌がる伊東をからかい、ちょっかいをかけた倫が、実は複雑な背景・トラウマを抱えており、ふっと弱いところを見せるのも、たまらなかったです。

これからは伊東の宣言通り、大事に大事にしてもらい(そして倫も伊東を大事に大事にして)二人でいることが自然になり、周りにも受け入れられていくんだろうな…と、明るい希望の持てるエンディングに拍手したくなりました・:*+.

1

温かい気持ちであふれる

取引先のイケメン無自覚ゲイ×オープンゲイの綺麗系デザイナーのお話です。

はじめての安西リカ先生です。

私の大好きなリーマンモノで、文章から読み取る限りこの二人はどちらもスマートイケメンです。

攻の伊東はスタイル、お顔、所作の全てがイケメンなんですが受の倫の前では違う伊東を見せてくれます。

この違う伊東がたまらないです。
雄みのある攻スタイル、エロの熟練度、咬み癖、絶倫。
完璧な年下攻です。

本編は殆どが受目線でストーリーが進んでいくのですが、攻の伊東の可愛らしさを発見していき、お互いの条件を飲んで続けていく関係の中でどんどん変わっていく二人の心の距離感が絶妙に描かれていてキュンが多発します。

二人の想いとお互いの譲れない事が天秤にかけられて決断を下してからのもどかしさに涙腺が何度も緩みました。

想いあっているのに・・・ね。

そして文章から想像できる美しい景色がまたとても素敵でした。伊東の実家のシーンはとても素敵で何度読んでも一緒にワクワクしてしまいます。

ビューティフル・ライフでは
攻の伊東目線で二人のその後が描かれています。

こちらが本当に最高です。
最初に出会った頃からはとても想像できない甘い伊東が・・・倫を好きすぎてたまらない伊東が・・・たまらーん!!
さすがスパダリ系ハイソサエティ男子です。

受を好きすぎる攻が大好き病の私には最高の展開でした。

好き過ぎて名前を連呼するとか・・・最高です。

お互いの事を想いあって相手に寄り添う姿にとても心が温かくなりました。

爽やかで仕事の話もありエロも盛りだくさんで何度も美味しい作品でした。

エロは軽めの表現でとにかく甘いです。
でも、伊東が絶倫なのでとても楽しませてくれます。

2

生意気な年下の男!

後を引く年下攻めでした。めちゃくちゃ好きです。
読み終えて、後日譚の渇望感がおさまらないので萌2でw。

オープンゲイのプロダクトデザイナーと、ゲイであることを隠してきたリーマンの日常が楽しいお仕事ものラブでした。スタートは爛れているんですけどw、最終的に大人の純愛(真面目なお付き合い)に至る展開を自然な流れで読んじゃいます。安西先生の巧みで繊細な感情表現がキレッキレです!

んでもって、やっぱり今回は攻!!生意気、ヤりたがり、可愛い!年上受に対する「あんた」呼びは好き嫌い別れるかもしれませんが、私は大好きです。同性への欲望を認識しながら抑えていた攻が、好みすぎる受に出会って覚醒してしまい、百戦錬磨の美人なおにいさまに、、がっつくがっつく!!最高や。。。”せっ”のときの、直接的な色気のない会話もめちゃ好きでした。

前半は受視点、後半は攻視点です。
前半、攻の家族に会った受が、彼の性癖を自分がからかい半分にこじあけたと悔やむ描写が切なくてよかったです。後半、多忙を極める受とのすれ違いに、問い詰めたいがっつきたい気持ちをガマンしてる攻が年下っぽさ全開で、しょーもなくて可愛い。言語化が苦手な受との掛け合いも微笑ましすぎてニヤけました。

オープンにしたい、隠したい、それぞれのトラウマと事情も切なくて、説得力があって、それでもお互いに出会ったことで変化していく気持ちが尊くて、受にメロメロな攻の精力的なエロも素晴らしくて、何度か心がふるえました。
はぁ…続きが読みた過ぎて悶えますw

1

伊東がかわいい

もともと、理由があってゲイを公言している受けの倫と、ゲイ(というより男性に惹かれる)なのをひた隠しにしている攻めの伊東。

二人共、社会人として年相応の地位を築いていて、仕事(発注会社の伊東とデザイナーの倫)で出会います。倫は、ゲイであろうことを隠している伊東が気に入らず、接待の席で酔ったふりして伊東をその気にさせてしまいます。
なんと、伊東は男性が初めてとか言うんです!!
自分で律してたと。
いや、ある意味健気や…

そんな二人は付き合うのではなく都合の良い関係?を関わっている仕事が終わるまで、という条件で始めます。ところがお互いに恋愛感情と変化するに時間はかからず、、、、ゲイを公表し、付き合いもオープンにしない奴とは付き合わないという倫、ゲイをカムアウトすれば家族に迷惑を掛けると隠す伊東。折り合いがつかなければ、もう離れることになります。

あぁ、この切なくも強い思いに変化していくストーリーは安西リカさんの得意なところですね。すっかり引き込まれました。上質なラブストーリになってます。

後半、伊東がゲイバーに行ってゲイであることに慣れようとする(苦笑)とことか、かわいくて仕方無いです!年下攻めの醍醐味?!
高校時代にゲイバレしてから連絡をほとんど取っていない倫のお姉さんとの再会で、色々良い方向に向かっていく感じで終わります。
伊東、頑張れ!
きっと君の家族もいつかはわかってくれるよ、そして倫と仲良く末永くね、って言いたくなるCPでした。
安西さんの本はいつも後日譚を読みたくなるんですよね。終わりの余白、余韻が柔らかいからかな。


