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表題作セキュリティ・ブランケット(上)

高砂沙耶花、鼎の友人でカフェのオーナー
宮龍之介、叔父の鼎と暮らす高校生

同時収録作品セキュリティ・ブランケット(上)

十階国生、鼎にベタ惚れの宮の友人
小林鼎、甥を育てる高名な陶芸家

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ハシバミ色の瞳にウェーブの巻き毛──異国の血を引く華やかな容貌と裏腹に引っ込み思案な高校生の宮。幼い頃母を亡くし路頭に迷った壮絶な過去を持つ宮は、新進の陶芸家で叔父の鼎が親代わりだ。のどかな田舎町で暮らす二人を訪ねるのは、鼎の長年の親友でカフェ店主の高砂に、面倒見の良い幼なじみの国生。宮にとって掛け替えのない男達は、それぞれ人に言えない秘めた恋情を抱えていて!?

作品情報

作品名
セキュリティ・ブランケット(上)
著者
凪良ゆう 
イラスト
ミドリノエバ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
セキュリティ・ブランケット
発売日
ISBN
9784199009006
4.1

(122)

(65)

萌々

(33)

(10)

中立

(8)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
19
得点
495
評価数
122
平均
4.1 / 5
神率
53.3%

レビュー投稿数19

群像劇~

大人組がとても大人で歯がゆい!

四者視点、五角形+α、恋模様も家族愛の入り組み方も見事。
運命?タイミングの無慈悲さ、
好きな人を守りたい、幸せになって欲しいからの心情や行動、すれ違いが切なくて、愛って偉大!!となりました。

気丈に振る舞う宮の健気や優しさには胸を打たれるところがあり、サヤの包容力も分かる。
なんといっても、鼎の強くて強くて脆いとこ本当に魅力的すぎました!
そして、それを支えてた万ちゃん!

矢印があっちこっちしてて、どうなるどうなる?な物語り運びではあるけど、
表紙を見れば、サヤカナ、万ちゃんがないことは予想できるので、
大人組派な私は途中でトーンダウンしてしまったのですが、
下巻からスピードアップして読めました。

0

上巻読了後もメインのカップルが判然としません

ネグレクトの末に母親が事故死して孤児になった龍之介。
龍之介を引き取り、固く閉ざされた心に愛情を注いで彼を育てた陶芸家で叔父の鼎。
鼎とは高校時代の同級生で、カフェを営むフランス帰りの高砂。
鼎に恋をし続け身を焦がす、龍之介の友だち国生。
陶芸家としての鼎と、愛人としての鼎を包み込む既婚者の万座。
恋にうつつを抜かす実父に愛想を尽かして家出し、高砂の家に転がり込んだジェシー。
というように、やたらに情報量の多いキャラクターがたくさん登場し、恋愛の矢印があっちこっちへ飛び、章立ても4人の視点で次々に語られます(龍之介、鼎、高砂、国生の4人)。
また、本当は他にも、鼎を好き過ぎて龍之介の腹を包丁で刺した女性や、龍之介の実父を名乗る外国人がいますが割愛します。

読み始めた当初は面白かったんです。上下巻だし、まだ先は長いし、どうなるんだろうとわくわく読んでいたのです。
実際、著者の文章は読みやすく、ページ数の割にメインキャラが多いですが、色分けされるように個性的で混乱はしません。会話が続いても誰の言葉か分かりますし、章ごとに視点が変わっても自然に読み取れます。
ですが、上巻を読み終わった段階で、カップリングがいまだ判然としません。
もしかしたら、この群像劇こそがこのお話の主眼で、カップリングを敢えて外しているのかもしれませんが、いわゆるカップルが二組とかではなく、片思い矢印があっちへこっちへ飛び交っているので、誰の恋愛に寄り添って読めば良いのかよくわからないのが正直なところです。
鼎と高砂は、学生時代にお互いに恋していたものの相手がゲイと思わず気持ちを隠して友だちづきあいを続けています。大人が本気の恋を巧妙に隠した、両片思いです。
一方で、鼎は年上の万座とセフレといっていい関係にあり、年下の国生からは熱烈に恋い焦がれられこちらもセフレみたいな関係にあります。
また一方で、龍之介は高砂が初恋の相手で、高砂も龍之介に好意を持っています。
鼎と龍之介は恋愛関係ではないですが、お互いを大切に思い合っていますし、ジェシーは高砂を好きで、龍之介を敵認定しています。矢印が多すぎます。
お好きなカップリングを好きなように応援してくださいね、という感じなのでしょうか。一冊読んでこんなに戸惑ったのは初めてです。というわけで、下巻の展開も読めない状況です。

