異世界で もふもふ生活 始めました! 獅子王×身代わりの花嫁

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表題作物言わずとも愛語る

アルヴァロ、獣人の大国ハックィンズの若き獅子王
林田莉央、異世界の王子と人生を入れ換えられた林田莉央、菓子工場の契約社員

その他の収録作品

  • ある雪の日に
  • あとがき

あらすじ

孤独な青年・莉央は、自身と瓜二つの異世界の王子と人生を入れ替えられ、獅子王・アルヴァロの花嫁となる。言葉の通じない獣人たちの国で、虎の執事や兎の侍従たちに囲まれ、別人だと発覚するのを恐れた莉央は、王宮から逃走しようとする。傲慢だと噂の王子がわざと騒ぎを起こしたと思い込んだアルヴァロは、怒りのままに莉央と対面するが、怯えて泣くばかりの莉央を思わず抱き締めてしまう。莉央もまた恐ろしい見た目に反して優しいアルヴァロに惹かれていき…?

作品情報

作品名
物言わずとも愛語る
著者
伊達きよ 
イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
発売日
電子発売日
ISBN
9784041099537
3.8

(88)

(33)

萌々

(32)

(11)

中立

(4)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
11
得点
330
評価数
88
平均
3.8 / 5
神率
37.5%

レビュー投稿数11

無意識な溺愛のかわいさよ〜

伊達きよ先生作品を追っかけ中。
簡単に意思の疎通がはかれない言語不通ものが好きなので、読み進めてすぐ駄菓子の当たりを引いた気分になりました。
ここまで言葉が通じていない作品はあまりないのでは?
物を言っても通じない設定がよく効いていた1冊だなあと思います。

ひょんなことから異国どころか世界線が異なるところで生きる人物と人生を入れ換えられてしまった莉央。
そんな主人公の莉央がなかなかに内向的と言いますか、ぎゅっと自分の殻に閉じ籠ってしまうタイプ。
口下手で物言えない彼の意識の変化が見どころありでした。
それも攻めの獅子獣人・アルヴァロと使用人たちが怯える莉央をゆっくりゆっくり解いていったからこそ。
想像していたよりも弱々しく庇護欲を唆られる莉央の姿に、噂で聞いていた王子像と随分違うぞ?と、体の大きなアルヴァロが莉央に「ほらこわくないよ〜」と言わんばかりに少しずつ慣れさせていく図がすごくかわいい。
無意識下の溺愛攻めが良いんですよねー!しかも不器用!
過保護なほどに受けを気遣ったり、毎晩一緒に眠りながらの極上のグルーミングタイムを過ごしたり…
なんだかもう、終始攻めがかわいくて仕方がなかったです。

全体的に心の距離重視で丁寧に描かれている作品といった印象が強いです。
ただ、良かった一方でちょっと長かったなーと思うところありでした。
「あの時このキャラクターはこう思っていた」の答え合わせが出来る視点違いって、本来であればヤッター!と両手をあげて喜びたくなるはずなのですけれど、萌えるシーンも多々ありつつ、同じシーンの視点違いverが何章も出て来るとさすがに飽きてしまった。そりゃあこのページ数になるよなあと。
それだけ丁寧に描かれているとも言えますが、直近作品と比べるとやはり魔法設定の甘さが気になりますし、この長尺さにはいわゆるWEB小説感は否めません。
(直近作品は全体的にすっきりとまとまっていたので、プロデビューされる+担当さんが付くのは大きいなと思ったり)

何作か追ってみて、異なる種族の恋や愛を描くのが上手い作家さんだなあと思いました。
受けの成長と攻めの溺愛っぷり、じっくりと回収されるタイトルはすごく好き。好感が持てますね。

0

タイトルの意味

『春になるまで待っててね』が凄く好きで
こちらの作品も購入しました。

もーすっっっっっっごく良かったです!!!
読み進めていくとわかるのですが、
タイトル通りモノを言わなくても愛を語るお話です。

異世界トリップモノで、異世界の王子と人生を入れ替えられた莉央と
獅子王のアルヴァロとの恋のお話です。


魔法国家の第15王子のリォルと入れ替えられた莉央ですが、
顔は同じだけど性格が全く違うんですね。
傲慢で堂々としているリォルに対し、自分に自信がない莉央。
アルヴァロは傲慢な王子が嫁いできたと思いきや
全然違うので戸惑うアルヴァロ。

