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首領ジーノは家族思いな情熱家

Don Gino wa kazokuomoi na jyounetsuka

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表題作首領ジーノは家族思いな情熱家

ジーノ・ビスコンティ、シチリアンマフィアの首領
優、ジーノを助けた冴えない青年

その他の収録作品

  • 掌編 首領ジーノは心配性な情熱家
  • あとがき

あらすじ

シチリアンマフィアの首領ジーノ・ビスコンティは、幼少期に父から過酷な仕打ちを受け、若くしてファミリーの頂点に立つために心を凍らせて生きてきた。身内の裏切りによって襲撃を受けたジーノは重傷を負うが、冴えない青年・優と幼い少女・サラに助けられる。身を寄せ合って暮らす二人に、ジーノは懐かしさを覚える。そして警戒心は強いが見返りを求めない優しさを持つ優に、ジーノは次第に惹かれていく。だが二人は隠れ住まなければいけない秘密を抱えており…?

作品情報

作品名
首領ジーノは家族思いな情熱家
著者
佐倉温 
イラスト
桜城やや 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
極道さんはパパで愛妻家
発売日
ISBN
9784041083345
3.9

(22)

(6)

萌々

(11)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
84
評価数
22
平均
3.9 / 5
神率
27.3%

レビュー投稿数2

「無自覚の独占欲」に萌えまくっちゃいました!(* ´ ▽ ` *)

「極道さん」シリーズのスピンオフで、史の伯父でシチリアンマフィアの首領ジーノが主役なります。
共通して出てくるキャラは居るのですが、今作だけでも読める感じで書かれていました。

これ、未読の方は、「このやたら存在感のある、賢吾ってヤクザは何者なんだ?」と気になるかもしれませんけど。
そして、シリーズ既読の方は、第三者から見た賢吾と佐知があまりにバカップル丸出しで、笑っちゃう気がしますけど。

元々こちら、web連載されてた作品でして、そこに加筆修正+SSを書き下ろして文庫化したものになるんですね。
ちなみに、web連載も読んでましたが、加筆修正がどのあたりかは定かで無い・・・。
いや、残念な記憶力なもので。
ただ、これだけは確信を持って言える!
エロシーンが大幅に増えてます!!

とりあえず、傲慢で冷酷だと思っていたジーノの、意外なイタリア男っぷりには笑っちゃいましたよ。
初めての恋に、頭のネジが二~三本飛んじゃったか!?と。
そして、やたら強くて頭が良くて、男前な受けに惚れ惚れしちゃいましたよー!
女装姿で屈強な男を取り押さえる受け!
格好よすぎでしょー!!

内容ですが、シチリアンマフィアの首領(ドン)ジーノ・ビスコンティ×彼を拾った謎の青年・優による、ほのぼの子育てものでマフィアものになります。
こう、基本的にはラブコメテイストなんですけど、笑いあり涙あり、痛快な展開ありって感じの、とても読みやすくてエンターテイメント性の高い作品だと思います。

身内の裏切りにより襲撃を受け、重症を負ってしまったジーノ。
通りがかりの冴えない青年・優と、その姪・サラに助けられるんですね。
何やら事情を抱え、隠れ住んでいるらしい優とサラ。
裏切り者が分からず組織へと帰れないジーノは、優にとある取り引きを持ちかけー・・・と言うものです。

こちら、マフィアものとしてハードな展開を期待すると、肩透かしを食うと思うんですよね。
一応襲撃を受けたり、裏切り者を炙り出す為に一計を案じたりはするものの、基本的にはコミカルテイストで進みと。
まぁ、なんちゃってマフィアものと言うか、アットホームマフィアものと言うか。