1

セキュリティ・ブランケット=ライナスの毛布

泣けるBL
セキュリティ・ブランケット=ライナスの毛布=子供が抱いて安心する御守り、抱き毛布
タイトルの「安心毛布」が指す意味は、下巻の最後尾にある情景。
・・・ 龍之介がおたふくかぜにかかったとき、龍之介の吐瀉物にまみれながら、吐き続ける龍之介を抱きしめて背中をさすり、子守歌を謳うように「ヘーゼルナッツ王子」と語り掛けた人がいる。
龍之介が時々夢に見る「愛されている、生きていいのだ」と満たされる情景の記憶。龍之介は、その人は鼎だと思っていた。
・・この場面、凄く泣けた。

幼い龍之介は、夜の仕事に就くシングルマザーの母と二人暮らし。
仕事に行く前に「いい子にしててね」といって母親は行く。
時々帰ってこない日があり、毎日帰ってくるわけじゃない。
「いい子で・・」といって出かけて帰ってこなくなった母。
母の仕事場に探しに出るが、母はいない。
飢えてゴミ箱の果物を漁っているところを警察に保護される。
母は事故死していた。保護者として引き取りに来たのは、母の弟・鼎。
叔父の鼎に「いい子にするから捨てないで」と泣く龍之介、
・・・この場面も切なくて泣けた。

★鼎が龍之介の保護者となり、龍之介が飢えることは無くなる。だけど、心は癒えてない。

★「いい子に・・」の母の言葉と飢餓体験がトラウマになり、呪文のように龍之介をずっと縛り付け、感情を表に出せない。
「いい子でいること」の魔法を解除する人は、下巻に登場。

★高砂も鼎も、十分に愛されない家庭環境に育ち、心に傷を持つ。

★普通の家庭に育った国生は、思いやりに欠け、強引で幼い行動が鼻に付く。

0

つくづく、他人の恋の盲目さって痛いな

上巻、2017年刊。
やっと凪良さん作品を読んだ。
あとがき曰く、登場人物四人交互視点との事だが、ややこしさは感じずに各キャラの個性を掴み易かった、とは思う。
ただ、各章ごとの格言めいたサブタイトルにはピンとこなかったが。

メインの四人だけでなく全ての登場人物がおしゃれで、脳内ではトレンディドラマを彷彿とさせられるものがあった。
主人公・宮から見ての叔父さんの鼎(かなえ)もおじさん(笑)呼ばわりされちゃった高砂もそれぞれモテモテですな。
特に高砂の、無自覚に相手を射止める粋な伊達男ぶりは堪らない。
大人の中で一番紳士然としていたし。

宮が唯一人周囲に気を使い過ぎて委縮する性格が尋常じゃないってのもあってか、周囲の自己主張の強さが目立つ。
良く言えば皆キャラが立っている訳だが。
そこにドロドロしたものは無くとも、どうして我を持った大人達が自身の為に毅然と振る舞っていても縺れが生じるのだろうかね。

それにしても、花房は地雷女級だし、ジェシーは自分が可哀想だからと宮を攻撃してウサを晴らそうとするわで、のどかな生活を引っ掻き回してくれちゃって…
未成年という盲点に気付いていない故、年上の想い人に負担をかけるのに気付けない国生もちょっと苦手かも知れない。
つくづく他人の恋の盲目さって痛いな…なんて感じてしまった上巻だった。

周囲の意図しないところで誤解したり傷ついた宮が、下巻ではちゃんと癒されるのか心配になってくる。
どうも自分は受けが可哀想になってくる展開が苦手なので、早く高砂と宮がくっついて落ち着いてほしい。
鼎が過保護を卒業しても、そもそも宮との叔父・甥関係は変わる事がないから問題はないはずなのだけどね。
そんな鼎も自身の恋愛には踏ん切りがついていないようで…
ま、肝心の自身の三角関係をささっと決着付けて。
 

0

登場人物がみんなイイ

当初は登場人物とカップリングの多彩さに頭の整理が追い付きませんでした。
ちよっと落ち着け自分。一回整理しよう、
と何度立ち止まって読み返した事か…
複数キャラがここまで絡んで進行するお話ってなかなかない気がします。
キャラ一人一人がどれも際立っていて、うるさくなりそうなのに上手く絡み合っていて。
今後の関係性がどう展開していくのかがとても気になります。
あー早く続きが読みたい!
上巻しか買ってなかったのをとても悔やんでます。

0

下巻は情報を入れずに読むことをお勧めします!

