• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作冬色ドロップス

白井豊樹
伊吹に想いを寄せる高校生
高丘伊吹
怪我で入学が遅れたクラスメイト

その他の収録作品

  • Present for you
  • 春色ドロップス
  • 七色ドロップス(書き下ろし)
  • クリスマス・ドロップス(書き下ろし)
  • 夏の渚とドロップス~あとがきにかえて(書き下ろし)

あらすじ

幼なじみの豊樹(とよき)と洋平(ようへい)は、高校に入学して伊吹(いぶき)と仲良くなった。伊吹は受験当日に交通事故に遭った自分を助けてくれたという洋平を密かに想っているのだが、豊樹の片思いの相手は伊吹だった。伊吹の恋を応援する豊樹。ひと触れで均衡が壊れてしまいそうな十代の恋と友情の行く先は……?

作品情報

作品名
冬色ドロップス
著者
尾上与一 
イラスト
さがのひを 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344846197
4.1

(76)

(38)

萌々

(21)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
16
得点
304
評価数
76
平均
4.1 / 5
神率
50%

レビュー投稿数16

まっすぐピュアな刺激が眩しい

ワタクシ尾上先生養分を定期的に摂取しないとだめになる疾患のようです。
キャンペーン中のこちら即ポチ。
(10月上旬までのところ多いです!)
この作品眩しすぎるー!甘党の私には嬉しいかぎり。
萌え倒れるかと思いました⋯。
以下タバレ含みます


ある冬の出来事をきっかけに起きる出会いと恋心。
自覚したときの鮮烈な気持ちが迫ってきます。
ドロップ占いという小道具に証拠を秘めて告白に至るシーンが激萌え。
ですがここが最上ではなかった。
お話事に「END」マークがつきますが、まだまだ序盤でした。

お付きあいが始まって、可愛らしい2人に、激しく動悸息切れが⋯(大丈夫?)
読んでいる途中で伏せってバタ足してしまった
ヾ(⌒(ノ,,> <,,)ノバタバタ
ピュアすぎて刺激が強いってどういうことだろう。(先生の手練です)
汚れちまった自分にまだときめく感情があることが驚きですが
尾上先生いざなってくれてるのですね〜。

そして季節が巡るごとに愛を育み、素晴らしいエンディングが。甘くてさわやかで幸せな読了感。
キラキラ眩しい二人でした。

0

青い春が眩しい

高校受験の日の朝、第一志望校の近くで豊樹は交通事故を目撃する。はねられたのは別の学校の学生で、豊樹は救急車を呼び警察からの事情聴取にも応じ病院にも付き添っていったため、受験することが出来なかった。
その後、幼馴染みの洋平と同じ高校に入学した豊樹は、事故の怪我で入学以来休んでいて5月に復帰したクラスメートが、受験の日に自分が助けた相手だと分かる、というお話。
この表題作のほか、続編やらSSやら全部で6編収録。連作短編集。

というわけで、ピュア中のピュア。真っ白なピュアッピュアな光線を浴び続けました。
めちゃくちゃ可愛いです。可愛いだけでなく真っ白です。
自分は相手を好きなのか、この好きはちゃんと恋愛の好きなのか、付き合うってどういうこと。
悪い人は一切登場しません。穢れた大人も登場しません。ピュア男子を愛で、感情に寄り添います。
初めてのエッチよりもファーストキスの方が尊すぎて、赤面ものでした。ひー。
クリスマス会にお泊まり会。なんなら二人で勉強したりする。喧嘩して、謝るために夜会いに行ったりする。
青い春が眩しいです。
大学生になっても大人になっても一緒に居る。そういう奇跡のような関係性の、はじまりの物語。
ちなみに缶のドロップが登場しますが薄荷の扱いに泣きました。薄荷はハズレじゃないよ当たりだよ(←薄荷好き)