そもそも莉央はこちらの言葉がわからないし、
莉央の言葉も誰もわからなくて会話を交わすことが出来ないんです。
会話さえ出来ない莉央とハックィンズで莉央に仕える兎たち(アンディとラルゥ)。
そしてアルヴァロ。


どうなっていくんだろう…ととてつもなく惹かれ一気に読みました。
アルヴァロはもちろんなのですが、アンディとラルゥがとても可愛くて
登場人物にすごく癒されました。

ちょっとずつちょっとずつですが
確実に二人の気持ちは近づいていきます。
その気持ちの流れが丁寧に書かれておりすごく良かったです…!
二人が結ばれてほんとによかった…!

そしてすごく気になったことが…。
アンディとラルゥのお話の感じで、莉央は子供を授かることも可能な身体なのかな…?と思いました。
もしそうならその素敵な二人の未来も見てみたいなぁ…と思わせてくれる素敵な作品でした(*´▽`*)

3

言語問題と魔法とやら

攻めの言葉やお付きの人の言葉が「****」で表示されてる小説、初めて読みました。
ほんとーに言葉通じないんですよね。

なんだけど。
いくら言葉が通じないにしても、名前のやり取りくらいしないのか?と思ってしまって。

もっとも、受けの莉央は、自分の言葉で自分の意思を伝えることが恐ろしくなったという心の傷ゆえに、言葉を基本的に発しないんですよね。
だから言葉のやり取りがないほうがむしろ居心地が良さそうだし、特に不自由を感じていなさそうなんだけど、それにしたって、こんなにも親切に仕えてくれる兎兄弟と、名前のやり取りくらいしたってバチは当たらないのにと思ってしまったんです。

もしかすると獣人族の言語って、例えばただの鳴き声でしかなくて人間には習得不可能なモノなのかなとか思ったんだけど、獣人族の狐が話す様子を傍らで聞いた莉央は、「内容はまったくわからないが「****」とすらすらと水の流れる如く流暢に話している」とある。
「鳴いているようにしか聞こえない」のではないんですよね。
なら会話は無理でも、名前とか簡単な単語くらいはできそうなのに、一切やり取りをしない莉央の姿になんかイラっとしてしまいまして……。
トラウマゆえに話せないとしても、周囲の言葉を理解したいって気持ちにならないのかなぁと。

結構読んだつもりなのにまだ半分にも達しておらず、莉央にも変化が見られないのでちょっとウンザリしてしまい、一旦そこで脱落。

で、怪しげな狐による「治療」で周囲の言葉は少しずつ理解できるようになるんだけど、莉央の言葉は最後まで通じない。
日本語は異世界では「この世ならざる言葉」ゆえに、次元を超える魔法を使えるものしか聞き取れないらしいとのこと。
ふーむ、わかったようなわからんような……いや、わからない……。ごめんなさい。

受けの言語獲得にどこまで魔法が絡んでるのか、私にはわかりませんでした……。
例えばシーン54で莉央が「こちらの世界の言葉を話すことができる魔法」を学んだ結果、「話すことが出来るだけで、言語や単語の学習は、一から自分でしないといけない」とあるので、「単語習得はコツコツ自力でやらないといけないが、話すことだけはそれなりに出来るようになった」という意味なのか?と思いきや「拙い会話しかできない」とあって、ズッコけた。
もしかして「言語の学習」って文法も含んでてそこも自力なのか?
魔法……意味あるのか?
それって単に独学では?

それじゃ発音だけは魔法のおかげで上手という意味なのか?と思いきや、「発音がとても難しい」らしいんだけど、どうやら自力で頑張って少しずつ習得してる様子。
マジで魔法ってなに?
下手に「こちらの世界の言葉を話すことができる魔法」なんか登場させずに、獣人語をコツコツ頑張って習得してます!で充分だったと思う。

最初のあまりにもお世話されっぱなしの受け身な莉央の姿にはヤキモキさせられましたが、いろいろあった末に「伝えたい、伝えなきゃ」となり、変化していく姿は良かったし、タイトルへと繋がるアルヴァロの言葉もすごく良かったです。




3

同じところばっか読んでる

再読なんですけど、同じところばっか読んでて、進まん!

