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表題作憂鬱な朝 7

久世暁人(久世家当主・学生・子爵)
桂木智之(久世家元家令・石崎家大番頭)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

 「この手をを二度と離さない」──桂木との逢瀬でそう誓った暁人。桂木から初めて弱音を聞いた暁人は、改めて過去の清算を決意!!最後の生き証人である、病床の桂木高正の元を訪れる──。
 一方、激怒する石崎父と対峙し、叱責された桂木。工場経営での独断専行を咎められ、大番頭の職を解任されてしまい…!?

作品情報

作品名
憂鬱な朝 7
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199606977
4.8

(376)

(331)

萌々

(25)

(14)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
26
得点
1799
評価数
376
平均
4.8 / 5
神率
88%

レビュー投稿数26

尊い

◾️久世暁人×桂木智之
悩ましい桂木も見ものでしたけど、この桂木こそ我々(何様だ)の求めていたものですよ!カッコいい〜
その行動がまた暁人がどうするか考えてのことだと言うのが尊い。暁人はかつて、桂木に憧れて桂木のようになりたかった。ただ桂木と並ぶためには桂木に憧れを持ち彼を追いかけるだけでは、それを成し得ないと気付いて今があるわけで。その桂木が、暁人ならどうするか考えて、暁人のことを思いながらした振る舞いが石崎紡績買収。これを尊いと言わずして何を尊いと言わんや。

前巻の布団の上では悩ましい桂木を残したままカッコいい桂木になってくれたのは最高ですね。こんなに喘ぎ声書いてくださったことありましたっけ?色気の振り切れ具合が…凄まじ……

0

翻弄された桂木がただただ報われて欲しい

 5、6巻よりはずっとストーリーがすっきりしたように感じました。というか、テンポが良かったと言うべきでしょうかね。BLはひとまず置いておいて、思わず引き込まれたり、唸らされたりする展開が多かったように思います。桂木の母親らしい芸者の知津の話や、桂木と石崎、石崎父とのやり取りなどなど。終盤まで暁人と桂木が一緒になることはないのですが、別々に暗躍する2人のかっこ良さに惚れ惚れしました。特に、暁人が病床に伏せっている桂木家当主の遜った態度を一蹴したり、桂木が石崎紡績のため石崎父と舌戦を繰り広げたりするシーンがとても良かったです。

 ただ、桂木の出自が何をするにあたってそこまで重要になってくるのかは、まだあまり理解しきれていません。誰が桂木の本当の父親なのか、桂木家当主の言質は恐らく取れたはずです。桂木はもういつでも自分の本当の出自を知ることができるでしょう。でも、それを知るだけで桂木は久世家先代の呪縛から解放されるんでしょうか? 彼は自分が久世の血を引いていないことには薄々勘付いていたように思うんですが。はっきりと証明されるまでは彼は永遠に先代から逃れられないということなんですかね。出自に関する一連の桂木の感情は、あまりにも複雑過ぎて解釈するのが非常に難しいです。これは単に私の読解力不足が原因なのですが。8巻ではBLとしての要素はもちろん、桂木が長年揺らぎ続けた自分という存在を確立させられることも期待しています。

0

嗚呼、夜が明けてしまう。暁人さまもまた、憂鬱な朝を迎えられていたこと。

再読するまで。5巻以降はややこしい、と勝手に思い込んでいました。そんな事は無い。場面転換や回想などで、時間軸が飛ぶので、少し戸惑っていただけでした。振り返ってみれば、至極単純な事なのだと。6巻で「憂鬱な朝」とは、桂木のその想いだったのだと理解していましたが、桂木と愛し合った夜、朝が来る前に遠くへ逃げて行く桂木を想って、独り寂しく目覚める暁人さまにとって、それはまた「憂鬱な朝」だったのです。

石崎総右衛門の命令を聞かず、紡績工場の経営の立て直しをしていたことを咎められ、桂木は大番頭の任を解かれます。クビです。桂木は見誤っていたのです。総右衛門殿は、感情に流されず時代の機微を見定める人ではありませんでした。ただ、憎らしいと思って生きてきた久世家を、それに仕える桂木を従えたい、優越感に浸りたいだけだったのです。そんなつまらない事に囚われて、工場で働く人々を路頭に迷わせるわけには行かない。そう決意した桂木は石崎紡績を鐘本紡績(これは当時、日本一だった鐘紡、つまりカネボウのことだと思われ。)の傘下に収め、経営権を獲得するために奔走します。桂木が、久世家や暁人さまの為では無く、自分の意思で動いたのは、これが初めての事でした。のみならず、この難題にぶつかった時、桂木が考えていた事はただ一つ。「暁人さまだったら、どうしていただろうか。」これはいつも、暁人さまが「桂木だったらどうするのか。」と、考えて行動してきたことと繋がっています。共に過ごした年月はお互いに影響しているという事がとても良く分かるのです。雨宮も言います。「暁人さまの目指す “新しい久世家” とは、かつてあなたが目指していたものと似ている気がするからです。」