上下巻読み終わってからの感想です。

とにかくまずは、上巻はまだしも、
下巻はこのちるちるの感想や情報など入れないで、
まっさらの状態で読むことをお勧めします!

上巻だけでもなかなかショッキングな展開で、
あぁぁぁぁ〜( ;∀;)と何度叫んだことやら!

四人の登場人物のそれぞれの視点で、
代わる代わる物語が語られ進んでいくのですが、
その展開でも、
読んでいる読者の気持ちがバラバラにはならず、
ちゃんとそれぞれの心情が染み込んで来ます。

それぞれにそれぞれの強い想いや、
過去や今の溢れ出る感情があって、
それをぶつけ合ったり、ひたすら我慢して隠したり。
それを登場人物それぞれの視点で描いて、
一つの物語としてまとめられるのは流石です!

前半は宮くんの過去に泣かされます。
その過去あっての鼎との繋がりなのですが、
ホント、切ない!

出来ることなら、
私は万座さん視点の章も読んでみたかったです!

上巻の評価としては、
絡まりすぎた感情のもつれ具合に「萌×2」!

1

恋って本当にままならない

発売してわりとすぐ拝読した時は
え、嘘、そこでまさかのあー待って待ってどうなるんだ!?と
だいぶ落ち着いていられなかったので
久しぶりに再読させていただきましたら
やっぱり落ち着いていられませんでした。
龍がどれだけ不憫なんだろうと涙無くしては読み進められませんし
鼎の深い愛情にまた泣いてしまいますが
自身では白黒はっきりさせられない想いがあったり…。
見習いたいくらいの高砂の忍耐力と優しさ、
国生の若者らしい一途で怖いもの知らずな恋心、
万ちゃんのこれぞ大人の男という懐のでかさなど
交差する気持ちがめっちゃスクランブル!!!
それぞれがもちろん真剣で想いを遂げたいけど
わがまま放題でいられるわけがないし(一部を除く)
相手を慮るのも人として当然なわけですよね。
自分の気持ちですらわからなくなったりするんだから
他人の気持ちなんて知りたくてももっとわからないのに
愛が深いがゆえに「きっとこうなんだろう」という前提で考えられる面々がとてもいとおしいのです。
気遣いあうのも大事だけど本音をぶつけあるのはもっと大事。
色んな事情がありながら、みんなに幸せになってもらいたいと心から思える上巻でした。

ちなみに私はどうしても年下攻め×年上受けが好きなので
やっぱり国生のかたを持ちたくなってしまう…。
どうしようもなく好きなのに打っても響いてくれないようなあの感じ…。

2

期待しすぎました

帯に「凪良ゆう先生の作家生活の集大成」という煽りもあったため、期待しすぎたかもしれません。登場人物が沢山出てきて、複雑に絡み合う多角的なラブストーリーに期待を膨らませていました。いつ面白くなるのかと読み進めましたが、物語に起伏が乏しく、全体的に単調に感じました。登場人物や世界観に没頭までいきませんでした。タイトルは所謂「ライナスの毛布」の様な感じでしょうか。。

オシャレ系なストーリーですが、ディープだったりマニアックなものに惹かれる傾向にある自分には、テイストが合わなかったみたいです。こういう視点が次々別の登場人物に移る小説も色々読んできましたが、どこか表層的な人間関係が繰り広げられられている様に感じ、余り作品に入り込めなかったです。主要な登場人物同士の呼び方や思考回路が女性っぽいのも気になりました。ゲイというのが影響されているのは分かるんですが、あまり萌えなかったです。