3

折り合いをつけていって。

とっても好きなお話なのに、レビューしてなかったのか、私。

受け様は、プロダクトデザイナーでゲイの倫。
仕事のオファーを受け、攻め様である伊東と出会う。

ゲイであることをオープンにし、本当に好きな人との関係を隠したくない倫と、ゲイよりのバイであることを隠してきて、これからも絶対に隠したい伊東。

頑なな態度の伊東に対し、からかうような気持ちで誘惑しちゃう倫なのだけど。
そんな倫に陥落して、がっつく絶倫な年下攻め様になる伊東が、なんとも可愛くてにまにま。

2人の、ゲイであることに対する態度の理由が、それぞれ納得できるものだから、一度は別れを選んだのも切なくて萌(/_;)

それから《折り合う》ということへの受け取り方が、妥協ではなく尊重だと気付く倫に、私もなるほどなぁ、と深く納得させられました。
一緒にいる方法を2人で探していこう、という伊東の誠実な告白が胸に響いて好きだなぁ。

期間限定のせフレの関係から、恋人となるまでの前半が倫視点。


書き下ろしの後半は伊東視点の大好物な攻め様視点。
出会った時から倫がドストライクで、今はすっかりメロメロで、いいねぇ(☆▽☆)

最後に、倫の高校時代の嫌な出来事の元凶となった先輩と伊東のやり取りに、伊東!よく言ってやった!とスッキリでした。


イラストは夏乃あゆみ先生。
緑が美しい表紙と口絵。
最初と最後のキスシーンのイラストが好きです(#^^#)

1

色気ムンムンなお兄さん受け

 誘惑受け最高です。
 攻めが、「全然女っぽくないのに綺麗な男に1番弱い。なのに色気で攻めてきやがって。誘惑すんなよ勝てるわけないだろ」と吐き捨てたシーン、とてもよかったです。
 わかる。
 自分の色気やら魅力を理解して、オスを誘惑する。という感じの受けが大好きなので、初っ端からどストライクでした。

1

攻受が逆転する展開

タイトルの「ビューティフル・ガーデン」は、倫と伊東が企画する「ガーデンシリーズ」と、伊東の実家の稼業の園芸ショップ、倫が描く絵に因むもの。

倫は、オープンゲイ。新進気鋭のデザイナー。伊東が勤務するメーカーで「ガーデンシリーズ」を企画する。
伊東は、隠れゲイ。倫の取引先の担当者。実家が大手園芸メーカー。倫に一目ぼれ。

ゲイであることを隠す伊東をそそのかして、本当の恋人同士になり、倫の過去のトラウマも癒し、仕事も成功を収める。
伊東との出会いで倫の人生は大きく変わっていく展開。

前半は、倫視点。
倫が、伊東をからかって自宅に誘い込む場面から始まったので、
てっきり攻めが倫で、受が伊東だと思ったのだけど、読み進むと、立場が逆転していく。
倫の対応がコメディ調で面白い。
でも実は、高校で初恋の先輩に裏切られ、カミングアウトした件で故郷に帰れない。笑顔の陰にトラウマの辛さを秘める倫が哀れで仕方なくなる。

後半は、伊東視点。
年下という負い目を持つ伊東が、忙しくてすれ違う倫の過去を知りたくて色々なことをする。
伊東の無茶は、倫を怒らせてしまうけれど、倫の心配を理解した後の伊東の思いやり深い行動に、読んでいて絆されてしまう。
一番最後の、倫のトラウマを作った故郷の人達との偏執が氷解して、倫の汚名が挽回される場面が凄く良い。
伊東の愛は、倫のトラウマを癒すほど深いものになっていた。

今ちょっと辛い人にお薦めしたい作品。
頑張って生きていれば、いつかきっと倫のように良い人との出会いがあると元気を貰える良作。

0

恋愛関係における「折り合いを付ける」とは

興味を惹かれる要素が何も無いにも関わらず、ぐいぐい読ませてくれるこの文章の魅力は何なんだろう?と毎度思う安西さん。もうあらすじも確認せず作家買い、おかげで表紙を見て双子の話かと思っていた。

受けの倫は自分ルールにこだわりすぎだが、理由付けがしっかりされているためスムーズに読める。攻めの伊東はあっさり落ちすぎてちょっと笑った。
外的要因でなく、一冊丸々二人の内面的な折り合いを付けるための話だった。家族絡みの感情的にややこしい話を持ち出してくるが、カムアウトまでは描かれず、二人の中の解決だけで終わる。
下手に受け入れられてもファンタジー度が加速するし、ゴタつくと作品の雰囲気がガラっと変わる、この場合は希望を持たせた終わり方が最良なのかもしれない。

なんとなく引っかかるのは、倫が語っていた折り合いを付けるということについて。妥協でなく尊重だ、と悟っていたが、個人的には譲歩の意味合いが強くあまりポジティブに捉えられる言葉だと思っていなかったため戸惑った。というか、恋愛関係でこの言葉を持ち出されると夢がないような……。何年も付き合った相手に使うならまだしも、付き合い始めからこんなことを考える関係はこの先が心配になってしまう。

終始がっつきまくり、後半は腹を括ってぐるぐるする伊東は微笑ましく面白かった。年下攻めの醍醐味は味わえなかったが、倫と出会って成長していく様子がとても良い。

挿絵は背景や構図が素晴らしく、人物だけがちょっと残念。
神寄りの萌2。

2

「折り合う」とは

てっきり未読本だと手を伸ばし、受けの部屋のインテリアの描写に既視感を覚え、家電のデザインや植物図鑑のあたりで、あぁこれ読んだことあったわ……!!!と。
三分の一読むまで気づかなかった……。
感じの良いインテリアやガーデンイベント、ボタニカルアートが素敵だなと思ったのでそこは記憶に残ってたのに、肝心の恋愛模様や着地点がさっぱり思い出せず……。
‥…ポンコツ脳。

超〜ざっくりまとめると、クローズドゲイとオープンリーゲイが出会って……というお話ですかね。
クローズドところか自分の性的指向すら認められなかった攻めと、本気の相手には自分との関係を隠してほしくない、隠したくないと思う受け。
これって同性愛者云々じゃなくても、夫婦同士、友人同士、つまり自分と相手が「価値観が違った場合どうするか」のお話だと思うんですね。

一度は折り合えず、離れることを選ぶ二人。
だけど受けは、それまで「折り合う=妥協」だと思っていたけれど、「相手を思い遣り尊重したいから折り合うんだ」と気づくところが好き。

後半は攻め視点。
二人の考え方に変化が生じたところにお互いの本気が感じられて好き。
せっせとゲイバー通いをして、恋人自慢をしてる攻め、かわいい。
(バーテン視点のおまけSSがあったら喜んで読む!)

