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表題作雪と松(2)

松庵,雪を拾った村医者
雪,元蔭間で殺し屋

同時収録作品雪と松

佐吉(殺し屋の兄貴分)
辰雄(のちの雪)

あらすじ

「先生はもう待ってねえ。俺がいる」

「俺の事も いつかはきれいさっぱり忘れちまうのか…?」
お人好しの医者・松庵と、彼の家に転がり込んだ美形の殺し屋・雪。
互いの名も知らぬまま結ばれた二人は、日ごとに絆を深めていく。
やがて自分達の孤独な過去も打ち明けて…。
異才が描く純和風BL第二集。

殺し屋と医者の深まる愛…

作品情報

作品名
雪と松(2)
著者
高橋秀武 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
シリーズ
雪と松
発売日
ISBN
9784834264036
4.6

(86)

(69)

萌々

(8)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
398
評価数
86
平均
4.6 / 5
神率
80.2%

レビュー投稿数11

白と黒、そして血の色

唸るしかない…
完膚なきまでに。
ひれ伏してしまうほど。
………素晴らしすぎる‼︎

第2巻は2人の過去が語られる。
村の医者・松庵の生い立ちは江戸時代においてはありふれたものかも知れない。それでも医者になり、憎い憎い実の父の命を助ける巡り合わせの風向きの残酷さは、尊敬する育ての父とその息子への仁義立て。
「時松」という自分の実の名に、父を待ち続けた母とその母すら失ってしまった自分の中の泣いている子供を思い出し、自虐的になっていた松庵を包み込む雪。
それは決して傷の舐め合いではなく。
そして、殺し屋だった雪の過去はより壮絶。
惚れた兄貴分の佐吉に、男として見てもらいたくて、しかし同時にイロにして欲しくて。
血と精液にまみれたこの関係は時折雪に眩暈を起こさせるほどの重みがあって、それでも先生の腕の中で人肌の温かさに救われる雪。


私は年齢的に子供〜思春期に普通にTVで時代劇に親しんでいて、この「雪と松」の世界観はかなり自然に入り込める感があり各登場人物もモデル的な俳優さんが分かる位なのですが、若い方はどう読んでいるのかな。必殺とか鬼平とかに興味を持ってくれたら嬉しいかも。

描写においては、白と黒の鮮烈さと共にはっきりと「赤」が見えた。雪の上に散る血の赤が。
第3巻では、闇に散る水しぶきのきらめきを見たいです、高橋先生……!

15

過去が明らかに

待ちに待った2巻。特典欲しさに久々に複数買いしてしまった…。

という事でレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意を。









1巻で少しずつ歩み寄ってきた松庵先生と雪。2巻は、そんな二人の甘々な濡れ場からスタート。

そして話は、松庵先生と雪、二人の過去の話へ。

松庵先生は、自分と自分の母親を捨てた実の父親との邂逅と、決別、そして許し。
雪は、陰間だった頃と、そんな自分を救ってくれた兄貴・佐吉との出会いから別れまで。

自分のすべてだった佐吉に捨てられたことで世捨て人のような心情だった雪が、松庵先生と出会って救われる展開には思わず落涙。けれど、救われたのは雪だけではなく松庵先生もだったのだと。

二人が出会えたことはまさに奇跡のようで、心が温かくなります。
けれど、彼らが幸せであればあるほど、佐吉が不憫でした。
辰雄への未練と、そして辰雄を手放したことの後悔。佐吉は佐吉なりに、辰雄を愛してたんだよね。佐吉にも唯一無二の存在が現れると良いのだけれど。

終盤に、松庵先生が拾ってきた一人の少年のエピソードが。
これがまた切ない…。

雪は子どもですら切り捨てる佐吉についていけず袂を分かつことになりましたが、自身の子ども時代と重ね合わせその少年に愛情を注ぎ、そして生活を共にする雪ちゃんが可愛く、そして切なかった。

そして、最後のシーンが胸を打つ。
これからも共にあり続けるであろう二人に心底安心しました。ただ、所々で雪の将来を悲観するようなセリフがあるのが気になる。これから一波乱あるんだろうか…。まだまだ続いていってほしい作品なので一波乱カモン!状態ではあるのですが。

1巻の表紙もめちゃめちゃ素敵でしたが、2巻の表紙も、また素敵。
野田先生の描かれた帯も渋い!

表紙が素敵な作品は数多くあれど、「雪と松」の表紙は群を抜いて素敵だなと、しみじみ思ったりしました。

「江戸BL」ということで服装が着物だったり、あと雪の気怠い色気がめっちゃ美しい。雪の儚げな雰囲気とも相まって独特な雰囲気をまとった作品で、心鷲掴みにされます。

13

“どちらにもなれない”は、“どちらにもなれる”ということ。

2巻お待ちしておりました!!
私的2017年度BLアワード新人部門第1位は本作で決定かな!っていうくらいに絶賛ドハマり中の作品。
今回電子版ではなく紙で予約していたので年末なかなか受け取れなくてヤキモキしましたが、そのお陰で新年2018年を素敵な作品でBL初め出来ましたし、結果オーライと思いましょう♪
紙で欲しかった理由は、紙に黒インクで刷られた作者の画を見たかったから。
こんな風に思って紙の本を敢えて選ぶのは大分久しぶりかもしれません。

