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表題作ボナペティ!

花井瑠可,ビストロオーナー
有村葉,19歳,天涯孤独のフリーター

その他の収録作品

  • いつまでも、いつまでも
  • あとがき

あらすじ

葉が最後の晩餐に選んだのは、近所のお洒落な小さいビストロ。
そこにはいつも幸せそうに微笑む店主がいて……?
甘くて切ないロマンス♡

作品情報

作品名
ボナペティ!
著者
月村奎 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524837
4.3

(243)

(129)

萌々

(75)

(30)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
24
得点
1039
評価数
243
平均
4.3 / 5
神率
53.1%

レビュー投稿数24

ボナペティ、葉くん・:*+.

ものすごく、ものすごーーく良かった。。

月村先生の作品を読むのは『ロマンス不全の僕たちは』『恋愛小説家は恋が不得意』に続き3作目なのですが、こちらの『ボナペティ!』が一番私好みでした。

とにかく不憫な葉が救われてくれ〜…!と願いながら読み、瑠可に保護され(←ちょっと表現おかしいですけど;)、体も心も文字通り救われていく様に、胸がじーんと震えました。

設定、キャラクター、月村先生の文体、木下けい子先生(←大好きです。。)のイラスト、文庫本のちょっと白っぽい?紙の色まで…全てが完全に調和していて、大切に大切に何度も読み返していきたい一作になりました。

なんといっても、受けの葉くん(の境遇)が本当に不憫で不憫で…
私自身は「その日の食費もない…」というほどの経験はしたことはないのですが。

「なんとかして稼がなきゃ!」と必死になっていた頃が自分にもあり、それを思い出して勝手に葉くんと重ねてしまい、ページ最初の方からうぐぐ…と涙を堪えながら読みました。

「ありがとう」よりも先に、いつも「ごめんなさい」が出てしまう葉くん。
幸せは勝手に転がり込んできたり、急になくなったり、自分ではどうしようもないもの、コントロールできないものだという思いから、幸せだと感じても、常にどこか不安に思ってしまう心。

そんな葉くんの考え方・心に、終盤で瑠可の言葉が新たな風を吹き込んでくれるシーン。

そうだよー!幸せは自分で選びとっていいんだよー!と、うるうるしながら一人ガクガク頷いていました。

そして年上ビストロシェフ瑠可の、さりげない気の配り方(行動も言葉選びも)の素晴らしさといったら…
大人で小粋でスマートで、読んでいて本当にうっとりしました。
これぞスパダリ様・:*+.

作品のタイトルどおり、瑠可の作る美味しい料理と、幸せな毎日を、これからもずっとずーっと”召し上がれ!”と葉くんに言いたい。

はぁ…甘く幸せなこの気分を噛み締めて、今夜は心地よく眠れそうです。

1

Bon appétit!

Bon appétit!、
「appetit(食欲)」なので、「良い食欲」=「たらふく食らえ」という意味。
食欲に溢れている人に対して使う「召し上がれ」で、フランスの上流階級では下品だと嫌って使わないそう。

花井瑠可:ビストロ・ルカの美貌のオーナー、実はゲイ。 
花井瑠偉:心臓病で亡くなった瑠可の弟。葉に似ていた。

有村 葉:19歳,父が病死。中卒で就職して以来ずっと不幸続き。

田畑 由麻:瑠可の幼馴染、産休に入る。
高橋健太郎:アルバイトの大学生。
大和:瑠可の元彼、ビストロの常連客。

・・作品の紹介文が、凄く哀れっぽい。
葉は自殺を決意。「最後の晩餐」の為に瑠可の店に入る、
 でも食べる前に栄養失調で失神、料理の支払いは所持金不足で出来ない。
 家賃延滞で大家に強制退去をされていた。

訳ありの葉を、瑠可は強引に住み込みのバイトとして雇い入れる。
最初は戸惑っていた葉は、瑠可の亡くなった弟の事を知り、
 受けた親切を無駄にしたくないと、瑠可の為に生きる=死ぬことを止めることにする。

