SS付き電子限定版
数日前に1作目を読んでから、次の巻を…と求める手が止まらなくなり、こちらの3作目を手に取りました。
1・2作目では泣くことはなかったんですが、社会人となった二人にあまりにも大きく立ちはだかる「身分差・格差」というものが描かれたこちら、読みながら苦しくて涙が止まらず、朝から酷い顔になってしまった。。
「血統や権力や金ごと、俺を愛してくれ」と涙ながらに告げるエドの描写に胸が詰まり、イギリスという国に今もきっと厳然と存在する格差構造に思いを馳せずにはいられませんでした。
「愛があれば全て乗り越えられるわけじゃない」ということを、自分自身なんとなく分かったような気になっていたけれど。。
全く、それこそ全然理解し感じることなんて出来ていなかったんだな、と。
礼が受ける嘲りや誹り、信頼し仲の良い仕事仲間から語られる「白鳥とアヒル」の例え話、そしてチャールズからの仕打ち・暴力に、呆然としてしまった…
この巻で、礼が身につけた(というより、身につけざるを得なかった)強さと覚悟の大きさを思うと、体が震えてきます。
どんなに努力しても理解し合えず、覆せないものがある。
愛と引き換えに、失わなければいけないものもある…
傷ついた心はエドには決して癒すことはできず、自分自身で救うしかない。
2作目までは主に、礼の目を通して見るエドの覚悟をより強く感じたけれど。
この3作目では、徹底的に排除されようとする弱者側であるレイがもがき苦しみ、覚悟を決める姿に、共感…というのもおこがましく、感動、というのもちょっと違うような、不思議な感覚を覚えました。
そして貴族というものを憎みながら、その呪縛から離れられない画家・新キャラのデミアンにとてもシンパシーを感じてしまいました。
礼をぎこちなくケンウッド・ハウスに誘うデミアン、可愛い。
二人でダイド・エリザベス・ベルの姿絵を観に行き、どんなことを感じ、どんなことを話すのかな。
そして二人で出かけると知ったエドは、気が気じゃないだろうな。
立ちはだかる巨大な壁は消えることはなくとも、礼自身の強さと周囲の人々によって、礼はきっと戦っていけるのだろうな、そんな希望の持てるラスト、圧巻の一冊でした。
日本で開催される展覧会の準備のためにロンドンに渡る礼。待ち受けていたのはエドの愛情だけでなく「イングランド」の洗礼。 エドの覚悟、貴族社会、血統、日本とは違う背景、相変わらずエドの親戚たちからの扱いは変わらない…。今回はこのエドの覚悟を礼が初めて実感し、そして自分の甘さを痛感するターンでしたねぇ。 礼は人の善意を信じたいタイプだから受け入れるのはキツかったろうなギルとか、ジョナスといい友人がいて良かった。エドだけでなく彼らがいることは礼にとっても大きな支えだろうな。ロードリー好きだわ
エドワードの抱えてきた重責、孤独、深い愛情が今作でやっと本当の意味で理解できた気がします。
愛する人を守るためにその気持ちを隠しながら必死に努力し絶大な力を得ても、そんな自分の隣にいてもらうためには必ず痛みは伴い苦しい思いをさせてしまう。
そのことを怯えながらも正直に礼に伝えそれでもなお、その覚悟をもった上でそばにいて欲しいとすがるように願うエドの告白にとても心を揺さぶられました。
なんて傲慢で身勝手で、けれども酷く哀れで愛おしい人だろうと泣きたくなるくらい胸が締め付けられました。
礼にそういう辛い体験を実際にさせテストするのも、エド自身本当はすごく辛いことだろうし、礼を傷つけると分かったうえで実行するということは、最終的に拒まれる可能性もある恐ろしい賭けだったと思うと、この王の想いの深さは本当に計り知れないなと思いました。
散々傷つき血統という超えられない壁に散々打ちのめされた礼が、エドの苦しみや深い想いを理解し受け入れエドを選ぶと告げるシーンは、本当に感動的でしばらく涙が止まりませんでした。
礼がデミアンに会いに行き、自分が貴族に殺されかけた時、デミアンの作品が頭に浮かんだと自分なりの考察を語るシーンがすごく印象的で、デミアンの冷たい態度にも狼狽えず肝を据えて話す姿に、今までの気弱な礼とは違う強さを感じました。
腹を割って話したことで、デミアンと心を通わせることができ、本来の目的が自分の意向どうりに進んだのは、エドの後ろ盾だけではなく、紛れもなく礼の誠意が届いた結果だということが伝わってきてとても好きなシーンです。
(ポストカードのくだりも素敵でした)
これからの二人には、こちらが想像もできないような大変な日々が待ち受けているかと思いますが、ジョナス、ギル、オーランド、ロードリーという素敵な仲間に支えられながら、少しでも心穏やかに笑顔で二人の尊い時間を過ごしてほしいなと思います。
『パブリックスクール-檻の中の王-』→『パブリックスクール-群れを出た小鳥-』の続編です。
今回もすごく良かったです。
感想にするのが難しいのですが、醜い感情を含めて全部が全部礼のことを想っての感情で
すっごく重い愛を感じることが出来ました。
エドが礼に会いに来るまでの8年という月日。
その間のエドのことが書かれており、とてつもなく切ない気持ちになりました。
愛してるのに、今すぐ会いたいのに会えない。
エドが礼を守れるようになるまで、礼がエドのことを好きでいる確証もなにもないけど
エドには礼が必要で、そのために必死に頑張ってきた8年なんだなぁって、読んで改めて思いました。
礼がイギリスに3ヶ月出張が決まって
二人は一緒に住むことになるんですけど
ラブラブな二人がずっと見られるわけじゃなくてそこも切なかったです。
ほんとに色々なことがあってハラハラしっぱなしだったのですが
ロードリーの「エドはあなたの前だと、社長でもグラームズでもないらしい。あなたがあの人を、ただのエドワードにしてくれる。」と言う言葉がもうダメでした。
エドが泣くのは礼の前だけなんですよ。
礼の前だけではただのエドワードになって愛を乞うんですよ。
エドには礼だけだと、この作品を読んで改めて思いました。
あぁ…ほんとにすごく良かったです。