「年下攻め」を謳ってるけど、年下感はほとんど感じなかったです。
(年下攻め好きでたくさん読んでて、いかにも年下攻めの見本!みたいなのを読みすぎてるせいで麻痺してるんだと思います)

表紙は雰囲気あって素敵なのに、中の挿絵はせいぜい高校生くらいにしか見えない丸っこい顔が残念……。

萌か萌萌かで迷いましたが、センスの良い人が好きで、インテリアなど細々した描写を読んでるだけで楽しいので、おまけして萌萌で。

3

好きになったら何がどうあっても好き

ゲイをオープンにしているプロダクトデザイナーの倫
ゲイであることを必死で隠しているキッチンメーカー勤務の伊東

明るく才能もある倫はゲイであることをオープンにしてなんの悩みもなく恋に仕事に充実した生活を送っているように見えて、実はとても臆病で過去にあった悲しい出来事にとらわれ故郷を追われ家族とも疎遠になっているという背景にまず惹かれました。

同性に恋して裏切られもう二度と恋などしないというのより、ゲイであることでこそこそしたり恋人を友人や知人と偽って周りに紹介するのだけは絶対ダメだという硬い決心をしてそれでも恋したいという倫の生き方が清々しいです。
恋人であることを隠すと言う行為そのもだけじゃ無く、てゲイを恥じたり恋人を蔑ろにする気持ちが許せないということがよくわかります。
けれど社会で生きていくためには堂々と真実を言うのだけが正しいことなんじゃ無くて建前とか方便とか大人の事情があるのも事実。
それでも純粋な高校生の時に傷ついた心で生きていくためには自分を大切にしたいという倫の思いが伝わってきていつかその思いが共有できる相手と出会えて共に生きられたらいいのにを思わずにいられません。

そこで出会ったのが性癖を必死に隠す伊東。
倫に比べて小さい男だと思ってしまったけれど、彼にも彼の事情があるわけです。
父親亡き育ててくれた母親と年の離れた兄を心配させたり父親がいないからと思わせたくないという思い。

そんな二人がいつしか離れがたい思いにかられたとき、考えや生き方を変えてでも相手を受け入れたいと思い少しずつ歩み寄り柔軟な思考で長いスパンで人生を考えていこうとする二人を応援したくなりました。
この先きっと時間はかかっても家族に認められ幸せになっていく未来が予想できるいい終わり方でした。

高校の時に倫にを傷つけた卑怯な先輩が倫の個展に来て謝りたいと伊東に懺悔する場面で、それって自己満足だと言い切った伊東に拍手。
大人になって自分の卑怯さに気づき謝って許されて忘れたいと言う自分勝手な思いしか感じられないから。
そこへいくと倫が、先輩は地元で自営業なんだからと相手の事情や将来を思って自分が悪者になって故郷を出たのですからなんと優しくて男らしい。
ちっとも優しくない私は、こんな男はこれからも許されることなく地元でで小さくなって生きていけばいいと思ってしました。

1

可もなく不可もなく

安西さん大好きですが、この作品は良くも悪くも普通という感じでした。
特に余韻があるわけでもなく、本当に可もなく不可もなくという感じで後に残るものはありませんでした。
仕事で出会った攻と受がもだもだしながらも、まぁ良い感じにくっついてハッピーエンドです。お互いがゲイであるけど、ゲイとしてのあり方が真反対であることからお互い葛藤したりはしますが、特にシリアスになったり切なくなったりという展開はありません。

重すぎずに読めるという点では良いような気がします。
悪意がある人間も基本的に出てこないので、ストレスなくさらっと読めますし、性にオープンであっけらかんとしている受は可愛くて好ましかったです。
攻も思ったより頑固な感じはしなくて、何だかんだ言いつつ受のことが大好きでその気持ちに添いたいという思いやりも良かった。

全体的にあっさりしていて読み口は良いです。

1

カムアウトしようがしまいが、お互いを大切に思っていればそれで良いのよ

電子書籍で読了。挿絵有り。夏野さんは初見でしたがモノクロイラストがとても美しかったです。

クローゼット(と言うより、認めないで来たと言う方が正しいのかな?)×オープンのゲイのお話です。
それぞれ理由があって、父亡き後に一生懸命自分を育ててくれた兄と母に心配をかけたくないから封印して来た伊東と、最初につきあった人からゲイばれを避けるために裏切られた中縞。頑なに自分の性癖を認めようとしない伊東を、ちょっと意地悪な気持ちもあって中縞がちょっかいをかけてから、恋人同士になるのが表題作。
個人的には同時収録の『ビューティフル・ライフ』が面白かった。
伊東の立場を理解し、二人の関係を内緒にしておこうとする中縞。ベタ惚れの恋人を自慢したくて、中縞に内緒でゲイバーに入り浸り惚気ているうちに、関係を内緒にされる悲しさを知っていく伊東。
つまり、二人の立場が入れ替わっちゃうんですね。
好きという気持ちだけでは、ずっと一緒にいられない。お互いの置かれている環境とか立場を理解して、思いやる関係になっていく過程が、すごく気持ちが良いお話でした。
テンプレという意味ではなく、王道!