0

爽やかな読後感

 高校生同士のお話で、最初は攻めのトヨ視点で始まり、話の中で視点は変わっていく。
 トヨは中3のとき、第一志望の受験の日に雪でスリップした車に人が跳ねられるのを目撃し、その人に付き添って病院に行ったため、第一志望の受験を諦めることになります。滑り止めで入った高校で、その事故で助けた相手である受けの伊吹と再会しますが、受験の日にトヨは幼馴染で親友の洋平の定期券を借りていたので、伊吹は助けてくれたのが洋平だと思い込んでいて、最初は洋平のことを好きになります。
 そんな伊吹のことをトヨは好きになりますが、事故で助けたのが自分だと言えば、救急車に同乗して第一志望校の受験を諦めたことを伊吹が知り、負い目を感じるだろうと思って、洋平と口裏を合わせて助けたのは洋平だということにしていました。

 あらすじだけ読んで三角関係ものかと思いましたが、洋平はノンケで伊吹が告白する前に彼女ができて、その後、助けたのが本当はトヨだったとわかり、伊吹の気持ちもすぐにトヨに向いたので、三角関係というほどの切なさは感じませんでした。
 トヨが息吹を好きになった理由についても、きっかけとなるエピソードやそれまでに伊吹の人物像を知る描写はなく、「伊吹のことは昔から好きだったと思う。言葉選びが柔らかく、しかし自分の意志ははっきりと言う」という感じでトヨのモノローグでさらっと語られているので、好きな気持ちへの共感は薄かったです。

 萌えや切なさは少なめですが、出てくる人物がみんないい子ばかりなので、最初から最後まで爽やかな気持ちで読めて、読後感もよかったです。

0

表題作はとても面白くて好きだった

表題作の短編と、付き合った後の二人の話や過去話などが半分以上。本編といえる表題作はとても面白かったけど、後半半分以上はおまけのような話がいくつも入っているだけで、大きな動きも特になく、途中で飽きてしまった。

男子高校生の三角関係で、片思い相手の恋を応援する主人公という、切ない系のお話。
この主人公の豊樹が高校生とは思えないほど冷静で慎重で思慮深くなんでも受け止める包容力を持っていて、なんかすごい。モノローグの中にコンプラ配慮の一言まで自然に入れ込んでいて、商業対応もばっちり。

自分の恋を叶えることより、相手への気遣いを優先して秘密を打ち明けないところも良かった。

伊吹はもし洋平への告白が成功していたらどうしていたか気になる。告白を決意したってことは、その先まで洋平を相手に考えていただろうから。まあそうならないのが運命だったってことかな。

ドロップの使い方が上手くて、可愛らしく読後感の良い本編だった。

付き合ってからの話は、伊吹のすぐ感情的になる面が目立ってきて、豊樹は自己満足と自己完結を見せたりと、幼い二人の描写が続く。
文章の比喩表現から漂う妙な陶酔感が合わないのもあって、読んでいて楽しいとは思えなかった。

これを一冊の文庫本として見ると満足度が低く、最初の短編だけで良かったな、という感想。

0

ドロップス占いがこう利いてくるのかと。

高校の同級生同士のピュアラブを数年にわたって追う物語ですが、タイトルどおり大部分が冬の話です。

学生らしいささやかで素朴なお付き合い。一緒に共通の友達を待つとか、相手の家で一緒に友達を待つとか、クリスマスにちょっと背伸びしてプレゼント交換をするとか、大概の恋愛物語だったら一回こっきりしか描かれないものを、何度も描いてくださることに斬新さを感じました。同じイベントを通して二人の成長や愛の深まりがうかがえ、ふふってなります。

冒頭から出てくるドロップス占いが印象的なのですが、それがトヨから伊吹へのプロポーズにかかっていて、感動的というかなにそれ素敵すぎない!? と。

黄色のドロップは、「好きだった人と再会できるかも 」

“再会”というと一回こっきりの事の様につい思ってしまうのですが、よくよく考えれば人は身近な人と毎日小さな別れと再会を繰り返しているんですね。

行ってきます・行ってらっしゃい
ただいま・お帰りなさい

と言い合うことを、君と末長く続けたい。そんなトヨの素朴な願いにして最高の口説き文句にやられました。

0

No Title

恋の矢印がトヨ→伊吹→洋平になってて最初はつらかった〜!切ない。2人の思いが通じ合って少しずつ関係を進めていく様が高校生らしくて甘酸っぱくて良かった。証拠隠滅しようとする2人の右往左往まで楽しく読んだ。あとがきにかえた最後のストーリーが現実の厳しさを感じさせて切なかったけど2人はこれからもずっと一緒にいるんだろうなと感じられる最後でした。缶に入ったドロップスで占いをするとか、その中身によって告白決めるとか高校生ならありそうな事で物語の素敵なアクセントでした。さがのひを先生のイラストがまた合ってて最高。

