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表題作一滴、もしくはたくさん

堤朔眞・不動産会社勤務・32歳
九里保嵩・水師・29歳

あらすじ

感情や気力が枯渇する現代の奇病・枯れ人症候群――唯一治療できるのは『水師』のみ――
「あれは病人を騙す詐欺師だ」
その能力を疑う不動産屋の堤が出会ったのは、美貌の水師・保嵩。
一日の大半を寝て過ごし、起きると毒舌を吐く保嵩に苛立つ堤。だがある日、仕事の現場を見て愕然!!
倒れるまで自分の生命力を患者に与えるのだ。身を犠牲にしてまで治療する保嵩から次第に目が離せなくなり!?

作品情報

作品名
一滴、もしくはたくさん
著者
沙野風結子 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199008795
3.6

(57)

(14)

萌々

(22)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
11
得点
198
評価数
57
平均
3.6 / 5
神率
24.6%

レビュー投稿数11

水師と水人二人

奇病・枯れ人症候群を治療する水師の話。

九里保嵩 水師。枯れ人の治療後に、水人から水の提供を受けないと萎びて動けない。
九里響二 保嵩の弟。眼鏡をかけた会計士。水人。
堤 朔眞 地上げ専門の不動産屋社員。水人。響二に招かれて商談に来る。

九里兄弟が住む屋敷を地上げに向かった不動産屋、堤。
弟の響二が商談に応じて、家を訪問する堤。
 堤は、玄関前の階段で兄の保嵩が倒れているのを発見。助けたのに、怒鳴られる。
 
水師協会に属さないフリーの治療師、九里保嵩。
水師の水治療の後、失った水の補給は「水人」の誰かから貰うしかない。
貰う方法は、水人と体のどこかの接触。
堤は、庭の掃除をして、偶然保嵩が弟から水を貰っている現場をみて、理由を知らず驚く。

館を売る商談の前に、交渉相手の九里響二から条件を出される。
兄の水師の仕事に同行して、枯れ人と二人きりにしない事。
半信半疑だったのが、目の前で元気になる枯れ人を何人も観て、堤は治療を施す九里の兄に惹かれていく。

展開を読みにくくしているのは、響二の行動。心情が掴みにくい。
響二は兄を館から引きはがそうと考えていた。
でも、兄が不動産屋の堤に惹かれるのは想定外。弟も兄を愛している。

「水師の血が薬になる」という展開で、保嵩が囚われてしまった時、
・・ これは吸血鬼の変形版か?と思ったけど、そうじゃなかった。

この話は、水の補給=体液交換と、サンドイッチ 3pがテーマだった。
水師の保嵩を、二人の水人が癒すという結末。ややこしいわ。

0

残念ながら…

キャラ文庫バースデーフェアの時に購入して、ずっと本棚で眠ってました。

そして今回読んだ訳ですが、想像していた内容と違っていました。

途中まではあらすじで惹かれた設定通りで、めちゃくちゃ面白かったんです。

ですが保嵩の弟の響二が家に帰らなくなった辺りから、彼の存在に違和感を覚えるようになってしまいました。
そして監禁された保嵩を堤と響二が協力して助けてからのアレを読んで、残念ながらスッと冷めてしまいました。

出来るなら兄弟はお互いに自立して、それぞれが幸せになってくれた方が好みでしたね。

残念ながらそういう事に萌を見出せないんです。兄弟が離れた方が自分的には萌えたと思います。

凄く面白いお話だっただけに、その点だけ残念でした。

それからあらすじに弟が居ると書いて無いところが狡いなと思いました。まあ、書いてたら買わなかったですから。

1

どう評価していいものか!めちゃくちゃ迷った!

いやはや、さすが沙野さん!
とても面白い設定で、
時間も忘れて一気に読んでしまいました!

いや、ホント、めっちゃ面白かったんですよ!
ラスト直前まで‼︎‼︎

もう、ホント、ほんとにね……そうくるか〜……でしたよ……

やはりこの辺はもう好みの問題なのですけれどね。
私的にはちょっと時が止まりました。

本当にラスト直前まで、わくわくどきどきしつつ
実に気持ち良く読んでいたのです……
でも作者さんがそこを書きたかったのなら仕方ない。

まぁ分からないでもないですよ。
そうなるのもありかなと思わせてしまう
説得力のあるストーリー展開とキャラクター。
何よりベテランの筆力にねじ伏せられるように
最後まで読まされてしまいましたよ……orz

色々思うところもあるのですが、
とにかくラスト直前まで
神に近い勢いで楽しく読ませていただきました!