2

認めあって理解しあって。

安西先生作品で一番のお気に入りです。
ゲイとしてオープンにしてきた受けの倫と、性癖を認めずに生きてきた攻めの高広。
徐々に距離が縮まるにつれ、2人の価値観の違いによる葛藤の様子が切なくてとても良かったです。

この作品は2人のキャラがとても良いんです。
特に倫!
サバサバしていて可愛くて仕事が出来てでも片付けがちょっと苦手で(笑)
自分本位じゃなく相手の事情を分かってあげられる大人です。
高広も最初はいけ好かないヤツだけど懐に入ればそんな事無くって。
想いが通じあった後の話は高広目線ですが、高広の倫ラブっぷりにほっこりします。

皆さん仰るよう、挿絵が少々残念です。
夏乃先生嫌いじゃないんですが、高校生CPみたいに見えて…。
表紙は爽やかで綺麗なんですけどね。

2

この受けさん好きだわー

リカ先生のお話は好きなのはわかってたんですけど、
リーマンものって優先順位低く、今頃読破。

いやーこのあっさりさっぱり受けさん、大好き!
文句なし萌2.(ファンタジーじゃないから神はおいとく)

受けさんの好きな所
1.実はあっさりさっぱりしてないけど、そう見せることができる受けさん、偉い!
2.すったもんだするけど、ほんとに好きになってからは自分の欲望のままに
  突っ走ったりしないから偉い!
3.ちゃんと故郷に帰ろう 前に進もうとするところが偉い!
4.ひどい目に遭わせた先輩をちゃんと許すところが偉いー
5.年上なのに、弱った時はちゃんと甘えるところが偉いー可愛いー
  攻めさんに抱っこしてもらって眠るシーンとか、もうこっちも陥落ー
6.仕事をすげー頑張るところが好きー
  受けさんが描いたデザイン画見てみたいー
とまだまだ好きポイントはあるのですが・・・

安西先生の書く言葉って、きゅんが多いと感じます。
同じ日本語なのに、なんでなんだろう。
きら ってしてるところが、ポイントポイントである気がする。

この本の中で一番好きな言葉が受けさんの攻めさんに寝落ちしながらいう言葉。
「お前のもってるいいものが、おれのどっかに残る気がする」
この後のことを予感させて、半泣き。

もし安西先生をお読みになったことがない方がいらっしゃいましたら
この本なんか、割合、入門編にいいのでは。

唯一残念なのが、ほんと他のお姉さま同様、挿絵。
2つ大好きな挿絵があったのですが(電車の線路わきでキスする二人とくっついて眠る二人)
その他がどうも・・・
眼がお子様っぽく見えちゃったんです。好みの問題と思うのですが。
難しいっすね。

4

素敵なのにひとつだけ残念

私のBLサイクルが「サラっとした甘さ」を欲する期間に突入したので、安西さんなら間違いないだろうと思い購入。
ガッツリハマる為に選んだ作品ではなかったのですが、読むうちにふたりの変化(特に高広)にグイグイ引き込まれて、あっという間に読み終えてしまいました。
思った以上に早くふたりの関係は近づくのですが、その後ですよね。安西さんの真骨頂は。少しずつ重なっていく様子が、食べ物や飲み物だったり植物やインテリアだったりと一緒に描かれていて純粋にいいな~と思える。
細かい所を挙げるとキリがないが、安西さんがあとがきでおっしゃってる通り、年下の「あんた」呼びからの→「ひたすら甘々の名前呼び捨て」にもヤラれました。
ただとても残念だったことがひとつ。若いとはいえデキるサラリーマンと新進気鋭のデザイナーという社会的にはある程度「成熟したふたり」のお話だったので、少しこどもっぽい感じの人物の挿絵は雰囲気を壊された気がしてならないのです。
扉絵やデザインはとても素敵なんですが、この作品じゃないと思う。背景は素敵なのに人物の絵が雰囲気を壊し過ぎてる感じがして・・・・。エラそうなこと言ってすみません。

4

お互いを思う気持ちがきゅんと来る作品

安西先生の作品はどれも大好きで、もちろんこの作品も発売と同時に購入
数時間で読みました。
このところ本業が忙しく、いろいろと作品は読んでいたものの
レビューを書くまでに至らず、ご無沙汰しておりました。

安西先生の作品は、どれも感情移入しやすく
また、様々な状況の表現がわかりやすく挿絵がないシーンでも
割と想像しやすい(何をだ・・・?)のです。

このお話は、ゲイであることを公表している受けと
自分の性癖をかくしていた攻めの環境の違いや
2人の心の葛藤が安西先生の言葉で絶妙に表現されています。
それぞれの想いや相手を思いやる気持ちが読み手をこんなにも
暖かい気持ちにしてくれるとは・・・
らぶらぶな2人が羨ましくてたまりませんでした。

仕事ができて才能のある倫が
実は片づけができなかったり、言葉下手だったり
真面目な伊東がものすごい絶倫だったり・・・
かっこいいだけでなく、人間らしい部分が
登場人物に引き込まれるところなんだと改めて感じました。

「好きって言いたい」「好きで好きで」から
安西先生の作品は読み続けていますが
毎回泣かされています。
最終的にはハッピーエンドなので、ほっとして終わるのですが
途中のハラハラドキドキ、きゅんきゅんがたまらないですね。
新しい作品が、楽しみです。