また章ごとに洒落た格言的なタイトルが付けられているのですが、エピソードが短いので、その格言を味わうまでに至れなかったのも気になりました。テーマや構成的に難しい試みをされたんだと思います。何だろう…。作家さんの安定の筆力は感じるけれども、自分の感性に合わない事に、奥歯に物が挟まった様な感じでした。好みの問題もあるので、こういう作品が好きな人は好きだと思います。

4

強そうなのに、脆い

一度読んで、胸がいっぱいすぎて感想が書けなかったので、再読。

18歳の龍、国生。37歳の鼎、高砂。4人の視点で進んで行きます。


18歳の龍は、叔父の鼎と2人で暮らしています。幼い頃に母を亡くし悲惨な辛い思いをした龍を、鼎が20代で引き取ってからは大事に大事に育ててきたのです。そんな龍と、鼎の友人の高砂。鼎と、龍の友人の国生、パトロンの万座。5人の複雑に入り組んだ恋と、家族の話です。

龍の優しさは強いけれど、頑張るほどその容量はオーバーしてしまう。鼎も、美人でクールで情に厚くて、強そうに見えても脆いところがある。2人のエピソードを読んで、2人の愛情の深さを知ると、愛おしく思えます。龍を思い切り抱きしめたくなります。

複雑なところで後編に続くので、これから購入をお考えの方は前後一緒に購入することをオススメします。

1

愛情に恵まれなかった子供が成長してままならぬ恋愛にじたばた

叔父の友人 高砂に思いを寄せる高校生 宮
(宮は高砂は叔父が好きなんじゃないかと思って半ばあきらめている雰囲気)

その宮の叔父 鼎を密かに想う宮の友人 国生は望み薄ながらも諦めきれずにいる

高砂と鼎は両片思いっぽい

鼎と友人の万座がセフレらしい

と最終的には誰と誰がカップルになるのやら??みたいな感じで話が進みます。

国生以外は幼少時代親に愛されなかった子供ばっかり
そして複雑で面倒な大人になってしまうんです。

格言みたいな章のタイトルがおもしろいです
なるほどと思わず感心してしまいます。

3

切なさ満点!ティッシュ必需!

「セキュリティ・ブランケット」凪良ゆう先生 読了
もう切なさと焦ったさの塊。本当に神すぎて涙止まりませんでした。

田舎のウブな男の子が主線で、彼の周りの人たちの間で起きたたくさんの出来事も混ざっていて、それらにつれて少年は成長していく心温まる話でした。とても凪良先生らしい一冊だと思う。

10年もこのストーリーを構想していたと先生はおっしゃってたけど、形にしていただいて本当にありがとうございました。読み終わって思わず笑顔になる一冊でした。

一番好きなキャラはもう聞くまでもなく高砂さんです。正直に言ってサヤカナが好きで、お2人の余裕のある大人の男って感じ、呼吸までびったり合ってるという感じがもうどうしようもなく素敵で、タイミングが合えば最高にお似合いの恋人になれたんじゃないかと惜しんでしまう。

2人にとってはバッドエンドになるけど、それもそれでお互いの心の中でその実らず恋がずっとずっと大事に扱う青春の思い出になると思うと、また後味が最高。もう最高オブ最高です。

一方、国生と万ちゃんと鼎は結局どうなるか気になる。国生くんは…実に有望な男だなとしみじみ思う(笑)。別れ話のとき髪の毛にキスとかイケメンすぎませんか(笑)。まぁ、でもわたしの中では結局鼎は万ちゃんとくっついて、国生は理華とくっつくのではないと密かに思っている。

サヤカナを応援しているとはいえ、やっぱり宮くんが幸せになれて本当に良かったと思った。ずっと他人に気を遣っていて、自分を殺していた宮くんが危なっかしくて、どうしようもなくかわいくて…やっぱり健気受けは良いなと遠い目。

宮くん、幸せになってー!最後の告白のチャンスを見送りすることで長い片思いを結末つけた鼎ちゃんのぶんまで幸せになれよ!