が、この作品の魅力は、実はホロリとさせてくれる家族愛だったり、それぞれ個性的なキャラクターにあると思うのです。

えーと、ジーノですけど、幼少期の過酷な経験から、冷酷無比で愛を知らない男に育つんですね。
常に敵か味方か、そして損得で冷静に判断し、みたいな。

で、そんな彼が出会った、不思議な二人連れ・優とサラ。
明らかにワケありで貧乏生活ながら、ケガをした怪しさしかない外国人・ジーノを助ける。

優なんですけど、ボサボサ前髪にダサいメガネと、冴えない風貌なのです。
なのに、頭の回転が早く機転がきき、更に腕っぷしがやたら強くと、すごく面白いキャラでして。
こう、これまで人に心を許さずと、孤独に生きてきたジーノ。
そんな彼の懐に飄々とした言動で入り込み、あっと言う間に居所を作ってしまう。

いや、完全に無自覚ながら、優にどんどん惹かれてゆくジーノの描写に萌えまくっちゃうんですよ。
実はジーノにとって、これが初めての恋なんですよね。
だから、自分が独占欲を滾らせてたり、嫉妬してても分かんないんですよね。
いやもう、この「無自覚ながら独占欲を丸出し」描写に萌えちゃって萌えちゃって。
おいおい、ジーノ、意外と可愛い男だな!みたいな。

あと、しつこいですけど、優がとにかく格好いいのです。
組織の裏切り者をあぶり出す為、ジーノがとある計画を立てるんですね。
で、その計画に則り、女装して恋人のふりをする優。
まぁ、お約束ではあるのですが、実は女装した優は超美形。
そう、あの冴えない風貌は、目立たない為のカモフラージュなのです!
また、この時の優ですが、堂に入った色っぽい女装姿だったり、機転の利いた対応だったり、あと見事な立ち回りだったりで大活躍なのです。
めちゃくちゃ格好いいのです。
シビレちゃうのです!

あとですね、二人が隠れ住んでいた理由に、常に明るく飄々として見えた優の、背負っていたものー。
ジーノは優達と出会えた事で愛を知り、初めて心が満たされるのです。
同時に、優達もジーノと出会えた事で、互いを思い合うが故に行き詰まっていた現状から、抜け出す事が出来たんですよね。

サラがめちゃくちゃいい子なのです。
だからこそ、何だかホロリと来ちゃって。

ところでジーノですが、序盤は超傲慢で冷酷無比な男です。
が、終盤には、愛をこれでもかと注ぎまくる溺愛系に変貌。
いや、優に叱られて、神妙な態度のジーノとか予想外すぎでしょ!
と、最後は意外なヘタレっぷりまで披露してくれて、大変ニヤニヤさせてもらえました。

賢吾や佐知達も大活躍ですので、シリーズファンにもぜひ手にとっていただきたいです。

8

マフィアのドンも恋には形無し

今回はシチリアンマフィアの首領と姪と2人で生きる地味な青年のお話です。

日本で襲撃された攻様が姪を生きる受様に恋をして彼らの家族となるまで
攻様がはじめて保育園での行事を参観する後日談を収録。

攻様はシリアンマフィアのドンです。攻様は父に執着されて監禁生活を送っ
ていた日本人の母が生んだ1人息子ですが、父は攻様も後に生まれた娘も
愛さず、母だけに妄執していました。

攻様は母と妹に楽な暮らしをさせる為に、唯一武器となった美貌と身体を
使い、ファミリーの中でのし上っていきますが、トップに立つ前に母は病に
倒れ、気の強かった妹もイタリアを出奔します。

攻様は生き馬の目を抜く世界で生きる為誰にも心を許してきませんでした。
探し続けていた妹が遺児を残して逝去した事を知った時には自分の手元に
引取るべく、甥を養子としていた極道一家に乗り込みますが、甥の幸せが
義父となった若頭やその恋人とともにあると知り、彼らに託したのです。

甥に伯父として関わるために日本企業との関りや仕事を増やしています。
今回はとあるパーティに出席するに来日しますが、そのパーティで何者かに
銃で襲撃されたのです!!

