表題作レディ・ジョーカー(上)

あらすじ

※非BL。
空虚な日常、目を凝らせど見えぬ未来。五人の男は競馬場へと吹き寄せられた。未曾有の犯罪の前奏曲が響く――。その夜、合田警部補は日之出ビール社長・城山の誘拐を知る。彼の一報により、警視庁という名の冷たい機械が動き始めた。事件に昏い興奮を覚えた新聞記者たち。巨大企業は闇に浸食されているのだ。ジャンルを超え屹立する、唯一無二の長篇小説。毎日出版文化賞受賞作。

作品情報

作品名
レディ・ジョーカー(上)
著者
高村薫 
媒体
小説
出版社
新潮社
レーベル
新潮社文庫【非BL】
シリーズ
マークスの山
発売日
ISBN
9784101347165
4.8

(5)

(4)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
24
評価数
5
平均
4.8 / 5
神率
80%

レビュー投稿数3

小説として神。萌えポイントもちらほら

合田シリーズ第三弾の上巻。
面白かった!寝食を忘れて没頭したい作品。

上巻冒頭から読者をふるい落としにかかるのはお馴染み(?)。今作は1947年の怪文書から始まり、旧漢字が飛び交う読み辛さ。そこを超えると、今度はあちこちで起こる小さな出来事の諸々が語られる。先への布石として頭に入れつつ一章を読み終えると、二章からぐっと引き込まれる。男たちの犯罪計画から実行、そして捜査へ。
上巻は事件が表面上のみ一区切りしたところまで。

シリーズ主人公の合田は、中盤ではちらちらっと出てくる。前作「照柿」で異動になったが、所轄署員としての登場の仕方は衝撃的。優雅さと爽やかさを持っていて、合田お前どうした!?と笑いそうになる(いや合田さん年上だけども(笑))。
その後事件の捜査に加わるも、本庁のときとは違い、所轄に情報は下りてこない。しかし状況的に背水の陣なため、無茶もできずに縛りが多く、とてももどかしい。
そこを補うように記者視点で事件絡みの情報が明かされていく。

そんな中、ふいに出てくる元義兄の加納。萌えポイントが上巻内に数点ある。
まず初めて加納の口から合田をどう見ているかが語られる。第三者に向けた発言なので、何を隠そうともしていない。内容は前作「照柿」での合田についてで、加納の中にも、いろいろ思うところがあったらしいと分かる。
二人が会うことはなくすれ違いになるが、合田が所轄に異動後も合田の部屋での交流は続いているようで、加納が残す痕跡に萌えが詰まっている。

合田と加納は気になるし、事件の展開からも目が離せない。文庫三巻分の長編小説だが、エンジンのかかりはかなり早いと思うので(高村薫作品内での比較で)、前作「照柿」より格段に読みやすい。
読書の楽しみと興奮を十分すぎるほどに味わえる。とても好き。

※この作品も単行本から大幅な加筆修正後に文庫化されており、匂い系としておすすめするのは文庫の方、かな。んでもやっぱり勢いの感じられる単行本も面白くて好き。

(他にレビューが無いので投稿するか迷った。萌え特化で書けなくてごめん)

3

半田刑事と根来記者

LJ萌えがとまらず、合田雄一郎と加納祐介の元義兄弟のことが頭から離れないので、上巻から読み直し(主に2人に関する部分)萌えの感想を書かせていただきます。

まず半田刑事(LJ一味)と雄一郎の関係。半田は完全に雄一郎に魅入られてしまっています。出会った時から「何で俺を見た?」といいがかりをつけ、4年後に街で偶然再会した時も立ち話後、妻との待ち合わせも忘れ雄一郎をストーカーして、教会でバイオリンを弾いている姿を覗き見します。そしてその端正な刑事を苦しませてすすり泣かせたいという歪んだ欲望を感じます。もしBLだったとしたら最高の悪役。雄一郎もまんまと挑発に乗ってしまいその後危険を冒す。彼を狂気の世界から(精神的に)救ってくれたのは祐介。頼れるヒーローです。雄一郎の体には祐介の血が流れている…これある意味BLよりエロいんじゃないか?と思ってる。

次にLJで元義兄弟を語る上で記者の目から非常に重要な証言の数々をしてくれる東邦新聞の根来記者。雄一郎に対しては切れ物の一課の刑事の脆さや若々しさが印象に残ってた様子。加納検事評は折り目正しさが付け足しでない端正な顔の特捜検事。そして彼の語る私生活に登場する唯一の人間が元義弟の合田雄一郎とのこと。さすがエリート記者、よく見てるわー。

雄一郎はと言えば誕生日に祐介が買ってくれたTVを眺め、日々祐介への想いを募らせている様子。家の近くで似た服を着てる人を見て祐介と間違え、そういえば一昨日来たばっかりだったと思い出す。何だか恋煩いの乙女の域に入ってる気がします。
 



それにしても、便宜上だけでも攻め受け欄に名前が入ってないのは、やはりLJファンの間で加合派と合加派で戦争起こさない為の配慮ですよね。加納(ヘタレお兄ちゃん攻め)×合田(意外と甘えたな泣き虫受け)だと私は思ってますが、情報登録はやめておきますわ。新参のLJファンなんで。まあ実際?どっちかわからないし、掘り合うまでしてないかもしれないけど、舐め合い触り合いくらいはしててほしいなと思います。…本当下品でごめんなさい。純粋原作ファンの方ごめんなさい。

やっぱ2人はあれですよ。ソウルメイト、魂の友っスよ(今さら白々しい)。

2

ページを捲る手が加速する

合田雄一郎刑事シリーズ3作目。
上下巻の単行本を読んだので、上巻の感想をこちらに残そうと思います。
単行本の上巻には合田が城山社長の警護に任命されたところまでが収録されています。

前2作品と同様に読み始めから、作品に没頭できるまで時間はかかります。
本作は警察組織、新聞記者に加えて大企業や総会屋、同和解放など私の知識に無い情報や設定、単語を調べたり読み解くのに少し苦労しました。
しかし事件が進むにつれて、萌えのために読んでいたはずが、それも忘れて没入していました。
スケールも壮大で、絡み合う当時人物の関係性や思惑が複雑かつ巧妙。

合田は本庁から所轄に移動となり、すっかり毒気の抜けた感じで登場します。
自転車で通勤し、バイオリンなんか習い始めちゃってるのですよ…これはかなり前作の件がこたえて、腑抜けちゃったかなぁと思いきや、時々覗かせる野性味や元来の勘の鋭さは健在の様子。

相変わらず義兄は合田宅を掃除したり、世話を焼いてる様子で…。
加納の友人である新聞記者から見た2人の関係性の描写には劇萌えでした。
やっぱり側から見ても、そうなんだ…って感じ。
"義弟に対する親密な情"がダダ漏れてるんですね。
義兄さん、合田に"ほ"の字だと友人にバレてますよ!

2

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