4

語彙が少ないやつってアレだよな。

前半部分は、読むのに時間がかかりました。

デザイナーの倫に対する第一印象は、百戦錬磨の美人受けという感じで、ビッ◯受けが好みでない私は最初抵抗がありました。好みの相手を自分から誘い、割り切った付き合いをしよう、ってんだから、こりゃ相当遊んでるな、と。でも、実際のところ倫はそれなりに経験は重ねているものの、健気な部分もありました。
過去のトラウマから、ゲイであることを隠したがる人とは付き合えないという倫と、家庭の事情などからゲイであることを打ち明けられない伊東。
最初こそ身体の関係だけだったが、お互い相手の意思を尊重してでも一緒にいたいと感じはじめる二人。

後半の方が面白かったのですが、結局伊東の家族に紹介までは至らなかったですね。
あと、挿絵がもう少し大人っぽい絵だったらな〜、と思ったり…。

3

よかったです(*^^*)

とってもよかったです!(*^^*)
レビューを見てから読んだのですが、私はすなおに感情移入してしまいました。
お互いをとても大事にしているのが伝わってきて、はじめから最後まで安心して読めました。優しい気持ちになれます。
オープンにするかしないか、ということも、ふたりの事情を思えばなるほどと思いました。あえていうならば、攻めの理由が優等生すぎることでしょうか。笑

いちばんの見どころは、やはり余裕なくがっつく年下攻めさまのせくすぃーさ。余裕ないのに、基本やさしくて気づかいもできちゃうとは!おいしすぎる!
美人で受けさまのお誘いも、確信犯なわりに無自覚ぎみ、そして、男前♡で萌えました。かっこいいです。

最後まで面白いけど、前半でだいたい話がまとまってしまいます。後半は攻め視点の後日談になるので、わりと単調なかんじ。前半ほどの盛り上がりに欠けるのが少し残念でした。でも、いろいろなことの解決編になるので、読んでよかったと思いました。

1

攻めの余裕のなさがナイス

ゲイであることを公表しているプロダクトデザイナーの倫(受け)は、仕事相手として出会ったイケメン年下サラリーマン・伊東(攻め)が同類であることを見抜く。しかし、ちょっとそういうことをほのめかしたら過剰に否定され、拒絶される。その態度にムカついたので意趣返しに誘惑してみたら、面白いように理性をかなぐり捨ててむしゃぶりついてきて…。


ザ・年下攻め、というくらい年下攻めの醍醐味が味わえる作品でした。
攻めはセクシャリティーはゲイで、自分もそれを自覚しているのに、家族を悲しませたくなくてゲイである自分をひた隠しにしている人です。それが、ゲイを公表している、しかも自分の理想ど真ん中の受けと知り合って、えらいことになっちゃうのです。
女性相手に経験は積んでいても、こんなにエッチで焦ったことも、興奮したことも気持ちよかったこともなかったはずで、それがひしひしと伝わってきます。童貞めいた(いや童貞ではないですが)余裕のなさにきゅんとしました。有り余る体力と精力もすてき。24歳で若いですしね。

受けは受けで、カミングアウトはしていても決して強い人ではありません。昔はゲイであることで辛い目に遭って、それがいまだにトラウマになっています。書き下ろしの続編ではそれが顕著に表れていました。楽しく日々を送っているようでいて、実は攻めに対して負い目を感じ、密かに悲しい思いをしている。

でもふたりでいることで、いろんな過去や辛い気持ちを補い合っていけるような、そんなカップルだったと思います。たまにBL読んでいて、このふたり何だかすぐ別れそうだな…とか思っちゃうことがあるんですが、何となくこのふたりはずっと一緒にいるような気がします。
すてきな作品でした。

4

オープンリレーションのお話ではありません

帯にある「クローズドゲイ×オープンゲイの年下攻エモーショナル・ラブ」の見出しに惹かれて購入しました。
クローズド、オープン、ってまた難しい設定なんだなとうきうきしながら読み始めましたが、まず自分の先入観に反省しました。

みなさんはクローズド、オープン、と言う言葉を見るとどのようなイメージを浮かべますか?私は今作のテーマであった「ゲイであることを公表する生き方か、しない生き方か」の方ではなく、「オープンリレーションシップかどうか」の方だと勘違いしていました。
なので、倫と伊東の悩ましいすれ違いも拍子抜けしたまま読んでしまい、二人のもどかしさをうまく感じとれませんでした。実際、生き方として正反対だと思っていた二人だったのに、やんわりと信条を折半しているような結末にも納得できませんでした。

物語全体が明るめでコミカルなところもあり、気軽に読める一作ではあります。倫の生業であるデザインや部屋を彩る雑貨、二人を惹き合せた植物に至るまで、空間の叙述にも魅力がありました。
ゲイ同士のお仲間見極めポイントの描写なんかは、安西先生なんでそんなに詳しく知っていらっしゃるんだろう……!と心を躍らせながら読んでしまいました。

安西先生の作品を手にしたのこれで3度目です。デビューから2作目の「好きで、好きで」は今でも尾を引くほどの大好きなお話。何度も読み返しています。
新進気鋭な先生には期待ばかりが膨らんでしまっていて、今回は自分の独り歩きに喝です。

4

魅力ある素敵な2人でした。

他の方も書かれていますが、物語へ引き付ける力が凄かったです。
そのきっかけは攻めの伊藤だったのですが、この人は一体何なの?という興味で一気にお話へ引き込まれました。
笑っていいのか分からないけど、冒頭あたりは笑ってしまいました。
彼は有能な好青年で、顔も体も素晴らしいスーパー攻め様なのですが、
ゲイであることを隠しているその必死さから、思春期かと思うほどの物慣れなさが溢れていました。童貞っぽいというか。
伊藤の不審な挙動に対して、倫の「なんだなんだなんだ、どうしたどうしたどうした」は笑わずにいられなかったです。
でも、伊藤のその純情っぷりは最後まで失われず彼の魅力になっていました。