一方、暁人さまは桂木と共にある為に、桂木を畏れて口を閉ざすのをやめて、最初からやり直したいと決意します。その為に全ての元凶である、桂木の出自を知る、最後の生き証人である桂木高正に会いに行きます。暁人さまの調べでは、桂木の母であった芸妓、知津が久世直弥さまの妾だったことは確かだが、後継者となるべき男子を産んだのに関わらず、その赤子を直ぐに桂木家へ出している。つまり桂木は、桂木高正の父の子では無いかという新事実⁈ これを盾に暁人さまは桂木高正から言質を取り、畜生届けの裏付けを取るのでした。
桂木高之もまた、智之の顔はともかく、その辣腕とふてぶてしさは、久世暁直さまよりも尊敬する桂木の祖父に似ている気がする、などと弟に話すシーンがあります。

桂木高之が、自分の妻に養子を取ろうと話して、妻を嬉し泣きさせるシーンがあります。このことから、高之には男の子供、次代の後継者がいないという事が分かります。これ、完全にフラグです。高之もまた、直系の血に囚われない後継者を作ろうと思うのでしょう。高之に妾がいない事も分かります。
桂木が石崎の息子、総一郎の縁談をまとめる為にその恋人、小ふさに金をやって遠くに追いやった事を総一郎が怒って詰るシーンもあります。桂木は、総一郎に言うのです。本妻と妾の間を行き来する様な事は優しいあなたには出来ない、あなたが愛する事が出来るのは一人だけだと。そして家を捨てることも出来ないだろうと。それは桂木の優しさなのです。

英国留学を前に、一夏を過ごす為、療養を装って鎌倉の別邸に暮らす暁人さまを桂木が訪ねます。それは、最も桂木が足を踏み入れたく無かった場所。暁人さまが生まれ、暁直さまが、久世本邸よりも大切にされた場所。その場所に初めて訪れたのです。
暁人さまは、先の紡績工場の件で、桂木が自分の判断で動いたことを嬉しく思い、「“桂木智之”にしか出来ないことを成し遂げて欲しい。お前は僕の指針なんだよ。」と、伝えます。桂木も初めて、素直に答えることが出来たのです。「あなたがいたから、私は進むことが出来たのです。」と。桂木が優しく微笑むのを見てたまらなくなった暁人さまは、二度も先に達してしまいます。どうか、朝になっても何処へも行かないで、と願う暁人さまに「私を朝まで寝かせなければいいでしょう…?」と、煽る桂木。「…ずるい…けど、それでもいいよ。」という切羽詰まった暁人さま。朝まで…頑張っちゃったのでしょうか。

初めて二人で迎えた昼下がり。暁人さまは、桂木と話し合うことになりますが、それは次巻へと。
二人はそれぞれ前へと進み始めました。長かった夜も明けることでしょう。それは次代への輝かしい幕開けとなる、そんな結末への予感がします。

0

時代のうねり。憂鬱な朝7

7巻です。
もう完結の運びという事で、1巻から積んでいた本作を一気読みしているわけですが。
う〜〜ん…
美しいですよ。それはもう。
華麗で。
身分制の縛りからくる禁断性や。
家制度の窮屈さや。
若き子爵の一途さや。
はじめは冷酷だった年上の桂木が、やがて甘く彼を受け入れていく様子や。
桂木が抱えている(らしい)出自に関する業や。
この設定や時代考証の重厚さ、絵柄の美しさ、BL的にはメロドラマの側面もあり、確かに「名作」「神作品」としての格は感じます。それは間違いない。
でも私個人にとって「神」かというと…ごめんなさいという感想。誰にごめんなのかよくわかんないけど。
この作品の描き方として採用されている、登場人物たちが思惑をはじめ言わずに動き、後で結局回収がなかったり、という方式、これが回りくどく、物語の進行を複雑にしてしまっていると感じる。
また、ずっと引っ張ってきている桂木の出自について。
なぜ桂木の出自がこの物語にここまで関係する?
久世の先々代の子だろうが、桂木の祖父の子だろうが、確かに桂木本人のアイデンティティに対しては意味があるけれど、暁人との関係性には何ら影響のない話なのではないのか?
この7巻は、時代がいよいよ動いて、労働者たちの立場の向上のような話もあり、家柄などより自分の才覚で実業を動かす者がこれからの勝者であるようなそんな時代の夜明けが背景にあっての、桂木の立場の激変具合、また暁人の隠居姿、が中心です。
そして唐突気味に暁人との甘い夜もあり。
そう、唐突というより暁人と桂木のラブシーンはいつも「浮いている」ように思えてなりません。
はじめの頃の無理やりの時は納得できた。でも甘くなってからは…
それは、桂木がかつて憎んでいた暁人と今は共にいたいとなるその流れが曖昧だからなのだと、私は思う。いつの間にか両想いになって、それでもまだ桂木は厳しくて、なのに夜だけは…っていうのが…。
BL的にはいいですよ。私だって美しい2人が甘く抱き合うのは眼福だと思う。でも物語との整合性はどうなのか。特にこういうエロだけではない大作だと余計そういうの大事だと思うのです。
これは8巻で終わるのかしら?9巻まで行きますか?
ともかく重厚な物語だから、そこを崩さず重厚で気品のあるラストを期待します。

2

ずっと好きになりますよ。

好きです

0

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