好きなんですよぉ。という箇所が数カ所あってですねぇ。
初対面の場面から始まり、2人の心の距離が縮まる場面の数々が、クスッと笑えてホンワカしてワクワクするんですよ。

で、私今まで異世界でも大体言葉が通じる話を読んでいたんで、××××というのが新鮮だったんです。
あーそりゃそうかも!って感じでした。

登場するキャラの個性も面白いです。

言葉が通じないけど、心が通じるっていいお話。
言葉が通じないのは大変ですよねー。
でも言葉が通じても話が通じないよりはいいかもなぁ。

あ、また訳の分からない感想でごめんなさい。

2

異世界入れ代わり身代わり花嫁で獣人でもアイデアと世界観に拍手

魔法で異世界に入れ代わり身代わり花嫁で獣人と。
盛りだくさんですね!

分厚い本に怯みましたが飽きることなく1日かかって読み終わりました。

主人公莉央の言葉についての思いの変化や、言葉の通じない異世界で通じないからこその王アルヴァロとの信頼関係。

とっても長いお話ですが、丁寧に書かれてあり余分なエピソードや会話やモノローグや描写もなく、本当に読み応えがありました。

うさぎの侍従たちもとっても可愛くて、またアルヴァロのフサフサの毛並みなど、みんな魅力的でした。

盛りだくさんすぎて何を書いていいのか…。

アルヴァロが莉央に会いたくて自分に言い訳するのや、莉央が笑うと嬉しくて、悲しそうだとなんとかしてやりたくて、守ってあげたくてたまらないのがこちらもたまりませんでした。

一旦現世に戻ったり、入れ代わりの本人に助けられたり、アルヴァロと3人で話したり。
無事に異世界に戻って現地の言葉を話せるようになったり。

最近異世界や獣人ものに、またか…。と思っていたのですが、書き手次第でいくらでもお話を新鮮にハラハラできるんですね。

立て続けに3作伊達きよさんの作品を読んでみて、あたたかくて優しくて未来も楽しみで、世界観がとても気に入りました。

4

読みやすい

初作家さん。言葉が通じない獣人相手にピュアな恋愛ものを期待して購入。展開が都合良すぎるなぁという感想です。作者の伝えたいメッセージが台詞で説明されることが多いのも残念。北沢先生のイラストもいまいちだった。

3

真っ直ぐに伝わる想いを信じて

今回は獣人の国の王である獅子獣人と界渡りした日本人のお話です。

異界の魔術師よって界渡りした受様が攻様の傍らに居場所を見出すまでと
その後の続編短編を収録。

受様は昔から人と話す事がとても苦手です。子供の頃から大人しく無口と
で人と対する事が苦手な性格から、就職もパソコンと向き合う作業ばかり
と言われた地元IT企業のシステムエンジニアを選びます。

実際は社外での作業も多く客先に出向く事もありましたが、仕事だからと
割り切るしかありませんでした。しかし同期入社の営業職マンに「清潔感
がないから切れ」と言われて前髪を切った事から周りの対応が大きく変っ
てしまうのです。

前髪を切った受様は綺麗な顔立ちが目立つようになり、同期は受様に過剰
なスキンシップをし始めた挙句、押し倒そうとした受様に抵抗されて発覚
すると、「受様が誘惑した」と申し開き、うまく説明できなかった受様は
居場所をなくし、退職を余儀なくされてしまうのです。

その後の受様は小さな菓子工場の派遣となります。誰とも話さず黙々と検
品する仕事を淡々とこなす日々は単調で、夢の世界も現実も変りないだろ
うと思われたのですが・・・

ある夜、受様と全く同じ顔の男性が夢に現れます。そして強い口調で独り
言のように語りだします。

私は獣の嫁になるなど死んでも嫌なのだ。
だから、私と君の人生を交換してもらう。
あの獣は君に任せよう。違う世界の私。

彼の話す言葉も動きも表情も受様とは全く違い、受様は彼を呆然と眺める
しかなく、受様は自信に溢れた彼に自分の願望が現れたのかもとすら思い
ますが、そんな受様を彼は「妙に落ち着いているな」と評し「そのくらい
の気概がある方がいいのかもしれんな」と言って指を鳴らします。