1

高校生ってこんなにかわいいんだσ(≧ω≦*)

なんだろう、高校生ってこんなにかわいくてピュアできゅんなんだ〜ってしみじみですよ。


受け様の伊吹と、攻め様のトヨは高校一年のクラスメイト。

伊吹は、高校受験の時に事故にあい、同級生より遅れてトヨと、トヨの幼なじみの洋平とクラスメイトとなった。

事故の時に側についててくれて、自分を気遣ってくれた人が心の支えとなり、恋心を募らせていた伊吹。
恩人の落とし物の定期券のおかげで、名前だけは知っていた伊吹だけど、登校初日にその恩人と出会う。
その恩人の名前が洋平。

洋平に片思いの伊吹と、そんな伊吹に片思いのトヨ。

どうなるのかな、とドキドキきゅんきゅんで見守りました。

事故の顛末を自力で調べた伊吹。
トヨに告白するのがとってもかっこよかったです(^-^)

洋平視点のクリスマス会の様子がまたとても好きでした。
高校生、いい子達でかわいいなぁ。


でも、恋人になってからも、いろいろあるわけで。
「七色ドロップス」では、そんな2人の、嬉しい気持ち、悲しい気持ち、恥ずかしい気持ち、苦しい気持ち。
高校生のいろんな気持ちがキラキラでした。

初めて、えっちの予行練習的な事を致した時が新鮮。
そりゃ、みんながみんなして初めてが成功って訳じゃないですよね。
そして、その後始末のあれこれがまたリアル。
そうだよね、証拠隠滅しなきゃだよね。
慎重に、徹底的にもなるよね。
なんともピュアでかわいらしくて微笑ましいったら。

この2人の初えっちでは、どんなにか幸せな気分になることか、と思っていたので、次では大学生となりすっかり手順ても慣れた2人で、なんてこったい!!(゜ロ゜ノ)ノ

でも、とっても幸せそうでご馳走さま。

ドロップスが、最後まで恋心や思い出として、ステキに登場していて甘酸っぱい気持ち増量です。

4

可愛くって好き

高校生の可愛い恋にキュンとします。

1

サ〇マドロップ食べたくなりました。


高校受験当日の事故により、進学高校の変更を余儀なくされた二人の恋物語。

すでにたくさんのレビューがあるので感想だけ。

我が子と変わらない歳の子供たちの初々しい恋がおばちゃんにはまぶしいです。

高校受験の日、目の前で起こった交通事故の被害者・伊吹(受け)を助けるトヨ(攻め)の行動には頭が下がります。
受験機会の多い大学ならまだしも(一回でもチャンスを減らしたくないから”まだしも”ってことはないかもしれない)ほぼ一回しかチャンスがない公立高校の受験。
私なら受験を優先して大人に任せてしまうと思う。
そして、その判断を偉かったと褒められるトヨの両親は凄いと思いました。
私が親なら褒められるか自信ありません。
それ以降もトヨが伊吹が好きになった自分の親友・洋平との仲を応援する姿は本当に高校生かっていうくらい人間ができていて、早くトヨに幸せになってほしいと願わずにはいられませんでした。

二人が両想いになるまでは、トヨが受験のことで重荷を感じてほしくないと思っていたこともあり、誤解を助長させていたためじれったかったですが、両想いになってからは二人の恋心がかわいくてかわいくて・・・

二人でいる時に感情が高ぶってもっと先に行きたいけど、やり方がわからないずもどかしくてじたばたしている姿も読んでいてニヤニヤしてしまいます。

自称中学時代の彼女の登場でトヨが我に返り、このままでいいのかとひよってしまったのは仕方ないと思うけど、あれは二人の最初の試練だったのでしょう。
二人がちゃんと二人で生きていくということに向き合えたことはとてもよかったです。
洋平の二人へのフォローもかっこいい。
ただ、あの自称元カノは一体何がしたかったのでしょうか?
自称元カノが今でも付き合っていると話したせいで二人はすれ違ってしまいあわやってなったけど、実際に本人が出てくるわけでもなく、ちょっともやもやしました。
二人に試練を与えたかったからわざと登場させたみたいに感じてしまって・・・
もう少し自然な形での試練はなかったのかしら。


