ヤッたら俺のこと愛してくれる?

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表題作俺とセックスしてください

晴海(高3・学級委員)
成瀬夏夜(高3・落ちこぼれ)

同時収録作品俺とセックスしてください

成瀬のセフレ
成瀬夏夜 高3

同時収録作品what a wonderful world

真緒(α)・高校生
颯(Ω)・高校生

同時収録作品ある真夏の出来事

鷹野始(高校生・ヨウジの親友でクラスメイト)
鵜飼ヨウジ(田舎で暮らす弱気な高校生)

同時収録作品ハチミツデイズ

一家光輝(八州夫の隣に住む同級生)
曽根崎八州夫(引っ越してきたいじめられっこ)

同時収録作品鬼はそと、福はうち

七福(山中で暮らす陶芸家)

その他の収録作品

  • 俺と愛し合ってください(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

見返りを求めずに優しくできる人間なんていない――
性的虐待を受けて育った成瀬(なるせ)は、自分が愛される術は「セックス」しかないんだと思い込んでいる。
だから面倒見のいい学級委員の晴海(はるみ)もきっと、セックスがしたくて親切にしてくれるのだと思っていて――

作品情報

作品名
俺とセックスしてください
著者
恋煩シビト 
媒体
漫画(コミック)
出版社
三交社
レーベル
Charles Comics
発売日
ISBN
9784879197498
3.6

(41)

(12)

萌々

(7)

(20)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
148
評価数
41
平均
3.6 / 5
神率
29.3%

レビュー投稿数11

とにかく鬼の作画が素晴らしい

167ページでしかも短編集なのにこの密度!
200ページ以上ガッツリ読んだぐらいの満足感が残りました。

全部で5つの話が収録されていますが、①④で虐待描写、④はさらにタヒネタ含むので地雷の方は注意。

①表題作
アンソロ「トラウマBL」からで、全2話。
表紙のサブタイトルに「Will you love me if you have sex?」と書かれているのがテーマです。
こんなところにそっと英語で忍ばせるなんて粋だな~。

②「what a wonderful world」
アンソロ「開発BL」より。
オメガバと月の満ち欠けを掛け合わせた珍しい設定です。
この頃(2016年)から画力がグッと上がられて、ページによっては見とれてしまうほど美しい。
特に見開きの、月をバックに凄む攻めの迫力たるや。
受けがちゃんとタッパのある男らしい男性なのが個人的に萌えポイントです。

③「ある真夏の出来事」
アンソロ「怪談BL」より。
怪談好きなんでよく実体験とか聞くんですが、乗っ取られた人ってホントにこんな感じに、自分の意志とは無関係に体が動いてしまうらしいですね。

④「ハチミツデイズ」
アンソロ「心中BL」より。
たひネタは地雷ですが、このシビトさん作品なら受け入れられました。
でも猛烈にせつなくて苦しい。

⑤「鬼はそと、福はうち」
アンソロ「バケモノBL」より。
本作で一番好きな話です。
これだけで☆5にしたと言っても過言ではありません。
美しい・・・!鬼が美しすぎる!
「泣いた赤鬼」という童話を思い出しました。

最後のページに全CP(③の攻めの代わりに幽霊)の描き下ろしイラスト(おそらくカバー裏?)が載ってるんですが、このページのお陰で大変ほっこりして読み終われました。
これがなかったら悲しい気分で終わってたw
②の受けが攻めを抱きしめる図がなかなか珍しくて良い!