すると受様の周りに小さな風が起こり、彼と受様の服が入れ替わったかと
思うと、辺り一面がまばゆいほどに輝き出し、受様の意識が曖昧になり、
光が受様をどこか知らない場所に押しやります。

そんな受様が次に目覚めたのは真っ白い部屋で大きなベッドの上でした。
そして目の前には燕尾服を着て二本足で立つ虎が!! 受様は衝撃のあまり、
声にならない叫び声を上げますが、全く動けません。

食べられるかとびくびくしていると虎は口を開けて「音」を発しますが、
受様には理解できません。虎が受様に向けて話けている事だけはわかり、
ゆっくりと"分からない"と首を振るだけです。

途端に虎は口を閉じて行儀のよい礼をして去っていき、しばらくすると畏
まった服を着た2匹の大きな兎が入ってきました。しかし2匹が恐る恐る
と言う風に口を開いた音も受様には聞き取れません。

受様はやがて夢の中の彼が言うように自分と彼は本当に人生を入れ替えら
れたのかもしれないと思い出しますが、荒唐無稽すぎて頭が付いていきま
せん。

次の日になっても状況は変わらず、受様は隙を見て部屋から逃げ出そうと
しますが、どうにか庭に出て敷地のでくちらしきモンが見えた所で門番ら
しき犬の獣人に捕まってしまい、部屋に連れ戻されてしまいます。

ベッドの中で鬱々とした気分になっていた受様でしたが、獣が威嚇するよ
うな恐ろしい唸り声と荒々しい足音が近づいてきたと思うと、叩きつける
ように部屋の扉が開かれました。

聞き覚えの無い唸り声と怒り声が混じったような音が部屋全体に響き渡り、
受様が顔を上げると鋭い眼光の大きな獅子が仁王立ちで立っていて、受様
は虎からも兎からも犬達からも感じなかった明確な敵意に震えあがります。

この獅子獣人こそが今回の攻様であり、夢の中で受様そっくりだった彼が
嫁ぐはずだった獣人の国の王その人になのですが、言葉の通じない受様に
は攻様が誰であるかすら分からないのです。

果たして受様に異世界で生きる術はあるのでしょうか!?

WEB小説サイト「ムーンライトノベルズ」にて連載されたWeb小説に
加筆修正しての書籍化で、突然獣人と人間の住む異世界にトリップしてし
まった受様が言葉が通じない人間嫌いの攻様と心を寄せ合っていくふもふ
ファンタジーになります♪

異世界トリップ設定って大体においてトリップ特典で異世界言語が通じる
場合が多いのですが、本作はタイトルが示す通り言葉が全く通じません。

その上本作の受様は元々あまり対人スキルが低く、身振り手振りのボディ
トークできず、恐い獣姿の人達に囲まれて、右往左往している事すら伝わ
らないと言う、もうどうしたらどうなるのかすら分からない状況なのです。

勿論、攻様達にも受様の言葉は通じません。そのため物語は受様側と攻様
側が交互に展開していくのですが、言葉による意思疎通ができないが故に
それぞれ真実を知らず、誤解が積み重なって進んでいく事となり、どうな
っていくのか先が見えず、ワクワクして読み進んでいきました。

受様の側仕えである兎達が受様の為に心を砕き、受様も彼らに少しづつ心
を開いていく事から、まずは彼等と受様が近づいていき、受様も徐々に
攻様の存在にも慣れていくのですが、根本的に言葉の壁がある為に状況は
好転しません。

そんな中、攻様は言葉をあやつる魔術師を城に招ぎ入れて受様の言葉を解
す術を得ようとするのですが、やってきた魔術師はとんだ食わせ者だった
ので、受様は窮地に陥れられる事になるのですよ。

この後に更なるドンデン返しが待ち受けていて、攻様が受様を王妃とする
までハラハラ&ドキドキでたいへん楽しく読ませて頂きました (^O^)/

誰かに自分の気持ちを伝える為に言葉はとても重要です。しかし、言葉が
必ずしも絶対ではなく、相手を思う強い気持ちがあればそれは必ず相手に
通じるのだという素敵な物語でした。