伊藤と倫が惹かれあうようになってからはとにかく胸が締め付けられました。
それは伊藤のクローズドゲイと、倫のオープンゲイの価値観の違いです。
ゲイであることを隠して家族との固い絆を守り続けたい伊藤と、偽らないことで犠牲にしてきた物を肯定したい倫。
倫は恋人になった相手がゲイであることを隠す姿が許せません。
2人の背景が理解できる分、うまくいかないだろうなということも想像できてしまいます。
惹かれあうことが止められないまま、きっと自分達はうまくいかないという絶望感に固唾を呑みました。
だからこそ、諦めなかった2人の想いの強さもよく伝わります。
「ずっと一緒にいるために一番良い方法を2人で考えよう」という伊藤のセリフは、それほど好きなんだなと伝わりとても感動しました。
というか、相手のことを理解し思いやることができた時点で解決されていますよね。

結ばれてからはとてもほっこりしました。
勇気をだしてゲイバーへ行き、浮かれて彼氏自慢をする攻めが可愛すぎます…
そういう瑣末なことに動じないスキルを持つ受けも格好良かったです。
結ばれて安心してしまったためか後半少しダレてしまったのですが、素敵な2人という思いが強いので神評価です。

10

ハズレ無しの安西リカさんです!

安西リカさんの5冊目の本ですが、今作も面白かったです!
前作が高校生同士のお話で、ほんわか可愛い感じでしたが、今回は大人同士の恋を楽しく最後まで一息に読ませてもらいました。
個人的には、このくらいの年代、しかもリーマンが大好きなので、やったーーって感じで読んでました(笑)

ゲイである事を公言している倫(受)が、仕事先で出会った伊東(攻)に対して、本当はゲイだと言う事を頑なに認めようとしないあまりに伊東に反発を覚えた倫。
軽い気持ちでちょっかいをかけて誘惑した所、伊東は今迄抑制してきた分だけ、自分好みの倫に対して抗う事も出来ず…
と言うお話ですが、開き直った伊東のなんと欲望に対して素直な事。野獣のようです(笑)
セフレ状態の時だけで無く、恋人同士になってからもグイグイ行ってます。
性癖を頑なに隠していた時は頑固な感じだったのが、倫と関係してからは、性格も本来から素直なのか、思考も素直なのか、すっかり歳下の可愛いやつになっていました。

お互い譲れない部分があった為一度は別れてしまう。
でも自分の譲れない部分を譲ってでも相手を手放したくないからもう一度一緒にいられる方法を探していく…
倫も伊東も同じ気持ちになって前を向け本当によかったです。
その気持ちの揺れや過程も、大きな事件とかがあるわけじゃないのですが、丁寧に書かれていていつもながらお話に引き込まれました。

後半は伊東目線のお話で、ゲイ初心者の伊東が一人でゲイバーに行き初心者であるがゆえに自分に向けられる誘惑に鈍感で困惑するエピソードも面白い(笑)
第三者から見た自分の言動と伊東自身の自覚のなさが、やっぱりゲイ初心者だなぁと微笑ましいし
倫はモテる彼を持って大変ですが、その彼は結局、倫の自慢話ばかりしているという微妙なすれ違いも面白かったです(笑)

今回は年上誘い受と今迄我慢してたゲイ初心者だからか、Hの場面が今迄で一番多かったですね〜
Hの時の伊東の野獣感に萌えました(笑)

安西さんの作品は細かい部分で萌え萌えして、地雷も全くないので本当に毎回新しい作品が出るのが楽しみです♡
ただ今回のイラストの夏乃あゆみさんの描かれた挿絵が時々大学生の様な幼さを感じたのが少々残念でした。
しかし、表紙のカラーや、部屋の様子などウットリ美麗な部分が大半で全体的には良かったのですが(笑)


8

サラリと。しかし、グイグイと。

サラリと読むことができました。
しかし、序盤から本に引き込む力が尋常じゃないです。
グイグイ来ます!!
興味を煽られます!
ケタ違いの引力!と思いました(笑)

誘い受けは苦手なのに、次へ次へと読ませられます。
受けはそんなに攻めをエロエロに誘って大丈夫なのかっ?って感じで、
面白く読むことができました。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

《CP》
ゲイであることを自覚したくないリーマン × カムアウト済デザイナー

ゲイであることを周囲にカミングアウトしている
売れっ子デザイナーの倫(受け)。
そんな倫の仕事先の人間として現れるのが、伊東(攻め)です。
自分はゲイじゃない、そんなことあるわけないと、
言い聞かせて生きてきた伊東。
しかし、綺麗な顔と上目遣いを武器に誘惑を仕掛けてくる倫に
陥落してしまいます。

ここの攻防戦は面白かった!
そして、野獣のように倫(受け)に襲いかかって、
何度もエッチする冒頭は、エロい上に、伊東(攻め)の感情の起伏が激しく
グイグイと話に引き込まれていき、目が離せませんでした。

そして、お互い「仕事が終わるまで」の限定付きで
セフレ状態を保つことになります。
でも、どう見ても攻めの伊東(攻め)が倫(受け)にベタ惚れ。
今までゲイであることを必死で隠していたぶん、
ドッカーンと倫に落ちてしまったのかな?
でも、ベタ惚れ攻め、好物です!