以上、シビトさんの短編集って結構コレクターズアイテム的な位置づけと思ってたんですが、本作は違います!
地雷さえクリアなら一見さんにもオススメできますし、あるいは他の著作を履修済みの方で、さらなるシビト体験をお望みの方へも自信を持ってオススメできます。

0

心に余裕があるときに読むべき作品

恋煩シビトさんの作品を読むといつもモヤっとしたものが胸に残ります。
わたしと同じように感じる方は、この短編集にモヤモヤばかりが募ると思います。悪い意味ではなく。
ひとが普段は表に見せない弱みをいとも簡単に暴いたり曝け出したりしておいて、その状態で放り出される。作者さんは問題提起するだけで、どう答えを出すかは読者に任せる。
軽くさらっと読める作品を求めているときには向きません。こころと頭に余裕があるときに読んでほしい作品です。

【俺とセックスしてください/俺と愛し合ってください】
この作品はそんなに悩まずに読めます。
表題作はよくある設定だったものの、それだけに恋煩シビト節が際立っていた気がしました。
幼少期からの不幸な境遇のせいで見えない心のつながりではなく、実際に目に見えて触れられる体のつながりしか信じられない少年の話です。
こういう設定だとふつうは…という展開にしないで、ちょっと曖昧に見せながら最後にさらっと答えを見せる憎い演出が効いてました。

【what a wonderful world】
オメガバースものです。人間としての感情vs動物の本能。勝つのはどちらか。
最後のページの表情もラストのコマもとても印象的で、深読みや余韻妄想がとめどないです。

【ある真夏の出来事】
妖怪的な何かの話です。取り憑かれた状態で起きたことをどう言い訳するのか、どう収めるのか、この先どうなるのか。すべては読者の読み方次第という作品でした。

【ハチミツデイズ】
甘いタイトルとは裏腹にシビアな内容でした。

【鬼はそと、福はうち】
この作品も表題作同様、あまり考えずに読めました。5つの中で一番おすすめです。
陶芸家と鬼。存在しているだけで恐れられる鬼の心情が…。切なかったです。

1

オメガバースの短編がセンスいい!

トラウマ、開発、怪談、心中、バケモノといったマニアックなお題のアンソロに掲載された作品群を1冊に纏めた短編集です。

私のイチオシは『開発BL』掲載の「what a wonderful world」。
これ、オメガバースなんですが、発情の描写なんかがどちらかと言うと人狼モノっぽくって、作品の雰囲気もゴシックホラー的な感じで画的にめちゃくちゃかっこいいんです!
座裏屋蘭丸さんの「コヨーテ」とかね。ああいう雰囲気の世界観が好きならちょっとワクワク出来ると思う。
そしてそして!
Ωからみたαのカリスマ性とでも言いましょうか、αを絶対的強者と位置付けるのならこれぐらい圧倒的であって欲しい!と思わず思わされるような、そんな風にαとΩの関係性を描くシビトさんのセンスのカッコよさよ…!
哲学色強いシビトさんの作風も相まって、非常にグッとくる作品でした。
もうねぇ、満月をバックにすげー状態で致してるんだけど、それすらもはやなんだか視覚的にカッコいいもんねぇw
こういう雰囲気のオメガバースならオメガバース苦手な私からしてもかなり「アリ」◎
本作のおかげでオメガバースの可能性を新たに感じることができました。
短編でBL的にはこれからってところで終わっちゃうので、続けて描いて欲しい度1200%です!

このコミックは初読みにはちょっと不向きかもしれません。
どのお話も萌え切る前に終わる不完全燃焼エンドな感じで・・・雰囲気を例えるならば「世にも奇妙な物語」的な。
読み物としては十分なんですけど、BL脳的にね。どのお話もブツッと途切れる感じなので「もっと読ませろー」って叫びたくなりました。
先に他のコミックでシビトさんの作風を知ってから手に取るのがオススメかな。

【電子】シーモア版:修正白抜き、カバー下○(イラスト)、裏表紙×、特典ペーパー付き

2

読後、想像膨らみます

いくつかアンソロジーで読んでる作品もあったのですが、未読のものや描き下ろしが読みたかったので購入しました。

あとがきで「もう少し描けたらいいなーというものも中にはある。また機会があれば掘り下げたいなー。」とあり確かにもっと先が読みたくなるものもありますが、短編として不足している、物足りないという訳ではなく、魅力的な世界を垣間見せてもらえたからこそ興味を抱けて彼らの先をもっと知りたくなるという類のものでした。
個人的には【鬼はそと、福はうち】が一番好きです。