最後にジェイシー。幸せになれるといいね。最初は棘だらけで近づけにくそうなキャラだったけど、だんだん宮くんの優しさに心を許してくれるようになったのは微笑ましい。

1つ気になることですが、マリアーノと2人きりでしゃべるシーンがあるんですが、そのときは何語でしゃべってたんでしょう…というかこのコンビが気になる(笑)。



人は自分の目で見たものを信じガチですが、実は見えたのは真実とは全く違ったものかもしれません。18歳の宮くんはそれに気づくことができたから、やっと正直に自分の気持ちに向き合うことができた。少年の成長史が実に喜ばしい。よきよき。




毎回思うけど凪良先生はやっぱり天才。いつも素敵な作品本当にありがとうございます。

————————————————————

(関係ない話ですが、高砂さんのセリフを遊佐さんの声で脳内再生してるのってわたしだけですか(笑)。なんかロブと同じ系統というか…ロマンチックと色気でできているような男というか(笑)。)

3

後書きで納得

二か月連続刊行、上下2巻の大長編は、10代の宮と国生、30代の鼎と高砂、さらに上の世代の万座の5人が綾なす恋のお話。
登場キャラそれぞれの視点を転々としながら進んでいく構成なので、ちょっとややこしい感じがするけど、人と人との関係は、一人について一つとは限らず、一人の人間が周りの何人もの人間とそれぞれ色々な関係があって、それが同時に進行している訳で、そんな5人に、果たしてどんな決着が…。
続きは下巻を、となります。

普通、商業出版物として刊行される作品は、あくまでも、一人の主人公の一組のカップルのお話がメインだけど、最後に後書きを読んで、この作品がデビュー前の個人サイト時代の作品が元になっている事を知って、昔は個人サイトのこうゆう群像劇って結構あったなと懐かしい気分になりました。
と同時に、なかなか本にできなかった事にも納得。
やっぱり群像劇を1編の小説として読むのは結構難しい。

2

キーパーソンは鼎

この物語の主な登場人物は、スペイン人と日本人のダブルで高校生の宮、叔父で若手陶芸家の鼎、鼎の親友・高砂、宮の親友・国生、そして鼎のパトロンで愛人の万座です。

宮、鼎、高砂、国生の四人の視点で語られる各ストーリー。
読んだ後にもう一度冒頭の名言に戻ると、胸に迫るものがあります。恋や人生に迷うのは古今東西皆同じなのだと、あらためて気づかされるのです。
数々の名言は、シェイクスピアやゲーテといった名だたる先人たちによるもののようです。名言とのコラボレーション。とても面白い小説の形だと思いました。

セキュリティブランケットとは、心の安心感を得るための「安心毛布」のことだそう。
臆病で優しい宮の安心毛布になるのは高砂かしら?とふわふわ甘い期待をしながら読んでいましたが、次第にもつれる五人の関係にときめきどころではなくなり…。

初めのうちは、宮と高砂の両想いと鼎・国生・万座の三角関係は、関わりがないように見えました。しかし読み進めていくと、高校時代、高砂と鼎が実は両想いだったことが分かります。あまりに互いが大切で、告白しないまま別々の道を歩んだ二人でしたが、長い年月を経た今、宮と高砂のことを知った鼎は、まだ自分が高砂に想いを残していることに気付いてしまい…。高砂・宮・鼎も三角関係になりそうです。国生が鋭く鼎の気持ちに気付いて、途中から波乱の予感しかしませんでした。

でも、高砂のほうは鼎への気持ちに区切りがついている気がします。
数年前、会社も恋人も失いどん底の高砂を鼎が訪ねたことがありました。二人とも酔いつぶれ、互いに相手が眠っている間にキスしたのですが(二人とも自分がキスされたことを知らない)、そのキスの意味が違っていたのです。
高砂から鼎へのキスは、自分を立ち直らせてくれた友情に感謝し、懐かしい昔の恋に決別するための終わりのキス。鼎から高砂へのキスは、弱り切ったかつての愛しい男を、ひとときでも自分のものにしたくて落とした始まりのキス。

宮と高砂と鼎、鼎と国生と万座、この二つの三角関係を結んでいるのが鼎なのですから、鼎がこれからの展開のキーパーソンになるのではないでしょうか。
鼎は高砂に気持ちを伝えてきちんと失恋したほうがいいと思います。そうでないと、国生、万座のどちらとも先に進めないし、宮ともわだかまりが残ってしまいます。鼎に頑張ってほしいです。

傷ついた宮が心配でたまりません。謎の外国人詩人さん(実は宮の…)、誰のところにも行けない宮の安心毛布になって包んであげてほしい。

宮、高砂、鼎、国生、万座は、どのように向き合うのか。
みんなが幸せになりますように…。

心して下巻を読みたいと思います。

6

愛について

これから下巻読むけどその前に上巻の読後感というか覚書として簡単な感想!