瑠可は、店をのぞき込む痩せた葉が、ずっと気になっていた。
美味しい食べ物で太らせて、食べごろになった葉の心を手に入れる。

本当に死にたい人は、最後の晩餐を思いつかない。
葉は、心では諦めても、本能で「生きたい」と思っていたんだと思う。

ハピエン。



1

おとぎ話のような恋

作品の中で主人公葉くんの恋を友人が「おとぎ話のような」と例えているけど、確かにそうだなと思いました。
スタートはなんでこの子がこんなに不幸なの?
不幸は不幸を読んでしまうものなのかなと思うくらい。栄養失調状態で、この子が本当に素敵な受け様になれるのか心配したくらいです。
無事に攻め様と出会ったあとは少しずつ健康になり幸せになっていくところや、全ての人に感謝したりする所がすごく純粋でおとぎ話のようだなって思います。
幸せが続いて不安が付きまとう気持ち、よく分かります。今まで不幸だった分、余計に不安だったんじゃないかな。
おとぎ話のように読後感が凄くいい。幸せな気持ちになれます。
月村先生のお話には木下先生のイラストが良くお似合いです。さらに温かい気持ちにしてくれました。
葉くんには、もっと幸せになってもらいたいですね。

3

萌と中立の間くらいでしょうか…

帯にある「このBLがやばい2019年度版 BL小説ランキング2位」をみて、期待して読みました。
たしかに、瑠可(攻)がつくる美味しそうな料理、ビストロの優しいスタッフ、葉(受)に対して優しく接する瑠可など、気持ちがあたたかくなる部分もたくさんあり、最後はハッピーエンドでホッとしましたが…。

しかしながら、それ以上に、天涯孤独で貧乏で、それなのにあるトラブルでバイトをクビになってしまい、あまりにも不幸だらけな葉が可哀想すぎて、読むのがしんどくなってしまいました…。
ずっと憧れだった瑠可のビストロで人生最後の食事をしようと決意して店に入ったものの、全財産でも食事代が足りず、挙げ句の果てに栄養失調で倒れてしまい…。
この辺りで、葉の惨めな気持ちが伝わってきて、読んでいると苦しくなってしまいました。

皆さんおっしゃるように、素敵な作品です。
だけども、心が疲れているときに読むのは向いていないかも…と、私は感じてしまいました。

0

試し読みで既に涙...

人生の終わりに食べ物の施しに救われる話というのはいくらでも泣けるのです。
このお話自体も登場人物たちの言動もシンプルながらおいしい料理のように優しく、幸せな気分になりました。

もとから主人公の葉くんは感性が良く素直で、不幸に生きてきた疲弊や自虐的な思考が、食べ物で変わる体型と同時に、出会った人々によって考え方や哲学のようなものが豊かになるのがポジティブで良いです。
それでも惹かれた瑠可にはいじらしく好きと言えずグルグルする展開はとっても美味しい…

窓を覗く男の子(葉)が可愛いと思っていた瑠可、いつも自分の作った料理を涙をこらえて食べる葉はとても愛おしく、痛々しくも可愛かっただろうなと思います。
瑠可のプレゼント内容は理由を打ち明けられてもオイオイと突っ込むしかないですが…笑
行為シーンは恥ずかしがりで大好きな瑠可に感じ過ぎていきすぎる葉が可愛すぎて滾りました。
挿絵、もっと体型や顔つきの差を出して欲しかったです。

ごめんなさいと連呼する葉。私は葉ほどの不幸はないけれど、この自己肯定感の低い考え方はかなり似ているものを持っています。
実際に似たようなことを言った経験もあったので、それが痛いほど共感できて泣きながら読みました。
葉が優しく受け入れられ、また新しい考え方(自分で選択するということ)を与えられていくことは大切な人が出来ることと同じくらい、生きていく上で重要です。
心底優しいお話に、読んでいるこちらも心を解された気分になりました。

2

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