【俺とセックスしてください】トラウマBLより
トラウマ=義父から性的虐待を受け続けてきた成瀬(受け)のお話。
「大好きだからセックスするんだ」と義父に言われて犯されてきた成瀬だけど、描き下ろしで「好きだから抱きたい」と晴海に言われて、全く同じ文章でも全く逆だということに気づけたところに救いがありました。

【what a wonderful world】開発BLより
オメガバース初読みです。オメガバースの自分の意思とは関係なしに発情しちゃうというのが好きではなかったのだけど、煌々と輝く満月と共に登場するαの真緒の凄み、存在感といったら。
海の水だって月の引力で引っ張られるのだから、人間だって何らか反応せざる得ないよね…となんか腑に落ちてしまったのでした。真緒が「偉そうにいくらしてたって本能の奴隷だ」と語るシーンがあるのだけど、その台詞と相まって、人間の意思なんて所詮ちっぽけなものに過ぎないのかもしれないと思ったのです。

【ある真夏の出来事】怪談BLより
家の蔵にあった桐の箱に入った鏡。それをうっかり開けてしまってからというものの…。
本当に恐ろしいのは鏡の中に入っていたものではなく、己の奥底に眠る欲望なのかもしれない。

これからどうなるんだろうなぁ…とあれこれ想像が膨らむ終わりで好きです。

【ハチミツデイズ】心中BLより
これはアンソロジーで読んだ時に愕然とした記憶があります。だけど「心中」BLなので心中意外の結末はなくて当然なのだけどやっぱりやりきれないです。

【鬼はそと、福はうち】バケモノBLより
「人間というのは…鬼というだけで恐れ痛めつけてくる。」この台詞が哀しく響く作品ですが、きっと二人幸せになれたのだろうと思える終わり方で好きです。
新作の「パンデモニウムより愛をこめて」に繋がるテーマだと思います。しかし、鬼のがすっごい巨根で腕より太そうなのがちょっと心配…。


3

ダーク短編集

恋煩シビトさんは、ダークなんだけどなんだか切なくてジーンと来るものが多いですね。こちらはアンソロジーに描いていたものを集めた短編集でしたので、テーマが色々ありましたがどれも暗めです。

私は表題作よりも二番目のオメガバースがテーマの作品が好きでした。運命の人に出会ったときの嗅覚と言うか、急に二人が覚醒するシーンがゾクゾクしました。もう、そうなると外とか人の目とか関係なし!正に獣でした!短編なので、その後の二人の関係とか、周囲の反対とかまでが描かれていないのが残念ですが、ガオーッ(`□´)ってところで終わるのがまた恋煩シビトさん的で良かったのかも。

1

もっと読みたい寸止め感

シビト先生大好きです!
本作は、読み切り短編集です。色々なアンソロジーからの収録作となっています。

「俺とセックスしてください」「俺と愛し合ってください」
初出は「トラウマBL」。子供の頃の性的虐待から、見返りのない愛情を知らない成瀬。自分を好きだ、という初めての関係に戸惑う…
爛れまくった自分でも、ただのキスがこんなに怖い。この2人が普通の恋人になれますように。

「what a wonderful world」
初出「開発BL」。オメガバースです。
オメガバースものって基本エロいイメージありますが、本作もまあ!エロいです!もうとにかく絵が素晴らしい!
満月の下現れるαの真緒の、正に支配者の持つ凄み!Ωの颯の少し怯えた目付き!

「ある真夏の出来事」
初出「怪談BL」。
家の蔵にしまわれていた箱を開けてしまったヨウジ。箱の中には一枚の鏡が…
こうなるだろうなぁという展開がその通りに始まります。怖いですよ〜。

「ハチミツデイズ」
初出「心中BL」。
短くて、多分読み手が沢山想像力を働かせなければいけない作品。つまり衝撃的。
中1で出会って、八州夫をいじめから守ってきた光輝。そんな光輝を愛する八州夫。2人はなぜこんな結末に?