愛についての箴言みたいなタイトルが各章についていて、その章を表してます。
まだ上巻だけだけどこの小説は凄い!

宮くんの境遇哀しすぎます。でも鼎ちゃんと暮らせて良かった!
宮くん、本当に可愛い。
私にとっても最愛の息子です。(←誰だお前w)
健気で不憫なお話だけでなく、4人+αのそれぞれの事情が複雑に絡まりすごく絶妙に編みこまれています。
これから下巻!どう編まれていくのか、もしくは解けていくのか・・・。
とっても楽しみ!
揃ってから読んで良かった~!

コミコミ特典のssは春夏秋冬で彼らの過去がちょっぴり覗けてほっこりする1枚でした。
必読です!

3

恋は一直線に行けないことってあるよね、と

途中頃に「凪良さん版『真夏の夜の夢?』」と思うほど、思慕の念が交錯して先が見えない展開です。あ、シェイクスピアみたいにあっけらかんとはしていませんが。お話のトーンはしっとりしています。
主人公の龍之介君は、父が不明、幼い頃に仕事に出たまま母が事故死ししたことを知らず、10日間も一人で母の帰りを待っていて食べるものがなくなったためにゴミ箱をあさっているところを保護されたという強烈な過去を持っています。その後、陶芸家の叔父、鼎に引き取られ大いなる愛情を注がれて素直な良い子に育つのですが、過去の経験のせいで無条件に甘えられない=本当の意味で人の愛情を信じられない人になってしまっています。この辺はとっても凪良節。
この龍之介と鼎、鼎の親友の高砂(世界的なジュエリーサロンの御曹司ながら、妾腹だったが故に父の死後正妻の息子たちの嫌がらせを受け、職を辞して鼎や龍之介の住む田舎でカフェを開業中。スマートなゲイ)、龍之介の幼馴染で鼎に惚れている国生の四人が、それぞれ好きになった人への想いと、それとは別の家族愛や友情の間で右往左往する様が、章によって次々と変わる視点で描かれます。
読み終わって思ったのは「愛にも色々あってだからややこしい」ということ。
好きな人に真っ直ぐに向かって行けるものだけではない。
登場人物は日常にゴロゴロいる人たちではないのですが、描いてる世界はとても現実的で、身につまされるものだと思います。

3

恋愛ミステリー的な

凪良先生初の四角関係!正確には4.5角関係くらいかもしれませんが。一昔前のトレンディドラマを見ているようでした(笑)。
基本的にドロドロした恋愛ものは苦手なのですが、最後まで抵抗なく読めたのは、四人の心情や関係性が複雑に絡み合っていて、まるで恋愛を軸としたミステリーを読んでるような感覚がしたからかもしれません。
個人的には、高砂×鼎の組み合わせが一番好きなのですが、余った高校生コンビでくっつくとは思えないので、下巻で私の期待は裏切られることになるんでしょうね(泣)。怖いもの見たさで下巻を待ちます。

3

毛布でくるんであげたい男の子

4人交互視点という事で、どんな感じなのか…と発売を楽しみにしてました。
以下、あらすじ無視な感想たれ流しで失礼します。

登場人物は、各々視点がある龍・鼎・高砂・国生の4人+α。
この龍の健気さ・いじらしさ・控えめさ…龍の生き方丸ごと愛おしくて仕方なかったです。
幼い時の様子に涙しそうになりました。
悲惨な経験をした後鼎の深い愛情を貰って今の龍がある訳なんですが、鼎と高砂の気持ちが痛いほど分かります。
高砂の「僕はひとりじゃない。だから怖くない」というおまじないのような言葉を貰い、鼎の元に戻って龍が言った言葉に涙腺崩壊しました。
この高砂がまた良い男すぎて、この罪作りな男めー!となるんですよね…(^^;;