獣人の国のお話なのでもふもふシーンもたっぷりで、北沢先生のイラスト
が可愛くて凛々しくてとっても良かったです♡

4

言葉がなくても、あっても

ネット小説って苦手だと思っていたんですけれど、最近はそうでもないと思い始めました。私が慣れてきたのかもしれませんが。
特にこの作品、好きです。
なんちゅうか「いやー、作者さん、真面目だな」と思ったんですよ。
伊達きよさん、絶対いい人に違いない。

『異世界の自分と入れ替わりもの』というジャンルのお話なんですけれどもね。
莉央は言葉を尽くして説明しても、口のうまいやつにいいようにやられてしまった酷い経験を持っています。
だから、言葉を信じていない。
そんな彼がある日突然、全く言葉の通じない異世界に放り込まれてしまうのです。
それも獣人の王の花嫁として。

異世界ものでここまで言葉が通じないお話って、私は初めて読みましたよ。
このジャンルを私があまり読んでいない所為もありますが。

好意や優しさ、思いやりなんてものは、言葉が通じなくとも何となく伝わるものです。この伝わる感じがとてもお上手です。
読みながら「でも、フィジカルな接触を伴う恋愛感情っていうのはどうなんだ?」とずーっと考えていたんですよね。
好意って様々ですものねぇ。

これをですね、実に素敵に書いていらっしゃるのですよ。
言葉では何も伝わらないと考えていた莉央クンが、恋をして「自分の言葉で好意を伝えなくては」と思うようになるんです。
ここまでの心の動きが、とても丁寧に書かれていてホントに好感をもちましたよ。
真面目で優しくて可愛らしいお話だと思います。

最後に地雷除けを書いておきますね。
『女の子みたいな受け』が苦手な方はちょっとダメかもしれません。
あとね、性暴力を受けたことのある方は、莉央クンが現代日本で受けた仕打ちの部分を読むと辛くなっちゃうかも。男性からの無理やりのキスだけなんですけれども、その後の会社からの事情聴取部分がなかなかつらい感じの描写が続きます。

伊達さん、次作も期待します!

9

ライオンちゃん

北沢きょう先生の挿絵なので購入。ムーンライトノベルスさんで完結済みのお話、本編56回分(加筆修正)と後日談SS+あとがき+電子限定版書き下ろしSS。出てくるケモたちがみんな可愛かったので萌2にしました。登場人物が途中で次々増えるという訳でもないし、サブキャラの役割も納得いくもので、お金無い時でキツいけど読んで良かった!!とめちゃ思いました!ケモ好き&優しいお話が好きな方におススメです。

人と話すのがとても苦手な莉央(りお)。地元のIT企業を退職した後は、夜中の工場製造ラインで一言も話さずにいる毎日。明日も変わらないと思っていたのに目が覚めたら、何もない地味な自分の部屋とは違って、綺麗な白を基調とした部屋。そしてなぜか二本足で立ち燕尾服を着た虎がいて、話す言葉は全く意味が分からず・・と続きます。きたきた、言語通じない異世界難度E!

攻め受け以外の登場人物は
リォル(魔法国家の第15王子、攻めに嫁いできた傲慢な人間族)、グィルス(虎ちゃん執事)、アンディ、ラルゥ(うさちゃん侍従)、ラミロ(上級魔法士)、サヴィオン(魔法士)ぐらいかな。リォル以外はみんな一ミリも人姿になりません。

++好きだったところ

一級魔法士で人間族の傲慢王子リォルが、攻めさんになんか嫁げるか!と、異世界にいる自分(=莉央)と入れ替わっちゃうというお話。災難なのは何にもできない一般人の莉央。

獣族を蔑んでいる人間族のことを良く思っていないライオンちゃんと、何を言ってもどうせ伝わらない、信じてもらえないと思っているビビり&よわよわ受けさん。周りはケモだらけ、おまけに言語が「****」という状態、しかも相手はどう見てもでっかいライオンちゃん!コミュニケーションが上手に出来る訳なんかありゃしない!

