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シリーズ三冊一気読み。まとめて読書メモ。
どちらかというと、絵師買い。笠井先生の絵が綺麗。
シーリズでも、下記の通り登場人物は全部別。
展開傾向と絵師が同じであるだけ。
挿絵が内容を盛り上げて、ドラマチック。
何れも二人の間に第三が入る三つ巴。
①兄弟の定理 :2018/11/10 津向總一郎,32歳x津向要斗,26歳
⓶天使の定理 :2021/03/10 貞野弦宇,27歳,x式見 槐,29歳
③隷属の定理 :2022/08/10 乃木映爾,40歳,x瀬戸佳槻,30歳,
これはオチに技アリ!ですね。数多ある兄弟ものの、さらにマイ読了ヒストリーの中では初めて読んだタイプかも。
要斗が總一郎と同居し始めてから式見が水を差しにやってくるあたりまではフンフフーン的なノリで、要斗痛々しいな〜と読み進めていたんです。ところが、二人がそれぞれの在り方に答えを出そうと心を決める辺りから、それまでに描かれてきた葛藤のうねりがどどーん!とビッグウェーブとなって迫ってくるではないですか!この爆発力を引き出す筆力が凄まじい。
血の繋がらない兄弟が一度他人となり、やっぱり兄弟でいることを選ぶ。その後は…?の回収も素晴らしすぎる。
しかも、式見によってもたらされたジェラシーやら心身の痛みやらが、じわじわと二人の中で意味を成していく臨界点までの道のりが、めちゃめちゃ恋愛してるんですよね〜。クライマックスまではいかにも恋愛の駆け引き(もちろん沙野流の)だけで埋め尽くされていて、このままのテンションをキープしていくのなら珍しいな〜と高を括っていたら、まんまとハメられました…
その恋愛心理の部分もちゃんと生かされている結末はもう、ほぉぉぉ〜……としか。説明は感嘆詞の羅列でいいって感じ笑
それと忘れちゃいけない、受け攻め間の二人称代名詞の変化が、これほど効果的にキュンを盛ってくれるパターンも貴重でした。
ラブもプレイも脇キャラも安定の沙野作品ですが、今作はなんでか式見にあまり萌えられなかったのが悲しい。大好物のスピンオフキャラなのに…。彼の、観察者としての立ち位置を貫くキャラ付けには絶対に意味があるはず。おそらく『天使の定理』ではその魅力を発揮してくれることでしょう(期待!)。
兄弟BLに平和なエンディングをもたらしてくれた本作は、まさに新定理の発見みたいな画期的作品でした。笠井先生のイラストも迫力満点!子供の頃の二人が可愛くて、何度も眺めてしまいました。
兄への気持ちを押し殺してヤンチャに振る舞うもなかなかの拗らせっぷりで…兄弟でありたい気持ちも複雑に絡み合っての三角関係!!観察が好きという曲者出現にギリギリで保たれてた均衡がいつ崩れるか…ヒヤヒヤしっぱなしでした。
兄もたいがいだけど、当て馬、式見が弟の気持ち分かりながら囲って、あの手この手で攻めるんだけど挿れないの!兄にも釘刺したり、頭の回転と作りがおかしい!良い仕事してました。
そして、何が凄いって挿絵!!!シーモア美修正でした…笠井あゆみ先生のtnk麗しすぎ!!!
うわ~…すごい、なるほど…!(´⊙///⊙`)
と思わず唸ってしまう兄弟モノでした。面白い!