しかし、どんどん躰を重ねるごとにお互いが離れがたい存在に
なっていることに気づく、倫と伊東…。
雨の横断歩道のシーンは、切なかったです。
過去のトラウマで、周囲に「恋人です」と堂々と紹介して欲しいと
思っている倫。
そして、家族や友人にはゲイであることを何が何でも関係を隠したい伊東。

倫 「今決めて。無理なら諦める」
伊東「どうしても?」
倫 「どうしても」

横断歩道前での雨が降りしきる中の2人の会話…。
読んでいて、胸が苦しかったです。
別れの言葉はどちらも言わなかったなんて……こんなの、あんまりです。
切ない別れ方に、どうにか2人が幸せになることはできないか
自分自身が模索したい想いに駆られました。


そして最後、お互い好きだという気持ちに素直に向き合うこととなります。
2人で一緒にいられる一番良い方法を模索しようと言う伊東。
第一部の嬉しいラストシーンでした。



第一部は受けの倫が主人公として、倫視点で語られましたが、
第二部は、攻めの伊東視点で語られます。

ここで、伊東(攻め)がどれだけ倫(受け)に惚れているかが
つぶさに分かって、ひとりでニヤニヤしてしまいました。

この第二部は特に倫の口下手が判明します。
「えーと、こういう時、なんて言うんだっけ……?」と言う感じで
なかなか言葉が出て来ない感じの口下手さです。
これがまたカワイイ!
頭が悪いように見える倫は、「俺はデザインしかできません!」っていう
感じが伝わってきて、読んでいてとても楽しい気分になりました。
お互い両想いになった2人。
最初は幸せそうな2人の日常が語られます。
うう、年下攻めって可愛くて良いなぁとか、冒頭から思っちゃいます。

成長した!と思った部分は、伊東が自分をゲイと認めるため、
そういう系のバーに足を踏み入れたことかな?
昔はあんなに自分がゲイであることを認めるのを嫌がっていたのにね。
しかし、「男の初めて」が倫っていうのも、
ちょっと嬉しかったりします。

そして、倫も変わろうとしていました。
過去のトラウマと別れ、伊東の家族関係を大事に考え、
家族に自分のことを恋人として紹介しなくていい、と言い出します。
伊東のことを本当に思いやって、愛しているからこそ、
そのように言えたのだと、じんわりと心が暖かくなりました。

途中、好きな言葉が出てきました。
伊東が心のなかで「惚れてるなぁ、全面降伏だ」という場面です。
うーっ、しびれる~。
全面降伏なんて、超絶好きな証拠じゃないか!
いいよ、いいよ、伊東!
そのまま、その気持を忘れないで、一生倫と離れないでーー!

そして、その後笑った言葉が、
「あのとき、俺を誘惑してくれて、ありがとう」
って!!
誘惑したことに対してお礼を言うとか!!
シリアスな場面なのに、これにはもう笑うしかありません!!
ゲラゲラ。

最後のエッチシーンも、濃くて良かったです。
長い描写をありがとうございます!
それにしてもホント伊東(攻め)って絶倫だね☆

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

初読み作家さんでした。
この本の印象としては、サラリとしてました。
でも、引き込まれ、魅せられて、惹かれました。
文体も読みやすく、一気読みしたのですが、
全然途中で意識が削がれませんでした。

期限付きの関係だったのに、それが本気の恋に変わるまでが
本当にドキドキしました。

紆余曲折で波乱ばかりだった2人。
これからも一生こんな感じで、手を携え、歩いて行くのでしょう。
困難にも打ち勝って欲しいです!

素敵な作品、ありがとうございました。

13

個人的にはいまひとつストンと落ちないが、素敵な雰囲気の作品。

今までの安西さんの作品とはまた少し雰囲気が違う作品。

ゲイであることを隠したくないプロダクトデザイナーの倫は
仕事先の企業で、同族と思われるイケメン伊東に出会う。
ところが伊東は、倫の軽口に過剰に反応し……
意地悪やからかいを含んだ倫の誘惑から、二人の関係が始まるが……

高校生の時のトラウマから隠さないことにこだわりを持つ倫と、
自分の性癖を頑なに隠さなくてはならないと思っている伊東。
始まりは遊びでも、やがて思いが深まっていくが
互いに主張を貫く限り、恋人になることが難しい関係。

それぞれがどう折り合いをつけていくか……
というのが一つのテーマになっており、
そこにタイトルにもなっている、倫の新作のイメージが重なり
雰囲気のある作品を作っている。

前半は受けの倫視点、後半の後日談は攻めの伊東視点で綴られる。

           * *

倫のキャラは好みが分かれるかもしれないと思うが、
誘惑したり、SEXでは身も蓋もなくあけすけ(率直とも言う)で
論理的に説明するのが苦手、センスがいいのに片付けも苦手
心の中に弱さや繊細さをを持ちながらもキッパリ、
という彼が、私は好きでした。

ちょっと生意気で一生懸命な(がっついているともいうw)
年下攻めの伊東も、悪くない。


ただ、なんだろう?
今までの作品のセンシティブなキュンとする感じは薄く
細部はすごく好みのような気はするものの、
全体としていまひとつストンと落ちてくる感じがない。

一番キュンとしたのは、関係ができて間もない頃に
伊東がお土産にワインを持っていったシーンなのだけれど
(すいません、妙に細かい萌えで……)
お互いに手探りでちょっと臆病な、でも暖かな感じがいい。
書き下ろしペーパーはこの話を攻め視点で書いているもので、
何気ない話なのだけれど、本編と合わせると萌えました。

「あんたが好きだって言ってたから」とワインを持参した伊東。
まだセフレの頃、つもりがわからずちょっと遠慮がちに応じる倫、
それに「何調子に乗ってんだって言われるかと思った」と
ホッとして答える伊東も可愛い。


夏乃さんのイラストは、表紙と口絵のカラーがとても綺麗。
中の挿絵も雰囲気があるが、個人的な印象では
文章の感じや登場人物、ストーリーとちょっと違う感じかな。


評価は萌と萌×2で結構迷ったが、
安西さんへの期待感で加点して『萌×2』にします。

9

この一冊の逃したらもったいない

さすが大好きな安西リカ先生!今度も外れなく最高のストーリーを美味しくいただきました!
先生の小説を一冊も漏れずに読んできたので、先生の新作を知ってあらすじを見る必要もなく即購入しました。ワクワクが止まらず読み始め、すぐ読み終わっちゃうともったいないという気持ちと、続きが気になって止まらない気持ちがいっぱいでした!!電車で読んでいたら危うく乗り過ごすところでした( ´ ▽ ` )ああーさすが安西先生だなあと、思わずにはいられませんでした。文字の中に人を引き寄せる魔力が詰まっており、気を抜く隙間を与えないという、変わらずの吸引力!
今回はがっついてる年下攻め×余裕を見せる年上美人受けでした(*゚▽゚*)
年下攻めは自分の中の王道ではないですが、先生の年下攻めはたまらないです!