そんな状況下でゆっくりゆっくり二人が心を通わせていくんです。そこが良い・・・受けはちっこいしビビって泣いてるし、庇護欲そそられ感満点なところからまずスタート。ご飯を食べさせ、毛並みで少し警戒感をとかせ、一緒に横になり、もふもふさせて・・・。ああ癒し。

侍従のうさちゃん二人もこれまた良し。ちゃんと有難うという態度を示してくれる莉央に一生懸命尽くして、王様と上手くいくように、ぴすぴすお鼻を鳴らしながら一生懸命フォローして、侍従の鑑!

攻め受けの恋心がゆっくり育つところもよいし、ケモたちの耳シッポ様子も好きだし、優しい、心を通わせる温かさが素敵なお話でした。タイトルがほんとに秀逸です。

8

物言わずとも…

まさしく、物言わずとも愛を語ってくれていました。このタイトルがまた、最後の最後に生きてくるのです。

内容は、凄く良かったと思います。視点の入れ替え等もあり、結構な長さがあったのですが、一気に読めてしまいました。物語としてアップダウンがちゃんとあって面白い。表紙の印象どおり、読み終えた後、あたたかな気持ちになる物語でした。

獣人物だけあって、ところどころに挟まれるもふもふ描写がまた癒されました。2人でお風呂に入るシーンなど、読みながら思わず笑ってしまいました。あまりに微笑ましくて!
あと、攻めの獅子獣人以外にも何人か獣人が出てくるのですが、兎従者のアンディとラルゥがめちゃくちゃ可愛い。しかもそれがただの可愛い要員ではなく、主人公の莉央を精神的にも身体的にも助ける役割も担っていて、とても良かったです。

途中ハラハラする展開もありました(切なくて泣けました)が、見事大団円。エッチシーンも満足でした。私は、エッチに至るまでの流れがとても好みでした。いや、やっぱり満足じゃなくて、もっと読みたかったかも…。笑

レビューの冒頭にも書いたのですが、私はタイトルにも通じるものがある最後のシーンがとても好きです。もし続編があるのなら読んでみたいなぁと思わせてくれる作品でした。

溺愛ものがお好きな方には是非とも読んでいただきたい一作。

15

もどかしいのにめちゃくちゃ萌える・・・!

小説投稿サイト掲載作品に、加筆修正しての書籍化になります。

こちらですね、とにかく面白いんですよ。
読み始めたら止まらなくて、一気読みしちゃったくらい。
「言葉」がテーマになると思うんですけど、主役二人の会話がちゃんと成立するようになるのって、もう終盤なんですよね。
でもそれが、もどかしくもめちゃくちゃ萌える。
そして感動する。
や、誤解が誤解を呼んでみたいな二人のズレが、とにかく楽しいのです。
もうさ、攻めの不器用で無自覚な溺愛っぷりに、ひたすら萌え転がっちゃうんだけど。
彼ぞまさしく溺愛攻めですよ。

こう、ストーリーとしても、笑いあり感動あり涙ありって感じで飽きさせずに読ませてくれます。
若干、視点がコロコロ変わったり、時系列が前後して分かりにくい部分もあるんですけど、基本的にはしっかりした読みやすい文章ですので、その点でもストレスを感じなくて済むと思います。
とりあえず、溺愛攻め好きさんに全力でオススメしたいですね。


内容です。
異世界の王子と人生を入れ換えられ、獣人国の王・アルヴァロの花嫁に突如されてしまった莉央。
言葉も通じず状況もよく理解出来ない彼は、自分が生け贄として喰われるんだと思い込み、脱走を図るんですね。

一方その頃ー。
人間の国から無理矢理押し付けられた花嫁が脱走したと聞き、傲慢だと噂の彼がわざと騒ぎを起こしたんだろうと憤る獅子王のアルヴァロ。
怒りのまま莉央と対面しますが、噂とは正反対の弱く儚げな姿に動揺し・・と言うものです。

と、こちら、ここまでお分かりの通り、主役二人の間には最初から大きな誤解がありまして。
しかも言葉が完全に通じない為、その誤解を容易には解けないと言う状況でして。
で、これがめちゃくちゃ萌えまして!