ファミリーのごく1部しか知らないパーティでの襲撃は状況から見て、事前
に攻様の警護体制を知られていたのは間違いなく、その全てを知る人物は
攻様の側近達しかいません。手負いの状況でファミリーに戻れば止めを
刺されることになるでしょう。

撃たれた左肩からの失血で朦朧とする攻様を見つけたのは1人の少女と黒髪
で黒目が印象的な大きな瞳をもつ美貌の男でした。攻様は天使が迎えに来た
のか・・・と思いながら意識が途絶えてしまいます。

しかしマフィアの攻様にそんな行幸が訪れるわけはなく(笑)目覚めた攻様は
甥とそう変わらない年頃の少女とその保護者らしいあか抜けない男に助けら
れた事を知ります。この保護者の男が今回の受様になります♪

受様と少女の暮らしはかなりの極貧ですが、警戒する攻様を置き去りで
のんびりとした会話を交わす様子は楽しそうです。実際は受様は誰かから
隠れて暮らしている様で、攻様は傷が治るまで匿ってくれれば、彼らの逃走
を手助けすると約します。

そうして始まった同居生活ですが、ある朝少女が突然倒れてしまうのです!!
攻様の銃創を見ても怯まなかった受様なのに、大声で少女に駆け寄り事態が
切迫している事を攻様に知らせます。

受様達の抱える事情とは!?
攻様はファミリーの裏切者を見つけられねのか!?

佐倉先生の『極道さんはパパで愛妻家』で始まる人気シリーズスピンオフで
本編カプが育てる攻様の養子となった義弟の実の伯父の恋物語になります。

こちらは角川の小説掲載WEBサイト「カクヨミ」にて連載されたスペシャル
ストーリーを加筆修正して書き下ろし短編を書き下ろしての文庫化です。

WEB版も楽しく読ませて頂きましたが、気になるとパラパラ戻れる紙派な
身としては文庫のほうが読みやすいし、書き下ろしも嬉しくてワクワクで
GETしました o(^O^)o

マフィアの父を持ったことから母と妹だけを支えに生きてきた攻様は、
ドンとなってからも誰にも心を許さずに生きてきます。しかし唯一の肉親と
なった妹の遺児に会うために日本での仕事を増やすようになるのです。

そして今回は極秘来日してとあるパーティしたのですが、その場で襲撃に
合い肩を撃ち抜かれるという重傷を負うのです。側近しか知らないパーティ
で襲われた事で攻様はホテルにも戻れず、半ば死を覚悟しますが、そんな
攻様を助けたのが、訳あり風な受様達だったのです。

受様は本来なら怪しすぎる攻様に関わりたくないだろうに、連れの少女が
攻様を"天使様"と呼んで気に入ってしまった事から、攻様を匿って何くれ
となく世話してくれるのです。

少女が倒れた事から、少女の身体を蝕む病や受様が隠していた事情を知った
攻様は2人の力になりたいと思い、甥が世話になっている極道一家の若頭に
助けを求めた事から、反撃に転じていきます。

攻様を裏切った者を確保し、受様の姪の手術が成功し、3人が家族になるまで
ハラハラ&ワクワクしながら、たいへん楽しく読ませて頂きました (^-^)/

基本はコメディなので攻様が、いかにもイタリア男らしく怒涛の勢いで甘い
言葉で受様を口説いたり、ある事情であか抜けない姿でいた受様が超美麗
な容貌で攻様に向かってきた敵を瞬く間に拘束しちゃったりと、お約束な
流れもしっかり楽しめて美味しいです♪

攻様はマフィア故に誰も信じてはいないと豪語しますが、母や妹を護りた
いと思っていたように愛を知らない訳ではありません。だからこそ甥を大切
に思い、姪と必死に生きる受様に惹かれ、彼を支えたいと思い、やがては
独占したいと思って手を出しても、最後は離れる選択1拓なのが笑えます。

そしてそれに対する受様の言動がすごく男前で、攻様がシドロモドロで
完全に負けちゃってる大逆転なオチもすごく良かったです。

本編カプも客演していますが、本作だけでも読める仕立てですので本作から
シリーズへと手を伸ばすのも有りかと思います。

シリーズ未読の方には1巻をイラスト担当の桜城ややさんがコミカライズ
した『極道さんはパパで愛妻家』からでも良いかもですね。

1

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