二人の恋は静かに穏やかに進み、大学卒業寸前の両親へのカミングアウト。
結局二人の両親には受け入れてもらえませんでした。
誰か一人でも二人を祝福してくれるともう少しすっきりしたかと思ったのですが、現実ではそれが普通なのでしょうか。
事故の世話で大事な受験を棒に振ってもそれを誇りに思うとまで言ったトヨの父ですら受け入れてくれなかったのがちょっと寂しかったです。

それでも、洋平が二人の関係を当初は冗談だと思いからかっているのかと疑ったりとまったく分かってくれなかったくらい彼には考えられない恋愛だったのに、それを否定しないでいてくれたことが本当に良かった。
この3人の友人関係も本当にいい関係だと思いました。

そして、話の端々に登場するドロップ。
ドロップ占いというものを初めて知りましたが(本当にあるのかな)、これが話をカラフルに彩ってくれました。最近は袋に入っているのばかり食べていましたが、久しぶりに缶に入ったやつを食べたくなりました。

穏やかな日常の中の(事故とかありますが)高校生の可愛らしい恋愛がとてもほのぼのしてて癒されるお話だったと思いました。

6

心が洗われる

高校生モノ、と思って読んでとても良い意味で裏切られました。すごくすごく透明で、苦しいくらい清々しかったです。
出てくる子たちが、人として本当に爽やかで、自分はこんな正しく生きることができるのか!?て自分のヨゴレ加減がいたたまれなくなるほどでした…。

先のレビューにも書いてらっしゃいますが、
読み終わって口絵と表紙を見返すと意味がわかって「ああぁあー!!」て胸をかきむしられます切ないです。さがのひを先生のイラストはカラーが特にこのドロップスにはまっていました。泣ける。

メインの二人だけでなく洋平含め周囲の女子達までみんないい子!
ジョシたちのJKらしい生活ぶりが気持ち良いです。思春期らしくおまじないにこだわるとことか、男子にも構わずドロップ回すとことか。なにもかもに「あああー!」て疼きました。
進学校目指す男子なふたりの生真面目さとかも、リアルだけど生々しさに嫌味がなく、とても、語り口調が優しいです。
きらめくアルバムみたいな短編集でした。

前半は、洋平くん込みで視点が短編ごとに変わるのに後半はほぼ伊吹視点で、少ーしそこは物足りなかったです。一生懸命ですぐぱんぱんになる伊吹も可愛いですが、トヨ視点がすごく切なかったので。
初めから人生を伊吹に明け渡して後悔しない、しかもそれを伊吹のために黙っているトヨ!
男すぎる。
「今だけ自分を見てくれた」て瞬間をつくるところが、いじらしくて切なくて、でも結構かたくなで。
途中「俺が育て方を間違えた」ていう洋平もすごくカッコよかった。二人の関係がすごくいいです。
洋平視点でのトヨと洋平二人の信頼感も、トヨの伊吹への想いをより感じて切なくてこっちも過呼吸になりそうでした。
このふたりの視点での後半戦を読みたかったです。

さらに欲を言えば、伊吹がトヨに気付き始める辺りについて。
あんなにキラキラ見えるほど洋平を追ってたのに、どうしてトヨだとわかったのか。
トヨの選択が清すぎるだけに…伊吹の回想だけでなく、そこを伊吹視点でもっと詳しく読みたかったです。

「小説CHARA」での尾上先生の読み切りがとても素敵で、新刊案内にお名前を見つけて読んでみたのですが予想以上に胸に来るお話でした。今後も読みたいと思います。「別れた彼氏とお日柄も良く」も書籍化待っています。

5

高校生

先生買い。高校生ものは得意ではないのですが母校をとても懐かしく思い出したので萌にしました。1カプの高校生→就職あたりぐらいまでの成長を追いかけていくお話です。特に前半が好きだったなあ。