********以下ネタバレあります********

新鋭デザイナーの倫(受け)は取引先で担当者である伊東(攻め)と出会い、エリートでかっこいい彼に惹かれるが、性癖を隠さない倫に伊東は意外に動揺する様子を見せる。最初から伊東がゲイのお仲間だと直感で判断した倫は伊東の過激の反応が面白くて、からかい半分で誘惑したが、年下の彼に激しく求められてしまう。
昔も先生の年上受けを見たことあるが、今回みたいのちょっと意地悪な誘惑系は初めてです!最近あんまり誘惑の受けをみないから新鮮でそそられますねwww 
意地悪な上遣い目線で攻めてくる受けに瞬殺された年下くんが激萌です!コントロールできずヤってしまったあとの攻めの悔しい暴言がヤバかったです。
仕事の時はザ・エリートな感じ満々でなんでも完璧にこなしている好青年なのに、受けの色気に降伏した途端がっついてくるし舌打ちしそうな乱暴な言葉遣いになってくるなんて反則ですよぉ~
本当に受けの上目遣いに弱くて、セックス中にされたら、「その目、やめろよ」と虚勢を張りながら余裕を失くす年下攻めが魅力的すぎ!
ゲイであることは一生隠すつもりだったのが倫の誘惑によって台無しになり、倫も自分が悪いと自覚して申し訳なく思っているから謝って何こともないようにするつもりだったが、伊東に「責任取れよ」と言われ、じゃ恋人じゃなくても付き合うよといって期間限定なセフレになる。
よくある話だが、安西先生の得意な丁寧で繊細な描写がポイントを高めたのです。
倫は過去のトラウマで性癖を隠す男とは付き合えない、
伊東は家族の原因で性癖を知られたくない。
二人とも折り合えない理由を持って期限付きのセフレにとどめるつもだったが、体も心も相性がいいせいで自然に惹かれあう。倫が仕事で困る時に真剣にアドバイスをするし、輪が寂しくて弱っている時に優しく寄り添ってくれる。そんな伊東と倫の付き合いを見てて心がほんわりと暖かくなる。
安西先生の素晴らしいところは主人公の恋を描くだけではなく、彼らの仕事も家庭もちゃんと心を込めて読者も前に広げてくれるのです。
ただただ惹かれあうという一言だけではなく、限られた文字のなかでも二人の想いがちゃんと伝わるように書いてくれるのが大好きです。
セフレの期限が迫ってくる時二人の中の未練と葛藤が切なくて、それでもお互いのポリシーを尊重するためには一緒になれない。信号の前に分かれていくシーンが悲しくて美しかったです。
その後も仕事で一生懸命倫のために動いてくれる伊東の姿が愛おしい。分かれていても、本気でお互いのこと愛しているなと凄く感じる。
ストーリー前半の最後で二人は自分の中のこだわりを破れても一緒になることを選んだ。「一緒になれる方法を二人で探そう」という伊東の言葉に愛情がたっぷりこもっていてキュンキュンしました。

ストーリーの後半は恋人になってからの二人なんですが、前半とはまた違う萌ポイントが満載で本当に大満足でした。
恋人になる前にはあんまり気づかない年上の恋人ちょっと抜けてるところが可愛かったです。デザイナーとして才能があって恋人としてはガツガツな彼氏を満足するのだが、片付け能力がゼロでいつも几帳面な伊東に助けてもらってる。
倫があちこちに放り出している小物や書類を速やかに回収し、倫が慌て出す前に「これだろう」と差し出す伊東。ウウー私もこういう彼氏欲しいし(>_<) あと想像力が豊かな分語彙が少ない倫の言いたいことを推測し、言葉選びに困っている時にいつも瞬時に倫が言いたい言葉を差し出してくれるところもめちゃめちゃ好き!
ここまで書きましたがもっと書くと収まらないようなきがしますのでこの辺にします。二人のちょっとしたすれ違いとその後の仲直りが一番オススメなのでぜひぜひお読みになってください。

イラストの夏乃先生の絵も凄く美しかったですね。特に最後の二人が鉄道沿いにキスする一枚が好きです。映画のワンシーンみないでもうイラストの枠に超えちゃうぐらい綺麗でした。これをポスターにして部屋の中に貼りたいですww
が、なんか二人とも少し幼い感じがして、大人の恋なのにイラストだけ見れば高校生に見えるんですよね。スーツを着てるところがちょっと違和感…
総じて神×2 の素晴らしい一冊でした!安西先生の小説は一冊の逃してももったいない気がします。次の小説も楽しみに待っております!またキュンキュンさせてほしいですヽ(´▽`)/

14

今回も受が可愛い

安西リカ先生の作品が大好きで、今回も受の可愛さと攻の男前を、きゅんきゅんしたり、ホロリとしながら楽しませていただきました。
帯レビューにもありますが、クローズドゲイ(攻)とオープンゲイ(受)のお話です。
『折り合いをつける』がテーマかなと思いました。
人間関係を築く上において、あなたも私もOK、Win&Winがいい!とわかっていても、エゴや押し付けでうまくいかないことがほとんどで。
相手のことを思いやってそれを押し付けないことの難しさを、改めて考えました。

4

この作品が収納されている本棚

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