「鬼はそと、福はうち」
初出「バケモノBL」。
人里離れた山で作業する若き陶芸家。節分の夜「鬼」がやってくる。
鬼の孤独、それは疎まれる哀しさ。2人なら寂しくなくなったかな……

ところでこの題名、ハードル高いでしょ。実店舗で購入しましたけどね!

6

ダークめの短編集

義父から性的虐待を受けて育った高校生の受け。そのせいで、人が自分に優しくするのは身体が目当てだと思っている。学級委員の攻めが自分に優しくしてくれるので、彼も自分と寝るのが目的だと思っていたのだが…。


あらすじを見た時点では、表題作がいちばん痛いお話なのかと思っていたのですが、実際は可愛らしいお話でした。
義父から性的虐待を受けていたし、今も寝ることによって金銭を得たりしているので、自分に優しくしてくれる人はみんな自分とセックスしたくてそうしているのだと思っている受け。でも勉強を教えてくれたり、色々骨を折ってくれる攻めは、ただ受けが好きだから優しくしてくれると言います。

「セックスしたいから優しくする」と「好きだから優しくする、好きだからセックスしたい」の違いを受けが理解するまでのお話でした。
でも、身体が目当てではないと証明するためにセックスは当分しないのかと思っていたのですが、あっさりエッチしちゃっていて拍子抜けしました。なんか「セックス目的じゃない」と証明するにはちょっと説得力が足りないような…。
でもエッチシーンはなかなか肉感的で、エロくてよかったです。


表題作は可愛らしかったですが、他の収録作はすべてダークめでした。
オメガバースがあったり、人外ものがあったり色々でしたが、いくつかの作品はメリバというよりはただオチをつけていないような印象を受けました。起承転、で終わっているというか…。
個人的にはバッドエンドでもハッピーエンドでもいいのできっちり終わらせて欲しかった気がします。
最後に載っていた、鬼と人間のBLは結構好きでした。これもメリバ気味ですがちゃんと終わっていたし、はぐれ者同士が身を寄せ合って…という雰囲気が切なくてよかったな。

5

読み足りない…

シャルルのテーマアンソロジーに掲載された作品をまとめた短編集。

「俺とセックスしてください」:トラウマ
学級委員の晴海は、問題児の夏夜をなにかと気にかけ面倒をみる。
夏夜は義父から性的虐待を受け、それが母にバレてから家庭に居場所がなく、自分ができることはセックスしかない、晴海の好意も最初はカラダ目当てだと疑っていたけれど…
晴海のまっすぐな一言が、夏夜の頑なな心に楔を打って崩していきます。
続編「俺と愛し合ってください」はその後の二人。寡黙そうな晴海だけど発する言葉はやっぱりまっすぐで、それを戸惑いながら受け入れていく夏夜がかわいい!

「what a wonderful world」:開発(オメガバース)
真緒(α)と颯(Ω)は良い友達だったけど、発情期を迎えて、本能むき出しに貪り合う。怪しい満月や、颯が真緒の臭いにどうしようもなく惹きつけられるとことか、雰囲気があるのだけど、ページが少なく…読み足りない。

「ある真夏の出来事」:怪談
気が弱くいじめられっ子のヨウジは、蔵で封印されていた鏡を見つけて以来、いじめっ子にやり返し、いつも助けてくれた親友の鷹野に迫り、自分が自分でなくなっていくことに戸惑って…
クライマックスシーンで話は閉じますが、余韻が残る良い終わり方です。

「ハチミツデイズ」:心中
DV父を持つ光輝と、いじめられっ子の八州夫はお隣同士で関係があり、お互い守ってあげたいと思い合った結果のメリバです。八州夫がなぜそうなったのか描かれてないので、私にはイマイチ理解できないお話でした。