くどいようですが好みの問題です。
さすが沙野さんという一作です。
しかし、やはり私的には時が止まった……
本当は神になってたかもしれない中立なんだけど、
でも面白く読んでしまったのも事実なので、
めちゃくちゃ迷って「萌×1」で……orz

1

愛は水なのかも

沙野風結子先生の2017年作品。
特殊設定ものです。

生気を失い枯渇して心が乾く「枯れ人」という奇病が蔓延している。医学的な治療はできず、唯一「水師」という能力だけがその渇きを治すことができる。「水遣り」という行為によって…

不動産会社のエース社員・堤は、一つの大きな案件を任される。
それは兄弟だけで住んでいる広大な屋敷の売買。
弟は公認会計士、兄が「水師」で、堤は不動産売買どうこうよりも水師の世界に取り込まれていく…
…という設定で、堤は自分には口が悪いけれど「枯れ人」には真摯に向き合い自分の身を削って水遣りをする水師の保嵩(ほだか)に惹かれていくわけですが。
保嵩のスタイルは、能力を限界まで使い水遣りの後は自分の生体エネルギーを使い果たす感じ。それを補うのがエネルギー=水を与えてくれる相手との性的な接触…
それを今まで担っていたのが実弟の響二。濃密な近親相姦の気配。

堤は生体エネルギーに溢れた「水人」。当然保嵩は本能的に堤を求め、ノンケだった堤もエロティックな保嵩との行為にのめり込み。
響二と保嵩の関係を邪推する堤、堤に頼るしかないが昏い執着を抱える響二、中心にいるのに恋愛的には無頓着な保嵩のアンバランスな三角関係。

終盤、物語が大きく動き、一気にアクション的サスペンス的テイストに。
保嵩が陥れられて狂信的な人物に監禁され命の危機に晒されます。
ここはハラハラはするけれど、前半の雰囲気とちょっとチグハグな感じがしました。
…という間も無く、ラストはもっと驚きのシーンが。
これははっきり言って無理筋だと感じる。
響二の想いの強さがこういう形で表される事への違和感。堤が応じるという違和感。
保嵩は…一人だけラッキー?
最後がほのぼのしいのもなんだか…響二が一人だけ可哀想な気がして。

1

弟→兄←働き盛りのおじさん

枯れ人と水師、水師と水人の間で交わされるエネルギーの受授を、ガッツリエロスに変換して描かれた、ちょいサスペンス風味BL。最初から最後まで薄暗さしか感じられないところに安心感すら覚えました笑

「枯れ人」とは精神疾患の病理を指した造語です。もちろん、フィクション。でもリアルにひきつけてなんかわかる!感覚を催させるのが本当にうまい。急速に蔓延しはじめた現代病、「枯れ人」を癒す水師が本作のメインキャラクターです。

物語は、とある高額物件に不動産仲介業者が交渉に訪れるところから始まります。

ガタイがよくてコワモテの堤は、顧客信頼度の高さから、九里邸の売却案件を任されます。美しい兄の保嵩と彼に傅く弟・響二が住む古い大邸宅を訪れた堤は、彼ら兄弟の妖しい関係にずぶずぶと巻き込まれていくことに…。

水師をしている保嵩は、自らが犯した罪の贖罪として、枯れ人を癒すことを使命としています。ですが、のめり込むあまりに消耗が激しく、一日中眠っていることも。水師の疲労は水人からエネルギーをもらうことで回復可能。実の両親と死別し、養父母にひきとられて以降、保嵩はたった一人の肉親で水人だった響二からエネルギーをもらっていました。……堤が現れるまでは。

これね、もうちょい前だったり他レーベルだったら、ガチ兄弟でしっかりヤッてたと思うの。(はしたなくてごめんなさい笑)

だけど、保嵩が響二に一線を引いていたことで、ガチ兄弟の切なさが何倍にも高まって、しかもあの3Pには至らなかったと思うの…!めっちゃ切なエロいの!!

(ちなみにサンドイッチプレイスタイルはレビュータイトルの配置と異なりますのでご注意ください。)

あのプレイがストーリーの到達点だったとしたら、先生ムッツリ過ぎ。そのシリアスエロがツボなんですけどね♡

兄弟萌えとしては物足りず、もうちょっと保嵩と響二に踏み込んで欲しかったけど、あのプレイで満足したことにします…。実はキャラクターにもあまり肩入れはできなかったんですが、歪んだハッピーエンドに妄想も捗るということで!

特殊能力を持つタイプと、彼を癒す補佐役のタッグはすごく好きなカップリングなんですが、最近注目しているセンチネルバースに近いものがあるよな〜と思いました。

2017年刊行当時、カバーイラストとタイトルのイメージが作者にしては新鮮で、もしやほのぼの・穏やか系の新境地かしら〜と思っていたんですよね。(思い込みに騙されて3年も積んでました…。)本作がキャラさんお初作品だとあらためて知って、ちょっと意外でした。湖水きよ先生大好きなので、少しはダークな要素があるのかなと想像していたけれど、実際読んでみると全然作風変わってなかった笑

ストーリー重視が前提なのは無論、『疵物の戀』は作家様にしては割とマイルドだったので、あー、キャラレーベルだな!っていう実感がありました。『一滴』の方が何気に本来のカラー出てますよね…。

キャラさん、読者を誘導して掴むの上手いです。いつも罠にかかってます。

1

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