訳あって一緒の学校に通うことになった幼馴染の洋平とトヨ(豊樹)。5月にようやく学校に来れるようになった伊吹と仲良くなります。伊吹は高校入試の頃に交通事故にあっていて、洋平がその時の恩人だったから、伊吹は「遅れて入学することになってイヤな気持ちだったのも全部吹き飛んだ!恩人に奇跡的に会えてハッピーだ!」ととても懐いてきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
洋平(攻めの幼馴染)、攻め受けのご家族少々といったところかな。

++好きだったところ

特に前半!!!!最も好きなのはあそこ!!!書くのももったいないと思う、なんでしょう桜色とでもいえばよいのか、このほわわんきゅんきゅん幸せな箇所。

そのシーンを、さがのひを先生がカラー口絵にしてくださいました。最初にカラー口絵を見た時は「ふーん」という程度だったのですが、お話で該当シーンが来た時に「ああああああここのことーーーーーーーーーっ」と萌え転げる心地でした。是非カラー口絵だけでもチェックなさってください。このシーンが尾上先生の文章で紡がれた時のことを想像してくださいませませ。
可愛いんです、高校生、何でも初めてで。どうしたらいいのかわかんなくって。ああ可愛い。

後半はちょっと関係進展して、男子だし色事にも興味あるし、間違いない正しい行為なんですけど、ちょっと照れ臭すぎてダメでした。子供が同年代なので余計連想してしまって、萌えるーというより心配になってしまって。すいません。

攻めさんは硬派一途、こいつはいい男になること間違いなしな高校生。
受けさんもまっすぐ一途、しっかり母さんになりそうな印象の高校生。
色んな色のドロップの占い言葉をキーとして、高校生らしい二人の可愛い思いを楽しみたい方、是非どうぞ。

6

きらきらと眩しい、背筋が伸びるような作品

まずタイトルが美しい。

作中ゆったりと時は流れ、主人公たちは成長し、読み終えると余計、「ドロップス」という名詞の、その溶けてなくなる儚さや甘酸っぱさ、鮮やかな色合いが、青春物にしっくり来すぎて切なさを喚起されてしまう。

短編毎のタイトルも絶妙で、学生生活のイベントや四季の移り変わりがきらきら色とりどりに描かれています。

それにしても主人公たちの清らかさ!
人として恥じない生き方を選択し続ける強さ!

私にとって尾上先生の作品を読む醍醐味は、苛酷な状況を捩じ伏せるような、互いに思い合う絆の強さと精神の力なのですが、現代男子高校生を描いたこの作品でも十二分に味わいました。
読後背筋が伸びるようなBLを今後も書き続けて頂きたいと、切に願います。

いやーしかし初々しさと眩しさは尾上先生史上最高!
好きすぎて過呼吸になるってすごいぞ!
攻めのトヨの器の大きさと誠実さ。受けの伊吹のひたむきさ。双方の一途さ。
きらきらとやさしい、素敵な物語でした。

7

心が若葉の頃になる

まず大声で言いたいのは、
「この尾上さんは痛くない!」
……ってことなんです。
全作品を読んではいませんが、どうしても尾上さん作品は『死のかほり』がするイメージが強くて。その、ギリギリのところで燃え上がる恋が、儚くもきらきらと美しいのが魅力だと思ってきたんですね。
今作は『きらきらと美しい』部分はそのままに、ちゃんと生きて、生活していく恋が書かれていますよ。
モブの女の子たちも含めて、登場人物全員を応援したくなる様なお話です。
これ、私が青春というものから「思えば遠くへきたもんだ」という現状だからだけではないんだと思うんですね。尾上さんが登場人物みんなに、作家としての愛を注いで書き上げたからだと思うんですよ。

おまけに、何と素晴らしいことにこの本、短編集です。
「短編集好き、集まれ!」と叫ばせていただきます。
私、ひとつひとつのお話を積み重ねて全体の世界を形作っていく、短編集というものが大好きなのです。
この本はねぇ、もう、短編集の特徴を余すところなく利用して構成されているんじゃないかと思いましたよ。
上手いし、とても丁寧なんです。積み重ね方が。
私と同好の士はずぅぇったーいお手に取った方がよろしいかと思うのです。