「鬼はそと、福はうち」:バケモノ
寂しい鬼と寂しい人間が寄り添うお話。作品全体から寂しさが漂ってくるけど、ハッピーエンドだと思うから読後感は良いです。

お題ありきの短編で、話はまとまっているものの、始まる前の二人の関係やその後などもっと読みたい!と感じる話が多かったです。シビト先生もあとがきで「描き足りない」と仰ってます。
企画もののアンソロジーで出版社の意向もあると思いますが、ページ数をもう少し増やして話を膨らませてくらたらいいのにと思いました。

『性癖BL』に掲載された「食べたいくらいに」は、シビト先生曰く「やりすぎた」そうで収録されていません。死体性愛(ネクロフィリア)がテーマで、悲鳴あげたくなるくらいすごい話なので興味がある方は『性癖BL』(電子はR18のみ収録)でご覧ください。

4

切なさMAXでした

作家買いです。明るいトーンに、美人さんの表紙。美しい!
が、タイトルがね、リアル書店じゃ買いづらいよ…。

非常にシビトさんらしい1冊だったかな、と思います。短編集で5CPのお話が収録されています。
内容をざっくりと。ごめんなさい、ネタバレしてます。





表題作『俺とセックスしてください』
子どものころから母親の再婚相手の男(「父親」とは言いたくない)に性的虐待を受けてきた成瀬。それが母親にもばれ家庭で孤立してきた彼にとって、見返りなく愛情を注いでくれる人はいないとかたくなに心を閉ざしています。
学校にも不登校気味の成瀬くんは「誰とでも寝るゲイ」と友達からも嘲笑されていますが、本人は全く無関心。登校日数が足りないこと、成績が悪いことから卒業を危ぶまれていますが、そんな彼に勉強を教えると声をかけてきたのが同級生の晴海。
晴海も自分の身体が目当てなのだろうと思う成瀬くんの思いとは裏腹に、何の見返りも求めない晴海で…。

というお話。

虐待されてきた成瀬くんが、自分は価値がない人間だと思い込んでるさまがなんとも切なかった。それを自分で認識していないところがまた哀れ。
そんな彼に、深い愛情を注ぐ晴海が男前でした。

『what a wonderful world』
αの真緒。βの両親を持つのにΩの颯。高校の同級生で親友の彼ら。
自分はβだと信じて疑わなかった颯ですが、実際はΩで、発情期がきてその事実を知ります。
満月の夜に発作を起こしてしまった颯は、友達でありたいと願い続けた真緒と関係を持ってしまい…。

お互いに体を求めてやまなかったのは、発情期の発作によるものか、それとも愛情なのか。

『ある真夏の出来事』
気が弱く、ともすればいじめられがちなヨウジ。
そんなヨウジをいつもかばってくれる始。
始のことが大好きで、いつまでも親友でいたいと願っていたヨウジですが、ある日、家の蔵で探し物をしているときに祖父に開けてはいけないと言われていた箱を開けてしまいます。
それ以降、自分の意思とは無関係に友達に粗野な態度を取ってしまったり、挙句の果てに始を押し倒してしまい…。

自分の心の奥底にある願望が具現化してしまったことにより、親友であった始と関係を持ってしまったヨウジがなんとも哀れでした。いや、でも、始もヨウジのことが好きなんだと思うんだ。
内容はもしかしたらこの作品の中で一番マイルドなんじゃなかろうかと思うのだけど、「箱の中身」がめっちゃ怖かった…。

『ハチミツデイズ』
子どものころから父親から体罰や虐待を受けてきた光輝。
その光輝の隣に越してきた八州夫。
いじめられっ子の八州夫を、何かと気にかけ守ってきた光輝。お互い、恵まれない環境の中傷をなめ合うように体の関係を持つようになるのだけれど、ある日、光輝の父親と八州夫がこと切れているのを光輝が発見して…。