さて2巻。
雪と松庵の物語に加えて、佐吉側の物語も少し描かれまして、これがまた切ないったらない。兄貴ィィ…(T ^ T)ってなりながら読みました。
雪さんが松庵に出会う前に好きだった男ですもの、雪さんを傷つけはしたものの、佐吉だって松庵と勝負はれるくらいにはいい男なんです。
佐吉は念願通りに一家を手に入れることが出来たけど、その景色を一緒に見たかった辰雄(=雪)はもう佐吉の隣にはいない。
手を離してしまったことを悔いる佐吉の叫びが切ないです。

そしてメインの2人。
1巻で自分達は“宙ぶらりん”だと言っていた松庵と雪。
松庵は、自分がどこの生まれか分からないことの不安定さに囚われている。どこにあるのかも分からない故郷が恋しくて故郷に繋がる街道から離れられずにいる。
松庵が囚われていたのは父親なのだろう。父親が母親を捨て、そのせいで自分は母親に捨てられた。憎く思いながらもどこかで自分のことを知る由もない父親を待っていたのかもしれない。だけど会いに行って突きつけられたのは「自分のことなんてやっぱり知らなかった」という現実。
雪に抱きしめられて解放されたかな?解放されているといいな。
雪は、「普通の」男になりきれない己の不安定さに囚われている。色街に生まれ男に買われる側の人生に嫌気がさして荒くれのヤクザになったのに、結局その男の世界にも馴染めなかった。女にされるのは嫌なのに、男にもなれなかった。
雪は誰かみたいな男になりたかったわけではないのだろう。雪が欲しかったのは雪のままでも男として見てくれる誰かだったのだろう。
松庵といる雪は満たされているのがセリフの端々から伝わってくる。松庵となら男だとか女だとかそんなことはどっちでもいいことだって思えるんだろうな。
“どちらにもなれない”は、“どちらにもなれる”ってことだよって雪さんに言ってあげたい。

まだ続きます。嬉しいな。

ところで、佐吉と雪の章で暗に仄めかされる“ショタコン政五郎に佐吉も昔可愛がられていた説”、ちょ、そこもっと詳しく!!ってなったのは私だけではありますまい。
佐吉兄貴のエピソード、もっと読みたいなぁ。

9

ジーンときます

二巻で終わると思い込んでたので、まだ続くと知って小躍りしてしまいました。
まだこの世界が続いてくれると思うとほんと嬉しい。

この二巻は主に二人の過去が描かれています。
元殺し屋の雪の過去は一巻でもちょいちょい触れていましたが、佐吉の兄貴と雪が辰雄と呼ばれていた頃のエピソードが今回は結構多かったです。
元は兄貴分、弟分だった二人。袂を分かつことになってしまったけれども佐吉はいまだ辰雄に未練がある。そして欲しい地位は得たけれども本当に欲しかったものが側にいない虚しさ、手放した後悔などを読むと、佐吉は佐吉なりに辰雄を愛していたんだろうなと思うし、松庵先生とはまったく違うけれども佐吉は佐吉でいい男だったんだろなと思えます。
一方の辰雄は雪となり松庵先生の腕の中に自分の居場所があると思うまでになっていて、現在の佐吉と雪の明暗は切ないけれども雪にとっては良かったなと思うんです。

それと松庵先生。
松庵先生の過去も今回深く描かれています。自分と母親を捨てた実父と思いがけない再会を経て、再び雪の待つ家へ戻ってきます。
松という名前は「待つ」という意味で母親が名付けたことや、母や父のことなんか待ちたくないと思っていたけど、でも待っていたのかな…と呟く先生に対して「先生はもう待ってねぇ。俺がいる。」と雪が抱きしめるんです。
そして先生の目からは玉のような涙が溢れ……この話が私は一番ジーンときました。
先生って一巻でも、雪がいつ出ていってしまうか、雪が出かけても戻ってくるかどうか心配して基本、雪が戻ってくるのを「待つ」「迎え入れる」ことしか出来なかった。そんな先生にもう待たなくていいんだよ、という言葉はどれだけ嬉しかっただろうかって。

二巻はこの他にも二人が絆を深めて唯一無二の存在になっていくエピソードが読めるので、ほんとありがたいです。

で、佐吉の兄貴。「かわいがられていた過去」が気になります。ちょっ!そこ詳しくよろしくです!

7

ずっと続いてほしい漫画(ネタばれあります)

1巻より、より二人の心の距離が縮まっていると感じた2巻でした。
というか、雪さんの心がどんどん松庵先生に近づいているという感じがしました。

1巻の「雪を松」では雪さんの松庵先生への言葉が「おめぇみたいな医者は死んだほうがいい」だったのが、第三夜で「俺を離したら殺す」になったのもドキドキでしたが、2巻では「先生と寝れば寝るほど俺はここにいる」「おめえさんの腕の中」にまで変わっていて、心がギュッとしました。
さらに雪さんが松庵先生にお誘いをかけるやり方がもう・・・
「先生やりてえ やろうぜ」って、どストレートすぎる。
だんだん二人のやり取りが、夫婦っぽく見えてしまうのは私だけでしょうか?

そして松庵先生の、一途に雪さんを想い大切にする様子も、見ていて幸せな気分にさせられます。
ところどころに凄惨な描写がある漫画ですが、雪さんと松庵先生のやり取りのお陰か読んでも荒んだ気持ちになりません。
まだ連載が続いているのがとても嬉しいです。二人のやり取りを、ずっと見ていたくなります。

6

雪山松子

単純に面白くてワーワーと読みましたが、皆さんのレビューを読んで、更に深く物語に入り込めた気がします。本当にありがとうございます。

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