出版社あらすじに書かれている通りのあらすじなんですけれども「ちょっとだけトーンが違うかな」と思うのは『ひと触れで均衡が壊れてしまいそうな十代の恋と友情の行く先は……?』という部分。
恋は友情を壊したりしません。
むしろこの3人、特にトヨ(豊樹)と伊吹は常に他の2人を傷つけないようにいつも考えています。
むしろ、とても繊細。そして優しい。とことん優しい。
トヨが伊吹についた嘘も、想いが通じてから体を繋げるまでにかけた時間(このエピソード、かなりリアルに感じました)も、これが恋なのかそれとも恩義なのかに悩むトヨの姿も、そしてそれを悲しむ伊吹を慰める洋平の言動も、みんなみんな優しくて、私はひじょーに癒されました。
若くて、柔らかで、そして前を向こうとしている。
ああ、心が洗われる様だわ。
読み終わって、私まで少しばかり純粋に、綺麗なものになった様な気がします。

ここに美しいものがあります。
いやいや、ぜーったい読んだ方が良いですよ!

蛇足
ちなみに、私が一番好きなのお話は『春色ドロップス』。
中間に挟まれている、ファーストキスのエピソードが書かれたとても短いお話なんですけれども。
ちっとも劇的じゃない。
劇的じゃないからこそ初めての想い出の劇的さが刻まれるという、恋の日常を書いた傑作だと思います。

11

赤いドロップは《恋が叶う》!

あー胸いっぱい(*ฅ́˘ฅ̀*)♡
トヨと伊吹の出会いから10年以上の年月を見守ることができて幸せです。

初めは勘違いから始まった恋でした。
受験の日、交通事故に遭ったところを助けてくれた男の子に恋をした伊吹。
その子と高校で再会してーー…という展開。
助けてくれたのは洋平だと思っている伊吹ですが、
本当の恩人は洋平の友人・トヨでした……

トヨ→伊吹→洋平という恋の矢印
伊吹に恋するトヨが本当にいい子、
泣きたくなるほどいい子なんです!
伊吹を好きなのに、こんなふうに思ってるーー
〝二人失恋するよりは伊吹だけでも恋が叶う方がいい〟
健気で泣けちゃう(´ฅωฅ`)‧º·˚.

トヨが、一度くらい伊吹に自分だけを見てほしいって思ってとった行動なんだと思いますか?
[一人だけ直前で電車に乗らず見送る]ですよ!
驚いて窓にへばり付いてトヨを見る伊吹ーー
これで満足って……健気過ぎて泣けちゃう。

でも、名探偵・息吹に意外とすんなり事故の真相がバレちゃって、二人は恋人同士になります。
ここからはちょっとした危機はあったものの、
終始寄り添う二人がとても可愛かった^^

キスいつする?みたいなのとか、
トヨの「パ、パンツの中を、見せていただけませんでしょうか?」には笑いました(´>///<`)
出した後のゴミを夜中に捨てに行くところもリアルなんだけど、
なんか可愛くて笑っちゃう。

「こ、これさ……」と言ってトヨがコソコソ持ってきたのがジェルで、息吹( ゚д゚)ハッ!みたいな(笑)
どこで買ったの?防犯カメラ大丈夫?
というやり取りも、可愛すぎてニヤニヤが止まらなかったです!
何このピュアさ!
ジェルは違法じゃないからね(笑)
萌え殺そうとしてるとしか思えなかった‼︎

それがねー、大学を卒業する頃にはお風呂場でヤっちゃえるくらいになってるんだから感慨深いよ。
「早く……こすってーー中……」
伊吹こんなこと言えちゃうようになったのね♡
そして、そんな二人の成長が堪らなく愛おしい(´。✪ω✪。`)

あとがきにかえて書かれた二人のその後を描いた短編も最高でした。
ここまできたか……という感じで胸アツ。
作者様には感謝しかないしかないです‼︎
さがのひを先生のイラストも素敵で、
なんといっても表紙が最高に気に入ってます^^


10

甘酸っぱい、まさに「アオハル」。

作家買い。
尾上さんて、シリアスで痛い作品を描かれる作家さま、のイメージですが、今作品はそのイメージを大きく覆す、甘酸っぱくて、優しくって、まさに「アオハル」といった作品でした。