まず1番新鮮に感じたのは第三者の存在。
兄弟モノは"家庭内の秘め事"で"誰にも知られてはいけない"というのが、やはりね、倫理観も手伝って「2人だけの世界」として描かれることが多いのですが(そんでソコが兄弟萌えポイントだったりしますが)、この作品はいわゆる間男的な存在が兄弟の微妙な関係にグイグイと介入してくるのですね。正直、この男がいなかったら物語は始まらなかったんだろうな…と感じるほど。
間男こと式見はミステリアスさが魅力的。
兄のコンプレックス部分を悉く手にしているという点でも、兄の焦燥や歯ぎしりが見られて萌え心がゾクゾクするのですよ…!後述しますが兄のコンプレックスは物語のキーポイントにもなっていて、式見とのコントラストが上手いなーと感じました。単なる脇役ではなくキーマンですね。個人的には最後まで何を考えているかわからない不思議な人でもあったかな。
もうひとつ新鮮ポイントは「兄弟」の意味。
長年本当の兄弟だと信じて生きてきたけれど違ってた…となったとき。欲情してしまう兄弟と血が繋がっていない安堵よりも、「兄弟」という関係のおかげでギリギリ繋がっていられた糸がプツンときれてしまうショックが勝るのですね。
兄弟だから苦しいんじゃなくて、
兄弟になれないから苦しい。
恋人関係より兄弟であることを求めてしまう。
本当は血が繋がっていないから。
というね。兄弟でいたいのに恋心を燻らせている罪悪感もあって、罪悪感を抱えながらも兄弟でいたいという、も~~~~出口のない迷路でグルグルしているような拗らせなんですよ(;///;)これ、兄弟の形に拘り続けてしまうバックボーンがしっかり描かれているので出口のなさが切ないのです。
兄:總一郎は自分だけ親にも誰にも似ていなくて家庭内で浮いているような孤独をずっと抱えながら生きてきました。生真面目さだけが取り柄、その生真面目な部分は家族と自分の大きな溝のようなコンプレックス感じているのですね。弟は親に外見も性格も似ていて妬ましさを持っていた。しかし根無し草のような拠り所のなさを家族と繋いでいてくれてたのは弟で…。
誰よりも家族と繋がりを求めている人で、心のどこかで弟を失うのが怖い感じているけれど、生真面目な性格が仇となり無理をしてしまう。"無理"が限界を達したときの涙は切なくて痛かったです。
弟:要斗。名前の由来を父親が語ったときは涙腺がゆるみました。その名の通り家族を繋いできたけれど、そのやり方が破滅型人間っぽくて危うさが…;死なないギリギリのところで自分の身を滅ぼしてまで"兄の家族"を守ろうとしていたのが切ないです。
一見面倒見の良い兄がずっと弟を守っているように見えるのですが、実際は弟がずっと守ってきたーーーという関係も見えてきて、弟が"兄弟であること"に固執するのは兄を守りたい本能的反応でもあるのかな?と思いました。
一緒にいられるなら恋人とか兄弟とか名前なんて関係ない…。という結論には絶対に至らない2人なんですね。「兄弟」であることが一番大事。この考え方が新鮮に感じてとても面白かったです…!!
血の繋がりが無かった兄を好きになった弟が、兄弟であり続けるために故意に怪我をして外科医の兄と繋がりを持ち続けようとするお話でした。
痛々しい怪我をする要斗と、全くそういう意味では弟を見ていない總一郎をどうやって恋人まで持って行くのかと思いました。
途中に式見というイケメン俳優が現れて、要斗のことは何でも理解してると絡めとって行く様子に怖気さえ感じました。
そして式見に弟を取られまいとする總一郎は、要斗のマンションに越して来て恋人になろうとするのです。
大好きな兄と恋人同士になっても不安定で式見に安らぎさえ覚える要斗に、もしかしてと読み進めながら不安になりました。
式見では無く總一郎を選びながらも「正しい答え」を探しに行った要斗に、嫌な予感を感じました。
最後まで息つけぬ展開は流石の沙野風結子先生の文章力です。
最後に2人は兄弟である事を選び実家に戻って行きました。そして兄弟で恋人なのです。
リビングにダブルベッドを置いてセックスしていました。「完璧な恋人」である總一郎では無く、ちょっと意地悪な兄の表情で抱く總一郎に要斗が凄く感じていました。
要斗は兄である總一郎に愛されて抱いて欲しかったのでした。
小2と中2の2人のイラストにゲキ萌えでした。