や、これ、しつこいですが、アルヴァロがかなりの溺愛攻めなんですよ。
しかも無自覚系!
こう、望んでもないのに格下の小国から、無理矢理押し付けられた花嫁。
嫁いできて早々に部屋に閉じ籠り、従者達と会話もしようとせず、食事もとろうとしない。
その上脱走して、第一級魔法使いでありながら簡単に捕まりと、もうわざと騒ぎを起こしているとしか思えない。
愚弄するにもほどがある!と怒りに震えて対面すると、そこには怯えて縮こまる、弱々しい小さな存在・・。

これね、誤解が誤解を呼んでって状況なのです。
莉央からすれば、何を言ってるか分からなくて曖昧に首をふっただけなのに、それが会話も食事もついでに湯浴みまで拒否した事になってしまう。
こう、お腹を空かしてヘロヘロな上に、決死の覚悟の脱走まで失敗してと、打ちのめされた状態。
そこに怒り心頭の獅子の獣人が現れた事で、極限まで張りつめた気持ちが、プツンと切れてしまう。
で、ポロポロと泣き出す。

こちら、両視点で進むため、主役二人のスレ違いっぷりが良く分かるのです。
ここまではもどかしくてもどかしくて仕方ないのです。
が、ここからが怒涛の萌え展開。

莉央と初対面したアルヴァロですが、傲慢で甘えたな末王子だと思っていた彼の、あまりに弱々しい姿に衝撃を受けるんですよね。
力の強い獣人である彼は、匂いから相手の感情がおおまかに理解出来る。
で、傲慢なハズの莉央からは、ひたすら怯えと悲しみしか伝わってこない。
「な、なんと貧相で哀れな姿だ・・!」みたいな。
で、こんな弱々しい存在だと、すぐに怪我したり病気になって死んでしまうのではないか・・!と、心配になる。

いやもう、一気に毒気を抜かれて動揺しまくりのアルヴァロに、ニヤニヤが止まらないんですよ。
挙げ句、「あんな毛のない身体であれは寒くないのか?」
「あれは、なんだ・・重いと潰れそうだから、なるべく軽いものを」とかって寝具を用意させるに至っては、もう「うひゃひゃひゃ」ってなっちゃうんですよ!

またこれ、そんな無自覚溺愛攻めの対となる、莉央のキャラもとてもいいんですよね。
個人的に、メソメソ泣くような受けは苦手なのです。
苦手なのですが、莉央に限っては、なんかやたら可愛く思える。
こう、やたら嗜虐心をそそる受けなんが(BL界には)存在したりするんですけど、それで言うと、彼はやたら庇護欲をそそる。
なんかね、泣いてると、キュッと胸が締め付けられる感じでしょうか。

や、アルヴァロがさ、階段から落ちて怪我をするのでは無いか、転ぶのでは無いかとかって、もうこれでもかと過保護ぶりを発揮するのですよ。
でもそれ、めちゃくちゃ分かる~!と。
ついでに、側付きの従者には心を許してる莉央を見て「そんなに(俺だけ)嫌わなくてもいいではないか」と拗ねてるのにも、可哀想に!となっちゃう。

これね、そんな不器用・無自覚な攻めの溺愛ぶりにも萌えちゃうんですけど、なにより、二人がジリジリと距離を縮めてゆく部分に滾るんですよ。

えーと、作者さんによると「言葉によって傷ついた青年が、言葉によって愛を語り合うようになるまで」がテーマとの事なんですよね。
もといた世界で、口下手な主人公はひどく傷つく出来事を経験した。

ここでは言葉が一切通じず、それでもアルヴァロの不器用な愛情を確かに感じて、二人は愛を育んで行く。
ああもう、言葉の通じない二人が同じベッドで寝る。
莉央が「気持ち良さそうだから」とたてがみをモフモフして、アルヴァロが「もっと触っていいぞ」と喉をゴロゴロする。
これ、萌え転がらずにいられる?

ちなみにですね、ここから、莉央に言語の変換魔法を施そうとした事で、諸悪の根元・リォル(王子)まで絡んで怒涛の展開となります。
いや、切ないしかなりヤキモキさせられるんですけど、アルヴァロの格好良さにはシビれたよ!
そして、自分の言葉でちゃんと伝えようとする莉央には、胸が熱くなったよ!

言葉で人は傷つきもするし、逆に救われたりもする。
人によっては、使う事自体にとても勇気が要ったりする。
でも、すごい力がある。
テーマがしっかり書ききってあるのも、また素晴らしいです。

22

この作品が収納されている本棚

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