今までの作品と作風こそ大きく異なりますが、作品の造り、っていうのかな。
まず本篇があって、そこを補足する小話で脇を固めていく描き方は変わらず。読んでいてすんなりストーリーに入り込めますし、何より理解しやすい展開になっていました。

主人公はDKの豊樹。あだ名はトヨ。トヨには仲の良い幼馴染の洋平がいて、洋平と同じ高校に通っている。
ある日、彼らのクラスに一人の同級生がやってくる。
同じ新入生だったが、そのクラスメイト・伊吹は本命の高校の入試の日に事故に遭い、そのまま入院していたため、入学も遅くなってしまったのだ。そして、息吹が事故に遭ったときに彼を助けたのが、洋平。

自分を助けてくれた洋平にいつかお礼を言いたい。
そんな思いを持ち続けてきた伊吹は、いつしかその想いが恋心に変わっていく。

伊吹の恋を応援するトヨだけれど、実はトヨは伊吹のことが好きでー。

視点はトヨ。
彼の目を通して、洋平との友情や伊吹の洋平への恋心が紡がれていきます。
だからこそ、トヨの伊吹への想いがなんとも切ない…。

で、トヨの健気な恋心はそれだけじゃないんです。
もっともっと深い愛情とか、優しさを、トヨは持っている。

伊吹のことが好きだから、彼の恋を応援したい。
伊吹のことが好きだからこそ、彼の重荷になりたくない。

まだ高校生のトヨの男気に悶絶しっぱなしでした。
アンタ、カッコよすぎだよ…!

トヨと伊吹の切ない片想いの行方は、ぜひとも本誌を読んで堪能してほしいです。途中、とんでもなく切ない「Fin」になるのではないかと危惧しながら読み進めましたが、最後は大団円。多くの腐女子の皆さまの萌えと共感を呼ぶこと請け合いの、優しい結末が待っています。

全体の三分の一くらいまでの分量が、トヨ視点の表題作「冬色ドロップス」。

その後、伊吹視点だったり、トヨ視点だったりと視点は切り替わりますが、小話が続いていきます。

男同士であることの葛藤。
伊吹の元カノの登場。
「これから」を思い描く、若い恋人たち。

甘々なだけなストーリーではなく、二人のモダモダな恋心も描かれていて、甘さと切なさ、そして萌えのバランスが絶妙でした。

タイトルにも使われている「ドロップ」。
このドロップが、素晴らしい小道具として使われています。

ドロップのように、甘くって、ちょっと酸味もあって、でもノスタルジックな感傷さえ呼び起こされる、そんな可愛らしいお話でした。

ドエロな作品もおいしくいただけるワタクシですが、でも時にはこんな甘酸っぱいお話も良い。

めっちゃ良かった。
文句なく、神評価です。

12

色とりどりにきらめく、甘くて切ない日々

表紙やタイトルから受ける印象どおりの、繊細で透明感がある作品。
高校生同士の、等身大の恋や友情を丁寧に綴った物語です。

もうこれ、めっちゃピュア!
甘酸っぱくて、時に切なくほんのり痛い。
そんな彼等の日常に、ひたすら萌え転がっちゃいましたよ。

ちなみに、表題作が雑誌掲載作に加筆修正したもの。
そこに、特典ペーパーのSSや個人サイト掲載作品が収録され、更に書き下ろしで二人のその後になります。
あとがき内で掌編まで書き下ろされてますが、最後の一行に「やられた」と言う言葉しか出て来ないですよ。
皆様も、ニヤリとしちゃって下さい。

ザックリした内容です。
高校に入学して、一月が経った豊樹。
彼のクラスに、怪我で入学が遅れた生徒・伊吹がやって来たんですね。
実は、受験日当日に事故に遭った伊吹を介抱したのが、豊樹の幼馴染みで親友の洋平。
再会を喜び三人は仲良くなりますが、やがて伊吹が洋平を好きだと言う事に気づく。
そこで、豊樹は伊吹への想いを隠したまま、彼の恋を応援しますがー・・・と言うものです。