自分の恋愛感情に気づく前に体の関係を八州夫と持ってしまっていた光輝ですが、八州夫を失って一番大切なものに気付いた光輝が切なかった。そして、その時に彼が選んだ選択にも。
彼らを取り巻く状況がもっと優しいものであったなら、彼らの「これから」は光り輝くものであったろうに、と落涙しました。

『鬼はそと、福はうち』
山の中で一人孤独に制作活動をしている陶芸家の七福。
そんな七福のもとにある日けがをした青年が訪れて…。

ただ見た目が人とは異なるというだけで迫害されてきた鬼。
そして、自分も孤独であるがゆえに彼の孤独に共鳴してしまった七福。
彼らが、これからずっと幸せでいられることを願って。

シビトさんらしいというか、優しく穏やかな作品ではありません。読み手を選ぶ作品かなと思いますが、個人的にはすごくツボに入りました。

耐え難い孤独。
愛情に飢えた哀しい魂。
相手だけを求める執着心。

全て短編なのでちょっと物足りない。もう少し読みたいな、と思うところで終わっているのですが、それがまた余韻を残していい感じでした。
シビトさんがあとがきで「もう少し描けたらいいな」というものもあると書かれているので、またどこかで続きを描いてくれると嬉しいな。

12

ポッチ

小花インコさま
コメント、ありがとうございます。
あら、BLの世界へようこそ!沼にどっぷりとつかっちゃってくださいませ(笑
なかなか手に取りづらいタイトルですよね。でも、中身はとても素晴らしい作品なのでぜひ堪能してください。
拙いレビューですが、少しでもお役に立てると嬉しいです。
ありがとうございました!

小花インコ

本当、買いづらい ですよね‥。
半日この一言がぐるぐるして笑わせて頂きました。
もちろん電子書籍で購入しました。
コロナ禍で漫画にハマりBL初心者です。
ポッチさんのレビュー
参考にさせて頂きたく思います!

独特なテーマの読み切り短編集

好きな方はきっと好きな一冊だと思います。

表題作以外に4作品を収録。
「トラウマ(表題作)」・「オメガバース」・「怪談」・「心中」・「人外」がテーマの作品が含まれます。切ない感情が描かれ、ダーク・シリアス寄り。ラストはどれもまとまっていると思うのですが、続きが気になる終わり方ばかりでしょうか。あとがきにて、機会があればもう少し掘り下げて描きたいと思う作品がいくつかある...とお話されていました。表題作は描き下ろし含め50ページ。全作エロあり、修正は白抜きです。

<収録作品と初出>
■『俺とセックスしてください』初出:トラウマBL
■『俺と愛し合ってください』:表題作描き下ろし
■『what a wonderful world』:開発BL
■『ある真夏の出来事』:怪談BL
■『ハチミツデイズ』:心中BL
■『鬼はそと、福はうち』:バケモノBL

私は『ある真夏の出来事』と『鬼はそと、福はうち』が特に好きでした。前者は怪談的な怖さは少ないと感じますが、そこもよかったです。彼らの恋はこれから始まって"しまう"のだろうか…予想したくなって、ゾクゾクしますね。そして後者の人外もの。バケモノといわれる鬼も、やさしくて寂しい彼も……。こちらで〆られていることによって、よいエンディングに感じる一冊だと思いました。

表題作『俺とセックスしてください』は、義父に犯されて以来、「愛している」とか「好き」という言葉はセックスのためにあると思い続けてきた受けが、その考えを覆される話。


メモ「カバーデザイン:小石川ふに(deconeco)」

8

直球タイトル〜

シビト先生の新刊出る!絶対買う!
しかも初のオメガバースらしいと言う情報のみで即買い。
よく説明読めばよかった〜短編集でした。
しかも表題の作品(表紙の主人公)はオメガバースじゃないお話でした。2話目がのみがオメガです。

いつも通りの少しシリアスな短編もよかったですが、ん〜、全編オメガにしてもよかったのではと思ってしまいました。

1

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