それぞれの想いが絡み合って、それを知った龍が居なくなったところで次巻へ。
頼むから龍を幸せにしてやってくれ…と願いながら、来月を待とうと思います。

4

優しいストーリーゆえに、彼らの恋心が切ない

作家買い。

ネタバレ含んでいます。ご注意を。






主要な登場人物は5人。

高校生の龍之介。
龍之介の母親の弟で、姉(龍之介のお母さん)亡きあと龍之介を引き取り育てている新進気鋭の陶芸家の鼎。
鼎の友人・高砂。
龍之介の幼馴染で親友の国生。
鼎のスポンサーであり、愛人でもある万座。

視点はほぼ龍之介で進むこともあって彼が主人公なのかと思いきや、この5人の関係が複雑で、だれが主人公、と言い切れない濃ゆいお話。全員が全員、それぞれキャラがたっている。

龍之介は物心ついた時からスペイン人という父親の顔を知らず、水商売をして自分を育ててくれた母も子どもの頃に事故死する。もともとネグレクト気味だった母親ではあったものの、それでも母を亡くし天涯孤独になった龍之介の子ども時代が過酷すぎる。

そんな龍之介を引き取り育ててくれた鼎との出会いによって龍之介の人生は一変するのだけれど、それでもなお、彼の子ども時代の記憶が彼の性格を決定づけている。そして、その彼の性格がこのストーリーの大きなキモになっているのは、さすが凪良さんといった展開でした。

龍之介はめっちゃいい子なのだけれど、出てくる登場人物たちもまた、みんないい人なんだな…。

綺麗なビジュアルに相反するような、豪胆の性格の鼎。
その鼎に恋する国生も、そして万座さんも、いい男なんです。

そして、鼎の良き友人である高砂さんも。

なので、彼らの秘めた恋心がなんとも切ない。

序盤は鼎を国生と万座さんのどちらが手に入れるのか、という話なのかと思いつつ読んでいたのだけれど、え、そうくる?という鼎の切ない恋心に萌えがぎゅんと滾り、そして落涙した。

登場人物が多い今作品において、誰に感情移入するか、誰に共感できるか、で読み方が変わるように思います。

お互い、みんな大事な人で、形は違えど愛情に満ちた関係の彼ら。
そんな関係の彼らの恋のゆくえはいかに。

できれば、だれもが泣くことなく、丸く収まってほしいのだけれど。

登場人物が多く、伏線がそこかしこに撒かれた複雑なストーリーであるのにもかかわらず、伏線を回収しつつ話が絡まることなく進んでいく展開はさすが凪良さんといったところか。

終盤に「爆弾」が落とされたところで上巻は終わり。
これから彼らがどういう未来を描いていくのか、非常に楽しみです。

早く下巻が読みたいです。

5

先生、あんまりです(泣)

上下巻と聞いていた当作、どんなお話だろうと楽しみにしていたら、なんとなんと、来月を待て!という状態で上巻は終わってしまいました(泣)上下巻だから、うん、そうなるよな とは思いつつ、先生、あんまりですーと、つい愚痴りたくなりました。きっと私みたいに思っている人は何人もいるに違いない。
書下ろし320Pほど。
色っぽいお話は少なく、ただただ感情が入り乱れていて、私には終着点が全く読めませんでした。そして主要キャラが全部で何人いるんだ?というぐらいいて、皆、作内で自己主張するキャラだから大変。どのキャラも魅力的なので、どこに視点を絞ろうか、すごく困ります。
王道のお話ではないです、多分、正解もない気がします。頼むから早く来月になってくれー。

登場人物は以下のような方々。
宮龍之介:高校3年生。日本人とスペイン人のハーフ。表紙の右側。父親は元からおらず、母親は死別。
古林鼎:陶芸家。龍の叔父。37歳。龍を引き取る。
高砂沙耶花(♂):カフェ店主。表紙の左側。
万座:40代、娘のいるシングルファーザー(死別)。鼎のパトロン。
十階国生:龍の同級生。
この5人は割と最初の方から出てくるのですが、途中からまだ増えます。


******* 以下は内容に更に触れる感想


龍が幼少期に幸せ薄い状態だったのに、更に手ひどい目にあっていて、今、龍が気になって気になってしょうがない。先生、お願いですから早く彼を幸せにしてあげてください(泣)早く温かいブランケットでくるんであげたい(泣)1か月も待つのが超ツライです。これは上下巻そろってから読んだ方がよかったかもという気が少しします。読む前に少し気合入れてお読みいただくことを推奨します。

9

この作品が収納されている本棚

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