こちら、高校生達の三角関係ものになるんですね。
主人公で攻めである豊樹→事故に遭った受け・伊吹→伊吹を助けた親友・洋平って形になるんですけど。
事故時に、痛みと不安で朦朧としていた所を助けてくれた事で、洋平に恋をした伊吹。
側で親友として過ごすうちに、伊吹に惹かれた豊樹。

う~ん・・・。
こちら、とにかくピュアで優しいんですよ。
豊樹視点で進みますが、彼は自分の気持ちを封印したまま、伊吹の恋を応援するんですよね。
これが、切なくはあるものの、どこか甘くもあって。
えーと、皮肉にも「伊吹の洋平への片思い」と言う秘密を共有する事で、グッと二人の距離は縮まるのです。
自分の気持ちを知っている豊樹の前では、安心して気を許せる伊吹。
そして、打ち明けて気まずくなるよりは、一番の理解者であり親友でいたいと望む豊樹。

何だろうな・・・。
最初に透明感があると書いたんですけど、ドロドロした生臭い部分が無いのです。
豊樹には。
純粋に、伊吹の恋が叶う事を願う。
その、「強い」優しさに、ひどく心を打たれてしまう。

で、ここから、洋平に想いを打ち明ける決心をする伊吹ですが、なんとタッチの差で、洋平に彼女が出来るんですね。
更に、伊吹が恋をしたのは、事故時に自分を励まし、あたたかい手で背中をさすってくれた見知らぬ誰か。
それが洋平だと思っていたのに、実は・・・。
と言う展開。

この事実を知った時ですが、つくづく豊樹のお人好しさと言いますか、深い優しさにグッときちゃいましたよ。
事実を知れば、ただでさえ事故により深い傷を負った伊吹に、更に重荷を背負わせてしまう。
バカだなぁ、豊樹。
本当に。

とりあえず、ここからのオチにはシビれました。
そう、伊吹ですが、彼は彼で、ちゃんと物事を見てるのです。
潔いし格好いいですよ。
ああもう、高校生の恋っていいね。
眩しすぎる・・・。
ついでに、タイトルにもある「ドロップス」。
これの使い方が秀逸ですよ。

あと、書き下ろしでは伊吹視点に切り替わり、想いの通じあった二人のその後が語られます。
付き合いだした二人ですが、互いに恋愛初心者。
階段を一歩ずつ上がるように、キスから初めてゆっくりゆっくり初エッチが成功するまで。
並行して、進路の悩みや好きだからこその不安、そういったものが語られます。

これ、事故の時に助けてもらっただけで好きになるって、ちょっと単純じゃないかと言う思いがチラッとあったんですよね。
伊吹視点で当時の状況が語られる事により、彼の想いに納得が行くのが良かった。
あと、表題作は片思いがテーマですので、ほんのり苦いんですよね。
こちらでは、ひたすら甘酸っぱい。
いや、男同士だからこその越えなきゃいけない壁みたいのはあって、ちょっぴり切なくはあるんですけど。
ただ、二人でお泊まり会だったり、汗をかきながら必死で初エッチみたいな微笑ましいエピソードが大量投入され、もうひたすら萌え転がっちゃうんですよ。
それこそ、ローションを買うだけで一大事の高校生だから。
う~ん・・・。
出会って早々にエッチに突入しちゃうカップルも少なくない中、キスするだけにこんなに頭を悩ましてるカップルって、かえって新鮮。
一度で上手くいかない所なんかも、すごくピュアピュアで萌えまくちゃいましたよ。

ところで、今作の掲載雑誌ですけど、蒼竜社の「HOLLY BOX」だったりします。
いや、こうして文庫と言う形で世に出していただけて、本当に感謝しかないですね。
この作品が日の目を見ずに埋もれちゃうのは、あまりに勿体ない。
語れるほど私は、尾上先生の作品を読んでいないんですけど、本当に繊細で素敵な作品を書かれる作家さんだと思います。
いや、雑食で地雷もほぼほぼ無いけど、尾上先生はピンポイントで地雷要素のある作品を書かれるから。

最後になっちゃいましたが、恋愛だけで無く友情部分も本当に素敵でした。
洋平もまた、すごくいい子なんですよね。
三人での友情シーンにも、すごく萌えちゃいましたよ。

15

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP