てんてん
本品は『インテリヤクザは不器用な策略家』の アニメイト特典ペーパー
です。
キヌ視点での回想を含む後日談になります。
小刀弥キヌにとって小刀弥舞桜は可愛い可愛い初孫・・・だった特別な子供
でした。ずっと初めて抱いた時に見せてくれたふんわりとした笑顔を見守
っていたいと思っていたのに、ある日突然、その日々は奪われました。
もう舞桜に会う事も、孫だという事すら許されず、誰を恨めばいいのかす
ら分からないながらも、血の繋がらない自分にはそうするしかできないと
諦めてもいたのです。
けれど神様はキヌに再会のチャンスを与えてくれます。礼儀正しく見目
麗しい青年に成長した舞桜に成長していてとても誇らしく思いましたが、
舞桜はキヌの孫ではなく赤の他人である事がとても苦しくもありました。
しかしそんなキヌに舞桜は手を差し伸べ、戸籍上だけの異母兄弟である
舞桜に義務などないのですが、また舞桜と会えるという誘惑にキヌは
抗う事が出来ませんでした。
そしてその後、舞桜と同棲しているという伊勢崎晴海が挨拶に来た時に
は本当に舞桜を大切に想っている事を感じますが、それでも最初はヤク
ザなんてと思った事も事実です。ただ口を出す権利はないと口には出せ
ずにいただけなのです。
伊勢崎はおそらくそんなキヌの葛藤や舞桜との微妙な距離感にも気づい
ていて、キヌと舞桜の間の距離をいつも埋めるようにこまめな連絡を
してくれていたのです。
だから最近の仲睦まじい2人を見ているとキヌの心はほくほくと温かく
なります。まさか2人が本当は付き合っていなかったとは知りませんで
したが、確かにあの頃とは違うと思えるほどとても幸せそうです。
そんなキヌに舞桜が何か不足はないかと聞いてきますが・・・
A4サイズカラー印刷で、右角で1/4に本作カバーイラスト、残る3/4に
SSが収録されています。
名前を呼ばれている事に気付いて思わず声を上げると、舞桜は少し困
ったような顔をして「やっぱり嫌でしたか」と暗に隣で暮らす事を
本当は嫌だったのかと問われたキヌは慌てて首を振りました。
「2人が幸せそうだで良かったと思っていただけ」だと告げれば舞桜
は真っ赤になって否定するかのような返事をして、伊勢崎に「幸せそ
うじゃないのか」と揶揄われ、ますます恥じいってしまいます。
伊勢崎はそれを見て目を細め、こちらも本当に幸せそうです。キヌは
舞桜は本当に素晴らしい相手を見つけたと思い、碧斗にもそんな相手
ができてくれたら思い残すこと無いと思います。
わんぱく盛りの碧斗をからかう伊勢崎の声を聞きながら舞桜とくすく
す笑い、舞桜におやつとしてドーナツをリクエストされたキヌは込み
上げてくる感情を抑えるのに精一杯でした。
舞桜の些細なおねだりは小さな子供のころ以来された事の無いもので
あの頃よく食べたドーナツもあの日を最後に1度も作った事が無かっ
たものでした。
キヌはどうかこの幸せがずっと続きますようにと願いながら舞桜と共
にドーナツ作りを始める
・・・という舞桜との距離を取りかねていた祖母視点のお話でした。
初孫だった可愛い舞桜を奪われたキヌの戸惑いと後悔、懺悔が過去回
想の形で語られています。当事者ではないが故に声を上げられなかっ
たキヌと、祖母を心配しながらも血の繋がらない事から手探りで距離
をとる舞桜、そんな2人をさりげなく支え続けた伊勢崎の姿も本作中
では見られないもので良かったです。
※他店舗特典(レビュー済)
コミコミ特典は碧斗代視点のお話です。